diskpartコマンドとは?Windowsのディスク管理を自在に操る強力ツールを解説

Windows

Windowsでディスクやパーティションの管理といえば、「ディスクの管理」という画面を思い浮かべる方が多いでしょう。

しかし、もっと細かい設定をしたい、自動化したい、トラブル時に素早く対処したい——そんな時に活躍するのがdiskpartコマンドです。

「コマンド入力って難しそう…」と感じるかもしれませんが、基本を理解すればグラフィカルツールよりも確実に、そして柔軟にディスク操作ができるようになります。

今回は、diskpartコマンドの基礎から実用的な使い方、そして絶対に気をつけるべき注意点まで、分かりやすく解説していきますね。

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diskpartコマンドとは?基本を押さえよう

Windowsに標準搭載のディスク管理ツール

diskpart(ディスクパート)とは、Windowsに標準で搭載されているコマンドラインベースのディスク管理ツールです。

コマンドプロンプトやPowerShellから起動して、以下のような操作を行えます:

  • ディスクの情報確認
  • パーティションの作成・削除・変更
  • ボリュームのフォーマット
  • ドライブレターの割り当て
  • ディスク全体のクリア(完全消去)

グラフィカルな「ディスクの管理」ツールと同じことができますが、より詳細な設定やスクリプトによる自動化が可能です。

GUIツールとの違い

ディスクの管理(GUI):

  • マウス操作で直感的
  • 視覚的に分かりやすい
  • 一部の高度な操作は行えない

diskpartコマンド:

  • キーボードでコマンド入力
  • 全ての操作を細かく制御できる
  • スクリプト化して繰り返し実行可能
  • トラブル時にも使える(GUIが起動しない場合など)

どちらも用途に応じて使い分けるのがベストですが、diskpartを覚えておくと対応力が格段に上がります。

diskpartの起動方法

管理者権限での起動が必須

diskpartは強力な権限を持つツールのため、管理者権限で実行する必要があります

起動手順:

方法1:検索から起動

  1. Windowsキーを押して「cmd」と入力
  2. 「コマンドプロンプト」を右クリック
  3. 「管理者として実行」を選択
  4. diskpart と入力してEnterキーを押す

方法2:ファイル名を指定して実行

  1. Windowsキー + Rを押す
  2. 「diskpart」と入力してEnterキーを押す
  3. ユーザーアカウント制御(UAC)で「はい」を選択

正常に起動すると、プロンプトが DISKPART> に変わります。

終了方法

diskpartを終了するには:

  • exit と入力してEnterキーを押す
  • または単純にウィンドウを閉じる

作業が完了したら必ず終了しましょう。

diskpartの基本的な使い方

コマンドの基本構造

diskpartは対話型のツールです。

一般的な流れは以下のようになります:

  1. 対象を表示:list コマンドで一覧を表示
  2. 対象を選択:select コマンドで操作対象を指定
  3. 操作を実行:具体的なコマンドを実行
  4. 結果を確認:detail コマンドなどで確認

この「表示→選択→実行」の流れを理解することが重要です。

基本コマンド一覧

情報表示系コマンド:

  • list disk:接続されている全てのディスクを表示
  • list volume:全てのボリューム(ドライブ)を表示
  • list partition:選択中のディスク内のパーティションを表示
  • detail disk:選択中のディスクの詳細情報を表示

選択系コマンド:

  • select disk [番号]:指定した番号のディスクを選択
  • select volume [番号またはドライブレター]:ボリュームを選択
  • select partition [番号]:パーティションを選択

操作系コマンド:

  • clean:選択中のディスクを完全にクリア(全データ削除)
  • create partition primary:プライマリパーティションを作成
  • format fs=ntfs quick:NTFSで高速フォーマット
  • assign letter=[ドライブレター]:ドライブレターを割り当て
  • delete partition:選択中のパーティションを削除
  • extend:ボリュームのサイズを拡張

その他の便利コマンド:

  • help:コマンド一覧を表示
  • help [コマンド名]:特定コマンドの詳細ヘルプを表示

実用的な使用例

例1:USBメモリを完全にフォーマットする

USBメモリが認識されない、ファイルシステムが壊れた——そんな時の対処法です。

手順:

DISKPART> list disk
(接続されているディスクが表示される)

DISKPART> select disk 1
(USBメモリのディスク番号を指定。必ず番号を確認!)

