Chromeで別のウィンドウを開いたり、タブを切り替えたりすると、バックグラウンドのタブやゲームが止まってしまう…そんな悩みはありませんか?
この記事では、Chromeのバックグラウンド処理が止まる原因と、2025年現在有効な解決方法を詳しく解説していきます。
バックグラウンドで止まる問題とは?

まず、どのような状況で問題が発生するのか確認しましょう。
具体的な症状
以下のような状況で、Chromeの動作が止まってしまいます。
よくある症状:
- ブラウザゲーム(グランブルーファンタジー、艦これなど)を別ウィンドウで開いておくと動作が停止する
- 別のウィンドウで他の作業をすると、Chromeのタブが止まる
- Chromeを最小化すると、動画の再生や処理が停止する
- 仮想デスクトップを切り替えると、元のデスクトップのChromeが止まる
- リモートデスクトップ使用時に、バックグラウンドのChromeが停止する
- 音楽プレーヤーやタイマーなど、継続的に動作させたいWebアプリが止まる
影響を受けるユーザー
この問題は、特に以下のような使い方をするユーザーに影響します。
- ブラウザゲームをプレイしている人(放置ゲーム、フルオート機能など)
- Webアプリのタイマーやカウンターを使用している人
- 複数のタブで動画や音楽を再生している人
- Web会議システムを使用している人
- リモートデスクトップでChromeを使う人
- 画面録画ソフトでChromeのウィンドウを録画している人
バックグラウンドで止まる原因
この問題は、Chromeの省電力・リソース節約機能が原因です。
原因1:オクルージョントラッキング機能
オクルージョントラッキング(Occlusion Tracking)とは、ウィンドウの重なりを追跡して、他のウィンドウの下に隠れている(表示されていない)ときにページの動作を止める機能です。
Chrome 87以降で導入された機能で、以下の目的があります。
目的:
- CPU使用率の削減
- メモリ消費の抑制
- バッテリー寿命の延長
- フォアグラウンドタブのパフォーマンス向上
原因2:Calculate window occlusion on Windows
「Calculate window occlusion on Windows」という機能が有効になっていると、バックグラウンドのウィンドウはレンダリング(描画)が停止されてしまいます。
つまり、ブラウザが「このウィンドウは見えていないから、処理を止めて省エネしよう」と判断するわけです。
原因3:タブのフリージング機能
Chrome 79以降で導入されたタブフリージング機能により、バックグラウンドタブが一定時間(通常5分)経過すると凍結されます。
凍結されると以下の処理が停止します。
- JavaScriptの実行
- タイマー(setTimeoutなど)
- イベントハンドラー
- ネットワーク処理
- アニメーション
原因4:Energy Saver モード【Chrome 133以降】
2025年2月のChrome 133から、Energy Saver(省電力モード)が有効な場合、バックグラウンドタブがさらに積極的にフリーズされるようになりました。
条件を満たすと、5分以上バックグラウンドにあるCPU集約的なタブが自動的に凍結されます。
解決方法1:起動オプションを追加する【2025年現在の最良の方法】
Chrome 99以降、chrome://flagsでの設定項目が削除されたため、起動オプションを追加する方法が最も確実です。
Windowsの場合
ステップ1:Chromeのショートカットを見つける
デスクトップにChromeのショートカットがない場合は、作成します。
- スタートメニューを開く
- 「Google Chrome」を探す
- 右クリック→「その他」→「ファイルの場所を開く」
- エクスプローラーが開いたら「Google Chrome」を右クリック
- 「送る」→「デスクトップ(ショートカットを作成)」
ステップ2:ショートカットのプロパティを開く
- デスクトップのGoogle Chromeアイコンを右クリック
- 「プロパティ」を選択
- 「ショートカット」タブを開く
ステップ3:起動オプションを追加
「リンク先」の項目の最後に以下を追加します。
基本版(最も効果的):
--disable-backgrounding-occluded-windows
完全版(より確実):
--disable-backgrounding-occluded-windows --disable-renderer-backgrounding --disable-background-timer-throttling
重要な注意点:
- 最初に半角スペースを入れてください
