「ChromebookのBIOS設定はどこにあるの?」
「起動順序を変更したいのに、設定画面が見つからない…」
そんな疑問を持っている方、実はChromeOSには従来のWindowsやMacのような「BIOS設定画面」は存在しないんです。
でも安心してください。ChromeOSには独自の起動システムと設定方法があります。
この記事では、ChromeOSの起動の仕組みから、実際にできる設定、トラブル時の対処法まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
ChromeOSにBIOS設定画面がない理由

まず最初に理解しておきたいのは、ChromebookのBIOSは一般的なパソコンとは根本的に異なるという点です。
ChromeOSの起動システムの特徴
ChromebookにはUEFI BIOSの代わりに「Coreboot」というオープンソースのファームウェアが使われています。
これは、Googleが安全性とシンプルさを優先して設計したシステムなんですね。
通常のユーザーがBIOS設定をいじれないようになっているのは、セキュリティを保つためです。間違った設定でシステムが壊れるリスクを防いでいるわけですよ。
一般ユーザーができること
WindowsパソコンでBIOSを開くときのように「F2」や「Del」キーを押しても、ChromeOSでは設定画面は開きません。
その代わり、ChromeOSには次のような機能が用意されています:
- 復旧モード(Recoveryモード)
- 開発者モード(Developerモード)
- ゲストモード
- Powerwash(初期化)
これらを理解すれば、Chromebookをより深く活用できますよ。
Chromebook起動時にできる操作と特殊モード
Chromebookの電源を入れるとき、特定のキーを押すことで特殊なモードに入れます。
復旧モード(Recoveryモード)の使い方
復旧モードは、ChromeOSに問題が起きたときに使う緊急手段です。
起動方法:
- Chromebookの電源を完全に切る
- 「Esc」+「更新(F3)」キーを押しながら、電源ボタンを押す
- 画面に「ChromeOSが見つからないか、破損しています」と表示される
復旧モードでできること:
- ChromeOSの再インストール
- システムの修復
- USBメモリやSDカードからの起動(開発者モードが有効な場合)
復旧モードは、OSが起動しないトラブルの解決に役立ちますね。
開発者モード(Developerモード)とは
開発者モードは、プログラマーや上級ユーザー向けの機能です。
このモードを有効にすると、ChromeOSの深い部分にアクセスできるようになります。
開発者モードに入る手順:
- 復旧モードで起動する
- 「Ctrl + D」キーを押す
- 確認画面で「Enter」を押す
- システムが再起動し、開発者モードの準備が始まる(15分程度かかる)
重要な注意点:
- 開発者モードにすると、すべてのローカルデータが削除される
- セキュリティ機能の一部が無効になる
- 起動時に毎回警告画面が表示される
- Googleの公式サポート対象外になる可能性がある
一般的な用途では開発者モードは必要ありません。特別な理由がない限り、通常モードで使うことをおすすめしますよ。
開発者モードでアクセスできるshell機能
開発者モードを有効にすると、「Crosh」という開発者向けシェルを使えます。
Croshの開き方:
- 「Ctrl + Alt + T」キーを同時に押す
- ブラウザのタブに黒い画面(ターミナル)が開く
- 「shell」と入力してEnterキーを押す
Croshでは、Linuxコマンドの一部が使えるようになります。ネットワーク診断やシステム情報の確認などができますね。
ただし、コマンドの知識がないと使いこなすのは難しいでしょう。
通常モードでできるChromebook設定
BIOS設定がなくても、ChromeOSには便利な設定機能が用意されています。
Chrome設定画面からできること
画面右下の時計をクリックして、歯車アイコンの「設定」を開きましょう。
主な設定項目:
デバイス設定
- キーボードの動作(ファンクションキーの有効化など)
- タッチパッドの感度調整
- ディスプレイの解像度変更
- 外部ディスプレイの設定
- 電源とスリープの動作
これらは、WindowsのBIOSで設定するような項目に相当しますね。
起動とログイン
- 起動時にログイン画面を表示するか
- ゲストモードの許可設定
- 複数アカウントの管理
Bluetooth とデバイス
- Bluetoothデバイスの接続
- USBデバイスの認識設定
- プリンターの設定
詳細設定でできること
設定画面の左側メニューから「詳細設定」を開くと、さらに細かい設定ができます。
アクセシビリティ:
- 拡大鏡機能
- 画面読み上げ
- ハイコントラストモード
言語と入力:
- キーボード配列の変更
- IME(日本語入力)の設定
- スペルチェック機能
リセットとクリーンアップ:
- Powerwash(工場出荷状態への初期化)
- 一時ファイルの削除
Powerwashは、Chromebookの動作が遅くなったときや、売却・譲渡前に実行するといいですよ。
【目的別】ChromeOSで解決したいことと対処法
BIOS設定を探している方は、具体的に何をしたいのでしょうか?目的別に方法を紹介します。
起動順序を変更したい
WindowsやLinuxとのデュアルブート:
通常のChromebookでは、他のOSとのデュアルブートは公式にサポートされていません。
どうしても実現したい場合は、開発者モードを有効にして、Linux環境をCrostini経由で利用する方法があります。
設定の「Linux開発環境」から、公式のLinux環境を有効化できますよ。
USBメモリから起動したい:
開発者モードで復旧モードに入れば、USBメモリからの起動が可能です。
ただし、これは上級者向けの操作なので、通常の使い方では必要ありませんね。
ハードウェア設定を変更したい
ファンクションキーを有効にしたい:
- 設定画面を開く
- 「デバイス」→「キーボード」を選択
- 「上部キーを標準のファンクションキーとして使用する」をオンにする
これで、F1〜F12キーが使えるようになります。
タッチパッドの感度を調整したい:
- 設定画面の「デバイス」→「タッチパッド」
- 「タップでクリック」や「スクロールの加速」を調整する
細かい設定で、使い心地が大きく変わりますよ。
セキュア起動(Secure Boot)の設定
ChromeOSには「Verified Boot」という独自のセキュア起動機能が組み込まれています。
これは自動的に動作しており、ユーザーが設定を変更する必要はありません。
起動時に毎回、システムの整合性が自動チェックされているんですね。
仮想化(VT-x/AMD-V)を有効にしたい
ChromeOSで仮想化機能を使いたい場合、Linux開発環境(Crostini)を利用するのが正解です。
設定の「Linux開発環境」から有効化すれば、Dockerなどの仮想化ツールも使えるようになりますよ。
トラブル時の対処法:ChromeOSが起動しないとき

