C#でプログラミングをしていると、必ず出会うのが「using」という
キーワード。
実は、このusingには2つの全く異なる使い方があるって知っていましたか?
1つは名前空間をインポートする「usingディレクティブ」
もう1つはリソース管理のための「usingステートメント」
この記事では、特にリソース管理に関わる「usingステートメント」について、初心者の方でも理解できるよう詳しく解説していきます。
メモリリークを防ぎ、クリーンで保守しやすいコードを書くために、usingステートメントは非常に重要な機能です。
具体的なコード例を交えながら、基本から応用まで丁寧に説明していきますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
usingの2つの使い方を理解しよう

まず、C#における「using」の2つの使い方を整理しておきましょう。
1. usingディレクティブ(名前空間のインポート)
これは、コードファイルの先頭によく書かれるものです。
using System;
using System.IO;
using System.Text;
このusingディレクティブは、名前空間をインポートして、その中のクラスやメソッドを簡単に使えるようにするためのものです。
例えば、using System;を書いておけば、System.Console.WriteLine()をConsole.WriteLine()と短く書けます。
2. usingステートメント(リソース管理)
今回の記事で詳しく説明するのがこちら。
リソースを自動的に解放するための仕組みです。
using (StreamReader reader = new StreamReader("file.txt"))
{
string content = reader.ReadToEnd();
Console.WriteLine(content);
}
// ここでreaderは自動的に解放される
名前は同じ「using」ですが、役割は全く違うので注意してください。
usingステートメントとは?なぜ必要なの?
usingステートメントは、リソースを使い終わったら自動的に解放してくれる便利な機能です。
リソースって何?
プログラムが使用する「資源」のこと。
具体的には以下のようなものがあります:
- ファイル:テキストファイルや画像ファイルなど
- データベース接続:SQLサーバーなどへの接続
- ネットワーク接続:インターネット通信など
- ストリーム:データの読み書きに使うもの
これらのリソースは、使い終わったら必ず「閉じる」「解放する」という処理が必要なんです。
解放しないとどうなる?
リソースを解放しないと、以下のような問題が発生します:
- メモリリーク:メモリが徐々に消費されていく
- ファイルロック:他のプログラムがファイルを開けなくなる
- 接続の枯渇:データベースへの接続数が上限に達する
- パフォーマンス低下:システム全体が遅くなる
だから、使い終わったリソースは必ず解放する必要があるんです。
usingステートメントがない場合
従来は、try-finallyブロックを使ってリソースを解放していました。
FileStream fs = null;
try
{
fs = new FileStream("test.txt", FileMode.Open);
// ファイルを使った処理
}
catch (FileNotFoundException e)
{
Console.WriteLine("ファイルが見つかりませんでした");
}
finally
{
if (fs != null)
{
fs.Dispose(); // リソースを解放
}
}
このコードは正しいのですが、かなり長くて複雑ですよね。
Disposeメソッドを呼ぶのを忘れてしまうリスクもあります。
usingステートメントを使った場合
同じ処理をusingステートメントで書くと、こんなに簡潔になります。
try
{
using (FileStream fs = new FileStream("test.txt", FileMode.Open))
{
// ファイルを使った処理
}
// ここでfsは自動的に解放される
}
catch (FileNotFoundException e)
{
Console.WriteLine("ファイルが見つかりませんでした");
}
finallyブロックが不要になり、Disposeメソッドの呼び出しも自動化されました。
コードがシンプルで読みやすくなっています。
IDisposableインターフェースとは?
usingステートメントを使えるのは、「IDisposable」インターフェースを実装しているクラスだけです。
IDisposableインターフェースの役割
IDisposableインターフェースは、リソースを解放するための仕組みを提供します。
このインターフェースには、Dispose()という1つのメソッドが定義されています。
public interface IDisposable
{
void Dispose();
}
どんなクラスがIDisposableを実装している?
