「Circular reference detected(循環参照が検出されました)」
「1つ以上の循環参照が発生しています」
「#REF! Circular dependency detected」
ExcelやGoogle Sheetsで作業していると、突然このようなエラーメッセージが表示されることがあります。
循環参照エラーは、数式が直接的または間接的に自分自身を参照している状態を指します。これにより、計算が正しく行われない可能性があり、スプレッドシートが正常に機能しなくなります。
この記事では、循環参照エラーとは何か、なぜ発生するのか、どうやって見つけるのか、そしてどうやって修正するのかを、ExcelとGoogle Sheetsの両方について徹底的に解説します!
- 循環参照(Circular Reference)とは?
- 循環参照エラーのメッセージ
- 循環参照が発生する主な原因
- Excel で循環参照を見つける方法
- Excel で循環参照を修正する方法
- Google Sheets で循環参照を見つける方法
- Google Sheets で循環参照を修正する方法
- 反復計算を有効にする(意図的な循環参照)
- 循環参照を防ぐベストプラクティス
- よくある質問
- Q1. 循環参照エラーを無視することはできますか?
- Q2. 反復計算を有効にすれば、すべての循環参照が解決しますか?
- Q3. ステータスバーに「循環参照」と表示されているのに、セルが見つかりません
- Q4. Google Sheetsで循環参照がどこにあるか全く分からない場合は?
- Q5. 循環参照を修正したのに、まだエラーが出ます
- Q6. SUM関数で「=SUM(A:A)」は常に循環参照になりますか?
- Q7. Excelで複数のワークシート間で循環参照が発生しています
- Q8. 反復計算を有効にしたら、計算がすごく遅くなりました
- Q9. 他の人から受け取ったファイルに循環参照があります。修正していいですか?
- Q10. 循環参照エラーが出ているのに、計算結果は正しいように見えます
- まとめ
循環参照(Circular Reference)とは?
基本的な意味
循環参照とは、数式が自分自身のセルを参照している状態です。
例:
セルA1に「=A1+10」という数式を入力すると、循環参照エラーが発生します。
なぜ問題なのか:
- A1の値を計算するには、A1の値が必要
- でもA1の値はまだ計算されていない
- つまり、無限ループになってしまう
これは犬が自分の尻尾を追いかけるようなもの。どこまで追いかけても終わりがありません。
直接的な循環参照
数式が自分自身のセルを直接参照している場合です。
例:
- セルA1に「=A1+1」
- セルB5に「=B5*2」
- セルD10に「=SUM(D1:D10)」(D10自身が範囲に含まれている)
これらはすべて直接的な循環参照です。
間接的な循環参照
複数のセルを経由して、最終的に自分自身を参照している場合です。
例1:
- セルA1に「=B1+10」
- セルB1に「=A1*2」
この場合:
- A1を計算するにはB1が必要
- B1を計算するにはA1が必要
- 無限ループ!
例2:
- セルA1に「=B1+5」
- セルB1に「=C1-3」
- セルC1に「=A1*2」
この場合:
- A1 → B1 → C1 → A1 という循環が発生
間接的な循環参照は見つけにくいため、より厄介です。
循環参照エラーのメッセージ
Excelの場合
表示されるメッセージ:
「1つ以上の循環参照が発生しています。循環参照とは、数式が直接的または間接的に自身のセルを参照している状態を指します。これにより、計算が正しく行われない可能性があります。循環参照を削除または変更するか、数式を別のセルに移動してください。」
エラーの表示:
- メッセージを閉じると、セルに「0」または最後に計算された値が表示される
- ステータスバー(画面下部)に「循環参照: セルアドレス」と表示される
- ファイルを開くたびにメッセージが表示される(一度閉じると再表示されない)
Google Sheetsの場合
表示されるメッセージ:
“Circular dependency detected. To resolve with iterative calculation, see File > Spreadsheet Settings.”