"(ダブルクォート)の外側に追加してください
追加前:
"C:\Program Files\Google\Chrome\Application\chrome.exe"
追加後(基本版):
"C:\Program Files\Google\Chrome\Application\chrome.exe" --disable-backgrounding-occluded-windows
追加後(完全版):
"C:\Program Files\Google\Chrome\Application\chrome.exe" --disable-backgrounding-occluded-windows --disable-renderer-backgrounding --disable-background-timer-throttling
ステップ4:変更を保存
- 「OK」ボタンをクリック
- 既存のChromeウィンドウをすべて閉じる
- タスクマネージャー(Ctrl + Shift + Esc)でChromeのプロセスが残っていないか確認
- デスクトップのショートカットからChromeを起動
起動オプションの説明
各オプションの意味を理解しておきましょう。
–disable-backgrounding-occluded-windows
- オクルージョン機能によるバックグラウンド処理の停止を無効化
- 最も重要なオプション
–disable-renderer-backgrounding
- レンダラープロセスのバックグラウンド処理制限を無効化
- 描画処理を継続させる
–disable-background-timer-throttling
- バックグラウンドタブでのタイマー制限を無効化
- setTimeoutやsetIntervalが正常に動作する
–disable-features=CalculateNativeWinOcclusion
- ネイティブウィンドウオクルージョン計算を無効化
- Chrome 99以降で必要な場合がある
解決方法2:タスクバーにピン留めする場合
タスクバーからChromeを起動したい場合は、設定済みのショートカットをピン留めします。
手順
ステップ1:既存のピン留めを解除
- タスクバーのChromeアイコンを右クリック
- 「タスクバーからピン留めを外す」を選択
ステップ2:設定済みショートカットをピン留め
- デスクトップの設定済みChromeショートカットをタスクバーにドラッグ&ドロップ
- または、ショートカットを右クリック→「タスクバーにピン留めする」
注意:
- この方法でタスクバーにピン留めすると、Chromeは新しいタスクバーボタンで開くことがあります
- 少し見た目がうっとうしく感じるかもしれません
解決方法3:Chromeの設定で特定サイトを例外にする【Chrome 108以降】
特定のサイトだけバックグラウンドでも動作させたい場合、Chrome 108以降では設定で例外を追加できます。
手順
ステップ1:Chromeの設定を開く
- Chromeのメニュー(︙)をクリック
- 「設定」を選択
- 左メニューの「パフォーマンス」をクリック
ステップ2:例外サイトを追加
- 「全般」セクションを見つける
- 「常にアクティブにするサイト」の「追加」をクリック
- バックグラウンドでも動作させたいサイトのURLを入力
- 例:
https://game.granbluefantasy.jp - 例:
https://www.youtube.com
- 「追加」をクリック
この設定により、指定したサイトはバックグラウンドでも処理が停止しなくなります。
この方法のメリット・デメリット
メリット:
- 起動オプションを追加する必要がない
- 通常のChromeアイコンから起動できる
- サイトごとに個別設定できる
デメリット:
- Chrome 108以降でのみ利用可能
- すべての状況で有効とは限らない
- 複数のサイトを個別に追加する必要がある
解決方法4:グラフィックアクセラレーションを無効化する
場合によっては、グラフィックアクセラレーションを無効化することで改善することがあります。
手順
ステップ1:設定を開く
- Chromeのメニュー(︙)をクリック
- 「設定」を選択
ステップ2:システム設定を開く
方法A:左メニューから
- 「システム」をクリック
方法B:アドレスバーから
chrome://settings/systemと入力して移動
ステップ3:グラフィックアクセラレーションを無効化
- 「グラフィック アクセラレーションが使用可能な場合は使用する」のトグルをオフにする
- Chromeを再起動
注意点
この設定を無効にすると:
- 動画再生がカクカクすることがある
