Chrome OSのパーティション構造を徹底解説|安全性の秘密はここにあった

スポンサーリンク
  1. Chrome OSのパーティションって何?なぜ重要なの?
  2. パーティションの基本を理解しよう
    1. パーティションとは
    2. なぜパーティションを分けるのか
  3. Chrome OSの独特なパーティション構造
    1. 二重システムパーティション(A/Bパーティション)
    2. なぜ2つもシステムがあるの?
  4. 主要なパーティションの種類と役割
    1. ステートフルパーティション(STATE)
    2. OEMパーティション
    3. ファームウェアパーティション
    4. リカバリーパーティション
  5. パーティション情報を確認する方法
    1. ストレージ使用状況の確認
    2. ファイルアプリでの確認
    3. 開発者モードでの詳細確認
  6. Chrome OSのパーティションサイズは変更できる?
    1. システムパーティションは固定
    2. ステートフルパーティションの管理
    3. Linux開発環境のサイズ変更は可能
  7. デュアルブートとパーティション
    1. デュアルブートの可能性
    2. Croutonという選択肢
    3. 公式のLinux開発環境で十分
  8. よくある質問と回答
    1. Q1:システムパーティションの容量を減らしてユーザー領域を増やせる?
    2. Q2:アップデート後に容量が減った気がするのはなぜ?
    3. Q3:パーティションが壊れた場合はどうなる?
    4. Q4:外付けストレージのパーティションは変更できる?
    5. Q5:開発者モードでパーティション情報を見るとどうなる?
  9. パーティションとセキュリティの関係
    1. 検証付き起動(Verified Boot)
    2. 読み取り専用のシステムパーティション
    3. ユーザーデータの分離
  10. Powerwashとパーティションの関係
    1. Powerwashで何が起きるか
    2. Powerwash後のストレージ
    3. リカバリーとの違い
  11. まとめ:Chrome OSのパーティション構造の賢さ

Chrome OSのパーティションって何?なぜ重要なの?

Chromebookを使っていて「パーティション」という言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。でも、普段使いでは意識することがほとんどありませんよね。

パーティションとは、簡単に言えば「ストレージ(記憶装置)を区切った部屋」のようなものです。一つの大きなクローゼットをいくつかの引き出しに分けて、それぞれ違う用途で使うイメージに近いでしょう。

Chrome OSは独特のパーティション構造を持っており、これが高い安全性と素早いアップデートを実現しています。「なぜChromebookは起動が速いの?」「アップデートで失敗しないのはなぜ?」という疑問の答えが、実はこのパーティション構造に隠されているんです。

この記事では、Chrome OSのパーティションについて、専門知識がない方でも理解できるように分かりやすく解説していきます。

パーティションの基本を理解しよう

まずは、パーティションとは何かという基本から説明します。

パーティションとは

パーティションは、一つの物理的なストレージ(SSDやハードディスク)を論理的に分割したものです。たとえば、64GBのストレージを持つChromebookがあるとしましょう。

このストレージ全体を一つの塊として使うのではなく、「システム用に10GB」「データ保存用に50GB」「予備用に4GB」というように分けることができます。それぞれの区切られた領域をパーティションと呼びます。

なぜパーティションを分けるのか

パーティションを分ける理由はいくつかあります。

安全性の向上
システムファイルとユーザーデータを別々のパーティションに保存することで、一方に問題が起きてももう一方は守られます。

管理のしやすさ
用途ごとに領域を分けることで、どこに何があるか明確になります。

アップデートの効率化
Chrome OSでは、この仕組みを使って安全で迅速なアップデートを実現しています。

Chrome OSの独特なパーティション構造

Chrome OSは、WindowsやMacとは異なる独特のパーティション構造を持っています。

二重システムパーティション(A/Bパーティション)

Chrome OSの最大の特徴は、同じシステムを2つ持っていることです。これを「A/Bパーティション」と呼びます。

具体的には、以下のようになっています。

  • KERN-A:カーネル(システムの核心部分)A
  • ROOT-A:ルートファイルシステムA
  • KERN-B:カーネルB
  • ROOT-B:ルートファイルシステムB

普段はAのシステムで動いています。アップデートがある時、バックグラウンドでBのシステムに新しいバージョンをダウンロードして準備します。

なぜ2つもシステムがあるの?

