「履歴を残したくないサイトを見たい」
「プレゼントを探しているのを家族に知られたくない」
「シークレットモードなら完全に匿名になるんでしょ?」
こんな風に思って、Chromeのシークレットモードを使っている方は多いのではないでしょうか?
でも実は、シークレットモードは完全な匿名性を提供するわけではありません。 できることと、できないことがあるんです。誤解したまま使うと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性も…
この記事では、Chromeのシークレットモードについて、基本的な使い方から、よくある誤解、正しい活用法まで、分かりやすく解説していきます。
シークレットモードって何?

シークレットモード(正式名称:シークレットウィンドウ、または英語でIncognito Mode)は、Chromeに搭載されているプライバシー保護機能です。
通常モードとの違いは?
シークレットモードを使うと、以下のことが起こります:
通常モードで保存されるもの
- 閲覧履歴
- Cookie(ログイン情報など)
- サイトデータ
- フォームに入力した情報
- ダウンロード履歴
シークレットモードで保存されないもの
これらの情報がウィンドウを閉じた時点で全て削除されます。
つまり、あなたのパソコンやスマホには痕跡が残らないというわけです。
シークレットモードの見た目
シークレットモードで開いたウィンドウは、一目で分かるようになっています:
- 背景が濃いグレーや黒に変わる
- 帽子とサングラスのアイコン(スパイっぽい姿)が表示される
- 新しいタブを開くと「シークレットモードです」というメッセージが出る
これにより、今どちらのモードで閲覧しているか間違えることがありません。
シークレットモードの開き方
パソコンでもスマホでも、簡単にシークレットモードを起動できます。
パソコン(Windows・Mac)での開き方
方法1: メニューから開く
- Chromeの右上にある「︙」(3つの点)をクリック
- 「新しいシークレットウィンドウ」を選択
方法2: ショートカットキーで開く(超便利!)
- Windowsの場合:
Ctrl + Shift + N - Macの場合:
Command + Shift + N
このショートカットキーを覚えておくと、一瞬でシークレットモードを起動できますよ。
方法3: リンクをシークレットモードで開く
リンクを右クリックして「リンクをシークレットウィンドウで開く」を選択すれば、そのページだけシークレットモードで見られます。
スマートフォン(Android・iPhone)での開き方
Android版Chromeの場合:
- Chromeアプリを開く
- 右上の「︙」(3つの点)をタップ
- 「新しいシークレットタブ」をタップ
iPhone/iPad版Chromeの場合:
- Chromeアプリを開く
- 右下の「…」をタップ
- 「新しいシークレットタブ」をタップ
スマホでは、タブ一覧画面で通常タブとシークレットタブを切り替えることもできます。
シークレットモードで「できること」
シークレットモードを使うと、以下のことが実現できます。
1. 閲覧履歴を残さない
シークレットモードで見たサイトは、Chromeの履歴に残りません。ウィンドウを閉じれば、何を見ていたか後から確認することはできなくなります。
こんな時に便利:
- サプライズのプレゼントを探している
- 家族や同僚と共用のパソコンを使っている
- 趣味のサイトを見ていることを知られたくない
2. Cookieとサイトデータを保存しない
ログイン情報やサイトの設定が保存されないので、毎回クリーンな状態でサイトにアクセスできます。
こんな時に便利:
- 複数のアカウントを使い分けたい(GmailやSNSなど)
- ログアウトせずに別のアカウントでログインしたい
- サイトの表示を初回訪問時の状態で確認したい
3. 検索履歴を残さない
Google検索などで検索した内容も保存されません。検索ボックスに以前の検索語が表示されることもありません。
こんな時に便利:
- 健康や医療に関する個人的な悩みを調べたい
- 恥ずかしい質問をしたい
- ギフトやサプライズの情報を探したい
4. 拡張機能を無効化できる
デフォルトでは、シークレットモードで拡張機能は無効になります(許可すれば使えます)。これにより、拡張機能による追跡を防げます。
こんな時に便利:
- 拡張機能が原因でサイトがうまく動かない時
- クリーンな環境でサイトをテストしたい時
シークレットモードで「できないこと」
多くの人が誤解している、シークレットモードの限界についてお話しします。
1. 完全に匿名にはならない
シークレットモードでも、以下は知られる可能性があります:
- あなたのIPアドレス – インターネット上のあなたの住所のようなもの
- 訪問したサイト – インターネットプロバイダ(ISP)には見える
- 勤務先や学校のネットワーク管理者 – 社内・校内ネットワークでは閲覧履歴が記録される可能性がある
- 訪問したサイトの運営者 – あなたがそのサイトを訪れたことは分かる
つまり、自分のパソコンには履歴が残らないだけで、ネットワークやサイト側には記録が残るということです。
