Copilot+ PCとは?AIを活用した次世代Windows PCの全機能と選び方

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Microsoftが2024年5月に発表したCopilot+ PCは、AI技術を本格的に統合した新しいカテゴリのWindows PCです。
従来のPCとは異なり、PC本体に搭載された専用のAIプロセッサ(NPU)により、クラウドに頼らずローカルで高速なAI処理を実現します。

この記事では、Copilot+ PCの基本情報から搭載機能、必要なスペック、おすすめの使い方まで、詳しく解説します。

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Copilot+ PCとは

Copilot+ PCは、Microsoftが定義した新しいPCカテゴリーです。
AIを活用した次世代のWindows 11 PCで、従来のPCでは実現できなかった高度なAI機能をローカルで実行できます。

従来のCopilotとの違い

Windows 11に既に搭載されている「Copilot」は、主にMicrosoftのクラウドサーバー側で処理を実行します。
一方、Copilot+ PCでは、PC本体に搭載された高性能なNPU(ニューラルプロセッシングユニット)を活用し、多くのAI処理をローカルで実行できます。

これにより、以下のメリットがあります。

  • 処理速度の向上(クラウドとの通信が不要)
  • プライバシーの保護(データがPC外に送信されない)
  • オフラインでもAI機能が利用可能
  • 消費電力の削減

発表と販売開始時期

Copilot+ PCは2024年5月20日(米国時間)に正式発表されました。
最初の製品群は2024年6月18日から販売が開始されています。

価格は最低999ドルからとなっており、同等スペックの従来PCと比較して最大200ドル安価に設定されています。

Copilot+ PCの必要スペック

Copilot+ PCとして認定されるには、以下の最小システム要件を満たす必要があります。

ハードウェア要件

項目必要スペック
NPU性能40 TOPS以上
メモリ16GB以上
ストレージ256GB以上
OSWindows 11

TOPS(Trillion Operations Per Second)とは:
1秒間に処理できる演算回数を兆単位で表したもので、NPUの処理能力を示す指標です。
40 TOPS以上という基準は、高度なAI処理をリアルタイムで実行するために必要な性能です。

対応プロセッサ

2025年2月時点で、以下のプロセッサが40 TOPS以上のNPUを搭載しています。

Qualcomm:

  • Snapdragon X Elite
  • Snapdragon X Plus

AMD:

  • Ryzen AI 300シリーズ
  • Ryzen AI 400シリーズ
  • Ryzen AI Maxシリーズ

Intel:

  • Core Ultra 200Vシリーズ
  • Core Ultra シリーズ2
  • Core Ultra シリーズ3

2024年6月の発売当初はQualcomm製プロセッサのみでしたが、2024年後半以降、AMDとIntelのプロセッサ搭載モデルも順次登場しています。

NPU(ニューラルプロセッシングユニット)とは

NPUは、AI処理に特化した専用プロセッサです。
CPUやGPUとは異なる役割を持ちます。

CPU・GPU・NPUの違い

プロセッサ得意な処理主な用途
CPU汎用的な計算OS実行、アプリケーション処理
GPU並列計算、画像処理ゲーム、動画編集、3D処理
NPUAI推論処理画像認識、音声処理、言語処理

NPUのメリット

NPUを使用することで、以下のメリットがあります。

低消費電力:
AI処理をGPUで実行する場合と比較して、NPUは大幅に少ない電力で同等の処理が可能です。
これにより、バッテリー駆動時間が大幅に延びます。

高速処理:
AI推論に最適化された設計により、CPUやGPUよりも高速にAI処理を実行できます。

リアルタイム処理:
ビデオ通話の背景ぼかしやリアルタイム翻訳など、遅延が許されない処理でも快適に動作します。

Copilot+ PCで利用できる6つのAI機能

Copilot+ PCでは、NPUを活用した独自のAI機能が利用できます。
2025年2月時点で公開されている主要機能を紹介します。

1. Recall(リコール)

概要:
PC上で見た・作業したコンテンツを記憶し、後から簡単に検索できる機能です。

使い方:
「緑色のグラフがあった資料」「先週見た旅行サイト」のような曖昧な記憶でも、Recallが該当するファイルやウェブページを探し出します。

プライバシー:
すべてのデータはPC内に保存され、クラウドには送信されません。
ユーザーは機能のオン・オフを自由に切り替えられます。

対応言語:
英語、簡体中国語、フランス語、ドイツ語、日本語、スペイン語に最適化されています。

提供状況:
プレビュー版として提供されており、Windows Update経由で追加されます。
提供時期はデバイスと地域によって異なります。

2. Cocreator(コクリエイター)

概要:
Windows標準の「ペイント」アプリに搭載された、AI画像生成機能です。

使い方:
テキストプロンプト(文章での指示)を入力するか、簡単なスケッチを描くことで、AIが本格的な画像を生成します。
生成された画像はリアルタイムで編集・調整が可能です。