この仕組みには大きなメリットがあります。

安全なアップデート
使っていないBシステムにアップデートを適用するため、現在動いているシステムには影響がありません。万が一アップデートに失敗しても、元のAシステムで起動できます。

高速なアップデート適用
アップデート後の再起動時に、単純にBシステムに切り替えるだけです。インストール作業は既に完了しているため、再起動は数秒で完了します。

ロールバック機能
新しいバージョンに問題があった場合、簡単に前のバージョンに戻せます。

これがChromebookのアップデートが安全で素早い理由なのです。

主要なパーティションの種類と役割

Chrome OSには、システムパーティション以外にもいくつかの重要なパーティションがあります。

ステートフルパーティション(STATE)

ステートフルパーティションは、ユーザーのデータや設定を保存する場所です。システムパーティションとは別に存在します。

ここには以下のような情報が保存されています。

  • ユーザーアカウント情報
  • ダウンロードしたファイル
  • アプリのデータ
  • ブラウザのキャッシュや履歴
  • Chrome拡張機能

Powerwash(初期化)を実行すると、このパーティションのデータが消去されます。一方、システムパーティションは影響を受けません。

OEMパーティション

OEMパーティションには、メーカー固有の情報が保存されています。「OEM」とは「Original Equipment Manufacturer」の略で、つまりChromebookを製造したメーカーのことです。

ここには以下のような情報があります。

  • デバイスの識別情報
  • メーカー独自のツールやドライバ
  • ハードウェア固有の設定

通常、ユーザーがこのパーティションを触ることはありません。

ファームウェアパーティション

ファームウェアパーティションには、起動に必要な最も基本的なプログラムが保存されています。BIOSのようなものだと考えてください。

電源を入れた時、最初にこのパーティションのプログラムが動作し、そこからChrome OSを起動します。

リカバリーパーティション

一部のChromebookには、システムを復旧するためのリカバリーパーティションが用意されています。ただし、Chrome OSでは通常、USBメモリを使ったリカバリー方式が主流です。

リカバリーパーティションがない機種でも、Googleの公式ツールを使ってリカバリーメディアを作成できます。

パーティション情報を確認する方法

Chrome OSでパーティション情報を確認する方法をいくつか紹介します。

ストレージ使用状況の確認

一般的なユーザーが知りたいのは、主に「どれくらいストレージを使っているか」でしょう。

  1. 設定を開く(画面右下の時計→歯車マーク)
  2. 「デバイス」をクリック
  3. 「ストレージ管理」を選択

ここでは、全体の容量とユーザーデータがどれくらい使っているかが分かります。

ファイルアプリでの確認

ファイルアプリを開くと、左側に「マイファイル」という項目があります。これがステートフルパーティション(ユーザーデータ領域)です。

ここで使っている容量を確認できますが、システムパーティションの詳細は見られません。

開発者モードでの詳細確認

より詳しくパーティション構造を確認したい場合は、開発者モードに切り替える必要があります。

ただし、開発者モードにすると以下のリスクがあります。

  • すべてのローカルデータが消去される
  • セキュリティ機能が一部無効になる
  • 起動時に警告画面が表示される

一般的なユーザーにはおすすめできません。技術的な興味や開発目的がある場合のみ検討してください。

Chrome OSのパーティションサイズは変更できる?

結論から言うと、一般ユーザーがパーティションサイズを変更することは基本的にできません。

システムパーティションは固定

KERN-AやROOT-Aなどのシステムパーティションは、Chrome OSによって自動的に管理されています。これらのサイズを変更することはできません。

システムパーティションのサイズは、機種やバージョンによって異なりますが、通常は数GB程度です。

ステートフルパーティションの管理

ユーザーデータを保存するステートフルパーティションは、残りの容量をすべて使用します。たとえば64GBのストレージがあり、システムパーティションが合計10GBを使っている場合、残りの54GB程度がユーザーデータ用になります。

このパーティションのサイズを直接変更することはできませんが、不要なファイルを削除すれば空き容量は増やせます。

Linux開発環境のサイズ変更は可能

Chrome OSでLinux開発環境を使っている場合、その仮想ディスクのサイズは変更できます。

設定の「詳細設定」→「デベロッパー」→「Linux開発環境」から、ディスクサイズを調整できる項目があります。ただし、これはパーティションの変更とは少し異なります。

デュアルブートとパーティション

Chrome OS以外のOSも使いたい場合、デュアルブート(複数のOSを切り替えて使う)を検討する方もいるでしょう。

デュアルブートの可能性

技術的には、ChromebookにLinuxやWindowsをインストールすることは可能です。ただし、以下の理由から推奨されません。

  • メーカー保証が無効になる可能性がある
  • セキュリティ機能が無効になる
  • 複雑な手順が必要
  • 失敗するとChromebookが使えなくなるリスクがある

Croutonという選択肢

デュアルブートの代わりに「Crouton」というツールを使えば、Chrome OSとLinuxを同時に実行できます。パーティションを分割する必要がなく、比較的安全です。

ただし、これも開発者モードが必要で、一般ユーザー向けではありません。

公式のLinux開発環境で十分

多くの場合、Chrome OSの公式Linux開発環境(Crostini)で十分な機能が得られます。パーティション変更やデュアルブートのリスクを冒す必要はありません。

設定から簡単に有効化でき、安全にLinuxアプリを使えます。

よくある質問と回答

Chrome OSのパーティションについて、よくある質問をまとめました。

Q1:システムパーティションの容量を減らしてユーザー領域を増やせる?

