Chromebookの電源を入れると、白い画面にChromeのロゴが表示されたまま、そこから先に進まない…
この「ロゴ画面フリーズ」は、Chromebookユーザーが遭遇する代表的なトラブルの一つです。でも安心してください。ほとんどの場合、適切な対処法を試すことで解決できます。
この記事では、Chromebookがロゴ画面で止まってしまう原因と、段階的な解決方法を詳しく解説していきます。
なぜChromeOSのロゴで止まってしまうのか?

まず、この問題が起きる主な原因を理解しておきましょう。
主な原因
1. 一時的なシステムの不具合
最も多いのがこのケースです。ChromeOSが一時的に混乱状態に陥り、起動プロセスが止まってしまいます。
2. 外部デバイスの干渉
USBメモリやSDカード、マウスなどの周辺機器が原因で、起動が妨げられることがあります。
3. ChromeOSのアップデート失敗
OSのアップデート中に問題が発生し、システムファイルが不完全な状態になっている可能性があります。
4. システムファイルの破損
ChromeOS本体のファイルが破損していると、正常に起動できません。
5. ハードウェアの問題
まれですが、内蔵ストレージ(eMMCやSSD)、メモリ、マザーボードなどのハードウェア故障が原因の場合もあります。
症状のバリエーション
ロゴ画面フリーズには、いくつかのパターンがあります。
- 白い画面にChromeロゴが表示されたまま動かない
- ロゴが表示された後、真っ暗な画面になる
- ロゴが表示されては消え、再起動を繰り返す(ブートループ)
- ロゴが点滅する
どのパターンでも、基本的な対処法は同じです。
【重要】作業を始める前の確認事項
トラブルシューティングを始める前に、以下を確認してください。
充電状態を確認
バッテリー残量が不足していると、起動途中で止まることがあります。
- ACアダプターを接続
- 充電ランプが点灯することを確認
- 30分〜1時間程度充電
- 再度起動を試す
意外に多いケース:
長期間使用していなかったChromebookは、バッテリーが完全に放電していることがあります。この場合、充電に24時間程度かかることもあります。
画面の明るさを確認
ロゴが見えないだけで、実は正常に起動している可能性もあります。
- 明るさ調整キー(太陽マークの+キー)を何度か押す
- 画面が見えるようになるか確認
外部ディスプレイで確認
内蔵ディスプレイの故障の可能性を除外します。
- HDMIケーブルで外部モニターに接続
- 外部モニターに映像が表示されるか確認
- 表示される場合は、内蔵ディスプレイの故障
【段階的対処法】簡単なものから順に試そう
ここからは、簡単な方法から順番に試していきます。最初の方法で解決しない場合は、次の方法へ進んでください。
対処法1:周辺機器を取り外す【所要時間:1分】
最も簡単で効果的な方法です。まずこれを試しましょう。
手順
- Chromebookの電源を完全に切る(電源ボタン長押し)
- 以下のすべての周辺機器を取り外す
- USBメモリ
- SDカード
- 外付けハードドライブ
- マウス
- 外付けキーボード
- Webカメラ
- プリンター
- その他のUSB機器
- 蓋を閉じて30秒待つ
- 蓋を開いて電源を入れる
なぜこれが効果的か?
