「Chromebookの動作が重くなった」
「工場出荷状態に戻したい」
「エラーが頻発するのでOSを再インストールしたい」
「中古で購入したので初期化したい」
「起動しなくなったので修復したい」
こんな状況に直面していませんか?
Chromebookを使い続けていると、動作が遅くなったり、不具合が発生したりすることがあります。また、人に譲る前や、中古で購入した後には、完全に初期化したいですよね。
実は、Chrome OSには2種類のクリーンインストール方法があります。簡単な「Powerwash(初期化)」と、完全な「リカバリ(再インストール)」です。それぞれの状況に応じて適切な方法を選べば、Chromebookを新品同様の状態に戻せますよ!
この記事では、Chrome OSのクリーンインストール方法を、初心者でも分かるように詳しく解説していきます。
Chrome OSのクリーンインストールとは?

まず、Chrome OSの初期化について理解しましょう。
2種類のクリーンインストール
1. Powerwash(パワーウォッシュ):
- Chrome OSの標準機能
- 工場出荷状態に戻す
- OSは再インストールされない(既存のOSをリセット)
- 5〜10分で完了
2. リカバリ(完全再インストール):
- USBメモリを使ってOSを完全再インストール
- システムファイルも新しくなる
- 起動しない場合も復旧可能
- 30分〜1時間かかる
どちらを選ぶべき?
Powerwashがおすすめ:
- ✅ 動作が重い
- ✅ 設定をリセットしたい
- ✅ 人に譲る前の初期化
- ✅ Chromebookが正常に起動する
リカバリがおすすめ:
- ✅ Chromebookが起動しない
- ✅ Powerwashで解決しない問題
- ✅ システムファイルが破損
- ✅ OSのアップデートに失敗した
事前準備:必ずバックアップを取る
クリーンインストール前の重要な準備です。
削除されるデータ
Powerwash・リカバリ共通で削除されるもの:
- ダウンロードフォルダ内のファイル
- ローカルに保存した写真・動画
- Androidアプリとそのデータ
- Linux環境とそのファイル
- ブラウザの拡張機能
- ローカルアカウントの設定
削除されないもの(クラウドに保存):
- Googleドライブのファイル
- Chromeのブックマーク(同期済み)
- Googleフォトの写真・動画
- Gmailのメール
- パスワード(Googleアカウントに同期済み)
バックアップの手順
1. Googleドライブに保存:
- 重要なファイルをGoogleドライブに移動
- ダウンロードフォルダの必要なファイルをアップロード
2. Chrome同期の確認:
- Chrome設定→「同期とGoogleサービス」
- 同期がオンになっているか確認
- ブックマーク、パスワードなどが同期されているか確認
3. Androidアプリのデータ:
- 各アプリのバックアップ機能を利用
- 重要なデータは別途保存
4. Linuxファイルのバックアップ:
- Linuxファイルアプリから必要なファイルをGoogleドライブへ
- または外部ストレージにコピー
【方法1】Powerwash(パワーウォッシュ)で初期化
最も簡単で一般的な方法です。
Powerwashとは?