2. ダウンロードしたファイルは残る
シークレットモードでファイルをダウンロードしても、そのファイル自体は通常通りパソコンに保存されます。
注意点:
- ダウンロードしたファイルは削除しないと残り続ける
- ダウンロード履歴はシークレットモードを閉じると消えるが、ファイル本体は消えない
3. ブックマークは通常モードと共有される
シークレットモードでもブックマークは使えますし、新しくブックマークを追加することもできます。これらは通常モードと共有されます。
つまり:
シークレットモードでブックマークを追加すると、通常モードでも見えてしまいます。
4. ウイルスやマルウェアからは守られない
シークレットモードはプライバシー保護機能であって、セキュリティ機能ではありません。
守られないもの:
- ウイルス感染
- フィッシング詐欺
- 悪意のあるサイトからの攻撃
- ハッキング
怪しいサイトを開く時は、シークレットモードでも危険性は変わりません。
5. ログインすれば身元は特定される
Googleアカウントやその他のサービスにログインすれば、あなたの行動は通常通り記録されます。
例:
- シークレットモードでYouTubeにログインして動画を見る → 視聴履歴は残る
- シークレットモードでGmailにログインする → Googleにはログイン記録が残る
シークレットモードの効果は「ローカル(自分のパソコン)」に限定されるということを覚えておきましょう。
よくある誤解と真実

シークレットモードについて、よくある勘違いを解消していきます。
誤解1: 「完全に追跡されない」
真実:
自分のパソコンには履歴が残りませんが、ISP、勤務先のネットワーク、訪問したサイトには記録が残ります。
完全な匿名性が欲しい場合:
VPN(仮想プライベートネットワーク)やTor(匿名ブラウザ)などを併用する必要があります。
誤解2: 「違法なことをしても大丈夫」
真実:
シークレットモードを使っても、違法行為は違法です。IPアドレスから個人を特定することは可能なので、捜査機関は必要に応じて追跡できます。
誤解3: 「ウイルス対策になる」
真実:
シークレットモードはセキュリティ機能ではありません。マルウェア(悪意のあるソフトウェア)に感染するリスクは通常モードと同じです。
誤解4: 「会社や学校のパソコンで使えば安全」
真実:
組織のネットワークでは、管理者がすべての通信を監視できます。シークレットモードを使っても、ネットワーク管理者には何を見ているか分かります。
誤解5: 「一度閉じれば全て消える」
真実:
ダウンロードしたファイルやブックマークは残ります。また、訪問したサイト側には記録が残っている可能性があります。
シークレットモードの賢い使い方
正しく理解した上で、シークレットモードを便利に活用しましょう。
使用例1: 複数アカウントの使い分け
シーン:
仕事用とプライベート用のGmailアカウントを同時に使いたい
方法:
- 通常モードで仕事用アカウントにログイン
- シークレットモードでプライベート用アカウントにログイン
これで、いちいちログアウトせずに両方のアカウントを使えます。
使用例2: プレゼント選びの秘密保持
シーン:
家族へのサプライズプレゼントを探したい
方法:
シークレットモードでショッピングサイトを閲覧すれば、検索履歴や閲覧履歴が残らず、家族にバレずに済みます。
さらに安心するには:
閲覧後、ダウンロードフォルダも確認して、商品画像などが残っていないかチェックしましょう。
使用例3: 共用パソコンでの使用
シーン:
図書館やネットカフェなど、他人と共用するパソコンを使う
方法:
シークレットモードを使えば、次に使う人にあなたの閲覧履歴やログイン情報が見られることはありません。
重要な注意:
使用後は必ずログアウトし、シークレットウィンドウを完全に閉じましょう。
使用例4: Webサイトの動作確認
シーン:
Webサイトの制作者やブロガーが、Cookieなしの初回訪問時の表示を確認したい
方法:
シークレットモードで自分のサイトを開けば、訪問者が初めて見る状態を確認できます。
使用例5: ログインなしでサイトを閲覧
シーン:
ニュースサイトなどで「記事の無料閲覧は月○回まで」という制限を回避したい
方法:
シークレットモードで開けば、Cookieがリセットされるため、再度無料枠で閲覧できることがあります。
注意:
サイトの利用規約に違反する可能性があるため、自己責任で行ってください。
シークレットモードを安全に使うための注意点
より安全にシークレットモードを活用するためのヒントです。
1. 会社や学校のパソコンでは要注意
組織のネットワークでは、管理者がすべてのインターネット通信を記録できます。シークレットモードを使っても意味がありません。
対策:
- 私的な閲覧は個人のスマホで行う
- どうしても必要な場合はVPNを併用する(ただし組織のポリシーを確認)
2. 本当に匿名性が必要なら別の手段を
シークレットモードは簡易的なプライバシー保護です。より高度な匿名性が必要な場合は:
- VPNサービス – IPアドレスを隠してくれる
- Torブラウザ – 高度な匿名性を提供する専用ブラウザ
