Chromeの設定画面を開いたら、「組織によって管理されています」「お使いのブラウザは組織によって管理されています」というメッセージが表示されて驚いたことはありませんか?
「会社のパソコンじゃないのに…」「誰が管理してるの?」「ウイルスかも?」と不安になりますよね。実は、このメッセージが表示される理由はいくつかあって、必ずしも危険というわけではありません。
この記事では、「組織によって管理されています」が表示される原因から、確認方法、削除方法までを詳しく解説していきます。自分の状況に合った対処法を見つけましょう!
「組織によって管理されています」とは?基本を理解しよう
このメッセージの意味
「組織によって管理されています」とは、Chromeの一部の設定が、外部から制御されている状態を示すメッセージです。
英語では「Managed by your organization」と表示されます。組織(会社や学校など)または何らかのプログラムが、Chromeの設定を管理していることを意味するんです。
表示される場所:
- 設定画面の一番下
- メニュー(︙)を開いたとき
- 拡張機能の管理画面
管理される項目の例
組織によって管理されている場合、以下のような設定が制御されることがあります:
よく管理される設定:
- ホームページやスタートページ
- 検索エンジン
- 拡張機能のインストール制限
- プライバシー設定
- セキュリティ設定
- 特定のサイトへのアクセス制限
- ブックマークの強制追加
すべてが管理されているわけではなく、特定の項目だけが制御されていることが多いです。
正常なケースと異常なケース
このメッセージは、必ずしも問題があるわけではありません。
正常なケース(問題なし):
- 会社から支給されたパソコン
- 学校のコンピュータ室のパソコン
- セキュリティソフトがChromeを保護している
- 合法的な管理ソフトをインストールしている
異常なケース(要注意):
- 個人のパソコンなのに表示される
- 身に覚えのない管理
- 怪しいソフトをインストールした後に表示
- 検索エンジンが勝手に変更された
自分の状況がどちらか、まず確認することが重要ですね。
管理されている内容を確認する方法
まず、何が管理されているのか確認しましょう。
ポリシーページで詳細を確認
手順:
- Chromeのアドレスバーに以下を入力:
chrome://policy/
- Enterキーを押す
- 管理ポリシーの一覧が表示される
このページで、どのような管理設定が適用されているか、詳細を確認できます。
ページの見方:
「ポリシーがありません」と表示:
- 実際には管理されていない
- 拡張機能が原因の可能性
ポリシーの一覧が表示:
- それぞれの設定名と値が表示される
- 「ソース」の欄で、誰が設定したかわかる
ソースの種類:
- Enterprise policy – 企業や組織の管理者が設定
- Cloud policy – クラウドから設定
- Extension – 拡張機能が設定
- Platform – OS(Windows、Mac)レベルの設定
具体的な管理内容を理解する
ポリシーページで表示される代表的な項目を紹介します。
HomepageLocation:
ホームページのURLが指定されている
DefaultSearchProviderSearchURL:
デフォルト検索エンジンが固定されている
ExtensionInstallBlacklist / Whitelist:
インストールできる拡張機能が制限されている
BookmarkBarEnabled:
ブックマークバーの表示が強制されている
PasswordManagerEnabled:
パスワード保存機能の有効/無効が固定
これらの設定が自分の意図と合っているか確認しましょう。
「組織によって管理されています」が表示される5つの原因
なぜこのメッセージが表示されるのか、主な原因を見ていきます。
原因1: 会社や学校の管理下にあるパソコン
最も一般的な原因です。
企業や学校から支給されたパソコンでは、IT部門がセキュリティやコンプライアンスのためにChromeを管理していることが多いです。
この場合の対処:
これは正常な状態なので、削除する必要はありません。むしろ、勝手に解除しようとすると、会社のルール違反になる可能性があります。
確認方法:
- 会社や学校から支給されたパソコンか
- IT部門から「管理されている」と説明を受けたか
- 他の同僚・同級生のパソコンも同じか
心配なら、IT部門に確認しましょう。
原因2: セキュリティソフトやウイルス対策ソフト
ウイルス対策ソフトがChromeを保護するために、ポリシーを設定していることがあります。
該当する可能性のあるソフト:
- カスペルスキー
- アバスト
- AVG
- マカフィー
- ノートン
これらのソフトは、危険なサイトへのアクセスをブロックしたり、悪意のある拡張機能をブロックしたりするために、Chromeを「管理」することがあるんです。
この場合の対処:
セキュリティ保護が目的なので、基本的には問題ありません。気になる場合は、ソフトの設定を確認しましょう。
原因3: 怪しい拡張機能やマルウェア
要注意のケースです。
知らないうちにインストールされた悪意のある拡張機能が、Chromeを管理していることがあります。
症状:
- 検索エンジンが勝手に変更される
- 広告が大量に表示される
- 知らないホームページに変わる
- 個人情報を求められる