Powerwash:
Chrome OSを工場出荷状態にリセットする機能。Windowsの「初期化」、Androidの「工場出荷状態にリセット」に相当します。
特徴:
- Chromebook本体の機能で実行
- USBメモリなど不要
- 5〜10分で完了
- ローカルデータのみ削除
設定からPowerwash(通常の方法)
手順:
- Chromebookの「設定」を開く
- 画面右下の時刻をクリック→歯車アイコン
- 左側のメニューから「詳細設定」を展開
- 「デバイス」をクリック
- 下にスクロールして「Powerwash」セクションを探す
- 「Powerwash」をクリック
- 確認画面で「再起動」をクリック
- ログイン画面が表示される
- 「Powerwash」または「リセット」をクリック
- 確認画面で「続行」
- Powerwashが開始される
所要時間:
5〜10分程度
ログイン画面からPowerwash
Chromebookが起動する場合の別の方法:
- Chromebookのログイン画面を表示
Ctrl + Alt + Shift + Rを同時に押す- 「Powerwash」ダイアログが表示される
- 「再起動」をクリック
- 「Powerwash」をクリック
- 確認して「続行」
メリット:
- ログインせずに実行可能
- パスワードを忘れた場合でも実行できる
Powerwash完了後の初期設定
手順:
- Chromebookが再起動される
- 言語とキーボードレイアウトを選択
- WiFiネットワークに接続
- Googleアカウントでログイン
- 利用規約に同意
- Chromebookが使用可能になる
自動的に復元されるもの:
- Chromeのブックマーク
- 拡張機能(再ダウンロード)
- Googleドライブのファイル
- 各種Googleサービスの設定
【方法2】リカバリメディアで完全再インストール
USBメモリを使ってOSを完全に再インストールします。
リカバリが必要な場合
以下の状況でリカバリを使用:
- Chromebookが起動しない
- 「Chrome OSが見つかりません」と表示される
- Powerwashで解決しない深刻な問題
- OSのアップデートに失敗
- システムファイルの破損
必要なもの
準備するもの:
- USBメモリ(8GB以上推奨、16GB推奨)
- 別のパソコン(Windows、Mac、ChromebookまたはLinux)
- インターネット接続
注意:
USBメモリ内のデータは全て削除されます。
リカバリUSBの作成方法
別のPCでリカバリメディアを作成します。
Chromebook リカバリ ユーティリティのインストール
Windows・Mac・Chrome OS共通:
- Chromeブラウザを開く
- Chrome ウェブストアにアクセス
- 「Chromebook リカバリ ユーティリティ」を検索
- 「Chromeに追加」をクリック
- インストール完了
リカバリUSBの作成手順
手順:
- USBメモリをPCに接続
- Chromeで「Chromebook リカバリ ユーティリティ」を開く
- Chromeのアプリランチャーまたは拡張機能から
- 「開始」をクリック
- Chromebookのモデルを選択:
- 方法1: リストから選択
- 方法2: モデル番号を入力(Chromebook底面のシールに記載)
- 「続行」をクリック
- 接続したUSBメモリを選択
- 「続行」をクリック
- 警告を確認して「今すぐ作成」
- リカバリイメージのダウンロードが開始
- 所要時間:15〜30分(インターネット速度による)
- ダウンロード完了後、USBメモリへの書き込みが自動で開始
- 「リカバリメディアの作成が完了しました」と表示されたら完了
- USBメモリを安全に取り外す
モデル番号の確認方法
Chromebookのモデル番号:
- 底面のシールに記載
- または設定→「Chrome OSについて」→「詳細情報」で確認
例:
- Acer Chromebook R11 (C738T)
- HP Chromebook 14 G5
- ASUS Chromebook Flip C302
リカバリUSBを使ってChrome OSを再インストール

作成したリカバリメディアでインストールします。
リカバリモードで起動
手順:
- Chromebookの電源を切る
- 作成したリカバリUSBメモリを挿入
- 以下のキーの組み合わせでリカバリモードを起動:
一般的な方法:
Esc + リフレッシュキー(F3)を押しながら、電源ボタンを押す
リフレッシュキーの位置:
- キーボード上部、円形の矢印アイコン
- F3の位置(Chromebookによって異なる)
- 画面に「Chrome OSが見つかりません」または「リカバリメディアを挿入してください」と表示される
- USBメモリが認識される
- 自動的にリカバリが開始
リカバリの実行
手順:
- 「リカバリメディアから復元しています」と表示される
- 進行状況バーが表示される
- 所要時間:10〜30分
- 「システムの復元が完了しました」と表示される
- 画面の指示に従ってUSBメモリを取り外す
- Chromebookが自動的に再起動
初期設定
Powerwash後と同様の初期設定を行います:
- 言語とキーボードレイアウトを選択
- WiFiに接続
- Googleアカウントでログイン
- 利用規約に同意
- 完了
【方法3】Chrome OS Flexのインストール(別のPCに)
古いWindowsやMacにChrome OS Flexをインストールします。
Chrome OS Flexとは?
