「パソコンの時計がずれる…」 「起動するたびにBIOS設定がリセットされる」 「電源を切ってもパソコンが日付を覚えているのはなぜ?」
実は、これらすべてに関わっているのが**CMOS電池(シーモス電池)**という小さなボタン電池なんです。
ノートパソコンやデスクトップパソコンの中には、電源ケーブルを抜いても動き続ける「もう一つの電池」が入っています。普段は意識しませんが、この電池が切れると、意外と困ったことが起きるんです。
この記事では、CMOS電池の役割から交換方法まで、知っておくと役立つ情報をすべてお伝えします!
🔋 CMOS電池って何?小さいけど大切な役割

そもそもCMOS電池とは?
CMOS電池は、マザーボード(パソコンの基盤)に取り付けられているボタン型の電池です。
見た目は腕時計やリモコンに入っている電池とそっくり。でも、その役割はとても重要なんです。
大きさと形:
- 直径約2cm(500円玉くらい)
- 厚さ約3mm
- 銀色の丸いボタン型
- 型番は主に「CR2032」
🎯 CMOS電池の3つの重要な役割
1. 時計を動かし続ける
パソコンの電源を切っても、次に起動した時に正しい時刻が表示されますよね。これ、CMOS電池のおかげなんです。
2. BIOS設定を記憶する
BIOS(バイオス)とは、パソコンの基本的な設定を管理するプログラムのこと。起動順序やハードウェアの設定などを、電源オフでも忘れないようにしています。
3. パスワードや設定を保持
BIOSパスワードや、各種カスタマイズした設定も、この電池で保存されています。
💡 豆知識: CMOSは「Complementary Metal-Oxide-Semiconductor」の略。日本語にすると「相補型金属酸化膜半導体」…難しいですね!簡単に言えば「省電力でデータを保存できる仕組み」のことです。
⚠️ 電池切れのサイン:こんな症状が出たら要注意!
🔴 典型的な症状ベスト5
1. パソコンの時計がリセットされる
- 起動するたびに2000年1月1日になる
- 時刻が大幅にずれている
- 「時計を設定してください」というメッセージが出る
2. 起動時にエラーメッセージ
- 「CMOS Battery Low」
- 「CMOS Checksum Error」
- 「Press F1 to continue」
- 「System battery voltage is low」
3. BIOS設定が初期化される
- 起動順序が変わってしまう
- オーバークロック設定が消える
- RAIDの設定が失われる
4. パソコンが起動しない・不安定
- 電源は入るが画面が真っ黒
- 起動したりしなかったりする
- 突然シャットダウンする
5. その他の異常
- ハードウェアを認識しない
- ネットワーク接続でSSL証明書エラー
- Windowsのライセンス認証エラー
📅 電池の寿命はどのくらい?
一般的な寿命:
- デスクトップPC:3〜5年
- ノートパソコン:2〜4年
- 24時間稼働のPC:1〜2年
寿命が短くなる要因:
- 高温環境での使用
- 頻繁な電源オン/オフ
- 長期間使用しない
- 安価な電池を使用
🔧 CMOS電池の交換方法:意外と簡単!
📋 事前準備
必要なもの:
- 新しいCR2032電池(100円ショップでもOK)
- プラスドライバー
- 静電気防止手袋(あれば)
- スマホ(BIOS設定を写真に撮る用)
重要な準備:
- BIOS設定をメモまたは写真撮影
- 重要なデータのバックアップ
- 電源を完全に切る(コンセントも抜く)
- 5分待つ(コンデンサの電気を放電)
🖥️ デスクトップPCの場合
手順:
- ケースを開ける
- 側面パネルのネジを外す
- パネルをスライドさせて取り外す
- CMOS電池を探す
- マザーボード上の銀色のボタン電池
- グラフィックボードの近くにあることが多い
- 電池を取り外す
- 電池ホルダーの爪を軽く押す
- 電池がポップアップする
- 手で取り出す
- 新しい電池を入れる
- プラス面(文字が書いてある面)を上に
- カチッと音がするまで押し込む
- 動作確認
- ケースを閉じる前に一度起動テスト
- BIOSに入って時刻設定
💻 ノートパソコンの場合
注意:機種により大きく異なります!
パターン1:底面カバーから交換可能
- バッテリーを外す
- 底面のカバーを開ける
- CMOS電池を交換
- カバーを戻す
パターン2:キーボード下にある
- キーボードを取り外す(要注意!)