この場合の対処:
すぐに削除する必要があります。後述の削除方法を試してください。
原因4: リモート管理ソフト
TeamViewerやAnyDeskなどのリモート管理ソフトを使っていると、ポリシーが設定されることがあります。
該当するソフト:
- TeamViewer
- AnyDesk
- Chrome Remote Desktop
- LogMeIn
これらは正当なソフトなので、基本的には問題ありません。
原因5: Windowsのグループポリシー
Windows自体の設定で、Chromeが管理されていることもあります。
該当するケース:
- Windows Proエディション以上を使用
- 会社のドメインに参加している
- 管理者がグループポリシーを設定している
この場合、Windows側の設定を変更する必要があります。
「組織によって管理されています」を削除する方法
自分のパソコンで、この管理を解除したい場合の方法を紹介します。
重要な注意:
会社や学校のパソコンの場合、勝手に解除しないでください。IT部門の許可を取りましょう。
方法1: 怪しい拡張機能を削除
手順:
- アドレスバーに以下を入力:
chrome://extensions/
- インストール済みの拡張機能を確認
- 身に覚えのない拡張機能を探す
- 怪しいものを「削除」
怪しい拡張機能の特徴:
- インストールした覚えがない
- 名前が意味不明
- 評価が低い、またはレビューがない
- 提供元が不明
- 最近インストールされたもの
すべて削除した後、Chromeを再起動して確認しましょう。
方法2: レジストリを確認・削除(Windows上級者向け)
Windowsのレジストリに、管理ポリシーが設定されていることがあります。
警告: レジストリの編集は慎重に!誤った操作はシステムに深刻な影響を与える可能性があります。
手順:
- Win + Rキーを押す
- 「regedit」と入力してEnter
- 以下のパスに移動:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Google\Chrome
または
HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Policies\Google\Chrome
- 「Chrome」フォルダがあれば、中身を確認
- 身に覚えのないポリシーがあれば、バックアップを取ってから削除
安全な方法:
不安な場合は、「Chrome」フォルダ全体を削除するのではなく、フォルダ名を「Chrome_old」などに変更してみましょう。問題があれば元に戻せます。
方法3: Chromeポリシーファイルを削除(Mac)
Macでは、ポリシーファイルが原因のことがあります。
手順:
- Finderで「移動」→「フォルダへ移動」
- 以下のパスを入力:
/Library/Managed Preferences/
- 「com.google.Chrome.plist」ファイルを探す
- あれば、デスクトップに移動(削除ではなく移動)
- Chromeを再起動
問題が解決すれば、そのファイルは不要です。解決しなければ、元の場所に戻しましょう。
方法4: Chromeの設定をリセット
すべての設定を初期化する方法です。
手順:
- 設定画面を開く
- 一番下までスクロール
- 「詳細設定」をクリック
- 「リセットとクリーンアップ」を選択
- 「設定を元の既定値に戻す」をクリック
- 確認画面で「設定のリセット」を選択
リセットされるもの:
- スタートページ
- タブページ
- 検索エンジン
- 固定されたタブ
- 拡張機能(無効化されるが削除はされない)
残るもの:
- ブックマーク
- 履歴
- 保存されたパスワード
方法5: Chromeを完全に再インストール
最終手段として、Chromeを完全に削除して再インストールします。
手順:
- Googleアカウントで同期をオン(データ保護)
- Chromeをアンインストール
- Windows: 設定 → アプリ → Google Chrome → アンインストール
- Mac: アプリケーションフォルダからゴミ箱へ
- ユーザーデータも削除(完全削除の場合):
- Windows:
C:\Users\(ユーザー名)\AppData\Local\Google\Chrome\ - Mac:
~/Library/Application Support/Google/Chrome/
- パソコンを再起動
- 公式サイト(google.com/chrome)から最新版をダウンロード
- インストール
同期していれば、ブックマークなどは自動的に復元されます。
セキュリティリスクの確認
「組織によって管理されています」が悪意のあるものかどうか、チェックしましょう。
危険なサインをチェック
以下の症状がある場合、マルウェアの可能性があります:
☑ 検索結果が変
- 検索しても変なサイトに飛ばされる
- 広告だらけのページが開く
☑ ホームページが勝手に変わる
- 知らない検索エンジンになっている
- 変更しても元に戻ってしまう
☑ 広告が異常に多い
- どのページを見ても広告が表示される
- ポップアップが頻繁に出る
☑ 新しいタブに広告が表示
- 新しいタブを開くと、広告ページが開く
☑ パソコンの動作が遅い
- 急に重くなった
- ファンの音がうるさくなった
☑ 不明な拡張機能がある
