Chromebookを家族や友人に貸した後、ログイン画面にアカウントが残ったまま…。学校から配布されたChromebookを卒業後に返却する前に、自分のアカウントを削除したい…。そんな状況、ありませんか?
ChromeOSでは複数のユーザーが1台のChromebookを共有できる便利な仕組みがありますが、不要になったアカウントが残っていると、セキュリティ上の問題やストレージの無駄につながることも。
この記事では、ChromeOSで「誰のアカウントを」「どのように削除するか」を状況別に分かりやすく解説していきます。
まず理解しよう!ChromeOSの3種類のアカウント

削除方法を説明する前に、ChromeOSには3種類のアカウントがあることを知っておきましょう。それぞれ削除方法が異なります。
1. オーナーアカウント(所有者アカウント)
オーナーアカウントとは、Chromebookを最初にセットアップしたときに使った一番最初のGoogleアカウントのことです。
このアカウントには特別な権限があり、以下のことができます:
- 他のユーザーの追加・削除
- Wi-Fi設定の変更
- タイムゾーンの設定
- サインイン制限の管理
特徴: オーナーアカウントは通常の方法では削除できません。削除するには、Chromebook全体を初期化(Powerwash)する必要があります。
2. ゲストユーザーアカウント(追加ユーザー)
家族や友人など、他の人がChromebookを使うために追加したアカウントです。
- ログイン画面に表示される独立したアカウント
- それぞれのユーザーが自分のデータを持てる
- オーナーは簡単に削除できる
特徴: このアカウントは削除しても、元のGoogleアカウント自体は消えません。Chromebookから接続が切れるだけです。
3. 追加Googleアカウント(セカンダリアカウント)
メインのアカウントでログインしたまま、別のGoogleアカウントも使えるようにする機能です。
例えば、個人用アカウントでログインしながら、仕事用のGmailやGoogleドライブにもアクセスしたい場合に使います。
特徴: これは「ログイン」ではなく「アカウントの追加」なので、削除も簡単です。
あなたはどれを削除したい?状況別チェック
以下の質問に答えて、自分がどのケースに当てはまるか確認しましょう。
Q1:削除したいのは誰のアカウント?
- 自分以外の人(家族・友人)のアカウント → ゲストユーザーの削除へ
- 自分のアカウント(オーナー) → オーナーアカウントの削除へ
- 自分のセカンダリアカウント → 追加Googleアカウントの削除へ
Q2:学校や会社から配布されたChromebook?
- YES → 管理対象デバイスの注意点を確認
- NO → そのまま通常の削除手順へ
それでは、状況に応じた削除方法を詳しく見ていきましょう。
【ケース1】ゲストユーザーアカウントを削除する
最も一般的なケースです。家族や友人に貸した後、そのアカウントが不要になった場合の削除方法です。
方法A:ログイン画面から削除(最も簡単)
削除手順
- Chromebookからサインアウトして、ログイン画面を表示する
- 削除したいユーザーのアイコンを探す
- アイコンの横にある下向き矢印(▼)をクリック
- 「このユーザーを削除」を選択
- 確認メッセージが表示されるので「このユーザーを削除」をクリック
この方法の注意点
実は、この方法はログインせずに削除できるため、セキュリティ的にはやや弱い面があります。でも、公式でサポートされている方法なので問題なく使えます。
方法B:設定画面から削除(より確実)
オーナーアカウントでログインした状態から削除する方法です。
削除手順
- Chromebookにオーナーアカウントでログイン
- 画面右下の時刻表示をクリック
- 設定アイコン(歯車マーク)をクリック
- 左側のメニューから「アカウント」を選択
- 「追加のアカウント」セクションで削除したいアカウントを見つける
- アカウント名の横にある3点メニュー(︙)をクリック
- 「このアカウントを削除」を選択
重要な注意事項
- アカウントをChromebookから削除しても、Googleアカウント自体は消えません
- ただし、そのユーザーがChromebookに保存したファイル(ダウンロードフォルダなど)は削除されます
- Googleドライブに保存されているデータは影響を受けません
削除できない場合のチェックポイント
もし「このアカウントを削除」のオプションが表示されない場合:
- オーナーアカウントでログインしているか確認する
- 設定 → 「ユーザー」 → 自分のプロフィール
- 「所有者」と表示されていればOK
- Chromebookを再起動してみる
- 設定変更が反映されていない可能性があります
- 管理対象デバイスではないか確認する
- 学校や会社のChromebookの場合、管理者に連絡が必要な場合があります
【ケース2】オーナーアカウントを削除する
オーナーアカウントは特別な権限を持っているため、通常の方法では削除できません。削除するには、Chromebook全体を初期化(Powerwash)する必要があります。
Powerwash(初期化)とは?