.NET Frameworkの多くのクラスがIDisposableを実装しています:
- ファイル関連:FileStream、StreamReader、StreamWriterなど
- データベース関連:SqlConnection、SqlCommand、SqlDataReaderなど
- ネットワーク関連:HttpClient、TcpClientなど
- グラフィック関連:Bitmap、Graphicsなど
これらのクラスを使う場合は、usingステートメントを使うのが推奨されます。
usingステートメントの基本的な使い方
それでは、具体的な使い方を見ていきましょう。
基本形
usingステートメントの基本的な書き方はこうです:
using (var リソース = new リソースのクラス())
{
// リソースを使った処理
}
// ブロックを抜けると自動的にリソースが解放される
ファイルを読み込む例
テキストファイルを読み込む実際のコード例です:
using System;
using System.IO;
class Program
{
static void Main()
{
using (StreamReader reader = new StreamReader("sample.txt"))
{
string content = reader.ReadToEnd();
Console.WriteLine(content);
}
// readerは自動的に解放される
}
}
このコードでは:
- StreamReaderのインスタンスを作成
- ファイルの内容を読み込んで表示
- usingブロックを抜けた時点で、自動的にreader.Dispose()が呼ばれる
例外が発生しても安全
usingステートメントの素晴らしい点は、例外が発生しても必ずDisposeが呼ばれることです。
using (FileStream fs = new FileStream("test.txt", FileMode.Open))
{
// ここで例外が発生しても
throw new Exception("エラー発生!");
} // 必ずfsのDisposeが呼ばれる
内部的には、コンパイラがtry-finallyブロックに展開してくれるので、確実にリソースが解放されます。
複数のリソースを扱う方法
1つのプログラムで複数のリソースを使う場合、どうすればいいでしょうか?
方法1:ネスト(入れ子)で書く
最も基本的な方法は、usingステートメントをネストすることです。
using (FileStream fs = new FileStream("test.txt", FileMode.Open))
{
using (StreamReader sr = new StreamReader(fs))
{
string content = sr.ReadToEnd();
Console.WriteLine(content);
}
// srが解放される
}
// fsが解放される
ネストが深くなると読みにくいですが、確実に動作します。
方法2:連続して並べて書く
C#では、中括弧を省略してusingステートメントを連続で書けます。
using (FileStream fs = new FileStream("test.txt", FileMode.Open))
using (StreamReader sr = new StreamReader(fs))
{
string content = sr.ReadToEnd();
Console.WriteLine(content);
}
// sr → fsの順で解放される
こちらの方がネストが浅くなって読みやすいですね。
解放される順番は、宣言と逆の順序(後に宣言したものから先に解放)になります。
方法3:同じ型なら複数宣言できる
同じ型のリソースを複数使う場合は、1つのusingステートメントでまとめて宣言できます。
using (StreamWriter sw1 = new StreamWriter("file1.txt"),
sw2 = new StreamWriter("file2.txt"),
sw3 = new StreamWriter("file3.txt"))
{
sw1.WriteLine("ファイル1");
sw2.WriteLine("ファイル2");
sw3.WriteLine("ファイル3");
}
// sw3 → sw2 → sw1の順で解放される
この場合も、宣言と逆の順序で解放されます。
C# 8.0の新機能:using宣言

C# 8.0からは、より簡潔な「using宣言」という書き方が導入されました。
従来のusingステートメント
public void OldWay()
{
using (SqlConnection connection = new SqlConnection(connectionString))
{
connection.Open();
// データベース操作
} // ここで解放
}
中括弧でスコープを明示的に区切る必要がありました。
using宣言の書き方
C# 8.0以降では、こう書けます:
public void NewWay()
{
using SqlConnection connection = new SqlConnection(connectionString);
connection.Open();
// データベース操作
// メソッドの終わりで自動的に解放される
}
中括弧が不要になり、コードがさらにシンプルになりました。
リソースは、宣言されたスコープ(この場合はメソッド)の終わりで自動的に解放されます。
複数のリソースをusing宣言で扱う
using宣言なら、複数のリソースもネストなしで書けます。
public void ReadFile()
{
using var fs = new FileStream("test.txt", FileMode.Open);
using var sr = new StreamReader(fs);
string content = sr.ReadToEnd();
Console.WriteLine(content);
// メソッドの終わりでsr → fsの順で解放
}
ネストがなくなって、コードの見通しが良くなっています。
using宣言の注意点
using宣言を使う場合、いくつか注意点があります:
- スコープはメソッド全体:ブロックの終わりではなく、メソッドの終わりで解放される
- ループ内での使用:ループ内で宣言すると、各反復で新しいインスタンスが作られる
- C# 8.0以降が必要:古いバージョンのC#では使えない
実践的な使用例
実際のプログラミングでよく使われるパターンを紹介します。
データベース接続の例