- ページのスクロールが重くなることがある
- 全体的なパフォーマンスが低下する可能性がある
問題が解決しない場合は、元に戻してください。
解決方法5:別ウィンドウに分離する
タブではなく別ウィンドウにすることで、より確実にバックグラウンド動作させられます。
手順
ステップ1:新しいタブを開く
- Ctrl + Tで新しいタブを開く
- または、タブバーの「+」ボタンをクリック
ステップ2:バックグラウンドで動作させたいページを表示
バックグラウンドで動かしたいゲームやアプリのページを表示します。
ステップ3:タブを別ウィンドウに移動
- そのタブの名称部分を右クリック
- 「タブを新しいウィンドウに移動」をクリック
または、タブをドラッグして別ウィンドウにします。
この方法が有効な理由
別ウィンドウにすることで、Chromeは完全に独立したプロセスとして扱うことがあり、オクルージョントラッキングの影響を受けにくくなります。
解決方法6:Microsoft Edgeを使用する【代替案】

ChromeではなくMicrosoft Edgeを使用することで、同じ問題を同じ方法で解決できます。
EdgeとChromeの違い
Edgeも同じChromiumベースですが、以下の点で少し優れています。
Edgeの利点:
- タスクバーのピン留めが自然に動作する
- 同じタスクバーボタンで開く
- リソース管理がChromeより効率的な場合がある
Edgeでの設定方法
Chromeとほぼ同じ手順です。
起動オプションの追加:
"C:\Program Files (x86)\Microsoft\Edge\Application\msedge.exe" --disable-backgrounding-occluded-windows
設定からの追加:
- Edge設定→「システムとパフォーマンス」
- 「常にアクティブにするサイト」に追加
解決方法7:Firefoxを使用する【別ブラウザ】
どうしてもChromeで解決しない場合は、Firefoxを使用する選択肢もあります。
Firefoxでのバックグラウンド動作設定
Firefoxでも同様の問題がありますが、設定で解決できます。
手順:
- アドレスバーに
about:configと入力 - 警告メッセージで「危険性を承知の上で使用する」をクリック
- 検索ボックスに以下を入力して設定を変更
変更する設定:
dom.suspend_inactive.enabled
→ falseに変更
この設定により、非アクティブなタブでも処理が継続されます。
Firefoxの注意点
- Chromeとは操作感が異なる
- 一部のWebサイトがChrome最適化されている
- 拡張機能のラインナップが異なる
よくある質問と解決方法
Q: 起動オプションを追加してもバックグラウンドで止まる
A: 以下を確認してください。
- 正しく設定されているか確認
- 半角スペースが入っているか
- ダブルクォート(”)の外側に追加しているか
- スペルミスがないか
- 設定したショートカットから起動しているか
- タスクバーやスタートメニューから起動していないか
- 設定済みのショートカットを使用しているか
- Chromeが完全に終了しているか
- タスクマネージャーでプロセスを確認
- バックグラウンドで動作していないか確認
- 別の起動オプションを試す
- 完全版のオプションを使用
--disable-features=CalculateNativeWinOcclusionも追加
Q: chrome://flagsの設定項目が見つからない
A: Chrome 99以降、多くのフラグ設定が削除されました。
以前使えた設定項目:
Calculate window occlusion on WindowsTemporarily unexpire M96 flagsEnable occlusion of web contents
これらは現在使用できません。代わりに起動オプションを使用してください。
Q: タブを切り替えるだけでも止まる
A: 以下の設定を試してください。
追加の起動オプション:
--disable-backgrounding-occluded-windows --disable-renderer-backgrounding --disable-background-timer-throttling --disable-ipc-flooding-protection
それでも解決しない場合:
- 別ウィンドウに分離する
- 「常にアクティブにするサイト」に追加
Q: リモートデスクトップ使用時に止まる
A: リモートデスクトップ特有の問題があります。
対処法:
- 起動オプションを追加(解決方法1参照)