(循環依存関係が検出されました。反復計算で解決するには、ファイル>スプレッドシート設定を参照してください)
エラーの表示:
- エラーが発生しているセルに「#REF!」と表示される
- セルの右上に小さな赤い三角形が表示される
- セルにマウスを合わせると「Circular dependency detected」と表示される
循環参照が発生する主な原因
循環参照は、ほとんどの場合意図しないミスによって発生します。
原因1: 数式の入力ミス
最も多い原因です。
例:
セルD10に合計を計算するつもりで「=SUM(D1:D10)」と入力してしまう。
- 正しくは「=SUM(D1:D9)」
セルD10自身が範囲に含まれているため、循環参照になります。
原因2: セル参照の間違い
コピー&ペーストや数式の編集中に、誤って自分自身を参照してしまう。
例:
- セルC5に「=B5*C5」と入力(正しくはE5を参照したかった)
- セルA1に「=A1+B1」と入力(正しくはA2を参照したかった)
原因3: 間接的な参照の見落とし
複雑な数式を使用している場合、間接的な循環参照に気づかないことがあります。
例:
- 売上データを参照してボーナスを計算
- ボーナスを含めて総経費を計算
- 総経費を引いて純利益を計算
- 純利益からボーナスを計算
この場合、ボーナス → 総経費 → 純利益 → ボーナス という循環が発生します。
原因4: 列全体・行全体の参照
列全体や行全体を参照する数式を、その列や行に配置してしまう。
例:
- セルA6に「=SUM(A:A)」(A列全体を参照)
- セルB10に「=AVERAGE(B:B)」(B列全体を参照)
これらはすべて循環参照になります。
原因5: 数式のコピー時のズレ
数式をコピーした際に、相対参照がズレて自分自身を参照してしまう。
例:
セルB2に「=A2+C2」という数式があり、これをB3、B4にコピーしていく。
途中で誤ってB2を再度選択してコピーしてしまうと、循環参照が発生する可能性があります。
Excel で循環参照を見つける方法
Excelには循環参照を見つけるための便利な機能があります。
方法1: ステータスバーを確認
最も簡単な方法です。
手順:
ステップ1: 画面下部のステータスバーを確認
ステップ2: 「循環参照: セルアドレス」と表示されているか確認
例: 「循環参照: $D$10」
ステップ3: 表示されているセルアドレスをクリックして、そのセルに移動
注意: ステータスバーに表示されるのは1つのセルだけです。複数の循環参照がある場合でも、1つずつしか表示されません。
方法2: エラーチェック機能を使用
より確実な方法です。
手順:
ステップ1: 「数式」タブをクリック
ステップ2: 「ワークシート分析」グループの「エラーチェック」をクリック(▼をクリック)
ステップ3: ドロップダウンメニューから「循環参照」にマウスを合わせる
ステップ4: 右側に循環参照しているセルのアドレスが表示される
- 例: 「$D$10」「Sheet2!$B$5」
ステップ5: 表示されたセルアドレスをクリック
ステップ6: 循環参照しているセルに移動する
ステップ7: 数式バーで数式を確認
重要: エラーチェック機能も1つのセルにしか対応できません。1つ修正したら、もう一度「循環参照」を確認して、他にもエラーがないかチェックしましょう。
循環参照がない場合:
「循環参照」の項目がグレーアウト(選択できない状態)になります。
方法3: トレース機能を使用
参照関係を視覚的に確認できます。
手順:
ステップ1: 循環参照しているセルを選択
ステップ2: 「数式」タブ → 「参照元のトレース」をクリック
ステップ3: 青い矢印が表示され、どのセルを参照しているかが分かる
ステップ4: 「数式」タブ → 「参照先のトレース」をクリック
ステップ5: このセルを参照しているセルが分かる
矢印をたどることで、循環参照の経路を特定できます。
方法4: 間接参照の確認
直接的な循環参照が見つからない場合、間接参照を確認します。
手順:
ステップ1: エラーチェックで表示されたセルの数式を確認
ステップ2: その数式が参照しているセルをすべて確認
ステップ3: 参照先のセルが循環参照になっていないか確認
例:
- セルD10が循環参照とされている
- D10の数式が「=E10*C10」
- E10の数式を確認すると「=D10/2」だった
- D10 → E10 → D10 の循環を発見!
Excel で循環参照を修正する方法
循環参照を見つけたら、修正しましょう。
修正方法1: 数式を別のセルに移動
最も簡単で確実な方法です。
手順:
ステップ1: 循環参照しているセルを選択
ステップ2: Ctrl+X (切り取り)
ステップ3: 別の空いているセルを選択
ステップ4: Ctrl+V (貼り付け)
これで循環参照が解消されます。
例:
- セルD10に「=SUM(D1:D10)」がある(循環参照)
- D10を切り取って、D11に貼り付ける
- D11に「=SUM(D1:D10)」が移動
- 循環参照が解消!