Powerwashは、Chromebookを工場出荷時の状態に戻す操作です。すべてのローカルデータが削除され、まっさらな状態になります。
Powerwash前に必ずやるべきこと
1. データのバックアップ
以下のデータは削除されるので、必要なものは事前に保存しましょう:
- ダウンロードフォルダ内のファイル
- Chromebookにのみ保存されているデータ
- ローカルに保存したスクリーンショット
Googleアカウントに紐づくデータ(Gmail、Googleドライブなど)は影響を受けません。
2. 外部デバイスの取り外し
- USBメモリ
- 外付けハードディスク
- SDカード
これらを接続したままPowerwashを実行すると、データが破損する可能性があります。
Powerwashの実行手順
方法1:設定画面から実行(推奨)
- Chromebookにログインする
- 画面右下の時刻をクリック
- 設定アイコンをクリック
- 左側のメニューを下にスクロールして「詳細設定」をクリック
- 「リセット」セクションを探す
- 「Powerwash」または「初期状態にリセット」をクリック
- 「再起動」をクリック
- 確認画面で「Powerwash」をクリック
- 画面の指示に従って操作を完了
方法2:ログイン画面から実行
ログインできない場合は、この方法を使います。
- ログイン画面を表示する
- キーボードで「Ctrl + Alt + Shift + R」を同時に押す
- 「再起動」をクリック
- 表示されたウィンドウで「Powerwash」をクリック
- 画面の指示に従う
Powerwash後の初期設定
初期化が完了すると、新品のChromebookと同じ状態になります。
- 言語とキーボード配列を選択
- Wi-Fiネットワークに接続
- Googleアカウントでログイン
※ここで最初にログインしたアカウントが、新しいオーナーアカウントになります - 利用規約に同意
- Googleアシスタントの設定(スキップ可能)
- 完了
【ケース3】追加Googleアカウントを削除する
メインアカウントに追加した「セカンダリアカウント」を削除する方法です。
追加アカウントとは?
例えば、個人用のアカウントでChromebookにログインしながら、仕事用のGmailやGoogleドライブも使いたい場合に追加するアカウントのことです。
ログイン画面には表示されず、メインアカウント内で複数のGoogleサービスにアクセスできる仕組みです。
削除手順
- Chromebookにログインする
- 画面右下の時刻をクリック
- 設定アイコンをクリック
- 左側のメニューから「アカウント」を選択
- 自分のGoogleアカウント名(一番上)をクリック
- 「マイアカウント」ページが表示される
- 削除したい追加アカウントを見つける
- アカウントの横にある3点メニュー(︙)をクリック
- 「このアカウントを削除」を選択
これで、そのGoogleアカウントとの連携が解除されます。もちろん、Googleアカウント自体は削除されません。
【特別ケース】学校・会社のChromebookの場合
学校や企業から配布されたChromebookは、管理対象デバイスとして特別な制限がかかっている可能性があります。
管理対象デバイスかどうか確認する方法
- 設定を開く
- 「ユーザー」を選択
- 自分のプロフィールを確認
もし「このデバイスは○○によって管理されています」と表示されていたら、管理対象デバイスです。
管理対象デバイスでできること・できないこと
できないこと
- 管理者アカウントを削除する
- 管理ポリシーを変更する
- 一部の設定変更
できること
- 自分の個人的な追加アカウントを削除する
- ゲストモードを使う(許可されている場合)
学校アカウントを削除したい場合
状況1:卒業・退職などで端末を返却する場合
→ 通常、学校や会社のIT管理者が一括でアカウントを削除します。自分で操作する必要はありません。
状況2:個人購入のChromebookに学校アカウントを追加していた場合
→ 学校アカウントがオーナーでなければ、通常の方法で削除できます。オーナーの場合はPowerwashが必要です。
状況3:どうしても管理アカウントを削除したい場合
→ 学校や会社のIT管理者に連絡してください。管理者側でしか削除できない設定になっている可能性が高いです。
よくある質問と回答
Q1:アカウントを削除すると、Gmailやドライブのデータも消える?
