「Chromium(クロミウム)」という名前を聞いたことはありますか。
Google Chromeと名前が似ていますが、実はChromeの元になっているブラウザなんです。
「ChromeとChromiumって何が違うの?」「Edgeもchromiumベースって聞くけど、どういう意味?」
こんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、Chromiumの基本から、Google Chromeとの違い、Chromiumベースのブラウザ、メリット・デメリットまで、初心者にもわかりやすく徹底解説します。
Chromiumとは
Chromiumは、Google Chromeや Microsoft Edge、Operaなど、多くのブラウザの基盤となっているオープンソースのウェブブラウザプロジェクトです。
読み方と名称
Chromiumの読み方は「クロミウム」です。
この名前は、金属元素の「クロム(Chromium)」に由来しています。
ロゴ:
青い地球のアイコンで、Google Chromeのカラフルなロゴとは異なります。
基本情報
開発元: Google(主導開発)
初回リリース: 2008年9月(Google Chromeと同時)
ライセンス: オープンソース(BSDライセンスとその他の複数ライセンス)
プログラミング言語: C++、JavaScript、HTML、CSS
レンダリングエンジン: Blink
JavaScriptエンジン: V8
公式サイト: https://www.chromium.org/
ソースコード: https://chromium.googlesource.com/chromium/src/
Chromiumとは何か
Chromiumは、単なるブラウザではなく、ブラウザを作るための部品集(コードベース)です。
特徴:
- オープンソースプロジェクト(誰でもソースコードを見られる)
- Googleが主導して開発・メンテナンス
- 多くのブラウザの基盤として利用される
- 完全に機能するブラウザとしても利用可能
Chromiumのソースコードは、コメントや空行を除いて3600万行以上にも及びます。
Chromiumの歴史
Chromiumとブラウザの歴史を振り返ります。
誕生の背景
1990年代:KHTML(KDE)
Chromiumのルーツは、Linuxのデスクトップ環境KDEで開発されたKHTMLレンダリングエンジンにあります。
KHTMLは、KDEのブラウザ「Konqueror」に搭載されていました。
2001年:WebKit(Apple)
AppleがKHTMLをフォーク(分岐)して、WebKitを開発しました。
WebKitは、Safariブラウザのレンダリングエンジンとして採用されました。
2008年:Chromium/Chrome誕生(Google)
Googleは、WebKitをベースに独自のブラウザ開発を開始しました。
2008年9月、Google ChromeとともにChromiumのソースコードが公開されました。
発表時の特徴:
- サンドボックスセキュリティモデル(各タブを独立したプロセスで実行)
- ミニマリストなユーザーインターフェース
- タブごとのウィンドウ管理
WebKitからBlinkへ
2013年:Blink開発開始
ChromiumとChromeの要件が、WebKitから大きく離れていきました。
特にマルチプロセス処理とパフォーマンス最適化の点で、独自の進化が必要になりました。
そこでGoogleは、WebKitをフォークして、独自のレンダリングエンジン「Blink」を開発しました。
現在:
Chromium、Chrome、EdgeなどのChromiumベースのブラウザは、すべてBlinkを使用しています。
バージョン管理
Chromiumのバージョン番号は、メジャー.マイナー.ビルド.パッチ の4部構成です。
例:
- 120.0.6099.109
リリースサイクル:
Chromiumは、6〜7週間ごとに新しいブランチポイントが作られます。
これは、Google Chromeの開発サイクルと連動しています。
Google ChromeとChromiumの違い
多くの人が混同するGoogle ChromeとChromiumの違いを詳しく解説します。
1. ライセンス
Chromium:
- オープンソース(複数のライセンスの組み合わせ)
- ソースコードが完全に公開されている
- 誰でも自由にダウンロード、改変、再配布可能
Google Chrome:
- クローズドソース(プロプライエタリ)
- Google Chrome利用規約に基づくフリーウェア
- ソースコードは公開されていない
2. 自動アップデート機能
Chromium:
- 自動アップデート機能は搭載されていない
- 手動でアップデートする必要がある
- Linuxでは、パッケージマネージャー経由で更新
Google Chrome:
- 自動アップデート機能が搭載されている
- バックグラウンドで自動的に最新版に更新される
- ユーザーが意識しなくても常に最新の状態を保てる
3. Googleアカウント連携
Chromium:
- Googleアカウントとの連携機能はない
- ブックマーク、履歴、パスワードの同期ができない
- プライバシーを重視するユーザーに好まれる
Google Chrome:
- Googleアカウントとの連携機能がある
- ブックマーク、履歴、パスワード、拡張機能を複数デバイスで同期可能
- Googleサービスとシームレスに連携
注意:
Chromiumでも、2021年以降、Google Chromeの同期サービスは利用できなくなりました。
4. メディアコーデック
Chromium:
- オープンソースコーデックのみ搭載
- 対応:Opus、Theora、Vorbis、VP8、VP9、WAV
- 非対応:H.264、AAC、MP3
Google Chrome:
- プロプライエタリなメディアコーデックを搭載
- 対応:H.264、AAC、MP3を含むすべてのコーデック
- HTML5動画やNetflixなどのストリーミングサービスが快適に視聴できる
5. Adobe Flash Player
Chromium:
- Flash Playerは搭載されていない
- パッケージマネージャーから別途追加可能(Linuxの場合)
Google Chrome:
- PPAPI版Flash Playerが標準搭載されていた(過去)
- サンドボックス化され、自動更新される
- 2020年末でFlashサポート終了
6. クラッシュレポート・利用統計
Chromium:
- クラッシュレポート機能はない
- 利用統計データの送信機能もない
- Googleにデータは送信されない
Google Chrome:
- クラッシュレポート機能がある
- 利用統計データをGoogleに送信(オプトイン)
- ユーザーの許可があれば、エラー情報や使用状況をGoogleに報告
7. ブランディング
Chromium:
- シンプルな青い地球のロゴ
- 「Chromium」の名称
Google Chrome:
- カラフルな円形ロゴ(赤、黄、緑、青)
- 「Google Chrome」の名称
8. 配布方法
Chromium:
- 公式の実行ファイルは提供されていない
- ユーザーまたは第三者がソースコードからビルドする必要がある
- Linuxディストリビューションのパッケージマネージャー経由で入手可能
Google Chrome:
- 公式サイトから実行ファイルをダウンロード可能
- Windows、macOS、Linux、Android、iOS向けに提供
- インストーラーが用意されている
Chromiumベースのブラウザ
Chromiumのコードベースを利用して作られた主要なブラウザを紹介します。
1. Google Chrome
開発元: Google
特徴:
- Chromiumに独自機能を追加
- 最もポピュラーなChromiumベースブラウザ
- 自動アップデート、Googleアカウント連携、豊富な拡張機能
2. Microsoft Edge
開発元: Microsoft
特徴:
- 2020年にChromiumベースに刷新
- Windows標準ブラウザ
- Microsoftサービス(Office、OneDrive)との連携
- コレクション機能、垂直タブ、効率モード
旧EdgeはEdgeHTML独自エンジンでしたが、現在はChromiumベースになりました。
3. Opera
開発元: Opera Software
特徴:
- 2013年にChromiumベースに移行(それ以前は独自エンジンPresto)
- 無料VPN内蔵
- サイドバー機能
- ゲーマー向けのOpera GXも提供
4. Brave
開発元: Brave Software
特徴:
- プライバシーとセキュリティ重視
- 広告ブロック機能が標準搭載
- トラッキング防止
- 独自の報酬システム(BAT:Basic Attention Token)
5. Vivaldi
開発元: Vivaldi Technologies
特徴:
- 高度なカスタマイズ性
- パワーユーザー向け
- タブスタッキング、ノート機能、メール・カレンダー統合
6. Samsung Internet
開発元: Samsung
特徴:
- Samsungデバイス向け
- Android標準ブラウザとして採用
- ダークモード、広告ブロック、プライバシー保護
7. ungoogled-chromium
開発元: コミュニティプロジェクト
特徴:
- ChromiumからGoogle依存を完全排除
- プライバシー最優先
- Googleへのデータ送信を徹底的に排除
- 拡張機能のインストールには工夫が必要
その他の派生ブラウザ
- Arc
- Yandex Browser
- Comodo Dragon
- Cốc Cốc(ベトナム)
- SRWare Iron
Chromiumのメリット
Chromiumを使うメリットを紹介します。
1. オープンソース
透明性:
すべてのソースコードが公開されているため、何をしているか確認できます。
カスタマイズ性:
自分でコードを改変して、独自ブラウザを作ることができます。
コミュニティ:
世界中の開発者がバグ修正や機能追加に貢献しています。
2. プライバシー
Googleへのデータ送信がない:
Chromiumは、Googleアカウント連携や利用統計送信がありません。
プライバシー重視のユーザーに最適:
Googleにデータを渡したくない場合、Chromiumを選ぶ理由になります。
3. 軽量(比較的)
余計な機能がない:
Google Chromeに含まれる独自機能がないため、やや軽量です。
ただし、体感できるほどの差はありません。