修正方法2: 数式の参照範囲を修正
範囲の指定を間違えている場合は、修正します。
手順:
ステップ1: 循環参照しているセルを選択
ステップ2: 数式バーをクリック
ステップ3: 数式を確認
ステップ4: 自分自身を参照している部分を修正
例:
- セルD10に「=SUM(D1:D10)」
- 「=SUM(D1:D9)」に修正
- Enter キーを押して確定
修正方法3: 間違った参照を訂正
セル参照を間違えている場合は、正しいセルに修正します。
例:
- セルC5に「=B5*C5」(誤り)
- 「=B5*E5」に修正(正しい参照)
修正方法4: 数式の設計を見直す
間接的な循環参照の場合、数式の設計自体を見直す必要があります。
対策:
- 補助セルを使用: 中間計算用のセルを追加
- 計算順序を変更: 依存関係を整理
- 数式を分割: 複雑な数式をシンプルな複数の数式に分割
例:
ボーナス計算の循環参照を解消
問題:
- セルB10: ボーナス =C10*0.1(純利益の10%)
- セルC10: 純利益 =B1-B2-B10(売上-経費-ボーナス)
解決策:
- セルD10: ボーナス前純利益 =B1-B2
- セルB10: ボーナス =D10*0.1
- セルC10: ボーナス後純利益 =D10-B10
修正後の確認
修正後は、必ず以下を確認してください:
ステップ1: ステータスバーに「循環参照」と表示されなくなったか確認
ステップ2: エラーチェック → 循環参照がグレーアウトされているか確認
ステップ3: 他にも循環参照がないか再度確認
ステップ4: 計算結果が正しいか確認
Google Sheets で循環参照を見つける方法
Google Sheetsには、Excelのような専用のトレース機能がありません。そのため、見つけ方が少し異なります。
方法1: エラーメッセージから特定
手順:
ステップ1: 「#REF!」と表示されているセルを見つける
ステップ2: セルの右上に赤い三角形があることを確認
ステップ3: セルにマウスを合わせる
ステップ4: 「Circular dependency detected」というメッセージを確認
ステップ5: そのセルの数式を確認
方法2: 数式を手動で確認
手順:
ステップ1: エラーが出ているセルを選択
ステップ2: 数式バー(上部)で数式を確認
ステップ3: 数式が参照しているセルをすべてメモ
ステップ4: 参照先のセルを1つずつ確認
ステップ5: 参照先のセルの数式を確認
ステップ6: 循環している経路を特定
例:
- セルB5に「#REF!」エラー
- B5の数式: =C5*2
- C5の数式を確認: =B5+10
- B5 → C5 → B5 の循環を発見!
方法3: 最近の変更を取り消す
エラーが突然出た場合、最も簡単な方法です。
手順:
ステップ1: Ctrl+Z (Mac: Cmd+Z)で直前の操作を取り消す
ステップ2: エラーが消えたか確認
ステップ3: 消えた場合、直前の変更が原因
ステップ4: 数式を修正してから再度入力
方法4: 複雑な場合はExcelを使用
裏技として、Excelのトレース機能を利用できます。
手順:
ステップ1: Google Sheetsをダウンロード(ファイル → ダウンロード → Microsoft Excel)
ステップ2: Excelで開く
ステップ3: Excelのエラーチェック機能とトレース機能を使用
ステップ4: 循環参照を特定
ステップ5: Google Sheetsに戻って修正
Google Sheets で循環参照を修正する方法
修正方法はExcelとほぼ同じですが、いくつか異なる点があります。
修正方法1: 数式を別のセルに移動
手順:
ステップ1: エラーが出ているセルを選択
ステップ2: Ctrl+X (切り取り)
ステップ3: 別のセルを選択
ステップ4: Ctrl+V (貼り付け)
修正方法2: セル範囲を修正
例:
- セルB6に「=SUM(B:B)」(B列全体を参照)
- 「=SUM(B2:B5)」に修正(B6自身を除外)
修正方法3: IMPORTRANGEを使用(高度な技)
同じシート内の循環参照を回避する裏技です。
手順:
ステップ1: スプレッドシートのURLをコピー
ステップ2: 以下のような数式を使用
=IMPORTRANGE("スプレッドシートID", "シート名!セル範囲")
例:
セルA1に「=B1+1」、セルB1に「=A1+1」という循環を回避
ステップ1: セルA2に「=B1+1」と入力
ステップ2: セルA1に以下を入力:
=IMPORTRANGE("このスプレッドシートのID", "A2")
ステップ3: 初回は権限を許可
注意: この方法は複雑なので、通常は推奨されません。
反復計算を有効にする(意図的な循環参照)
稀なケースですが、意図的に循環参照を使用したい場合があります。
反復計算とは?
