Chromebookのキーボードが反応しなくなったり、タッチパッドが動かなくなったりしたとき、「ハードウェアリセット」が役に立つかもしれません。
でも、「ハードウェアリセットって何?」「初期化とは違うの?」「データは消えちゃうの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ChromeOSのハードウェアリセットについて、その意味から具体的な実行方法まで、分かりやすく解説していきます。
ハードウェアリセットとは?他のリセットとの違い

まず最初に、ChromeOSには3種類のリセット方法があることを知っておきましょう。それぞれ目的が違うので、状況に応じて使い分ける必要があります。
ハードウェアリセット(ハードリセット)
どんな時に使う?
キーボードやタッチパッドが反応しない、画面が固まって動かない、といったハードウェア関連のトラブルが起きたときに使います。
何が起きる?
Chromebookのハードウェア部品(キーボード、タッチパッド、カメラなど)と、それを制御しているEC(エンベデッドコントローラー)という小さなコンピューターが再起動されます。
データは消える?
基本的には消えません。ただし、ダウンロードフォルダの一部ファイルが削除される可能性があるので、大切なファイルは事前にバックアップしておきましょう。
Powerwash(パワーウォッシュ)=初期化
どんな時に使う?
動作が重い、アプリが頻繁にクラッシュする、誰かに譲渡する前など、ソフトウェアの問題を解決したいときや、工場出荷状態に戻したいときに使います。
何が起きる?
Chromebookがまっさらな状態に戻ります。まるで買ったばかりのような状態になるイメージです。
データは消える?
はい、ローカルに保存されているデータはすべて消えます。Googleドライブに保存されているデータは消えませんが、ダウンロードフォルダやインストールしたアプリは削除されます。
リカバリ(復元)
どんな時に使う?
「ChromeOSが存在しないか破損しています」というエラーメッセージが表示されたときや、他の方法では解決できない深刻な問題が発生したときに使います。
何が起きる?
ChromeOS自体を新しくインストールし直します。最も徹底的なリセット方法です。
データは消える?
はい、すべてのデータが消えます。事前に必ずバックアップが必要です。
ハードウェアリセットが必要な症状
以下のような症状が出た場合、ハードウェアリセットを試してみる価値があります。
よくある症状
- キーボードの一部または全部のキーが反応しない
- タッチパッドが動かない、またはカーソルが飛ぶ
- タッチスクリーンが反応しない(タッチ対応機種の場合)
- 画面が固まって何も操作できない
- 電源は入るのに画面が真っ暗なまま
- カメラが認識されない
- 音が出ない、またはスピーカーが機能しない
- 充電ランプは点くのに起動しない
ただし、ハードウェアリセットは他の方法を試した後の最終手段として使うべきです。まずは以下を試してみましょう。
ハードウェアリセット前に試すこと
- 通常の再起動
- ChromeOSのアップデート確認
- 周辺機器をすべて取り外す
- 充電ケーブルを一度抜いて挿し直す
【基本編】標準的なハードウェアリセットの方法
ほとんどのChromebookで使える、標準的なハードウェアリセットの方法を紹介します。
ノートPC型Chromebookの場合
手順
- Chromebookの電源を完全に切る
- 電源ボタンを4秒以上長押しして強制シャットダウン
- 「更新」ボタンを押したままにする
- 更新ボタンは、キーボード上部のF3キーの位置にある、円形の矢印マークのキーです
- 更新ボタンを押したまま、電源ボタンを押す
- 電源ボタンは1回押すだけでOK
- Chromebookが起動し始めたら、更新ボタンから手を離す
これでハードウェアリセットは完了です。Chromebookが通常通り起動すれば成功です。
タブレット型Chromebookの場合
タブレット型やデタッチャブル型(キーボードが取り外せるタイプ)のChromebookは、キーボードがないため、ボタンの組み合わせが異なります。
手順
- Chromebookの電源を完全に切る
- 「音量上げボタン」と「電源ボタン」を同時に押す
- そのまま10秒以上押し続ける
- 両方のボタンから手を離す
- 自動的に再起動するまで待つ
【応用編】機種別の特殊なリセット方法
一部のChromebookでは、標準的な方法とは異なる手順でハードウェアリセットを行う必要があります。
バッテリー取り外しが可能な機種
Acer AC700、Cr-48など
- Chromebookの電源を切る
- 裏面のバッテリーを取り外す
- 数分間そのまま待つ
- バッテリーを元に戻す
- 通常通り電源を入れる
専用リセットボタンがある機種
一部のChromebookの裏面や側面にリセット用の小さな穴
- Chromebookの電源を切る
- クリップやピンを使って、リセットボタンを10〜15秒間押し続ける
- ボタンから手を離す
