「Chromeをアンインストールしたのに、なぜか設定が残っている」「組織によって管理されていますと表示される」そんな問題に直面していませんか?
この記事では、Chromeのレジストリ削除について、安全に実行するための手順と注意点を詳しく解説していきます。
レジストリって何?なぜ削除が必要なの?

レジストリ(Registry)は、Windowsの設定情報を保管しているデータベースのようなものです。アプリケーションの設定、システムの構成情報など、パソコンを動かすための重要な情報がここに保存されています。
Chromeをインストールすると、以下のような情報がレジストリに書き込まれます。
- インストールされたChromeのバージョン情報
- ブラウザの各種設定
- 拡張機能の情報
- ポリシー設定(管理設定)
- アップデート関連の情報
通常、Chromeをアンインストールすると、これらの情報は自動的に削除されます。しかし、以下のような状況では、レジストリに情報が残ってしまうことがあるんです。
レジストリ削除が必要になる主なケース:
- アンインストールが正常に完了しなかった
- 「組織によって管理されています」というメッセージが消えない
- Chrome再インストール時にトラブルが発生する
- 古い設定が残っていて動作がおかしい
- 企業や学校で使っていたPCを個人用に転用する
- マルウェアによってポリシーが書き込まれた
【重要】作業前に必ず確認すべきこと
レジストリの操作は、パソコンの心臓部に触れる作業です。間違った操作をすると、Windowsが起動しなくなる可能性もあります。
作業を始める前に、以下の点を必ず確認してください。
1. レジストリのバックアップを取る
何か問題が起きても元に戻せるように、必ずバックアップを取りましょう。
バックアップ手順:
Windowsキー + Rを押して「ファイル名を指定して実行」を開くregeditと入力してEnterを押す- 「ユーザーアカウント制御」が表示されたら「はい」をクリック
- レジストリエディタが開いたら、メニューから「ファイル」→「エクスポート」を選択
- 保存場所を指定して、分かりやすいファイル名(例:chrome_registry_backup.reg)をつけて保存
このバックアップファイルをダブルクリックすれば、いつでも元の状態に戻せます。
2. 管理者権限があることを確認
レジストリの編集には管理者権限が必要です。自分のアカウントが管理者かどうか確認しておきましょう。
3. Chromeを完全に終了させる
レジストリを削除する前に、Chromeが完全に終了していることを確認してください。
確認方法:
- タスクバーを右クリックして「タスクマネージャー」を開く
- 「プロセス」タブで「Google Chrome」を探す
- Chromeのプロセスがあれば、すべて選択して「タスクの終了」をクリック
4. 重要なデータをバックアップ
レジストリ削除後、ブックマークや保存したパスワードなどが消える可能性があります。必要なデータは事前にエクスポートしておきましょう。
Chromeのブックマークをバックアップする方法:
- Chromeを開いて
Ctrl + Shift + Oでブックマークマネージャーを開く - 右上の「︙」をクリック
- 「ブックマークをエクスポート」を選択
- HTMLファイルとして保存
Chromeのレジストリを削除する方法【手動編】
それでは、実際にChromeのレジストリを削除する手順を見ていきましょう。
ステップ1:レジストリエディタを開く
Windowsキー + Rを押すregeditと入力してEnterを押す- ユーザーアカウント制御の画面で「はい」をクリック
レジストリエディタが開きます。左側にフォルダのようなツリー構造が表示されていますね。
ステップ2:削除すべきレジストリキーを見つける
Chromeに関連するレジストリは、主に以下の場所にあります。
削除すべき主なレジストリキー:
HKEY_CURRENT_USER\Software\Google\Chrome
HKEY_CURRENT_USER\Software\Google\Update
HKEY_CURRENT_USER\Software\Chromium
HKEY_CURRENT_USER\Software\Policies\Google
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Google\Chrome
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Google\Update
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Google
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Wow6432Node\Google\Update
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Classes\ChromeHTML
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\RegisteredApplications(Chrome関連のエントリのみ)
ステップ3:レジストリキーを削除する
各キーを1つずつ削除していきます。
削除手順:
- レジストリエディタの左側で、該当するキーまで階層を辿る
- 削除したいキー(例:
Chromeフォルダ)を右クリック - 「削除」を選択
- 確認メッセージが表示されたら「はい」をクリック
注意点:
- 64ビット版Windowsの場合、
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWAREとHKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Wow6432Nodeの両方を確認してください - キーが見つからない場合もあります。その場合はスキップして次に進んでください
- 間違ったキーを削除しないよう、パスを慎重に確認しながら作業してください
ステップ4:パソコンを再起動する
すべてのレジストリキーを削除したら、パソコンを再起動します。これで変更が完全に反映されます。
レジストリ削除を自動化する方法【.regファイル使用】
手動での削除が不安な方は、テキストファイルから実行する方法もあります。
ステップ1:削除用の.regファイルを作成する
- デスクトップで右クリック→「新規作成」→「テキスト ドキュメント」を選択
- メモ帳が開いたら、以下のコードをコピー&ペースト
Windows Registry Editor Version 5.00