スプレッドシートが数式を繰り返し計算し、解に収束するまで計算を続ける機能です。
使用例:
- 複雑な財務モデリング
- 工学計算
- ボーナスが純利益に影響し、純利益がボーナスに影響する計算
例:
従業員ボーナスを純利益の10%とする場合
- ボーナス自体が経費なので、純利益を減らす
- 純利益が減ると、ボーナスも減る
- これが安定するまで繰り返し計算
Excel で反復計算を有効にする
手順:
ステップ1: 「ファイル」→「オプション」
ステップ2: 「数式」タブを選択
ステップ3: 「計算方法の設定」セクションを見つける
ステップ4: 「反復計算を行う」にチェックを入れる
ステップ5: 設定を調整(オプション):
- 最大反復回数: 通常は100(デフォルト)
- 変化の最大値: 通常は0.001(デフォルト)
ステップ6: 「OK」をクリック
設定の意味:
- 最大反復回数: 計算を繰り返す最大回数
- 変化の最大値: この値以下になったら計算を停止(収束とみなす)
Google Sheets で反復計算を有効にする
手順:
ステップ1: 「ファイル」→「設定」
ステップ2: 「計算」タブを選択
ステップ3: 「反復計算」を「オン」に切り替え
ステップ4: 設定を調整(オプション):
- 最大反復回数: デフォルトは50
- しきい値: デフォルトは0.05
ステップ5: 「保存して閉じる」
反復計算の注意点
反復計算を有効にする前に:
- ✅ 本当に必要か確認
- ✅ 単純な数式の設計変更で解決できないか検討
- ✅ 計算が収束するか確認(発散しないか)
リスク:
- 計算に時間がかかる
- 正しくない結果が出る可能性
- 無限ループに陥る可能性(最大反復回数で止まる)
- ファイルのパフォーマンスが低下
反復計算の結果:
- 収束: 計算が安定した値に到達
- 発散: 値がどんどん大きく(または小さく)なる
- 振動: 2つの値の間を行ったり来たり
循環参照を防ぐベストプラクティス
循環参照を防ぐためのコツを紹介します。
1. 数式を入力する前に設計する
推奨:
- 紙やホワイトボードにセルの依存関係を描く
- フローチャートを作成
- 計算の順序を明確にする
特に複雑なスプレッドシートの場合:
- どのセルがどのセルを参照するか事前に計画
- 循環が発生しないか確認
2. 数式をシンプルに保つ
推奨:
- 1つのセルに複雑な数式を詰め込まない
- 中間計算用のセルを活用
- 数式を複数のステップに分割
悪い例:
=IF(SUM(B2:B10)>100, (SUM(B2:B10)-100)*0.1+B15, B15)
良い例:
セルD10: =SUM(B2:B10) (合計)
セルD11: =D10-100 (超過分)
セルD12: =IF(D11>0, D11*0.1, 0) (ボーナス)
セルD13: =B15+D12 (最終結果)
3. セル範囲を明示的に指定
推奨:
- 列全体(A:A)や行全体(1:1)の参照を避ける
- 具体的な範囲を指定(A1:A10)
理由:
列全体を参照すると、その列のどこに数式を置いても循環参照になる可能性があります。
4. 作業中に定期的にチェック
推奨:
- 数式を入力するたびに結果を確認
- エラーが出たらすぐに修正
- 後回しにしない
メリット:
- エラーの原因が特定しやすい
- 修正が簡単
- 他の部分に影響が広がらない
5. セル参照を慎重に確認
推奨:
- 数式をコピー&ペーストする時は、参照がズレていないか確認
- 相対参照と絶対参照($記号)を正しく使い分ける
- 数式を編集する時は、どのセルを参照しているか常に意識
6. 関数を活用
推奨:
- SUM、AVERAGE、IFなどの関数を使う
- セル参照を自動的に調整してくれる
- エラーが減る
7. 名前付き範囲を使用
推奨:
- 頻繁に参照する範囲に名前を付ける
- 数式が読みやすくなる
- 参照ミスが減る
例:
範囲B2:B10に「売上」という名前を付ける
- 「=SUM(B2:B10)」の代わりに
- 「=SUM(売上)」と書ける
8. コメントやメモを活用
推奨:
- 複雑な数式には説明を付ける
- 依存関係をメモ
- 他の人(または未来の自分)が理解しやすくする
9. 別のワークシートを活用
推奨:
- 入力データ、計算、結果を別々のシートに分ける
- 依存関係が明確になる
- 循環参照が発生しにくい
例:
- Sheet1: 入力データ
- Sheet2: 中間計算
- Sheet3: 最終結果
10. バックアップを取る
推奨:
- 大きな変更をする前にバックアップ
- バージョン履歴を活用
- 間違えてもすぐに戻せる
よくある質問
Q1. 循環参照エラーを無視することはできますか?