- プロキシサーバー – 中継サーバーを経由してアクセス
これらを併用すると、より追跡されにくくなります。
3. ログインしたら意味が薄れる
シークレットモードでログインすると、そのサービス上ではあなたの行動が記録されます。
例:
- YouTubeにログイン → 視聴履歴が残る
- Amazonにログイン → 閲覧した商品が「最近見た商品」に表示される
本当に履歴を残したくない場合は、ログインせずに使いましょう。
4. ウィンドウを閉じるまで履歴は残る
シークレットウィンドウを開いている間は、そのウィンドウ内での閲覧履歴がタブ間で共有されます。
注意:
- 完全に消すには、すべてのシークレットウィンドウを閉じる必要がある
- タブを閉じただけでは不十分
5. 拡張機能の扱いに注意
拡張機能によっては、シークレットモードでも動作を許可できます。許可すると、その拡張機能には閲覧履歴が見える可能性があります。
確認方法:
- Chrome右上の「︙」→「拡張機能」→「拡張機能を管理」
- 各拡張機能の「詳細」を開く
- 「シークレットモードでの実行を許可する」がオンになっているか確認
信頼できる拡張機能だけ許可しましょう。
通常モードとシークレットモードの使い分け
どんな時にどちらを使えばいいか、分かりやすく整理しました。
通常モードを使うべき時
- 日常的なブラウジング – 特に隠す必要がない閲覧
- よく使うサイト – 毎回ログインするのが面倒なサイト
- ブックマークを活用したい時 – 後で見返したいページ
- ダウンロード履歴を残したい時 – ファイルを探しやすくする
シークレットモードを使うべき時
- 共用パソコンを使う時 – ネットカフェ、図書館、他人のPC
- サプライズの準備 – 家族や友人に知られたくない検索
- 複数アカウントの使い分け – ログアウトせずに別のアカウントを使う
- 個人的な調べ物 – 健康の悩み、恥ずかしい質問など
- 初回訪問時の状態を確認 – Webサイト制作者の動作確認
場面別の選択ガイド
| 場面 | おすすめモード |
|---|---|
| ネットショッピング(購入する) | 通常モード |
| ネットショッピング(プレゼント探し) | シークレットモード |
| SNSの閲覧・投稿 | 通常モード |
| 別のSNSアカウントにログイン | シークレットモード |
| ニュースサイトの閲覧 | 通常モード |
| 会社のパソコンで私的な閲覧 | シークレットモード(ただし管理者には見える) |
| 動画視聴 | 通常モード |
| 視聴履歴を残したくない動画 | シークレットモード |
よくある質問と回答
Q1: シークレットモードを使うと動作が遅くなる?
A: いいえ、速度は変わりません。むしろ拡張機能が無効化されるため、場合によっては速くなることもあります。
Q2: スマホのシークレットモードはパソコンと同じ?
A: 基本的な機能は同じです。閲覧履歴やCookieが保存されない点は同じですが、スマホの場合はアプリの挙動には影響しません(ChromeアプリとYouTubeアプリは別物)。
Q3: シークレットモードでもGoogleに追跡される?
A: Googleアカウントにログインしている場合は追跡されます。ログインしていなければ、Cookieベースの追跡は防げますが、IPアドレスなどから一定の情報は収集される可能性があります。
Q4: シークレットモードを常用しても大丈夫?
A: 技術的には問題ありませんが、毎回ログインが必要になり不便です。また、パスワードの自動入力が使えないため、セキュリティ面では逆に弱いパスワードを使ってしまうリスクもあります。
Q5: 他のブラウザにもシークレットモードはある?
A: はい。Edge、Firefox、Safariなど、主要なブラウザには同様の機能があります。名称は異なります(InPrivate、プライベートブラウジングなど)が、基本的な機能は同じです。
まとめ: シークレットモードは便利だが万能ではない
Chromeのシークレットモードについて、詳しく解説してきました。
覚えておきたい重要ポイント:
✅ シークレットモードは自分のパソコンに履歴を残さない機能
✅ 完全な匿名性は提供されない – ISPや勤務先、訪問サイトには記録が残る
✅ セキュリティ機能ではない – ウイルスやマルウェアからは守られない
✅ 便利な使い分けができる – 複数アカウントの同時使用などに最適
✅ 正しい理解が大切 – 過信せず、限界を知って使う
こんな時に活用しよう:
- 共用パソコンを使う時
- サプライズの準備をする時
- 複数のアカウントを使い分ける時
- 個人的な調べ物をする時
こんな時は別の手段を:
- 完全な匿名性が必要な時 → VPNやTor
- 会社や学校で私的な閲覧 → 個人のスマホを使う
- セキュリティが心配な時 → ウイルス対策ソフトを使う
シークレットモードはプライバシーを守る便利なツールですが、万能ではありません。できることとできないことを正しく理解して、賢く活用しましょう!
この記事は2025年11月時点の情報に基づいています

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