[-HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Classes\ChromeHTML]
[-HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Clients\StartMenuInternet\chrome.exe]
[HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\RegisteredApplications]
"Chrome"=-
[-HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Classes\ChromeHTML]
[-HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Clients\StartMenuInternet\chrome.exe]
[HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\RegisteredApplications]
"Chrome"=-
[-HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Uninstall\Chrome]
[-HKEY_CURRENT_USER\Software\Google\Update\Clients\{8A69D345-D564-463c-AFF1-A69D9E530F96}]
[-HKEY_CURRENT_USER\Software\Google\Update\ClientState\{8A69D345-D564-463c-AFF1-A69D9E530F96}]
[-HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Google\Update\ClientStateMedium\{8A69D345-D564-463c-AFF1-A69D9E530F96}]
[-HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Google\Update\Clients\{8A69D345-D564-463c-AFF1-A69D9E530F96}]
[-HKEY_CURRENT_USER\Software\Google\Chrome]
[-HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Google\Chrome]
[-HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Google]
[-HKEY_CURRENT_USER\Software\Policies\Google]
- 「ファイル」→「名前を付けて保存」を選択
- ファイルの種類を「すべてのファイル」に変更
- ファイル名を
chrome_remove.regとして保存
ステップ2:.regファイルを実行する
- Chromeを完全に終了させる
- デスクトップの
chrome_remove.regファイルをダブルクリック - 警告メッセージが表示されたら「はい」をクリック
- 「正常に追加されました」というメッセージを確認
- パソコンを再起動
これで、指定したレジストリキーが一度に削除されます。
「組織によって管理されています」を削除する方法
「組織によって管理されています」というメッセージは、Chromeにポリシーが設定されていることを示しています。
このメッセージを消すには、ポリシー関連のレジストリを削除する必要があります。
ステップ1:現在のポリシーを確認する
- Chromeを開く
- アドレスバーに
chrome://policyと入力してEnterを押す - 表示されているポリシーを確認
何も表示されていなければ、問題ありません。ポリシーが表示されている場合は、次の手順に進みましょう。
ステップ2:ポリシー関連のレジストリを削除する
以下のレジストリキーを削除します。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Google
HKEY_CURRENT_USER\Software\Policies\Google
削除方法は、先ほど説明した手順と同じです。
ステップ3:関連フォルダも削除する
レジストリだけでなく、以下のフォルダも削除する必要があります。
Windowsキー + Rを押して、以下のパスを順番に入力して開く- 該当するフォルダがあれば削除
削除するフォルダ:
%WINDIR%\System32\GroupPolicy
%WINDIR%\System32\GroupPolicyUsers
ステップ4:グループポリシーを更新する
Windowsキー + Rを押すcmdと入力してEnterを押す- コマンドプロンプトで以下のコマンドを実行
gpupdate /force
- Chromeを再起動
chrome://policyで確認し、ポリシーが消えていればOK
ステップ5:再度確認する
Chromeのメニュー(右上の︙)を開いて、「組織によって管理されています」のメッセージが消えているか確認してください。
Chromeを完全にアンインストールする方法

レジストリ削除だけでなく、Chromeを完全に削除したい場合の手順です。
ステップ1:Chromeをアンインストールする
- 「設定」→「アプリ」→「インストールされているアプリ」を開く(Windows 10の場合は「アプリと機能」)
- リストから「Google Chrome」を探してクリック
- 「アンインストール」をクリック
- 「閲覧データも削除しますか?」のチェックボックスをオンにする
- 「アンインストール」をクリックして完了
ステップ2:プログラムファイルを削除する
- エクスプローラーを開く
- 以下のフォルダを開いて、Googleフォルダがあれば削除
C:\Program Files\Google
C:\Program Files (x86)\Google(64ビット版Windowsの場合)
ステップ3:ユーザーデータを削除する
Windowsキー + Rを押す- 以下のパスを入力して開く
%LOCALAPPDATA%\Google
Chromeフォルダを削除
もし削除が不安な場合は、削除せずに「ChromeBAK」などの名前に変更しておくのも良いでしょう。
Windows XPの場合:
%USERPROFILE%\Local Settings\Application Data\Google
ステップ4:レジストリを削除する