A. おすすめしません。循環参照を無視すると、以下の問題が発生します: (1)計算結果が不正確(0や誤った値が表示される)、(2)ファイルを開くたびにエラーメッセージが表示される、(3)他の部分の計算にも影響する可能性、(4)ファイルのパフォーマンスが低下、(5)他の人がファイルを使う時に混乱。循環参照は見つけ次第、必ず修正してください。
Q2. 反復計算を有効にすれば、すべての循環参照が解決しますか?
A. いいえ、反復計算はすべての循環参照を解決するわけではありません。反復計算は、計算が「収束」する(安定した値に到達する)場合にのみ有効です。収束しない循環参照(発散や振動)の場合、反復計算を有効にしても正しい結果は得られません。ほとんどの循環参照は、数式の設計ミスなので、反復計算に頼らず、数式自体を修正することを強くおすすめします。
Q3. ステータスバーに「循環参照」と表示されているのに、セルが見つかりません
A. いくつかの可能性があります: (1)別のシートにある: 表示されているセルアドレスにシート名が含まれていないか確認(例: Sheet2!$B$5)。別のシートに移動して確認してください。(2)非表示のシート・行・列にある: 非表示になっている部分に循環参照がある可能性。すべてのシート、行、列を表示してから確認。(3)複数の循環参照: 1つ修正しても別の循環参照が残っている場合、ステータスバーには1つずつしか表示されません。修正後、もう一度確認。
Q4. Google Sheetsで循環参照がどこにあるか全く分からない場合は?
A. 以下の方法を試してください: (1)Excelを使う: Google SheetsをExcel形式でダウンロードし、Excelのエラーチェック機能とトレース機能を使って特定。(2)最近の変更を取り消す: Ctrl+Z(Cmd+Z)で直前の操作を順番に取り消し、エラーが消える時点を見つける。(3)シートをコピー: シートのコピーを作成し、セクションごとに削除しながらエラーの場所を絞り込む。(4)数式をすべて値に変換: 一部のセクションを値に変換し、どこでエラーが消えるか確認。
Q5. 循環参照を修正したのに、まだエラーが出ます
A. 以下を確認してください: (1)他にも循環参照がある: エラーチェック機能は1つずつしか表示しません。ステータスバーやエラーチェックを再度確認。(2)ファイルを再計算: F9キー(Mac: Cmd+=)を押してファイルを再計算。または、ファイルを閉じて再度開く。(3)間接的な循環参照: 修正したセルではなく、そのセルが参照しているセルに循環参照がある可能性。参照先をすべて確認。(4)キャッシュの問題: ファイルを保存し、Excelまたはブラウザを再起動。
Q6. SUM関数で「=SUM(A:A)」は常に循環参照になりますか?