Chrome OS Flex:
Googleが提供する、古いPCをChromebook化できる無料のOS。
特徴:
- 古いPC・Macを再利用
- 無料で使用可能
- Chrome OSとほぼ同じ機能
- 軽量で高速
対象:
- 2010年以降のPC・Mac
- 最低4GB RAM、16GBストレージ
Chrome OS Flex USBの作成
手順:
- Chromeブラウザで「Chromebook リカバリ ユーティリティ」を開く
- 右上の設定アイコン(歯車)をクリック
- 「Use local image」を選択
- Chrome OS Flexのイメージファイルをダウンロード
- https://chromeenterprise.google/os/chromeosflex/
- ダウンロードしたファイルを選択
- USBメモリに書き込み
または:
Chrome OS Flex公式サイトから専用のUSB作成ツールを使用。
Chrome OS Flexのインストール
手順:
- USBメモリをPCに挿入
- PCをUSBから起動(BIOS/UEFIで起動順序を変更)
- Chrome OS Flexが起動
- 「試用版」または「インストール」を選択
- インストールを選択すると、PC内のデータが全て削除される
- 確認して「インストール」
- 完了後、再起動
トラブルシューティング
よくある問題と対処法です。
問題1: Powerwashが完了しない
原因:
- ストレージの破損
- システムファイルの問題
対処:
- 電源ボタン長押しで強制終了
- 再度Powerwashを試す
- ダメならリカバリメディアを使用
問題2: リカバリUSBが認識されない
原因:
- USBメモリの不良
- リカバリメディアの作成失敗
- USBポートの問題
対処:
- 別のUSBメモリで再作成
- 別のUSBポートに接続
- USBメモリのフォーマットを確認
問題3: 「Chrome OSが見つかりません」から進まない
原因:
- リカバリメディアが正しく作成されていない
- ストレージの深刻な破損
対処:
- リカバリメディアを再作成
- 別のUSBメモリを使用
- 正しいモデルのイメージか確認
問題4: リカバリモードに入れない
原因:
- キーの組み合わせが間違っている
- ハードウェアの問題
対処:
- キーの組み合わせを再確認
- 機種によって異なる場合がある
- メーカーの公式サポートページを確認
問題5: インストール後もエラーが出る
原因:
- ハードウェアの故障
- 互換性の問題
対処:
- もう一度リカバリを実行
- ハードウェア診断を実行
- メーカーのサポートに連絡
Chromebookのハードウェア診断
リカバリ前後でハードウェアをチェックします。
診断の実行方法
手順:
- Chromebookの電源を切る
Esc + リフレッシュキー(F3)を押しながら電源ボタン- リカバリ画面が表示される
Ctrl + Dを押す(デベロッパーモードではなく、診断用)
- または画面の指示に従う
- ハードウェア診断が開始
- CPU、メモリ、ストレージなどをテスト
- 結果を確認
診断できる項目:
- CPU
- メモリ(RAM)
- ストレージ(SSD/eMMC)
- バッテリー
- キーボード
- タッチパッド
よくある質問と回答
Q1: Powerwashとリカバリの違いは?
A: 初期化の深さが異なります。
Powerwash:
- ローカルデータのみ削除
- OSはそのまま
- 5〜10分
リカバリ:
- OSを完全に再インストール
- システムファイルも新しくなる
- 30分〜1時間
推奨:
まずPowerwashを試し、解決しなければリカバリ。
Q2: Googleドライブのデータは消える?
A: いいえ、消えません。
クラウドのデータ:
- Googleドライブ
- Googleフォト
- Gmail
- Chromeのブックマーク(同期済み)
これらは全て保持されます。
削除されるもの:
ローカルに保存したファイルのみ。
Q3: Androidアプリは再インストールが必要?
A: はい、必要です。
手順:
- Powerwash/リカバリ後、Googleアカウントでログイン
- Playストアから再インストール
- アプリのデータは各アプリのバックアップ機能次第
Q4: 作業時間はどれくらい?