特徴:
これまで月額料金が必要だったMidjourneyやStable Diffusionのような画像生成サービスと同様の機能を、PC上で無料・無制限に利用できます。

注意点:
英語のテキストプロンプトに最適化されています。
責任あるAI使用のため、Microsoft アカウントとインターネット接続が必要です。

3. Live Captions(ライブキャプション)

概要:
PC上で再生される音声をリアルタイムで翻訳し、字幕として表示する機能です。

対応言語:
40以上の言語からリアルタイムで翻訳できます。
また、簡体中国語にも対応しています。

使用例:

  • 海外のクライアントとのビデオ会議
  • 外国語の講義動画の視聴
  • 多言語でのポッドキャスト視聴

利点:
アプリを問わず、PC上のすべての音声に対して機能します。
ZoomでもTeamsでもYouTubeでも、同じように翻訳字幕が表示されます。

4. Windows Studio Effects(ウィンドウズスタジオエフェクト)

概要:
ビデオ通話を高品質にするAI機能の総称です。

主な機能:

背景ぼかし:
従来のソフトウェアベースの処理よりも高精度で、被写体(通話中のあなた)をくっきり映し出しながら、背景のみを自然にぼかします。

アイコンタクト(視線補正):
カメラから目線が外れていても、AIが自動補正し、常にカメラ目線に見えるようにします。
資料を見ながらプレゼンテーションする際に便利です。

ポートレートライト:
照明環境が悪い場所でも、AIが顔を自動的に明るく補正します。

クリエイティブフィルター:
イラスト風、アニメ風、水彩画風など、様々なフィルターを適用できます。

アクセス方法:
タスクバーのクイック設定から簡単にオン・オフを切り替えられます。

5. Restyle Image(リスタイルイメージ)

概要:
Microsoftフォトアプリで、既存の写真にAI生成スタイルを適用できる機能です。

使い方:
写真を開き、テキストプロンプトで希望するスタイルを入力すると、AIが写真を変換します。

例:
「油絵風に」「サイバーパンク風に」「1920年代の白黒写真風に」

注意点:
英語のテキストプロンプトに最適化されています。

6. Image Creator(イメージクリエーター)

概要:
テキストプロンプトから、新規のAI画像を生成する機能です。

Cocreatorとの違い:
Cocreatorはペイントアプリ内での画像生成・編集に特化していますが、Image Creatorはより幅広いアプリケーションで利用できます。

バッテリー性能

Copilot+ PCは、NPUの低消費電力特性により、驚異的なバッテリー駆動時間を実現しています。

公式発表のバッテリー性能

ローカルビデオ再生:
最大22時間(一部の最新モデルでは27〜32時間)

ウェブブラウジング:
最大15時間(一部の最新モデルでは19時間)

競合製品との比較

MicrosoftはMacBook Air 15インチ(M3)との比較データを公開しており、以下の結果を示しています。

  • ローカルビデオ再生: 最大20%向上
  • マルチスレッド持続性能: 最大58%向上

これらの数値は、2024年5月時点のプレリリース版デバイスでの測定結果です。

Copilot+ PCのメーカーとモデル

2025年2月時点で、以下のメーカーからCopilot+ PC対応モデルが販売されています。

Microsoft Surface

Surface Laptop 7th Edition:
13.8インチと15インチの2サイズ展開です。
Snapdragon X Elite/X Plusプロセッサを搭載しています。

Surface Pro 11th Edition:
2-in-1タイプ(タブレット兼ノートPC)のCopilot+ PCです。
キーボードは別売りですが、Copilotキーを搭載した専用キーボードが用意されています。

OEMパートナー

以下のメーカーから、様々なCopilot+ PC対応モデルが販売されています。

  • ASUS
  • Acer
  • Dell
  • HP
  • Lenovo
  • Samsung

各メーカーは、Qualcomm、AMD、Intelの各プロセッサを搭載したモデルをラインナップしています。

Copilot+ PCの活用例

Copilot+ PCは、様々な場面で活用できます。

ビジネスシーン

海外クライアントとの会議:
Live Captionsにより、言語の壁を越えたコミュニケーションが可能になります。
リアルタイム翻訳により、通訳を介さず直接やり取りできます。

プレゼンテーション:
Windows Studio Effectsの視線補正機能により、資料を見ながらでも常にカメラ目線を維持できます。
ポートレートライトにより、どんな環境でも明るく鮮明な映像で参加できます。