4. ウェブ開発者向け
クリーンな環境:
Googleの独自機能が入っていないため、純粋なChromiumエンジンでテストできます。
最新機能のテスト:
開発版Chromiumを使えば、最新のWeb標準機能をいち早く試せます。
5. Linuxとの親和性
多くのLinuxディストリビューションで利用可能:
パッケージマネージャー経由で簡単にインストールできます。
オープンソース文化との整合性:
Linux環境では、オープンソースのChromiumが好まれます。
Chromiumのデメリット
Chromiumにもデメリットがあります。
1. 自動アップデートがない
手動更新が必要:
セキュリティアップデートも手動で適用する必要があります。
対策:
Linuxのパッケージマネージャー経由なら、システム全体のアップデート時に更新されます。
2. メディア再生の制限
H.264、AAC、MP3に非対応:
多くの動画サイトで使われているH.264形式が再生できません。
Netflix、YouTube Premium、Spotifyなどが不便:
一部のストリーミングサービスが正常に動作しない可能性があります。
3. Googleアカウント連携がない
同期機能がない:
複数デバイスでブックマークやパスワードを同期できません。
対策:
サードパーティの同期サービス(Raindrop.io、Bitwarden)を利用する必要があります。
4. 公式ビルドがない
自分でビルドする必要がある:
Googleは公式のChromium実行ファイルを提供していません。
第三者ビルドに依存:
Linux以外では、第三者がビルドしたバイナリを使う必要があり、セキュリティリスクがあります。
5. 拡張機能のインストールがやや面倒
Chrome ウェブストアは使える:
基本的には問題ありませんが、一部の機能は制限される場合があります。
6. 一般ユーザーには不向き
技術知識が必要:
自動アップデートがないため、初心者には扱いにくいです。
サポートがない:
Google Chromeのような公式サポートは受けられません。
どちらを選ぶべきか
Google ChromeとChromiumのどちらを選ぶべきか、用途別に解説します。
Google Chromeを選ぶべき人
こんな人におすすめ:
- 一般ユーザー(ほとんどの人)
- Googleアカウントを使っている
- Netflix、YouTubeなどの動画サイトを頻繁に利用する
- 自動アップデートで常に最新版を使いたい
- 技術的な知識がない
理由:
- 自動アップデートで安全
- メディア再生が快適
- Googleサービスとの連携が便利
- サポートが充実
- インストールが簡単
Chromiumを選ぶべき人
こんな人におすすめ:
- オープンソースソフトウェアにこだわる
- Googleにデータを送信したくない
- Linuxユーザー
- ウェブ開発者
- 技術的知識がある
理由:
- 完全にオープンソース
- プライバシーを重視
- Googleへのデータ送信がない
- カスタマイズ可能
- 開発用の純粋な環境
Chromiumベースブラウザという選択肢
Google ChromeでもChromiumでもなく、Chromiumベースの第三者ブラウザを選ぶのも良い選択肢です。
おすすめ:
- Microsoft Edge:バランスが良い、Windows標準
- Brave:プライバシー重視
- Vivaldi:高度なカスタマイズ
これらは、Chromiumの利点を享受しつつ、独自の機能を追加しています。
Chromiumのインストール方法
Chromiumのインストール方法をOS別に紹介します。
Windows
公式ビルドは提供されていません。
第三者がビルドしたバイナリを使う必要があります。
入手方法:
- https://www.chromium.org/getting-involved/download-chromium/ から最新ビルドをダウンロード
- 解凍してchrome.exeを実行
注意:
セキュリティリスクがあるため、信頼できる配布元から入手してください。
macOS
公式ビルドは提供されていません。
入手方法:
- https://www.chromium.org/getting-involved/download-chromium/ から最新ビルドをダウンロード
- .dmgファイルをダウンロード
- Chromiumアプリをアプリケーションフォルダにドラッグ
- 初回起動時、Gatekeeperの警告が表示されるので許可
アンインストール:
- Chromiumを終了
- アプリケーションフォルダからゴミ箱にドラッグ
- オプション:
~/Library/Application Support/Chromiumを削除
Linux
推奨:ディストリビューションのパッケージマネージャーを使う
Ubuntu/Debian:
sudo apt install chromium-browser
または
sudo snap install chromium
Fedora:
sudo dnf install chromium
Arch Linux:
sudo pacman -S chromium
その他:
各ディストリビューションのパッケージマネージャーを確認してください。
よくある質問
Q1. ChromiumとGoogle Chromeはどちらが速い?