先ほど説明した方法で、Chromeに関連するレジストリをすべて削除します。
ステップ5:再起動して完了
パソコンを再起動すれば、Chromeの完全削除が完了です。
よくある問題と解決方法
Q: レジストリキーが削除できない「エラー: キーの削除中にエラーが発生しました」
A: 以下の方法を試してください。
- 管理者権限で実行されているか確認
- レジストリエディタを右クリック→「管理者として実行」で起動し直す
- アクセス許可を変更する
- 削除できないキーを右クリック→「アクセス許可」を選択
- 「追加」をクリックして自分のユーザー名を追加
- 「フルコントロール」を許可する
- 「OK」をクリックして再度削除を試みる
- セーフモードで削除を試す
- Windowsをセーフモードで起動
- セーフモードでレジストリエディタを開いて削除を試みる
Q: レジストリを削除したのに、Chromeが勝手にインストールされる
A: これは以下の原因が考えられます。
- Google Updateサービスが残っている
- タスクマネージャーの「サービス」タブで「GoogleUpdate」を探して無効化
- レジストリから
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Google\Updateを削除
- タスクスケジューラに登録されている
- タスクスケジューラを開く(
Windowsキー + R→taskschd.msc) - Google関連のタスクを探して削除
- マルウェアの可能性
- ウイルス対策ソフトでフルスキャンを実行
- 必要に応じて、マルウェア専用の駆除ツールを使用
Q: バックアップしたレジストリを元に戻したい
A: 簡単に戻せます。
- バックアップ時に作成した
.regファイル(例:chrome_registry_backup.reg)を見つける - ファイルをダブルクリック
- 警告メッセージで「はい」をクリック
- パソコンを再起動
これで、バックアップ時点の状態に戻ります。
Q: レジストリ削除後、HTMLファイルがChromeアイコンで表示される
A: これはファイルの関連付けが残っているためです。
- HTMLファイルを右クリック
- 「プログラムから開く」→「別のプログラムを選択」
- 使いたいブラウザ(EdgeやFirefoxなど)を選択
- 「常にこのアプリを使って.htmlファイルを開く」にチェック
- 「OK」をクリック
Q: Chromeポリシーが何度削除してもまた表示される
A: 以下を確認してください。
- グループポリシーの設定を確認
Windowsキー + R→gpedit.mscと入力(Pro版以上)- 「コンピューターの構成」→「管理用テンプレート」でGoogle関連の設定を探して無効化
- サードパーティ製アプリが設定している可能性
- 最近インストールしたセキュリティソフトやユーティリティを確認
- 怪しいアプリをアンインストール
- マルウェアの可能性
- 信頼できるセキュリティソフトでフルスキャン
- 必要に応じて専門家に相談
レジストリクリーナーツールを使う方法
手動での操作が不安な方は、専用のツールを使うのも一つの方法です。
おすすめのツール
CCleaner(無料版あり)
信頼性の高いレジストリクリーナーツールです。
使い方:
- CCleanerをダウンロード&インストール
- 左メニューから「レジストリ」を選択
- 「問題をスキャン」をクリック
- スキャン完了後、「問題を解決」をクリック
- バックアップを推奨されるので「はい」を選択
- 「選択されたすべてを解決」をクリック
IObit Uninstaller(無料版あり)
アプリの完全アンインストールに特化したツールです。
使い方:
- IObit Uninstallerをダウンロード&インストール
- アプリ一覧から「Google Chrome」を探す
- 「アンインストール」をクリック
- 「強力スキャン」を実行して残存ファイルを検出
- すべて選択して削除
Revo Uninstaller(無料版あり)
徹底的にアプリを削除できるツールです。
これらのツールを使う場合も、必ずバックアップを取ってから実行してください。
レジストリ操作時の重要な注意事項
最後に、レジストリ操作で絶対に守るべき注意事項をまとめます。
1. 必ずバックアップを取る
何度も繰り返しますが、バックアップは必須です。問題が起きても元に戻せるようにしておきましょう。
2. 慎重に、ゆっくりと操作する
焦って間違ったキーを削除しないよう、パスを確認しながら慎重に作業してください。
3. 不明なキーは削除しない
「Google」「Chrome」という名前が付いていても、他のアプリが使っている可能性があります。確実にChromeだと分かるキーだけを削除しましょう。
4. 一度に大量に削除しない
複数のキーを削除する場合は、1つずつ削除して動作を確認しながら進めるのが安全です。
5. システムキーには触れない
HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEMやHKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoftなど、Windowsのシステムに関わるキーには絶対に触れないでください。
6. 作業前に復元ポイントを作成
Windowsの「システムの復元」機能で復元ポイントを作成しておくと、さらに安全です。
復元ポイント作成方法:
- 「コントロールパネル」→「システムとセキュリティ」→「システム」
- 左側の「システムの保護」をクリック
- 「作成」ボタンをクリック
- 復元ポイントの名前を入力(例:Chrome削除前)
- 「作成」をクリック
まとめ:安全第一でレジストリ削除を
Chromeのレジストリ削除は、正しく行えばトラブル解決に非常に有効な方法です。
この記事のポイント:
- レジストリはWindowsの重要な設定情報を保管している
- 削除前に必ずバックアップを取る
- 管理者権限で、Chromeを完全終了してから作業する
- 慎重に、確認しながら一つずつ削除していく
- 不安な場合は専用ツールを使うのも選択肢
- 「組織によって管理されています」はポリシー設定が原因
- 完全削除にはレジストリだけでなくフォルダも削除が必要
レジストリ操作は慎重に行う必要がありますが、この記事の手順に従えば安全に作業できます。
どうしても不安な場合は、パソコンに詳しい人に相談するか、専門の修理店に依頼することも検討してくださいね。
この記事が、あなたのChromeトラブル解決の助けになれば嬉しいです!

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