資料作成:
Cocreatorを使用して、プレゼンテーション資料用のイラストや図表を素早く作成できます。
外部の画像生成サービスを契約する必要がありません。

過去資料の検索:
Recall機能により、「赤いグラフがあった四半期レポート」のような曖昧な記憶でも、該当ファイルを素早く見つけられます。

学習・教育シーン

オンライン授業:
Live Captionsにより、外国語の講義もリアルタイムで字幕表示されます。
聞き逃した内容も字幕で確認できます。

ノート作成:
Recallにより、授業で使用したスライドや資料を後から簡単に見つけられます。

プレゼンテーション準備:
Cocreatorを使って、発表資料用のビジュアルを作成できます。

クリエイティブワーク

コンセプトアート作成:
Cocreatorでアイデアを素早くビジュアル化できます。
ラフスケッチから、AIが完成度の高い画像を生成します。

写真編集:
Restyle Imageにより、既存の写真に様々なアーティスティックなスタイルを適用できます。

動画編集:
Windows Studio Effectsにより、撮影環境が不十分でも、高品質な映像素材を作成できます。

Copilot+ PCを選ぶ際のポイント

Copilot+ PCを購入する際は、以下のポイントを確認しましょう。

1. プロセッサの選択

Qualcomm Snapdragon X Elite/X Plus:
2024年6月の発売当初から提供されているプロセッサです。
ARM系アーキテクチャのため、一部の従来Windowsアプリとの互換性に注意が必要です。
ただし、主要なアプリケーションは対応しています。

AMD Ryzen AI 300/400シリーズ:
2024年後半以降に登場したプロセッサです。
x86アーキテクチャのため、従来のWindowsアプリとの互換性が高いです。

Intel Core Ultra 200V/シリーズ2/3:
2024年後半以降に登場したプロセッサです。
x86アーキテクチャで、Intelの実績ある技術基盤を持ちます。

2. メモリとストレージ

最小要件は16GB RAM、256GB SSDですが、用途に応じて以下を推奨します。

軽作業中心(ウェブ閲覧、文書作成):
16GB RAM、256GB SSDで十分です。

クリエイティブワーク(画像・動画編集):
32GB RAM、512GB以上のSSDを推奨します。

ヘビーユース(開発、大量のデータ処理):
32GB RAM、1TB以上のSSDを推奨します。

3. ディスプレイサイズ

13〜14インチ:
持ち運びを重視する場合に適しています。
重量が軽く、バッグに入れやすいサイズです。

15〜16インチ:
据え置き利用が中心で、画面の広さを優先する場合に適しています。

4. 価格帯

Copilot+ PCの価格帯は、エントリーモデルで約10万円〜、ハイエンドモデルで30万円以上です。
予算と用途のバランスを考えて選びましょう。

Copilot+ PCの注意点

Copilot+ PCを購入・使用する際の注意点を紹介します。

機能の段階的提供

Copilot+ PC専用機能は、すべてのデバイスで同時に利用できるわけではありません。
Windows Updateを通じて段階的に提供されます。

提供時期は、デバイス、地域、言語によって異なります。
購入前に、希望する機能がいつから利用可能かを確認することをお勧めします。

ARM版Windowsアプリの互換性

Qualcomm Snapdragonプロセッサ搭載モデルは、ARM系アーキテクチャです。
多くの主要アプリは対応していますが、一部の専門的なソフトウェアは動作しない可能性があります。

使用したいアプリケーションがARM版Windowsに対応しているか、事前に確認しましょう。

プライバシー設定

Recall機能は非常に便利ですが、PC上のすべての操作を記録します。
プライバシーを重視する場合は、機能のオン・オフや記録範囲を適切に設定しましょう。

設定は、Windowsの設定アプリから変更できます。

インターネット接続の必要性

一部のCopilot+ PC機能(CocreatorやImage Creatorなど)は、責任あるAI使用を確保するため、インターネット接続とMicrosoft アカウントが必要です。

完全オフラインでは一部機能が制限されることを理解しておきましょう。

まとめ

Copilot+ PCは、AI技術を本格的に統合した次世代のWindows PCです。
NPU(ニューラルプロセッシングユニット)により、従来のPCでは不可能だった高度なAI機能をローカルで高速に実行できます。

主要な機能として、Recall、Cocreator、Live Captions、Windows Studio Effects、Restyle Image、Image Creatorの6つがあり、ビジネス、学習、クリエイティブワークなど、様々な場面で活用できます。

2025年2月時点では、Qualcomm、AMD、Intelの各プロセッサを搭載したモデルが、Microsoft Surfaceをはじめ、ASUS、Acer、Dell、HP、Lenovo、Samsungから販売されています。

購入を検討する際は、プロセッサの種類、メモリ・ストレージ容量、ディスプレイサイズ、価格帯を総合的に判断しましょう。
また、機能の段階的提供やアプリの互換性、プライバシー設定にも注意が必要です。

Copilot+ PCは、AI時代の新しい働き方、学び方、創作活動を実現する強力なツールです。
自分の用途に合ったモデルを選び、AIの力を最大限に活用しましょう。

参考情報

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