- CMOS電池を交換
- キーボードを戻す
パターン3:分解が必要
- メーカー修理を推奨
- 自己責任で分解する場合は、機種名で検索して手順を確認
💡 ヒント: 「お使いの機種名 + CMOS電池 交換」で検索すると、詳しい分解方法が見つかることが多いです。YouTubeに動画もたくさんあります!
🛠️ 交換後の設定:忘れずにやること
✅ 必須の設定項目
- 日付と時刻の設定
- BIOSで正しい日時を入力
- Windowsでも時刻同期を確認
- 起動順序の設定
- SSDやHDDの優先順位を設定
- USBブートの有効/無効
- その他の重要設定
- セキュアブート
- 仮想化技術(VT-x/AMD-V)
- XMPプロファイル(メモリ設定)
🔐 セキュリティ設定の再設定
- BIOSパスワードの再設定
- TPMの初期化と再設定
- BitLockerの回復キー準備
💰 電池の種類と購入ガイド
🔋 CMOS電池の種類
最も一般的:CR2032
- 電圧:3V
- 直径:20mm
- 厚さ:3.2mm
- 価格:100〜300円
その他の種類:
- CR2025(薄型)
- CR2016(さらに薄型)
- CR1220(小型)
- 充電式(一部の古いPC)
🛒 どこで買える?
購入場所と価格目安:
- 100円ショップ:110円(品質は△)
- コンビニ:200〜300円
- 家電量販店:200〜400円
- ホームセンター:150〜300円
- Amazon:100〜200円(まとめ買いがお得)
選び方のポイント:
- 有名メーカー品が安心(Panasonic、SONY、maxellなど)
- 使用期限を確認(新しいものを選ぶ)
- まとめ買いすると1個あたりが安い
❓ よくある質問(FAQ)

Q:CMOS電池を交換してもすぐに切れる
A: 以下の原因が考えられます:
- マザーボードの故障(電池ホルダーの接触不良)
- 電源ユニットの問題
- 安価な電池を使用している
- 極端に古いPCの場合、消費電力が大きい
Q:電池交換でデータは消える?
A: いいえ、HDDやSSDのデータは一切消えません。消えるのはBIOS設定だけです。Windowsの設定やファイルはすべて残ります。
Q:CMOS電池なしでPCは動く?
A: 動きます!ただし、起動のたびに時刻設定やF1キーを押す必要があり、非常に面倒です。また、一部のソフトウェアが正常に動作しない可能性があります。
Q:USB充電式のCMOS電池はどう?
A: 一部のメーカーが販売していますが、おすすめしません。理由:
- 取り付けが複雑
- 故障リスクが高い
- コストパフォーマンスが悪い
Q:ゲーミングPCは電池の減りが早い?
A: いいえ、むしろ逆です。頻繁に使用するPCの方が電池は長持ちします。長期間放置するPCの方が電池の減りが早いんです。
🎯 トラブルシューティング:それでも解決しない時
問題1:交換しても症状が改善しない
確認ポイント:
- 電池の向きは正しい?(プラスが上)
- 電池ホルダーに汚れやサビはない?
- CMOSクリアジャンパーの位置は正しい?
- 電源ケーブルを10分間抜いてから再起動
問題2:BIOSに入れなくなった
対処法:
- CMOSクリア(ジャンパーピンまたは電池を外して5分待つ)
- 最小構成で起動(メモリ1枚、グラボなし)
- 別のキーボードで試す(USB接続)
問題3:時刻は正しいのに証明書エラーが出る
解決策:
- Windowsの時刻同期サーバーを変更
- タイムゾーン設定を確認
- インターネット時刻の自動同期をオン
まとめ:小さな電池、大きな役割
CMOS電池は目立たない存在ですが、パソコンの正常動作には欠かせない重要な部品です。
覚えておくべきポイント:
✅ 寿命は3〜5年(定期的な交換がおすすめ) ✅ 症状が出たらすぐ交換(放置すると面倒なことに) ✅ CR2032が最も一般的(100円ショップでも買える) ✅ 交換は意外と簡単(デスクトップなら5分で完了) ✅ データは消えない(安心して交換してOK)
パソコンの調子が悪い時、まずは高額な修理に出す前に、CMOS電池の交換を試してみる価値があります。
たった数百円の電池交換で、パソコンが元気に復活することも多いんです。この記事を参考に、ぜひチャレンジしてみてくださいね!
💡 最後のアドバイス: CMOS電池は消耗品です。3年に1度の交換を習慣にすれば、突然のトラブルを避けられます。新しいパソコンを買ったら、カレンダーに「3年後:CMOS電池交換」とメモしておくのがおすすめです!
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