- 通常通り電源を入れる
Chromebox、Chromebase(デスクトップ型)
Acer Chromebox、ASUS Chromebox、LG Chromebase、Samsung Chromeboxなど
これらのデスクトップ型デバイスは、以下の手順でリセットします。
- 電源を切る
- 電源ケーブルを抜く
- 30秒以上待つ
- 電源ケーブルを差し込む
- 電源を入れる
Lenovo Thinkpad X131e
この機種は少し特殊な手順が必要です。
- 電源アダプターを接続する(まだ接続していない場合)
- Chromebookの電源を切る
- 電源アダプターを取り外す
- バッテリーを取り外す
- バッテリーを元に戻す
- 電源アダプターを接続する
- 通常通り電源を入れる
ECリセットとは?より深いレベルのリセット
標準的なハードウェアリセットでも問題が解決しない場合、ECリセットを試すことができます。
EC(エンベデッドコントローラー)とは、Chromebookのハードウェアを管理している小さなコンピューターのことです。キーボード、タッチパッド、バッテリー管理、充電制御など、多くの機能を司っています。
ECリセットの手順
- Chromebookの電源を完全に切る
- すべての周辺機器(USBメモリ、マウスなど)を取り外す
- 「電源ボタン」と「更新ボタン」を同時に押す
- そのまま10秒間押し続ける
- 両方のボタンから手を離す
- デバイスが自動的に再起動するまで待つ
ECリセットは、標準的なハードウェアリセットよりも深いレベルでハードウェアをリセットするため、頑固な問題に効果的な場合があります。
ハードウェアリセットの注意点

ハードウェアリセットを実行する前に、以下の点に注意してください。
バックアップを取る
ダウンロードフォルダの一部ファイルが削除される可能性があるため、大切なファイルは以下の方法でバックアップしておきましょう。
バックアップ方法
- Googleドライブにアップロードする
- 外付けハードドライブやUSBメモリにコピーする
- SDカードにコピーする(対応機種の場合)
周辺機器を取り外す
ハードウェアリセットを実行する前に、以下のデバイスをすべて取り外してください。
- USBメモリやハードドライブ
- マウスやキーボード(外付けの場合)
- SDカード
- HDMIケーブルや外部ディスプレイ
- その他のUSB接続デバイス
周辺機器が接続されたままだと、リセットがうまくいかない場合があります。
充電しておく
ハードウェアリセット中に電源が切れてしまうと、より深刻な問題を引き起こす可能性があります。可能であれば、ACアダプターを接続した状態で実行しましょう。
ハードウェアリセットでも解決しない場合
ハードウェアリセットを試しても問題が解決しない場合は、次のステップを検討してください。
診断ツールを使う
ChromeOSには、ハードウェアの問題を特定するための診断ツールが組み込まれています。
診断ツールの使い方
- ブラウザのアドレスバーに「chrome://diagnostics」と入力
- Enterキーを押す
- 各種ハードウェアのテストが表示される
- 問題がありそうなハードウェアをテストする
- CPU(プロセッサ)
- メモリ
- バッテリー
- ストレージ
- タッチスクリーン(対応機種)
診断結果で何か問題が見つかった場合は、ハードウェアの故障の可能性があります。
Powerwash(初期化)を試す
ハードウェアリセットでも解決せず、ソフトウェアの問題が疑われる場合は、Powerwashを検討しましょう。
ただし、Powerwashはすべてのローカルデータを削除するため、必ず事前にバックアップを取ってください。
メーカーサポートに連絡する
以下の場合は、メーカーのサポートに問い合わせることをおすすめします。
- すべてのリセット方法を試しても解決しない
- 診断ツールでハードウェアエラーが検出された
- 物理的な損傷が見られる(画面割れ、液体こぼれなど)
- 保証期間内である
主要メーカーのサポート窓口は、各社の公式ウェブサイトから確認できます。
機種別のリセット方法を確認する方法
自分のChromebookの正確なリセット方法が分からない場合は、以下の方法で確認できます。
Google公式ヘルプで確認
Google Chromebookヘルプセンターには、機種別の詳細な手順が掲載されています。
- 「Chromebook ヘルプ」で検索
- 「Chromebook のハードウェアをリセットする」のページを開く
- 自分の機種が特殊な手順が必要かどうか確認
メーカーのサポートページで確認
Chromebookの製造元(ASUS、HP、Lenovo、Acerなど)の公式サイトにも、機種別のリセット手順が掲載されている場合があります。
確認方法
- メーカーの公式サイトにアクセス
- サポートまたはFAQのセクションを探す
- 自分の機種の型番で検索
- ハードウェアリセットまたはトラブルシューティングの項目を確認
よくある質問
Q: ハードウェアリセットとPowerwashの違いは何ですか?