外部ストレージデバイス(特にUSBメモリやSDカード)が接続されていると、Chromebookがそこからの起動を試みて失敗することがあります。
成功した場合:
正常に起動したら、周辺機器を一つずつ接続し直します。どの機器が原因だったか特定できます。
対処法2:強制再起動【所要時間:2分】
通常の電源ボタン操作で反応しない場合、強制的に電源を切ります。
手順
- 電源ボタンを10秒以上長押し
- 完全に電源が切れるまで押し続ける
- 蓋を閉じて30秒待つ
- 蓋を開いて通常通り電源を入れる
別の方法:タブレット型の場合
タブレット型Chromebookの場合:
- 音量上げボタン + 電源ボタンを10秒以上長押し
- すべてのボタンから手を離す
- 電源を入れ直す
対処法3:ハードウェアリセット【所要時間:3分】
Chromebookのハードウェア(キーボード、タッチパッドなど)をリセットします。
標準的なノートPC型Chromebookの場合
- Chromebookの電源を完全に切る
- 「更新」キー(F3の位置にある円形矢印マーク)を押したまま
- 「電源」ボタンを押す
- Chromebookが起動し始めたら、「更新」キーから手を離す
別の方法:Back + 更新 + 電源
一部の機種では、以下の方法が有効です。
- 電源を切る
- 「戻る」キー + 「更新」キー + 「電源」ボタンを同時に押す
- 10秒以上押し続ける
- すべてのキーから手を離す
タブレット型Chromebookの場合
- 電源を切る
- 音量上げボタン + 電源ボタンを同時に押す
- 10秒以上押し続ける
- すべてのボタンから手を離す
古いSamsung Chromebook(Series 5など)の場合
本体底面に専用のリセットボタンがあります。
- 電源を切り、ACアダプターを外す
- 30秒待つ
- SIMピンやクリップで、底面の小さな穴(リセットボタン)を押す
- 押したまま、ACアダプターを接続
- 電源ボタンを押す
- Chromebookが再起動したら、ピンを抜く
バッテリー取り外し可能な機種の場合
一部の古いモデルでは、バッテリーを取り外してリセットできます。
- 電源を切り、ACアダプターを外す
- 裏面のネジを外してバッテリーを取り出す
- 30秒待つ
- バッテリーを戻す
- ACアダプターを接続
- 電源を入れる
注意事項:
ハードウェアリセットを行うと、ダウンロードフォルダにあるファイルの一部が削除される可能性があります。ただし、Googleドライブのデータは影響を受けません。
対処法4:待機してアップデートを完了させる【所要時間:30分】
特定の機種(Acer AC710など)では、OSアップデート直後にロゴ画面で止まることがあります。
手順
- ロゴ画面のまま30分間放置
- ChromeOSが自動的にアップデートをダウンロードして適用することがある
- 自動的に起動する場合がある
この方法が有効なケース:
- OSアップデート直後に問題が発生した
- 以前は正常に動作していた
- エラーメッセージが表示されていない
対処法5:Powerwash(初期化)【所要時間:10分】
注意:この方法はローカルに保存されたすべてのデータを削除します。
ロゴ画面から直接Powerwashを実行できる場合があります。
方法A:ロゴ画面から実行
- ロゴ画面が表示されている状態で
- 「Ctrl」+「Alt」+「Shift」+「R」を同時に押す
- リセットウィンドウが表示されたら成功
- 「Powerwashとリセット」をクリック
- 確認画面で再度「Powerwash」をクリック
方法B:リカバリモードから実行
上記の方法で反応しない場合:
- 電源を切る
- 「Esc」+「更新」キーを押したまま「電源」ボタンを押す
- リカバリモード画面が表示される
- 「Ctrl」+「D」を押す
- 画面の指示に従ってPowerwashを実行
Powerwashで削除されるもの:
- ローカルに保存されたファイル(ダウンロードフォルダなど)
- インストールしたAndroidアプリ
- ブラウザの設定
- Wi-Fi設定
削除されないもの:
- Googleドライブに保存されたファイル
- Googleアカウントのデータ
- Gmail、カレンダーなどのクラウドデータ
対処法6:ChromeOSの復元(リカバリ)【所要時間:1時間】
これは最終手段です。他のすべての方法を試してから実行してください。
ChromeOS自体を再インストールします。
事前準備:別のパソコンが必要
- 正常に動作する別のパソコン(Chromebook、Windows、Mac)
- 8GB以上のUSBメモリ
- インターネット接続
手順の概要
- 別のパソコンでリカバリメディアを作成
- エラーが出ているChromebookでリカバリモードに入る
- リカバリメディアを使ってChromeOSを再インストール
詳細な手順は、以前の記事を参照してください:
リカバリの詳しい方法については、別途詳細なガイドを用意していますので、そちらを参照してください。
リカバリモードへの入り方
- Chromebookの電源を切る
- 「Esc」+「更新」キーを押したまま
- 「電源」ボタンを押す
- 「ChromeOSが存在しないか破損しています」と表示される
- リカバリメディア(USBメモリ)を挿入