- リモートデスクトップの設定を変更
- 「エクスペリエンス」タブ
- 「デスクトップの背景」をオフ
- 「ウィンドウのドラッグ中に内容を表示」をオフ
- Chromeを最小化しない
- ウィンドウを開いたままにする
- 仮想デスクトップを使用
Q: 画面録画時にChromeのウィンドウが止まる
A: 画面録画ソフトの設定も関係します。
Bandicamなど録画ソフト使用時:
- 起動オプションを追加(解決方法1参照)
- グラフィックアクセラレーションを無効化(解決方法4参照)
- 録画ソフトの設定で「特定のウィンドウ」ではなく「画面領域」を選択
Q: Energy Saverモードの影響を受けたくない
A: Chrome 133以降の設定を確認してください。
手順:
- Chromeの設定→「パフォーマンス」
- 「省電力モード」のセクション
- 以下のいずれかを選択
- 「省電力モードをオフにする」
- 「バッテリー駆動時のみ」
または、「常にアクティブにするサイト」に該当サイトを追加してください。
Q: 複数のChromeプロファイルを使っている場合
A: それぞれのプロファイル用にショートカットを作成する必要があります。
手順:
- 通常のショートカットに起動オプションを追加
- リンク先の最後に
--profile-directory="Profile 1"を追加
例:
"C:\Program Files\Google\Chrome\Application\chrome.exe" --disable-backgrounding-occluded-windows --profile-directory="Profile 1"
プロファイル名を確認するには:
chrome://versionにアクセス- 「プロフィール パス」を確認
Q: ゲームによって効果が違う
A: Webアプリの実装によって効果が異なります。
より確実に動作させるには:
- 完全版の起動オプションを使用
- 別ウィンドウに分離
- 「常にアクティブにするサイト」に追加
- グラフィックアクセラレーションを無効化
すべて試しても改善しない場合、ゲーム側の実装問題の可能性があります。
デメリットとリスク
バックグラウンド動作を有効にすることのデメリットも理解しておきましょう。
デメリット1:バッテリー消費の増加
オクルージョントラッキングを無効にすると、バッテリー消費が増えます。
影響:
- ノートPCのバッテリー駆動時間が短くなる
- 発熱が増える可能性がある
対策:
- 電源に接続して使用する
- 必要な時だけ設定したショートカットを使用
デメリット2:CPU・メモリ使用率の増加
バックグラウンドタブも処理を継続するため、システムリソースを多く消費します。
影響:
- 他のアプリケーションが重くなる
- メモリが不足しやすくなる
- PCの動作が遅くなる
対策:
- 不要なタブは閉じる
- メモリを増設する
- 高性能なPCを使用
デメリット3:Chromeのアップデートで動作が変わる
起動オプションや設定は、Chromeのアップデートで変更される可能性があります。
対策:
- この記事をブックマークしておく
- アップデート後に動作確認する
- 問題が起きたら最新情報を検索
まとめ:状況に応じた対処法の選び方
Chromeのバックグラウンド動作停止問題の解決方法を、状況別にまとめます。
確実に解決したい場合:
→ 解決方法1(起動オプションを追加)
- 2025年現在、最も確実な方法
- デスクトップショートカットから起動
- 完全版のオプションを使用
特定のサイトだけ動作させたい場合:
→ 解決方法3(設定で例外サイトを追加)
- Chrome 108以降で利用可能
- 通常のアイコンから起動できる
- サイトごとに設定
起動オプションを使いたくない場合:
→ 解決方法2(設定変更)+ 解決方法5(別ウィンドウ)
- 組み合わせて使用
- 手軽だが効果は限定的
Chromeで解決しない場合:
→ 解決方法6(Microsoft Edge)または 解決方法7(Firefox)
- 代替ブラウザを使用
- 同じ方法で設定可能
リモートデスクトップ使用時:
→ 起動オプション + ウィンドウを最小化しない
- 追加の設定が必要
- 仮想デスクトップの活用
バックグラウンド動作を有効にすることで、ブラウザゲームの放置プレイやWebアプリの継続使用が快適になります。
ただし、バッテリー消費やリソース使用が増えることを理解した上で、自分の使用状況に合った方法を選んでくださいね。
この記事が、あなたのChrome問題の解決に役立てば嬉しいです!

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