A. A列以外に配置すれば問題ありません。例えば、B列のセルに「=SUM(A:A)」と入力すれば、循環参照にはなりません。循環参照になるのは、参照している列(または行)に数式自体が含まれる場合のみです。ただし、列全体を参照するよりも、具体的な範囲(A1:A100など)を指定する方がパフォーマンスが良く、エラーも防げるのでおすすめです。
Q7. Excelで複数のワークシート間で循環参照が発生しています
A. 複数のシート間の循環参照は見つけにくいです。以下の方法で対処してください: (1)エラーチェックを使う: 「数式」→「エラーチェック」→「循環参照」で表示されるセルアドレスに注目。「Sheet2!$B$5」のようにシート名が含まれます。(2)各シートを個別に確認: 各シートで循環参照がないか確認。(3)依存関係の図を作る: 紙にシート間の依存関係を描き、循環している経路を特定。(4)一時的にシートをコピー: 別のワークブックにシートをコピーし、切り離して確認。
Q8. 反復計算を有効にしたら、計算がすごく遅くなりました
A. 反復計算は多くのリソースを使用します。以下を試してください: (1)最大反復回数を減らす: デフォルトの100を50や30に減らす。(2)変化の最大値を大きくする: より早く収束とみなす(精度は下がる)。(3)数式を見直す: 反復計算を使わない方法で再設計できないか検討。(4)不要な循環参照を削除: 意図的な循環参照以外は削除。(5)手動計算に切り替え: 「数式」→「計算方法の設定」→「手動」を選択し、必要な時だけF9で計算。
Q9. 他の人から受け取ったファイルに循環参照があります。修正していいですか?
A. 修正する前に必ず確認してください: (1)意図的な可能性: 反復計算を使った複雑な財務モデルなど、意図的に循環参照を使用している場合があります。(2)作成者に確認: 可能であれば、ファイル作成者に「この循環参照は意図的ですか?」と聞く。(3)バックアップを取る: 修正前に必ずファイルのコピーを保存。(4)反復計算の設定を確認: 反復計算が有効になっていれば、意図的な可能性が高い。(5)慎重に修正: 修正後、すべての計算結果が変わっていないか確認。
Q10. 循環参照エラーが出ているのに、計算結果は正しいように見えます
A. これは危険な状態です。理由: (1)偶然正しい: 現在の値が偶然正しいだけで、データを変更すると誤った結果になる可能性。(2)最後に計算された値: Excelは循環参照が発生する前の「最後に成功した計算値」を保持することがあります。これは現在のデータに基づく正しい値ではありません。(3)不安定: ファイルを開き直したり、再計算したりすると、突然0や誤った値になる可能性。(4)他の人が開くとエラー: あなたの環境では正常に見えても、他の人が開くとエラーになる可能性。必ず循環参照を修正してください。
まとめ
「Circular reference detected」(循環参照エラー)について、重要なポイントをまとめます。
循環参照とは:
- 数式が直接的または間接的に自分自身を参照している状態
- 無限ループが発生し、正しい計算ができない
- ほとんどの場合、意図しないミスによって発生
主な原因:
- 数式の入力ミス(自分自身を範囲に含めてしまう)
- セル参照の間違い
- 間接的な参照の見落とし
- 列全体・行全体の参照
- 数式のコピー時のズレ
Excel での見つけ方:
- ステータスバー(画面下部)を確認
- 「数式」→「エラーチェック」→「循環参照」
- トレース機能で視覚的に確認
- 間接参照も確認
Google Sheets での見つけ方:
- 「#REF!」エラーと赤い三角形を探す
- 数式を手動で確認
- 最近の変更を取り消す(Ctrl+Z)
- 複雑な場合はExcelを使用
修正方法:
- 数式を別のセルに移動(最も簡単)
- 参照範囲を修正(自分自身を除外)
- 間違った参照を訂正
- 数式の設計を見直す(複雑な場合)
反復計算:
- 意図的に循環参照を使用する場合のみ有効化
- Excel: ファイル → オプション → 数式 → 反復計算を行う
- Google Sheets: ファイル → 設定 → 計算 → 反復計算をオン
- 注意: 計算が遅くなる、収束しない可能性
予防のベストプラクティス:
- 数式を入力する前に設計
- 数式をシンプルに保つ
- セル範囲を明示的に指定
- 定期的にチェック
- セル参照を慎重に確認
重要な注意点:
- 循環参照は無視せず、必ず修正
- エラーチェックは1つずつしか表示しない
- 修正後も他の循環参照がないか再確認
- 反復計算はすべての循環参照を解決するわけではない
循環参照エラーは、一見複雑に見えますが、ほとんどの場合は単純なミスです。落ち着いて、この記事で紹介した方法で見つけて修正すれば、必ず解決できます!

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