A: ハードウェアリセットは物理的な部品を再起動するだけで、データはほとんど削除されません。一方、Powerwash(初期化)はソフトウェアを完全にリセットし、すべてのローカルデータが削除されます。問題の種類に応じて使い分けましょう。
Q: ハードウェアリセットをすると何が消えますか?
A: 基本的にはデータは消えませんが、ダウンロードフォルダの一部ファイルが削除される可能性があります。大切なファイルは事前にバックアップしておくことをおすすめします。
Q: 更新ボタンが見つかりません
A: 更新ボタンは通常、キーボード上部のF3キーの位置にあり、円形の矢印マークが描かれています。機種によってはRefreshキーと呼ばれることもあります。キーボードレイアウトが異なる場合は、メーカーのマニュアルを確認してください。
Q: ハードウェアリセットは何回でもできますか?
A: はい、何度でも実行できます。ハードウェアに悪影響を与えることはありません。ただし、頻繁に必要になる場合は、より深刻な問題がある可能性があるため、メーカーのサポートに相談することをおすすめします。
Q: 学校や会社で支給されたChromebookでもできますか?
A: はい、ハードウェアリセットは管理者の許可なしで実行できます。ただし、問題が続く場合は、IT管理者に相談してください。Powerwash(初期化)の場合は、管理者による制限がかかっている可能性があります。
Q: タブレット型でボタンが反応しない場合はどうすればいいですか?
A: ボタン自体が故障している可能性があります。その場合は、充電ケーブルを抜いてバッテリーが完全に切れるまで待ち、その後再度充電してから起動を試してみてください。それでもダメな場合は、メーカーのサポートに連絡しましょう。
ハードウェアリセット後の確認事項
ハードウェアリセットを実行した後は、以下の点を確認しましょう。
問題が解決したか確認
リセット前に起きていた問題が解消されているか、一つ一つ確認してください。
- キーボードのすべてのキーが反応するか
- タッチパッドが正常に動作するか
- タッチスクリーンが反応するか(対応機種)
- 画面が正常に表示されるか
- 音が出るか
すべて正常に動作すれば、ハードウェアリセットは成功です。
ChromeOSのアップデートを確認
ハードウェアリセット後は、ChromeOSが最新版になっているか確認しましょう。
確認方法
- 画面右下の時刻をクリック
- 設定アイコン(歯車マーク)をクリック
- 左側のメニューから「ChromeOSについて」を選択
- 「アップデートを確認」をクリック
設定を見直す
一部の設定がリセットされている可能性があるため、必要に応じて再設定してください。
- Wi-Fi接続
- Bluetooth接続
- プリンター設定
- 表示設定(明るさ、ナイトライトなど)
- 入力設定(キーボードレイアウト、IMEなど)
まとめ
ChromeOSのハードウェアリセットは、キーボードやタッチパッドなどのハードウェア関連の不具合を解決するための便利な方法です。
重要なポイント
- ハードウェアリセットはハードウェア部品を再起動するだけで、基本的にデータは削除されない
- Powerwash(初期化)やリカバリ(復元)とは異なる軽いリセット
- ほとんどの機種では「更新ボタン+電源ボタン」で実行できる
- タブレット型は「音量上げボタン+電源ボタン」を10秒間
- 実行前に周辺機器を取り外し、大切なファイルはバックアップ
- 他の方法を試した後の最終手段として使う
ハードウェアリセットでも問題が解決しない場合は、診断ツールで原因を特定したり、Powerwashを試したり、メーカーのサポートに連絡することを検討しましょう。
Chromebookは基本的に安定したデバイスですが、時々こういった問題が起きることもあります。でも、適切な対処法を知っていれば、多くの問題は自分で解決できますよ。
あなたのChromebookが無事に復活することを願っています!


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