A:いいえ、消えません。
Chromebookからアカウントを削除しても、Googleアカウント自体は何も影響を受けません。Gmail、Googleドライブ、Googleフォトなどのデータはすべて残ります。
ただし、Chromebookのダウンロードフォルダに保存していたファイルは削除されるので注意してください。
Q2:削除したアカウントを再度追加できる?
A:はい、いつでも再追加できます。
一度削除したアカウントでも、ログイン画面で「ユーザーを追加」を選択し、同じGoogleアカウントでログインすれば、再び使えるようになります。
ただし、前回Chromebookに保存していたローカルデータは復元されません。
Q3:Powerwashすると何が消える?
消えるもの:
- すべてのユーザーアカウント(Chromebookからの接続)
- ダウンロードフォルダのファイル
- ブラウザの拡張機能(再インストールが必要)
- Wi-Fi設定
- 壁紙などのカスタマイズ設定
消えないもの:
- Googleアカウント自体
- Gmailのメール
- Googleドライブのファイル
- Googleフォトの写真
- Chrome同期データ(ブックマーク、パスワードなど)
Q4:家族で1台のChromebookを共有する場合、各自のアカウントを残しておいても大丈夫?
A:はい、問題ありません。
ChromeOSは複数ユーザーでの共有を想定して設計されています。各ユーザーのデータは完全に分離されているので、他のユーザーのファイルやブラウザ履歴を見られることはありません。
ただし、ストレージ容量には限りがあるので、使わなくなったアカウントは削除することをおすすめします。
Q5:削除したいアカウントでログインできない場合は?
A:オーナーアカウントから削除できます。
本人がパスワードを忘れた場合でも、オーナーアカウントでログインすれば、他のユーザーのアカウントを削除できます。
ただし、削除される側の同意なしに削除すると、そのユーザーがChromebookに保存していたデータは失われるので注意が必要です。
Q6:ストレージがいっぱいで、自動的にアカウントが削除されることはある?
A:はい、あります。
Chromebookのストレージ容量が不足すると、最も長い間使われていないアカウントが自動的に削除されることがあります。
ただし、この場合もGoogleアカウント自体は影響を受けません。Chromebookから接続が切れるだけです。
アカウント削除後のセキュリティ対策
アカウントを削除する際、セキュリティ面で気をつけたいポイントをまとめます。
Chromebookを譲渡・売却する場合
必ずPowerwashを実行してください。
個別にアカウントを削除するだけでは、以下のリスクがあります:
- オーナーアカウントの情報が残る
- Wi-Fi設定が残る
- 一部の設定データが残る可能性
Powerwashで完全に初期化することで、安心して譲渡できます。
学校・職場でChromebookを返却する場合
管理者の指示に従いましょう。
多くの教育機関や企業では、返却時の手順が定められています。勝手にPowerwashすると、管理設定が解除されて問題になることもあります。
IT管理者に確認してから操作してください。
一時的に他人に貸す場合
ゲストモードの利用を検討しましょう。
アカウントを追加するのではなく、ゲストモードで使ってもらう方が、後片付けが簡単です。
ゲストモードでは、ログアウトすると自動的にすべてのデータが削除されます。
まとめ:状況に合わせた正しい削除方法を選ぼう
ChromeOSのアカウント削除は、誰のアカウントをどのように削除するかによって方法が異なります。
削除方法の選び方まとめ
| 削除したいもの | 方法 | 注意点 |
|---|---|---|
| ゲストユーザー | ログイン画面または設定から削除 | 簡単、データのバックアップ推奨 |
| オーナーアカウント | Powerwash(初期化) | すべてのデータが削除される |
| 追加Googleアカウント | 設定のアカウント管理から削除 | 最も簡単、リスクなし |
| 学校・会社のアカウント | 管理者に相談 | 自分では削除できない場合あり |
覚えておきたい重要ポイント
- Chromebookからアカウントを削除しても、Googleアカウント自体は消えない
- ローカルに保存したファイルは削除される
- Googleドライブなどクラウドのデータは影響を受けない
- オーナーアカウントの削除にはPowerwashが必要
- 管理対象デバイスは管理者の権限が必要
ChromeOSのアカウント管理は、一度理解すれば簡単です。状況に応じて適切な方法を選び、安全にアカウントを管理していきましょう。
Chromebookを家族で共有したり、使わなくなったアカウントを整理したりする際に、この記事が役立てば幸いです。セキュリティを保ちながら、快適にChromebookを使っていきましょう!

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