「プログラミングを始めたいけど、C言語って何?」
プログラミングの世界に足を踏み入れると、必ずと言っていいほど耳にする「C言語」。
C言語は、1972年に誕生した歴史あるプログラミング言語ですが、50年以上経った今でも世界中で使われ続けている、まさにプログラミング界の「レジェンド」です。
スマートフォン、パソコン、家電製品、自動車、ゲーム機…私たちの身の回りにあるほとんどの機器に、C言語で書かれたプログラムが動いています。
この記事では、C言語とは何か、どんな特徴があるのか、何ができるのか、そして学ぶべき理由まで、プログラミング初心者にも分かりやすく解説していきます。
「プログラミングに興味はあるけど、難しそう…」と思っている方も、ぜひ最後まで読んでみてください。
C言語の魅力が、きっと分かるはずです。
C言語とは?まずは基本を理解しよう

プログラミング言語の中でも特に重要なC言語について、基本から確認していきましょう。
C言語の定義
C言語(シーげんご、英語:C programming language)は、コンピュータに命令を出すためのプログラミング言語の一つです。
開発者: デニス・リッチー(Dennis Ritchie)
開発場所: AT&Tベル研究所(アメリカ)
開発年: 1972年
目的: UNIXというオペレーティングシステム(OS)を作るため
今から50年以上も前に作られた言語ですが、現在でも世界中で使われています。
なぜ「C」という名前?
C言語の前には「B言語」というプログラミング言語がありました。
そのB言語を改良して作られたので、アルファベットの次の文字「C」と名付けられたんです。
ちなみに、B言語は「BCPL言語」という言語を簡略化したもので、プログラミング言語の歴史は長い進化の物語なんです。
C言語の現在地
「古い言語なんて、もう使われていないんじゃない?」
そう思う人もいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。
TIOBE Index(プログラミング言語人気ランキング)では、C言語は2025年時点でも常に上位にランクインしています。
なぜこんなに長く使われ続けているのでしょうか?
その理由は、C言語の「特徴」にあります。
C言語の最大の特徴
C言語が特別な理由を、分かりやすく説明していきます。
特徴1:高水準言語と低水準言語の両方の顔を持つ
プログラミング言語には、大きく2つのタイプがあります。
高水準言語:
- 人間が理解しやすい言葉で書ける
- 例:Python、Java、JavaScript
- 特徴:書きやすいが、コンピュータの細かい制御は難しい
低水準言語:
- コンピュータの言葉に近い
- 例:アセンブリ言語
- 特徴:ハードウェアを直接制御できるが、難しい
C言語は、この両方のいいとこ取りをした言語なんです。
人間が理解しやすい文法で書けるのに、メモリやCPUといったハードウェアを直接制御できる。
この「ちょうどいいバランス」が、C言語の最大の強みです。
特徴2:処理速度が圧倒的に速い
C言語で書いたプログラムは、実行速度がとても速いです。
その理由は「コンパイル方式」にあります。
コンパイル方式とは?
プログラムを実行する前に、人間が書いたコードをすべて機械語に翻訳してから実行する方式です。
他の方式(インタープリタ方式):
- プログラムを実行しながら、1行ずつ翻訳
- 例:Python、JavaScript
- 特徴:すぐに実行できるが、速度は遅い
C言語は事前に全部翻訳するので、実行時には翻訳の手間がかかりません。
結果として、PythonやJavaScriptと比べて数十倍から数百倍速いこともあります。
この速さが、リアルタイム処理やゲーム開発で重宝される理由です。
特徴3:どんなコンピュータでも動く(移植性が高い)
C言語で書いたプログラムは、ほとんどどんなコンピュータでも動かせます。
- Windows
- macOS
- Linux
- 組み込み機器(家電製品など)
- スーパーコンピュータ
これを「移植性が高い」と言います。
一度書いたプログラムを、別のコンピュータでも少しの修正で使えるのは、開発者にとって大きなメリットです。
特徴4:たくさんの言語のお手本になった
現在人気のプログラミング言語の多くが、C言語の影響を受けています。
C言語から派生した言語:
- C++
- C#
- Objective-C
C言語の文法を参考にした言語:
- Java
- JavaScript
- Python
- PHP
- Swift
C言語を学べば、他の言語も理解しやすくなるというメリットがあります。
プログラミングの「基礎体力」がつくイメージです。
特徴5:自由度が高い
C言語は、プログラマーに大きな自由を与えます。
メモリの管理、ハードウェアの制御、細かい処理の最適化…
すべて自分でコントロールできます。
ただし、これは諸刃の剣でもあります。
自由度が高い分、間違いも起こしやすいのです。
後で詳しく説明しますが、これがC言語の難しさでもあります。
C言語でできること
実際にC言語を使って、どんなものが作れるのでしょうか?