- 画面の指示に従う
注意:
リカバリを実行すると、Chromebook内のすべてのデータが完全に削除されます。
特殊なケース別の対処法

一般的な方法で解決しない場合の、特殊な対処法です。
ケース1:ブートループ(起動と再起動を繰り返す)
ロゴが表示されては消え、また表示される、という状態が繰り返される場合。
対処法
- まず「対処法1:周辺機器を取り外す」を試す
- 次に「対処法3:ハードウェアリセット」を試す
- それでもダメなら「対処法6:ChromeOSの復元」
ブートループの一般的な原因
- OSアップデートの失敗
- システムファイルの破損
- ストレージの故障
ケース2:ロゴが表示された後、真っ暗な画面になる
ロゴは一瞬表示されるが、その後真っ暗になって何も表示されない場合。
対処法
- まず明るさを最大にしてみる
- 外部ディスプレイに接続して表示を確認
- 外部に表示される場合は内蔵ディスプレイの故障
- 外部にも表示されない場合は「対処法3:ハードウェアリセット」を試す
ケース3:ロゴが点滅する
ロゴが点滅して安定しない場合。
対処法
- ACアダプターを接続して十分に充電
- ハードウェアリセットを実行
- それでも改善しない場合はリカバリを実行
ケース4:学校や会社のChromebookの場合
管理対象のChromebookでは、特別な注意が必要です。
重要な注意点:
- 勝手にPowerwashやリカバリを実行しない
- 管理設定が失われる可能性がある
- 再度ログインできなくなる可能性がある
推奨される行動:
- まず「対処法1〜3」の安全な方法のみ試す
- 解決しない場合は、IT管理者またはヘルプデスクに連絡
- 管理者の指示に従う
問題が解決しない場合
すべての方法を試しても解決しない場合、ハードウェアの故障が疑われます。
ハードウェア故障の可能性
以下の症状がある場合、ハードウェア故障の可能性が高いです。
- リカバリを実行しても同じ問題が再発する
- ファンが異常に大きな音を立てる
- 本体が異常に熱くなる
- 起動時に異音がする
- 外部ディスプレイにも何も表示されない
考えられるハードウェアの問題
1. 内蔵ストレージ(eMMC/SSD)の故障
最も一般的なハードウェア故障です。読み書きができず、OSが起動できません。
2. メモリ(RAM)の故障
メモリが故障していると、OSが正常に読み込めません。
3. マザーボードの故障
マザーボードに問題があると、様々な症状が出ます。
4. ディスプレイの故障
外部ディスプレイには表示される場合、内蔵ディスプレイの問題です。
メーカーサポートへの連絡
ハードウェア故障が疑われる場合は、メーカーのサポートに連絡しましょう。
連絡前に準備する情報:
- Chromebookの正確な機種名(型番)
- シリアル番号(本体裏面に記載)
- 購入日
- 保証書
- 試した対処法のリスト
- 具体的な症状の説明
主要メーカーのサポート窓口:
- ASUS:公式サポートページから問い合わせ
- HP:HPサポートコミュニティまたは電話サポート
- Lenovo:Lenovoサポートサイト
- Acer:Acerコミュニティまたは電話サポート
- Dell:Dellサポートページ
- Samsung:Samsungサポートセンター
保証について:
- 購入から1年以内なら、通常メーカー保証が適用される
- 物理的な破損(水濡れ、落下など)は保証対象外の場合が多い
- 延長保証に加入している場合は、その内容を確認
修理か買い替えか?
修理費用が高額になる場合、買い替えも検討しましょう。
修理を選ぶべきケース:
- 購入から1年以内で保証が適用される
- 比較的新しいハイエンドモデル
- データ以外に特別な理由がある(企業支給品など)
買い替えを検討すべきケース:
- 購入から3年以上経過している
- 修理費用が新品価格の半額以上
- すでに複数回故障している
- 低価格帯のモデル
予防策:今後同じ問題を起こさないために
問題が解決したら、再発防止のための対策も重要です。
予防策1:定期的な再起動
週に1回は再起動しましょう。
長時間連続使用すると、システムに負荷がかかり、不具合が発生しやすくなります。
予防策2:OSアップデートは安定した環境で
ChromeOSのアップデート中に問題が起きないよう:
- 安定したWi-Fi環境で実行
- バッテリー残量が50%以上ある状態で
- アップデート中は他の作業をしない
- アップデート中は絶対に電源を切らない
予防策3:周辺機器の適切な使用
- 信頼できるメーカーのUSBメモリを使用
- 使わないUSBデバイスは外しておく
- 起動時には周辺機器を接続しない
予防策4:熱対策
過熱はハードウェアに悪影響を与えます。
- 通気口を塞がない
- 柔らかい場所(布団の上など)で使わない
- 定期的に通気口の埃を取り除く
- 夏場の車内など高温環境に放置しない
予防策5:物理的な保護
- 衝撃を避ける(落下防止)
- 液体をこぼさない
- ケースやカバーで保護
- 持ち運び時は蓋を閉じる
予防策6:データのバックアップ
万が一に備えて:
- 重要なファイルはGoogleドライブに保存
- ダウンロードフォルダを定期的に整理
- 外部ストレージにもバックアップ
よくある質問
Q: ロゴ画面で止まるのと「ChromeOSが存在しないか破損しています」エラーの違いは?