Chromebookに問題が起きたときの対処手順を紹介します。
基本的なトラブルシューティング
ステップ1:強制再起動
電源ボタンを10秒間長押しして、完全に電源を切りましょう。
その後、もう一度電源ボタンを押して起動してみてください。
ステップ2:ハードウェアリセット
機種によって方法が異なりますが、一般的な手順は次の通りです:
- Chromebookの電源を切る
- 「更新(F3)」+「電源ボタン」を同時に押す
- ランプが点滅したら、両方のボタンを離す
これで、ハードウェアの設定がリセットされます。
復旧モードでの修復手順
上記の方法で解決しない場合、復旧モードを試しましょう。
必要なもの:
- 別のパソコン(WindowsまたはMac)
- 8GB以上のUSBメモリまたはSDカード
- Chromebook Recovery Utilityアプリ
手順:
- 別のパソコンでChromeブラウザを開く
- Chrome ウェブストアから「Chromebook Recovery Utility」をインストール
- アプリを起動し、Chromebookの機種を選択
- USBメモリを挿入して、復旧メディアを作成
- 問題のあるChromebookを復旧モードで起動
- 作成したUSBメモリを挿入して復旧を実行
この作業で、ChromeOSが完全に再インストールされますよ。
Powerwashでの初期化
ソフトウェアの問題なら、Powerwashで解決することが多いですね。
実行方法:
- ログイン画面で「Ctrl + Alt + Shift + R」を押す
- 「リセット」ボタンをクリック
- 「Powerwash」→「続行」を選択
- 画面の指示に従って進める
注意:ローカルに保存されているデータは消えるので、Googleドライブにバックアップしておきましょう。
【上級者向け】Chrome OS Flex と カスタムファームウェア
さらに深くChromebookをカスタマイズしたい方向けの情報です。
Chrome OS Flexとは
Chrome OS Flexは、古いWindowsやMacのパソコンにChromeOSをインストールできるバージョンです。
通常のChromebookとは異なり、より柔軟な使い方ができますね。
MrChromebox ファームウェアについて
MrChromeboxは、Chromebookに別のOSをインストールするためのカスタムファームウェアです。
注意点:
- メーカー保証が無効になる
- 正しい知識なしに実行すると、Chromebookが起動しなくなる
- 自己責任での作業になる
一般ユーザーには推奨できない方法なので、特別な目的がない限り避けたほうがいいでしょう。
よくある質問と回答
Q1. ChromebookでBIOS画面を開くキーは?
A. ChromeOSには通常のBIOS画面がありません。代わりに、復旧モードや開発者モードといった特殊な起動モードがあります。
「Esc」+「更新」+「電源」キーで復旧モードに入れますよ。
Q2. 起動時のロゴ画面をスキップできる?
A. 通常モードでは起動画面をスキップすることはできません。
ただし、Chromebookは起動が非常に速い(通常10秒以内)ので、特に問題にならないことが多いですね。
Q3. Chromebookに他のOSをインストールできる?
A. 公式にはサポートされていませんが、開発者モードとカスタムファームウェアを使えば技術的には可能です。
ただし、保証対象外になり、リスクも高いので、一般ユーザーにはおすすめできません。
Linux環境が必要なら、Crostini(Linux開発環境)の利用が安全ですよ。
Q4. TPM(トラステッドプラットフォームモジュール)の設定は?
A. ChromeOSには独自のセキュリティチップが搭載されており、自動的に管理されています。
ユーザーが設定を変更する必要はありませんし、変更もできません。
Q5. 起動音を消すことはできる?
A. Chromebookには通常、起動音がありません。
もし音が鳴る場合は、音量設定を確認するか、機種固有の問題なのでメーカーのサポートに問い合わせてみましょう。
まとめ:ChromeOSはシンプルだからこそ使いやすい
ChromebookにBIOS設定画面がないのは、欠点ではなく設計思想の違いなんです。
Googleは「誰でも安全に使えるパソコン」を目指して、複雑な設定を排除しました。
この記事のポイント:
- ChromeOSには従来のBIOS設定画面は存在しない
- Corebootという独自のファームウェアが使われている
- 復旧モードと開発者モードで特殊な操作が可能
- 通常の設定は「設定」アプリから簡単に変更できる
- トラブル時は復旧モードやPowerwashで対処できる
- 上級者向けのカスタマイズも可能だが、リスクがある
多くの場合、ChromeOSの標準機能で十分な設定が可能です。
もしWindows的なカスタマイズが必要なら、Linux開発環境を活用するのが現実的な選択肢ですね。
シンプルさこそがChromebookの魅力。その特徴を理解して、快適に使いこなしていきましょう!


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