1. オペレーティングシステム(OS)の開発
C言語の最も重要な用途が、OS開発です。
C言語で作られているOS:
- UNIX(C言語開発の元々の目的)
- Linux
- macOS(UNIXベース)
- Windows(一部)
- Android(Linux kernel)
OSは、コンピュータの心臓部です。
ハードウェアを直接制御する必要があるため、C言語のような低水準な操作ができる言語が必要なんです。
2. 組み込みシステム開発
組み込みシステムとは、特定の機器に組み込まれた小さなコンピュータシステムのことです。
C言語が使われている製品:
- 家電製品(洗濯機、冷蔵庫、エアコン、電子レンジ)
- 自動車(エンジン制御、自動運転システム)
- 医療機器(心電図モニター、MRI)
- ロボット
- IoT機器(スマート家電)
- デジタルカメラ
- プリンター
これらの機器は、限られたメモリとCPUで動く必要があります。
C言語は、少ないリソースで高速に動くため、組み込み開発に最適なんです。
3. ゲーム開発
高速な処理が求められるゲーム開発でも、C言語は活躍しています。
ゲーム開発での使用例:
- ゲームエンジンの開発
- 3Dグラフィックスの処理
- 物理演算
- ゲーム機のOS(PlayStation、Xboxなど)
特に、秒間60フレーム以上の滑らかな動きが必要なアクションゲームでは、C言語の速度が重要です。
4. 基幹系システム
企業の重要な業務を支える基幹系システムでも、C言語が使われています。
例:
- 銀行のシステム
- 証券取引システム
- 在庫管理システム
- 会計システム
- 生産管理システム
これらのシステムは、大量のデータを高速に処理する必要があります。
また、絶対に止まってはいけないため、安定性も重要です。
C言語の高速性と信頼性が、ここで活きています。
5. ネットワーク機器とプログラミング
ネットワーク関連でもC言語が活躍:
- ルーター
- スイッチ
- モデム
- ファイアウォール
- ネットワークプロトコルの実装
インターネットの通信を支える機器の多くが、C言語で動いています。
6. データベースシステム
有名なデータベースシステムも、C言語で書かれているものがあります。
例:
- MySQL
- PostgreSQL
- SQLite
高速なデータの読み書きが必要なため、C言語の性能が活かされています。
7. コンパイラ・インタプリタの開発
面白いことに、プログラミング言語を作るためのツールもC言語で作られています。
- Pythonのインタプリタ(CPython)
- Rubyのインタプリタ
- PHPのインタプリタ
- 各種コンパイラ
つまり、他のプログラミング言語を動かすプログラムが、C言語で書かれているんです。
C言語のメリット
C言語を学ぶメリットを整理してみましょう。
メリット1:プログラミングの基礎が身につく
C言語は、プログラミングの本質を学ぶのに最適です。
- メモリの仕組み
- CPUの動き方
- データ構造
- アルゴリズム
- ポインタ(メモリアドレスの直接操作)
これらの知識は、どんなプログラミング言語を使う時にも役立ちます。
「プログラミングの筋トレ」のようなものです。
メリット2:他の言語の習得が楽になる
C言語を習得すれば、C++、Java、JavaScript、Pythonなどの言語が格段に理解しやすくなります。
多くの言語がC言語の文法を参考にしているため、共通点が多いんです。
メリット3:高速なプログラムが書ける
処理速度が重要な場面では、C言語が最適です。
- リアルタイム処理
- ビッグデータ処理
- 画像・動画処理
- ゲーム開発
- 科学技術計算
PythonやJavaで書いたプログラムが遅い場合、C言語で書き直すと劇的に速くなることがあります。
メリット4:求人が安定している
古い言語だからといって、需要がないわけではありません。
組み込みシステム、OSレベルの開発、基幹系システムなど、C言語のスキルを求める企業は常に存在します。
特に、ハードウェアに近い開発では、C言語エンジニアは貴重な存在です。
メリット5:世界中に情報がある
50年以上の歴史があるため、学習リソースが豊富です。
- 書籍
- オンライン教材
- フォーラム
- サンプルコード
- オープンソースプロジェクト
困ったときに調べられる情報が、他の言語よりも圧倒的に多いんです。
C言語のデメリット

良い面ばかりではありません。正直なデメリットも知っておきましょう。
デメリット1:習得難易度が高い
C言語は、初心者にとって難しい言語です。
難しい理由:
- メモリ管理を手動で行う必要がある
- ポインタの概念が複雑
- エラーメッセージが分かりにくい
- 細かいルールが多い
- ハードウェアの知識も必要
PythonやJavaScriptと比べると、同じことをするのに書くコードが長く、理解も難しいです。
デメリット2:開発効率が低い
C言語は、開発に時間がかかります。
理由:
- 細かい処理を自分で書く必要がある
- デバッグ(バグ探し)が大変
- メモリリークなどのバグが起きやすい
- 便利な標準機能が少ない