A: ロゴ画面で止まる場合、ChromeOSは存在しているが起動プロセスに問題があります。「ChromeOSが存在しない」エラーは、OS自体が見つからない状態で、より深刻です。後者は必ずリカバリが必要になります。
Q: ハードウェアリセットとPowerwashの違いは?
A: ハードウェアリセットはキーボードやタッチパッドなどの物理的なハードウェアをリセットするだけで、データは基本的に保持されます(ダウンロードフォルダの一部を除く)。Powerwashはソフトウェアの初期化で、ローカルデータがすべて削除されます。
Q: 周辺機器を外しても解決しない場合、どうすればいいですか?
A: 次の段階として、ハードウェアリセットを試してください。それでもダメな場合は、Powerwashまたはリカバリが必要になります。
Q: リカバリメディアがなくてもリカバリできますか?
A: 2022年4月以降に発売された一部の新しいChromebookでは、インターネット経由でリカバリできる機能があります。リカバリモードで「インターネット接続を使用して復元」というオプションが表示される場合は、リカバリメディアなしでも復元できます。
Q: 対処法を試している間にバッテリーが切れたら?
A: すぐにACアダプターを接続して充電してください。途中で電源が切れても、データが失われることはほとんどありません。充電後に再度同じ対処法を試してください。
Q: 企業や学校のChromebookで勝手にPowerwashしてしまいました。どうすればいいですか?
A: すぐにIT管理者に連絡してください。管理者が再度デバイスを登録し、必要な設定を復元する必要があります。自分で解決しようとせず、必ず管理者に相談してください。
Q: ロゴ画面で止まるのは、ウイルス感染の可能性がありますか?
A: ChromeOSはサンドボックス構造のため、ウイルス感染の可能性は非常に低いです。ロゴ画面で止まる原因としては、システムの不具合やハードウェア問題の方がはるかに可能性が高いです。
Q: 夜間にアップデートが実行されて、朝起きたらロゴ画面で止まっていました。
A: OSアップデート後の一時的な不具合の可能性があります。まずハードウェアリセットを試してください。それでもダメなら、30分程度待機してみてください。自動的にアップデートが完了する場合があります。
Q: 何度修理してもすぐにまた同じ問題が起きます。
A: 根本的なハードウェアの問題がある可能性が高いです。保証期間内であれば交換を要求するか、保証外であれば買い替えを検討した方が良いでしょう。
まとめ
ChromeOSのロゴから進まない問題の対処法をまとめます。
まず試すべき3つの基本対処法
- 周辺機器をすべて取り外す(1分)
- 強制再起動(2分)
- ハードウェアリセット(3分)
この3つで、多くの場合は解決します。
それでもダメな場合の対処法
- 30分間待機してアップデートを完了させる
- Powerwash(初期化)を実行
- ChromeOSのリカバリ(復元)を実行
各対処法の特徴
| 対処法 | データへの影響 | 所要時間 | 成功率 |
|---|---|---|---|
| 周辺機器を外す | なし | 1分 | 中 |
| 強制再起動 | なし | 2分 | 低 |
| ハードウェアリセット | ダウンロードフォルダの一部 | 3分 | 中 |
| 30分待機 | なし | 30分 | 低(特定機種のみ) |
| Powerwash | ローカルデータすべて | 10分 | 高 |
| リカバリ | ローカルデータすべて | 1時間 | 最高 |
解決しない場合
- ハードウェア故障の可能性
- メーカーサポートに連絡
- 修理または買い替えを検討
今後の予防策
- 週に1回は再起動
- OSアップデートは慎重に
- 周辺機器の適切な管理
- 熱対策と物理的保護
- データのバックアップ
重要なポイント
- 簡単な方法から順番に試す
- Powerwashやリカバリの前に、必ず他の方法を試す
- 学校や会社のChromebookは管理者に相談
- どうしてもダメならメーカーサポートへ
Chromebookがロゴ画面で止まってしまっても、多くの場合は復旧できます。この記事の対処法を順番に試して、あなたのChromebookが無事に起動することを願っています!

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