- インストールした覚えのない拡張機能
- 削除してもすぐに復活する
これらに当てはまる場合、マルウェアの可能性が高いです。
マルウェアの場合の対処
手順:
- インターネットを切断(Wi-Fiをオフ)
- セーフモードで起動
- Windows: 再起動時にShiftキーを押しながら
- Mac: 起動時にShiftキーを押し続ける
- ウイルススキャンを実行
- Windows Defenderまたはインストール済みのセキュリティソフト
- 不審なプログラムをアンインストール
- コントロールパネル → プログラムと機能
- 最近インストールされた不明なソフトを削除
- Chromeをクリーンアップ
- 設定 → 「リセットとクリーンアップ」
- 「パソコンのクリーンアップ」を実行
- Chromeをリセット
それでも解決しない場合は、専門家に相談することをおすすめします。
会社・学校のパソコンでの対応
組織のパソコンの場合、特別な注意が必要です。
削除しても良いか確認する
絶対に確認すべきこと:
- IT部門に問い合わせる
- 「管理されているのは正常ですか?」
- 「削除しても問題ありませんか?」
- 就業規則を確認
- 勝手に設定変更が禁止されていないか
- セキュリティポリシーに違反しないか
- 同僚に聞く
- 他の人も同じ表示が出ているか
勝手に削除してはいけない理由:
- セキュリティ保護が無効になる
- 会社のルール違反になる
- システムログに記録され、警告される可能性
- 重要なポリシーを破壊してしまう
個人利用が制限されている場合
会社のパソコンで個人的なブラウジングをしたい場合は、以下の対応がおすすめです:
対応策:
- 別のブラウザを使う
- Firefox、Edgeなど(許可されていれば)
- スマホを使う
- 個人のスマホで閲覧
- 会社のポリシーに従う
- 業務用と割り切る
プライバシーが気になる場合は、会社のパソコンでは業務のみ、個人的なことは自分のデバイスで、という使い分けが安全ですね。
よくある質問と回答
Q1: 「組織によって管理されています」は必ず削除すべき?
A: いいえ、必ずしも削除する必要はありません。
会社や学校のパソコン、またはセキュリティソフトが管理している場合は、正常な状態です。個人のパソコンで身に覚えがない場合のみ、確認して削除を検討しましょう。
Q2: 削除したのにまた表示される
A: 管理の元となるプログラムが残っている可能性があります。
対処法:
- 拡張機能を再確認(新しいものが追加されていないか)
- レジストリ(Windows)やポリシーファイル(Mac)を再確認
- 最近インストールしたプログラムを確認
- マルウェアスキャンを実行
根本原因を見つけて削除する必要がありますね。
Q3: chrome://policy/ で「ポリシーがありません」と表示されるのに、メッセージが出る
A: 拡張機能が原因の可能性が高いです。
一部の拡張機能は、ポリシーページに表示されない方法で管理を行うことがあります。すべての拡張機能を一時的に無効化して、メッセージが消えるか確認してみましょう。
Q4: 会社のパソコンで管理を解除してもバレない?
A: バレる可能性が非常に高いです。
企業のIT部門は、管理ポリシーの変更を監視していることが多いです。ログに記録され、セキュリティチームに通知されることもあります。勝手に解除するのは避けましょう。
Q5: Macで管理ファイルが見つからない
A: 隠しファイルになっている可能性があります。
Finderで ⌘ + Shift + .(ドット)を押すと、隠しファイルが表示されます。それでも見つからなければ、他の原因(拡張機能など)を疑いましょう。
まとめ:「組織によって管理されています」は冷静に対処しよう!
「組織によって管理されています」というメッセージは、必ずしも危険ではありませんが、自分の状況を確認することが大切です。
確認すべきこと:
- どこのパソコンか
- 会社/学校 → 正常(削除不要)
- 個人のパソコン → 原因を確認
- chrome://policy/ で詳細確認
- どんな管理がされているか
- ソースは何か
- 怪しい症状がないか
- 検索エンジンが変わった
- 広告が多い
- 動作が遅い
削除方法(個人のパソコンの場合):
- 拡張機能を確認・削除
- レジストリ(Windows)やポリシーファイル(Mac)を削除
- Chromeの設定をリセット
- 完全再インストール
会社・学校のパソコンの場合:
- 勝手に削除しない
- IT部門に確認
- 就業規則を守る
セキュリティリスクがある場合:
- インターネットを切断
- ウイルススキャン実行
- 不審なプログラム削除
- 専門家に相談
重要なポイント:
- 管理されている=危険、とは限らない
- 自分の状況をまず確認
- 会社のパソコンでは特に慎重に
- マルウェアの可能性があれば即対処
予防策:
- 信頼できないサイトからソフトをダウンロードしない
- 拡張機能は公式ストアから
- 定期的にウイルススキャン
- 不要なソフトはインストールしない
「組織によって管理されています」と表示されても、焦る必要はありません。この記事の手順に従って、冷静に原因を確認して対処しましょう。
自分で解決できない場合や、マルウェアの疑いがある場合は、専門家やIT部門に相談するのが安全ですよ!


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