DISKPART> clean
(ディスク全体をクリア)

DISKPART> create partition primary
(プライマリパーティションを作成)

DISKPART> format fs=ntfs quick label="USB"
(NTFSでフォーマット、ラベルは任意)

DISKPART> assign letter=E
(Eドライブとして割り当て、他の文字でもOK)

DISKPART> exit

これで完全に初期化されたUSBメモリになります。

例2:パーティションのサイズを確認する

現在のディスク構成を詳しく確認したい場合:

DISKPART> list disk
(ディスク一覧を表示)

DISKPART> select disk 0
(Cドライブがあるディスクを選択、通常はdisk 0)

DISKPART> list partition
(パーティションの一覧とサイズが表示される)

DISKPART> detail partition
(選択中のパーティションの詳細情報)

例3:ドライブレターを変更する

CDドライブやUSBメモリのドライブレターを変更したい場合:

DISKPART> list volume
(現在のボリューム一覧を確認)

DISKPART> select volume 3
(変更したいボリュームの番号を指定)

DISKPART> remove letter=D
(現在のドライブレターを削除)

DISKPART> assign letter=Z
(新しいドライブレターを割り当て)

例4:起動可能なUSBメモリを作成する準備

Windows のインストールUSBなどを作る際の前処理:

DISKPART> list disk

DISKPART> select disk 1
(USBメモリを選択)

DISKPART> clean

DISKPART> create partition primary

DISKPART> select partition 1

DISKPART> active
(パーティションをアクティブに設定)

DISKPART> format fs=fat32 quick

DISKPART> assign
(自動でドライブレターが割り当てられる)

この後、WindowsのインストールファイルをコピーすればOKです。

diskpartを使う際の重要な注意点

間違えると全データが消える

diskpartは非常に強力なため、操作ミスが致命的になります。

特に clean コマンドは、確認なしで即座にディスク全体を消去します。

絶対に守るべきルール:

  • list disk で必ず対象ディスクを確認してから操作する
  • サイズや接続方法(USB、内蔵など)で対象ディスクを識別する
  • 自信がない場合は実行前に重要なデータをバックアップ
  • 特に clean コマンドは慎重に使用する

ディスク番号は変わることがある

ディスクの番号(Disk 0、Disk 1など)は、接続順序によって変わる場合があります。

毎回 list disk で確認してから操作してください。

「前回はDisk 1だったから」という思い込みは危険です。

回復パーティションに注意

Windowsのシステムディスクには、通常以下のパーティションが存在します:

  • システム予約パーティション(数百MB)
  • Cドライブ(メインのパーティション)
  • 回復パーティション(数GB)

これらを誤って削除すると、システムの復元やリカバリができなくなる可能性があります。

内蔵ディスクを操作する際は特に慎重に行いましょう。

取り消し機能はない

一般的なソフトウェアの「元に戻す(Ctrl+Z)」のような機能はdiskpartにはありません

実行したコマンドは即座に反映され、取り消すことはできません。

GPTとMBRの違いに注意

ディスクには2つのパーティションスタイルがあります:

MBR(Master Boot Record):

  • 古い方式
  • 2TBまでのディスクに対応
  • 最大4つのプライマリパーティション

GPT(GUID Partition Table):

  • 新しい方式
  • 2TB以上のディスクに対応
  • パーティション数に制限がほぼない
  • UEFI起動に必要

変換コマンド:

