ウェブ開発やCMS(WordPressなど)の導入時、「いま使っているPHPのバージョンは何だろう?」と思ったことはありませんか?
PHPバージョン確認が重要な理由:
- アプリケーションの動作確認:WordPressやLaravelなどは推奨PHPバージョンがある
- セキュリティ対策:古いバージョンは脆弱性のリスクがある
- 新機能の利用:新しいPHP機能を使えるかどうかの判断
- 開発環境の統一:チーム開発で環境を合わせる必要がある
PHPはバージョンごとに対応機能が大きく異なるため、開発環境やアプリケーションの動作に大きく影響します。
この記事では、Windows / macOS / LinuxでのPHPバージョン確認方法を丁寧に解説し、さらにサーバー上での確認方法やバージョン管理の注意点までをカバーします。
第1章:コマンドラインでPHPのバージョンを確認する方法

最も基本的な確認方法
php -v
このコマンドをターミナルやコマンドプロンプトで入力すると、次のようにバージョン情報が表示されます:
正常な場合の出力例:
PHP 8.3.6 (cli) (built: May 1 2025 12:34:56) ( NTS )
Copyright (c) The PHP Group
Zend Engine v4.3.6, Copyright (c) Zend Technologies
with Zend OPcache v8.3.6, Copyright (c) The PHP Group
出力の読み方:
- PHP 8.3.6 :PHPのバージョン番号
- (cli) :コマンドライン版であることを示す
- built: May 1 2025 :コンパイル日時
- Zend Engine :PHPエンジンのバージョン
各OSごとの詳細手順
Windowsの場合
方法1:コマンドプロンプトを使用
Windows + R
を押すcmd
と入力してEnterphp -v
を実行
方法2:PowerShellを使用
Windows + X
を押す- 「Windows PowerShell」を選択
php -v
を実行
PHPが見つからない場合:
'php' は、内部コマンドまたは外部コマンド、
操作可能なプログラムまたはバッチ ファイルとして認識されていません。
解決方法:
- PHPがインストールされていない
- 環境変数PATHにPHPのパスが設定されていない
Mac(macOS)の場合
ターミナルの開き方:
Cmd + Space
でSpotlight検索- 「ターミナル」と入力してEnter
基本的な確認:
php -v
Homebrewでインストールしている場合:
# インストール済みのPHPバージョンを確認
brew list | grep php
# 利用可能なPHPバージョンを確認
brew search php
# 特定バージョンの詳細確認
brew info php@8.2
複数バージョンがある場合:
# 現在アクティブなPHP
which php
# 全てのPHPバージョンの場所
ls -la /opt/homebrew/bin/php*
Linux(Ubuntu/CentOS)の場合
Ubuntuの場合:
# 基本確認
php -v
# インストール済みパッケージ確認
dpkg -l | grep php
# 利用可能なPHPバージョン
apt list --installed | grep php
CentOS/RHELの場合:
# 基本確認
php -v
# インストール済みパッケージ確認
rpm -qa | grep php
# yumでの確認
yum list installed | grep php
複数バージョンがインストールされている場合:
# 現在の設定確認
update-alternatives --display php
# 利用可能なバージョン一覧
ls /usr/bin/php*
より詳細な情報を確認する方法
PHPの設定ファイル(php.ini)の場所を確認:
php --ini
インストールされている拡張機能を確認:
php -m
特定の拡張機能があるかチェック:
php -m | grep mysqli
php -m | grep curl
第2章:Webサーバー上でPHPバージョンを確認する
phpinfo()を使った確認方法
1. phpinfoファイルの作成
任意のフォルダに info.php
という名前で以下の内容を保存:
<?php
phpinfo();
?>
2. Webサーバーでアクセス
ローカル開発環境の場合:
http://localhost/info.php
![]()
404 Not Found
本番サーバーの場合:
https://yourdomain.com/info.php
3. 表示内容の見方
phpinfo()画面で確認できる重要な情報:
- PHP Version :PHPのバージョン
- System :動作しているOS
- Server API :WebサーバーとのAPI(mod_php、CGI、FPMなど)
- Configuration File (php.ini) Path :設定ファイルの場所
- Loaded Extensions :読み込まれている拡張機能
バージョンのみを簡単に確認する方法
軽量版のinfo.php:
<?php
echo 'PHP Version: ' . phpversion();
?>
JSON形式で出力:
<?php
header('Content-Type: application/json');
echo json_encode([
'php_version' => phpversion(),
'php_sapi' => php_sapi_name(),
'server_software' => $_SERVER['SERVER_SOFTWARE'] ?? 'Unknown'
]);
?>
WordPress管理画面からの確認
WordPressが導入済みの場合:
- WordPressの管理画面にログイン
- ツール → サイトヘルス → 情報
- サーバーセクションを展開
- PHPバージョンの項目を確認
ダッシュボードで確認:
- ダッシュボード → 概要
- 一目でわかる情報ウィジェットに表示される場合がある
レンタルサーバーでの確認方法
エックスサーバーの場合:
- サーバーパネルにログイン
- PHP → PHPバージョン設定
ロリポップの場合:
- ユーザー専用ページにログイン
- サーバーの管理・設定 → PHP設定
さくらインターネットの場合:
- サーバコントロールパネルにログイン
- スクリプト設定 → 言語のバージョン設定
第3章:複数のPHPバージョンがある場合の確認と切り替え