例えば、Pythonなら1行で書ける処理が、C言語では10行以上必要なこともあります。
デメリット3:オブジェクト指向ではない
C言語は「手続き型言語」であり、オブジェクト指向プログラミング(OOP)をサポートしていません。
オブジェクト指向は、大規模なプログラムを整理しやすくする考え方です。
C言語では、大規模プロジェクトの管理が難しくなることがあります。
(ただし、C++ならオブジェクト指向が使えます)
デメリット4:危険なコードが書けてしまう
C言語の「自由度の高さ」は、諸刃の剣です。
危険な例:
- メモリの不正アクセス
- バッファオーバーフロー(セキュリティの脆弱性)
- メモリリーク(メモリの解放忘れ)
これらのミスは、プログラムのクラッシュやセキュリティ問題を引き起こします。
PythonやJavaなら自動でチェックしてくれることも、C言語では自分で管理する必要があります。
デメリット5:モダンな機能が少ない
最近のプログラミング言語には、便利な機能がたくさんあります。
C言語にない機能:
- 自動メモリ管理(ガベージコレクション)
- 例外処理(try-catch)
- ジェネリクス(型を抽象化する機能)
- リスト、辞書などの高級なデータ構造(標準では提供されない)
これらは、自分でライブラリを使ったり、実装したりする必要があります。
他のプログラミング言語との違い
C言語と他の人気言語を比較してみましょう。
C言語 vs C++
C++の特徴:
- C言語を拡張した言語
- オブジェクト指向をサポート
- C言語のコードもほぼそのまま使える
- より大規模な開発に向いている
使い分け:
- 小さくて速いプログラムが必要 → C言語
- 大規模で複雑なプログラム → C++
C言語を学んでおくと、C++への移行がスムーズです。
C言語 vs C
C#の特徴:
- Microsoftが開発
- C言語の文法を参考にしているが、全く別の言語
- オブジェクト指向
- メモリ管理が自動
- Windowsアプリ、ゲーム(Unity)開発に人気
使い分け:
- システムプログラミング、組み込み → C言語
- Windowsアプリ、ゲーム開発 → C#
C#は、C言語よりも初心者向きです。
C言語 vs Java
Javaの特徴:
- オブジェクト指向
- メモリ管理が自動(ガベージコレクション)
- 「Write Once, Run Anywhere」(一度書けばどこでも動く)
- Androidアプリ開発に使われる
- 企業の業務システムに人気
使い分け:
- OSやハードウェア制御 → C言語
- ビジネスアプリ、Androidアプリ → Java
Javaは、C言語より安全で書きやすいですが、速度はC言語に劣ります。
C言語 vs Python
Pythonの特徴:
- 非常に書きやすい
- AI・機械学習で人気
- データ分析、Web開発にも使われる
- インタープリタ言語(実行しながら翻訳)
- 初心者に最適
使い分け:
- 速度が重要、ハードウェア制御が必要 → C言語
- データ分析、AI、Web開発 → Python
面白いことに、Pythonのライブラリの多くは、内部でC言語で書かれています。
速度が必要な部分だけC言語を使い、使いやすいインターフェースをPythonで提供する、という組み合わせが一般的です。
C言語 vs JavaScript
JavaScriptの特徴:
- Web開発に必須
- ブラウザ上で動く
- Node.jsでサーバー側でも動く
- 書きやすい
- フロントエンド開発に特化
使い分け:
- システム開発、組み込み → C言語
- Web開発 → JavaScript
全く別の用途なので、比較するより「両方使える」が理想です。
まとめ
C言語について、重要なポイントをおさらいしましょう。
C言語とは
- 1972年にデニス・リッチーが開発
- UNIXのOS開発のために作られた
- 50年以上使われ続けている歴史ある言語
主な特徴
- 高水準言語と低水準言語の両方の特性
- 処理速度が非常に速い(コンパイル方式)
- どんなコンピュータでも動く(移植性が高い)
- 多くの言語のベースになっている
- 自由度が高い
できること
- OS開発
- 組み込みシステム(家電、自動車など)
- ゲーム開発
- 基幹系システム
- ネットワーク機器
- データベースシステム
- プログラミング言語の開発
メリット
- プログラミングの基礎が身につく
- 他の言語の習得が楽になる
- 高速なプログラムが書ける
- 求人が安定している
- 学習リソースが豊富
デメリット
- 習得難易度が高い
- 開発効率が低い
- オブジェクト指向ではない
- 危険なコードが書けてしまう
- モダンな機能が少ない
他の言語との違い
- C++:オブジェクト指向を追加した拡張版
- C#:別言語だが文法が似ている、初心者向き
- Java:オブジェクト指向、メモリ管理が自動
- Python:書きやすい、初心者向き、速度は遅い
- JavaScript:Web開発に特化

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