  • convert gpt:MBRからGPTへ変換
  • convert mbr:GPTからMBRへ変換

※変換前にディスクをクリーンアップ(clean)する必要があります

トラブルシューティング

「アクセスが拒否されました」と表示される

原因:管理者権限で実行していない

解決方法:

  • コマンドプロンプトを管理者として実行し直す
  • diskpartを再起動する

「仮想ディスクサービスエラー」が出る

原因:ディスクが他のプログラムで使用中

解決方法:

  • 対象ディスクを使用しているプログラムを終了
  • エクスプローラーでそのドライブを開いている場合は閉じる
  • 場合によってはWindowsの再起動が必要

パーティションを削除できない

原因:保護されたシステムパーティション

解決方法:

DISKPART> select partition [番号]
DISKPART> delete partition override

override オプションで強制削除できますが、システムパーティションの削除は慎重に。

GUIツールとの使い分け

diskpartを使うべき場面

  • USBメモリやSDカードのトラブル対応
  • スクリプトでディスク操作を自動化したい
  • GUIの「ディスクの管理」では実行できない操作が必要
  • リモートサーバーをコマンドラインで管理している
  • Windows回復環境(WinRE)でディスク操作が必要

GUIツールを使うべき場面

  • 初めてディスク管理を行う
  • 視覚的に確認しながら安全に作業したい
  • 複雑な操作が必要ない日常的な管理作業

両方を併用するのが賢い使い方です。

スクリプトファイルでの自動化

テキストファイルからコマンドを実行

diskpartは、事前に作成したテキストファイルからコマンドを読み込んで実行できます。

例:format_usb.txt

select disk 1
clean
create partition primary
format fs=ntfs quick label="Backup"
assign letter=Z
exit

実行方法:

diskpart /s format_usb.txt

これにより、同じ操作を何度も繰り返す必要がなくなります。

バッチファイルとの組み合わせ

バッチファイル(.bat)に組み込むことで、より複雑な処理の自動化も可能です。

@echo off
echo USBメモリをフォーマットします
pause
diskpart /s format_usb.txt
echo 完了しました
pause

業務でのディスク管理を効率化できます。

より安全に使うためのヒント

事前チェックリスト

diskpartを実行する前に:

✓ 対象ディスクのサイズを確認した
✓ 対象ディスクの接続方法を確認した(USB、内蔵など)
✓ 重要なデータのバックアップを取った
✓ 実行するコマンドを再確認した
✓ システムディスクでないことを確認した

練習環境を作る

本番環境で試す前に:

  • 古いUSBメモリなど、消えても問題ないディスクで練習
  • 仮想マシン(VirtualBox、Hyper-Vなど)で試す
  • コマンドのヘルプを読んで理解を深める

代替ツールの検討

用途によっては、専用ツールの方が安全な場合もあります:

  • Rufus:起動USBの作成に特化
  • MiniTool Partition Wizard:GUI付きパーティション管理
  • EaseUS Partition Master:初心者向けGUIツール

まとめ:強力だからこそ慎重に使おう

diskpartコマンドは、Windowsのディスク管理を柔軟かつ詳細に行える強力なツールです。

この記事のポイント:

  • diskpartはコマンドラインベースのディスク管理ツール
  • GUIツールではできない細かい操作や自動化が可能
  • 管理者権限での実行が必須
  • 「表示→選択→実行」の基本的な流れを理解することが重要
  • USBメモリのフォーマットやパーティション操作に便利
  • 操作ミスでデータが完全消去される危険性がある
  • 必ず list disk で対象を確認してから実行
  • スクリプト化により繰り返し作業を効率化できる

diskpartは「便利だけど危険」なツールです。

基本をしっかり理解し、常に対象ディスクを確認する習慣をつければ、トラブル対応や効率的なディスク管理の強い味方になってくれますよ。

初めて使う方は、まず不要なUSBメモリなどで練習してから、重要なディスクに触れるようにしましょう。

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