A: ほぼ同じです。
同じChromiumエンジンを使っているため、基本的なパフォーマンスに差はありません。
Google Chromeに追加されている独自機能の分、わずかにChromiumの方が軽いという意見もありますが、体感できるレベルではありません。
Q2. Chromiumは安全ですか?
A: 基本的には安全ですが、注意が必要です。
安全な点:
- オープンソースで透明性が高い
- セキュリティ研究者が常にチェックしている
- Google Chromeと同じセキュリティ機能を搭載
注意点:
- 自動アップデートがないため、手動で最新版に更新する必要がある
- 第三者ビルドを使う場合、配布元の信頼性を確認する必要がある
Q3. Chromiumで拡張機能は使えますか?
A: はい、使えます。
Chrome ウェブストアから拡張機能をインストールできます。
ただし、Googleアカウントの同期機能を使った拡張機能の設定同期はできません。
Q4. EdgeもChromiumベースって本当?
A: はい、本当です。
2020年1月、Microsoft EdgeはChromiumベースに完全移行しました。
それ以前のEdgeは、独自エンジン「EdgeHTML」を使用していましたが、現在はChromiumのBlinkエンジンを採用しています。
Q5. ChromiumベースのブラウザはChromeの拡張機能が使えるの?
A: 基本的には使えます。
ChromiumベースのブラウザはBlinkエンジンを共有しているため、Chrome ウェブストアの拡張機能がほぼそのまま動作します。
ただし、一部の拡張機能は、特定のブラウザ専用の機能を使っているため動作しない場合があります。
Q6. Chromiumのシェアは?
A: Chromium単体のシェアは低いですが、Chromiumベースブラウザ全体のシェアは非常に高いです。
Chromiumベースブラウザの合計シェア:
- デスクトップブラウザの約70%以上(Chrome、Edge、Operaなどの合計)
- モバイルブラウザでも高いシェア
Chromiumは、現代のウェブブラウザの事実上の標準エンジンとなっています。
まとめ
Chromiumは、Google ChromeやMicrosoft Edgeなど、多くのブラウザの基盤となっているオープンソースのブラウザプロジェクトです。
Chromiumの特徴:
- オープンソース(完全に透明)
- Google が主導で開発
- Google Chromeの元になっている
- 多くの派生ブラウザの基盤
- 3600万行以上のソースコード
Google Chromeとの主な違い:
- ライセンス:Chromiumはオープンソース、Chromeはプロプライエタリ
- 自動アップデート:Chromiumは手動、Chromeは自動
- Googleアカウント連携:Chromiumはなし、Chromeはあり
- メディアコーデック:Chromiumは制限あり、Chromeはフルサポート
Chromiumが向いている人:
- オープンソースにこだわる
- プライバシーを重視
- Linuxユーザー
- ウェブ開発者
Google Chromeが向いている人:
- 一般ユーザー(ほとんどの人)
- Googleサービスを使っている
- 動画サイトを頻繁に利用
- 技術的知識がない
Chromiumは、現代のウェブを支える重要なプロジェクトです。
直接Chromiumを使わなくても、ChromeやEdgeを通じて、私たちは毎日Chromiumの恩恵を受けています。
ブラウザ選びに迷ったら、まずはGoogle Chromeから始めて、必要に応じてChromiumや他のChromiumベースブラウザを試してみるのがおすすめです。
参考情報
この記事は、以下の信頼できる情報源を参照して作成しました。
- Wikipedia – Chromium
- Wikipedia (English) – Chromium (web browser)
- Chromium公式サイト
- Chrome for Developers – Chrome と Chromium
- Chrome for Developers (English) – Chrome and Chromium
- Computerworld – Chromium explained: How the open-source engine drives today’s browsers
- Microsoft Edge Learning Center – What is Chromium Technology
- GitHub – chromium/chromium
最終更新日:2026年2月9日

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