A: 方法によって異なります。
Powerwash:
- 実行時間:5〜10分
- 初期設定:5〜10分
- 合計:約15〜20分
リカバリ:
- USBメモリ作成:20〜40分
- リカバリ実行:10〜30分
- 初期設定:5〜10分
- 合計:約40分〜1時間20分
Q5: 中古で購入、前のユーザーのアカウントが残っている
A: Powerwashで完全に削除できます。
手順:
- 前のユーザーのアカウントでログイン(できない場合は次へ)
- ログインせずに
Ctrl + Alt + Shift + RでPowerwash - 完了後、自分のGoogleアカウントでセットアップ
企業管理デバイスの場合:
管理者による制限がかかっている場合があります。販売元に確認してください。
Q6: Linuxアプリはどうなる?
A: 削除されます。
復元方法:
- Powerwash/リカバリ後、Linuxを再度有効化
- 設定→「詳細設定」→「デベロッパー」→「Linux開発環境」
- 必要なアプリを再インストール
バックアップ:
重要なLinuxファイルは事前にGoogleドライブへ。
クリーンインストール後の推奨設定

初期化後にやっておきたいことです。
1. Chromeの同期を確認
手順:
- 設定→「同期とGoogleサービス」
- 同期がオンになっているか確認
- ブックマーク、パスワードなどが復元されているか確認
2. アップデートの確認
手順:
- 設定→「Chrome OSについて」
- 「アップデートを確認」
- 最新版にアップデート
3. よく使うアプリのインストール
推奨:
- Androidアプリ(Playストア)
- 拡張機能(Chrome ウェブストア)
- Linuxアプリ(必要に応じて)
4. セキュリティ設定
推奨:
- 画面ロックの設定
- 2段階認証の確認
- 自動ロックの時間設定
5. 外部ストレージの再接続
手順:
- 外付けHDD、SDカードなどを再接続
- Googleドライブのオフライン設定
まとめ: 状況に応じた方法でChrome OSをクリーンインストールしよう
Chrome OSのクリーンインストール方法を詳しく解説しました。
3つの方法の比較:
| 方法 | 所要時間 | 難易度 | おすすめ状況 |
|---|---|---|---|
| Powerwash | 15〜20分 | ★☆☆ | 通常の初期化、動作が重い |
| リカバリ | 40分〜1時間 | ★★☆ | 起動しない、深刻な問題 |
| Chrome OS Flex | 1〜2時間 | ★★★ | 古いPCの再利用 |
状況別のおすすめ方法:
動作が重い、設定をリセット:
→ ✅ Powerwash(最も簡単)
起動しない、深刻なエラー:
→ ✅ リカバリ(USBメモリ使用)
古いWindows/MacをChromebook化:
→ ✅ Chrome OS Flex
作業の流れ:
Powerwashの場合:
- ✅ バックアップを取る(Googleドライブ)
- ✅ 設定→デバイス→Powerwash
- ✅ 初期設定(15〜20分)
リカバリの場合:
- ✅ バックアップを取る
- ✅ 別のPCでリカバリUSBを作成(20〜40分)
- ✅ Chromebookをリカバリモードで起動
- ✅ USBメモリから復元(10〜30分)
- ✅ 初期設定
重要なポイント:
- 必ずバックアップを取る – ローカルデータは全て削除される
- Googleドライブのデータは保持される
- Powerwashで解決しなければリカバリ
- リカバリUSBは正しいモデルを選択
- Chrome OS Flexは古いPCの再活用に最適
バックアップの確認項目:
必須:
- ✅ ダウンロードフォルダの重要ファイル
- ✅ Linuxファイル(使用している場合)
- ✅ Androidアプリのデータ
- ✅ Chrome同期の確認
自動的に保持されるもの:
- ✅ Googleドライブのファイル
- ✅ Chromeのブックマーク(同期済み)
- ✅ Googleフォトの写真
- ✅ パスワード(同期済み)
Chrome OSのクリーンインストールは、適切な方法を選べば誰でも簡単に実行できます。
Chromebookの調子が悪い時は、まずPowerwashを試してみましょう。それで解決しない場合や、起動しない場合は、リカバリメディアを使った完全再インストールを行います。どちらの方法も、この記事の手順に従えば確実に実行できますよ!
この記事は2025年11月時点の情報に基づいています

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