データベースとの接続は、必ずusingステートメントで管理しましょう。
using System;
using System.Data.SqlClient;
class DatabaseExample
{
static void GetUserData()
{
string connectionString = "Server=localhost;Database=MyDB;";
using (SqlConnection connection = new SqlConnection(connectionString))
{
connection.Open();
string query = "SELECT Name, Age FROM Users";
using (SqlCommand command = new SqlCommand(query, connection))
using (SqlDataReader reader = command.ExecuteReader())
{
while (reader.Read())
{
string name = reader.GetString(0);
int age = reader.GetInt32(1);
Console.WriteLine($"{name}: {age}歳");
}
}
}
// reader, command, connectionの順で自動的に解放される
}
}
このコードでは、3つのリソース(接続、コマンド、リーダー)がすべて適切に解放されます。
ファイルのコピー
ファイルをコピーする処理も、usingステートメントで安全に書けます。
using System.IO;
class FileCopy
{
static void CopyFile(string sourcePath, string destinationPath)
{
using (FileStream sourceStream = new FileStream(sourcePath, FileMode.Open, FileAccess.Read))
using (FileStream destStream = new FileStream(destinationPath, FileMode.Create, FileAccess.Write))
{
sourceStream.CopyTo(destStream);
}
// 両方のファイルストリームが確実に閉じられる
}
}
途中でエラーが発生しても、両方のファイルが正しく閉じられます。
HTTPリクエストの例
Webからデータを取得する場合も、usingステートメントが活躍します。
using System;
using System.Net.Http;
using System.Threading.Tasks;
class HttpExample
{
static async Task GetWebContent()
{
using (HttpClient client = new HttpClient())
{
string url = "https://example.com/api/data";
try
{
string response = await client.GetStringAsync(url);
Console.WriteLine(response);
}
catch (HttpRequestException e)
{
Console.WriteLine($"エラー: {e.Message}");
}
}
// HttpClientのリソースが解放される
}
}
自作クラスでusingステートメントを使う
自分で作ったクラスでもusingステートメントを使いたい場合は、IDisposableインターフェースを実装します。
基本的な実装
using System;
public class MyResource : IDisposable
{
private bool disposed = false;
public MyResource()
{
Console.WriteLine("リソースを取得しました");
}
public void DoSomething()
{
if (disposed)
{
throw new ObjectDisposedException(nameof(MyResource));
}
Console.WriteLine("処理を実行中...");
}
public void Dispose()
{
if (!disposed)
{
Console.WriteLine("リソースを解放しました");
disposed = true;
}
}
}
このクラスは、usingステートメントで使えます:
using (MyResource resource = new MyResource())
{
resource.DoSomething();
}
// 自動的にDisposeが呼ばれる
Disposeパターンの推奨実装
より本格的な実装では、「Disposeパターン」に従うことが推奨されます。
using System;
public class ProperResource : IDisposable
{
private bool disposed = false;
// マネージドリソース(例:他のIDisposableオブジェクト)
private StreamWriter writer;
public ProperResource(string filePath)
{
writer = new StreamWriter(filePath);
}
public void WriteData(string data)
{
if (disposed)
{
throw new ObjectDisposedException(nameof(ProperResource));
}
writer.WriteLine(data);
}
// パブリックなDisposeメソッド
public void Dispose()
{
Dispose(true);
GC.SuppressFinalize(this);
}
// 実際のリソース解放処理
protected virtual void Dispose(bool disposing)
{
if (!disposed)
{
if (disposing)
{
// マネージドリソースの解放
writer?.Dispose();
}
// アンマネージドリソースの解放(もしあれば)
disposed = true;
}
}
}
このパターンに従うことで、より安全で保守しやすいコードになります。
よくある質問と回答
usingステートメントについて、よく聞かれる質問をまとめました。
Q1: nullを渡してもエラーにならない?