残念ながらできません。システムパーティションのサイズは固定されており、変更する方法は一般ユーザーには提供されていません。

また、変更しようとすると保証が無効になったり、システムが起動しなくなったりするリスクがあります。

Q2:アップデート後に容量が減った気がするのはなぜ?

アップデート時にA/Bパーティション間でデータが移動するため、一時的に空き容量が変動することがあります。また、新しいシステムは古いシステムより少し大きくなる場合もあります。

ただし、通常は数百MB程度の変化なので、大きく減ることはありません。大幅に減った場合は、キャッシュや一時ファイルが溜まっている可能性があります。

Q3:パーティションが壊れた場合はどうなる?

Chrome OSのパーティション構造は非常に堅牢です。もし一方のシステムパーティションに問題が起きても、もう一方のパーティションから起動できます。

両方のシステムパーティションが壊れることは稀ですが、その場合はリカバリーメディアを使ってシステムを復旧できます。

Q4:外付けストレージのパーティションは変更できる?

外付けUSBメモリやSDカードのパーティションは、通常通り管理できます。Chrome OSのファイルアプリからフォーマットすることも可能です。

ただし、複雑なパーティション操作をしたい場合は、別のパソコンを使った方が簡単でしょう。

Q5:開発者モードでパーティション情報を見るとどうなる?

開発者モードでターミナルを開き、「cgpt show /dev/mmcblk0」などのコマンドを実行すると、すべてのパーティションの詳細情報が表示されます。

KERN-A、ROOT-A、KERN-B、ROOT-B、STATE、OEMなど、12〜15個程度のパーティションが存在することが分かります。

パーティションとセキュリティの関係

Chrome OSのパーティション構造は、セキュリティにも大きく貢献しています。

検証付き起動(Verified Boot)

Chrome OSは起動時に、使用するパーティションが改ざんされていないか検証します。これを「検証付き起動」と呼びます。

もしシステムパーティションが何らかの理由で変更されていた場合、自動的にもう一方のパーティションから起動するか、リカバリーモードに入ります。

読み取り専用のシステムパーティション

システムパーティション(ROOT-AやROOT-B)は読み取り専用です。ユーザーやアプリがシステムファイルを勝手に変更できません。

これにより、マルウェアがシステムに侵入しても、再起動すれば元の安全な状態に戻ります。

ユーザーデータの分離

ユーザーデータは別のパーティション(STATE)に保存されるため、システムアップデートの影響を受けません。

また、問題が起きた場合でも、Powerwashでユーザーデータだけを削除し、システムはそのまま維持できます。

Powerwashとパーティションの関係

Chromebookを初期化する「Powerwash」について、パーティションの観点から説明します。

Powerwashで何が起きるか

Powerwashを実行すると、ステートフルパーティション(STATE)のデータが完全に消去されます。具体的には以下の情報が削除されます。

  • すべてのユーザーアカウント
  • ダウンロードしたファイル
  • インストールしたアプリ
  • ブラウザの設定や履歴
  • Linuxコンテナ

一方、システムパーティション(KERN-A、ROOT-Aなど)には影響がありません。Chrome OSのバージョンは変わらず、そのまま維持されます。

Powerwash後のストレージ

Powerwashを実行すると、ユーザーデータ領域がクリーンになるため、空き容量が大幅に増えます。

「動作が重くなった」「容量が足りない」という場合、Powerwashは効果的な解決策の一つです。ただし、大切なデータは事前にバックアップしておきましょう。

リカバリーとの違い

リカバリーは、システムパーティションも含めて完全に初期状態に戻します。Chrome OSのバージョンも、購入時またはリカバリーメディア作成時のものに戻ります。

Powerwashは「システムはそのまま、データだけ削除」、リカバリーは「すべて初期状態に戻す」と覚えておくと良いでしょう。

まとめ:Chrome OSのパーティション構造の賢さ

Chrome OSのパーティション構造について、理解が深まったでしょうか。

重要なポイントをおさらい

  1. A/Bパーティションシステム:2つのシステムを持つことで、安全で高速なアップデートを実現
  2. 読み取り専用のシステム領域:マルウェアから保護され、常に安全な状態を維持
  3. 分離されたユーザーデータ:システムとデータが別々なので、問題が起きても影響を最小限に
  4. 自動管理:ユーザーが複雑な操作をする必要がない

この独特な設計により、Chromebookは以下の特徴を実現しています。

  • 起動が速い(数秒で起動完了)
  • アップデートが安全(失敗してもロールバック可能)
  • セキュリティが高い(マルウェアが侵入しにくい)
  • メンテナンスが簡単(Powerwashで新品同様に)

普段使いでパーティションを意識することはほとんどありませんが、この賢い設計がChromebookの快適さを支えているのです。

一般的なユーザーは、パーティションの詳細を知る必要はありません。Chrome OSが自動的に最適な状態を保ってくれます。ただし、「なぜChromebookは他のパソコンと違うの?」という疑問の答えは、このパーティション構造にあったんですね!

コメント

タイトルとURLをコピーしました