A: はい、大丈夫です。usingステートメントはnullチェックをしてくれます。
StreamWriter sw = null;
using (sw)
{
Console.WriteLine("nullでもOK");
}
// nullチェックが自動で行われるので、例外は発生しない
Q2: returnステートメントを使っても解放される?
A: はい、returnする前に必ずDisposeが呼ばれます。
public string ReadFile(string path)
{
using (StreamReader reader = new StreamReader(path))
{
return reader.ReadToEnd();
// returnの前にreaderのDisposeが呼ばれる
}
}
Q3: usingブロックの外で変数にアクセスできる?
A: 変数自体はスコープ内に残りますが、リソースは既に解放されているので、使おうとすると例外が発生します。
StreamReader reader;
using (reader = new StreamReader("file.txt"))
{
// 処理
}
// readerはスコープ内だが、リソースは解放済み
string line = reader.ReadLine(); // ObjectDisposedExceptionが発生
推奨される書き方は、using内で変数を宣言することです。
Q4: usingとusing directiveを同時に使える?
A: もちろんです。名前が同じだけで、全く別の機能です。
using System; // usingディレクティブ
using System.IO; // usingディレクティブ
class Program
{
static void Main()
{
// usingステートメント
using (StreamReader reader = new StreamReader("file.txt"))
{
Console.WriteLine(reader.ReadToEnd());
}
}
}
Q5: async/awaitと一緒に使える?
A: はい、使えます。C# 8.0以降では、IAsyncDisposableインターフェースも用意されています。
await using (var resource = new AsyncResource())
{
await resource.ProcessAsync();
}
// 非同期でDisposeAsyncが呼ばれる
usingステートメントのベストプラクティス
効果的にusingステートメントを使うためのコツを紹介します。
1. IDisposableなオブジェクトは必ずusingで囲む
IDisposableを実装しているクラスは、必ずusingステートメントで管理しましょう。
良い例:
using (var stream = new FileStream("file.txt", FileMode.Open))
{
// 処理
}
悪い例:
var stream = new FileStream("file.txt", FileMode.Open);
// 処理
stream.Dispose(); // 忘れる可能性がある
2. リソースの宣言はusing内で行う
リソースの宣言は、usingステートメント内で行うのが推奨されます。
良い例:
using (var reader = new StreamReader("file.txt"))
{
// 処理
}
避けるべき例:
var reader = new StreamReader("file.txt");
using (reader)
{
// 処理
}
// readerのスコープが残ってしまう
3. C# 8.0以降ではusing宣言を検討する
ネストが深くなる場合は、using宣言を使うとコードがシンプルになります。
public void ProcessFile(string path)
{
using var fs = new FileStream(path, FileMode.Open);
using var reader = new StreamReader(fs);
// ネストなしで複数のリソースを管理
string content = reader.ReadToEnd();
ProcessContent(content);
}
4. 長時間保持するリソースには注意
usingステートメントは、ブロック内でリソースを使い終わったらすぐに解放されます。
長時間リソースを保持する必要がある場合は、別の方法を検討しましょう。
5. パフォーマンスが重要な場合は検討が必要
非常に頻繁にリソースを作成・破棄する場合、パフォーマンスに影響する可能性があります。
そのような場合は、オブジェクトプールなどの最適化手法も検討してください。
まとめ
C#のusingステートメントは、リソース管理を自動化してくれる非常に便利な機能です。
この記事で学んだポイント:
- usingには「ディレクティブ」と「ステートメント」の2つの用途がある
- usingステートメントは、IDisposableなオブジェクトを自動的に解放する
- try-finallyブロックと同等の機能を、より簡潔に書ける
- 例外が発生しても、必ずリソースが解放される
- 複数のリソースを扱う方法がいくつかある
- C# 8.0以降では、using宣言という簡潔な書き方がある
- 自作クラスでも、IDisposableを実装すれば使える
使うべき場面:
- ファイル操作
- データベース接続
- ネットワーク通信
- グラフィックリソース
- その他、IDisposableを実装しているすべてのクラス
usingステートメントを適切に使うことで、メモリリークを防ぎ、安全で保守しやすいコードを書くことができます。
最初は少し難しく感じるかもしれませんが、使い慣れると自然に書けるようになります。
ぜひ日々のプログラミングで積極的に活用してみてください!

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