Linux系での複数バージョン管理
Ubuntu/Debianでの確認:
# インストール済みのPHPバージョン確認
update-alternatives --list php
# 現在の設定確認
update-alternatives --display php
# バージョン切り替え(対話式)
sudo update-alternatives --config php
手動でのバージョン指定:
# PHP 8.1を使用
/usr/bin/php8.1 -v
# PHP 8.2を使用
/usr/bin/php8.2 -v
Macでの複数バージョン管理(Homebrew)
インストール済みバージョンの確認:
brew list | grep php
brew services list | grep php
バージョンの切り替え:
# 現在のリンクを解除
brew unlink php
# 特定バージョンをリンク
brew link --overwrite --force php@8.2
# 確認
php -v
which php
パス設定の確認:
echo $PATH | grep php
Windowsでの複数バージョン管理
XAMPP使用時:
# XAMPPのPHPバージョン確認
C:\xampp\php\php.exe -v
# 異なるXAMPPバージョンがある場合
C:\xampp81\php\php.exe -v
C:\xampp82\php\php.exe -v
Laragon使用時:
- Laragonのメニューから簡単にバージョン切り替え可能
C:\laragon\bin\php\php-8.x.x\php.exe -v
で個別確認
WAMP使用時:
- WAMPのメニューバーからPHPバージョン変更
C:\wamp64\bin\php\php8.x.x\php.exe -v
で確認
Docker環境での確認
Dockerコンテナ内でのPHP確認:
# コンテナに入る
docker exec -it container_name bash
# PHPバージョン確認
php -v
# 複数のPHPバージョンを確認
docker run --rm php:8.1 php -v
docker run --rm php:8.2 php -v
docker run --rm php:8.3 php -v
第4章:PHPバージョン確認時の注意点とトラブルシューティング

重要な注意点
1. CLIとWebサーバーで異なるバージョンが使われる場合
確認方法:
# CLI版確認
php -v
# Web版確認(phpinfo.phpファイル作成してブラウザでアクセス)
よくある原因:
- CLIはPATH設定に依存
- WebサーバーはApacheやNginxの設定に依存
- 異なるインストール方法(パッケージ vs Homebrew vs コンパイル)
2. phpinfo()のセキュリティリスク
含まれる機密情報:
- サーバーのパス情報
- データベースの設定情報
- システム環境変数
- セキュリティ関連の設定
安全な使用方法:
<?php
// 本番環境では管理者IPのみアクセス可能にする
$allowed_ips = ['127.0.0.1', '192.168.1.100'];
if (!in_array($_SERVER['REMOTE_ADDR'], $allowed_ips)) {
die('Access denied');
}
phpinfo();
?>
よくある問題と解決方法
Q1: php: command not found
エラーが出る
原因: PHPがインストールされていない、またはPATHが通っていない
解決方法:
# Ubuntuの場合
sudo apt update
sudo apt install php
# CentOSの場合
sudo yum install php
# Macの場合
brew install php
# Windows環境変数PATH設定確認
echo $env:PATH
Q2: CLIとWebで異なるバージョンが表示される
確認手順:
# CLI版のPHP場所
which php
# Web版のPHP設定確認(phpinfo()で)
# Server API と Configuration File Path を確認
解決方法:
- WebサーバーのPHP設定を確認
- 必要に応じてWebサーバーを再起動
Q3: XAMPPやMAMPでバージョンが確認できない
XAMPP:
# Windows
C:\xampp\php\php.exe -v
# Mac
/Applications/XAMPP/xamppfiles/bin/php -v
MAMP:
/Applications/MAMP/bin/php/php8.2.0/bin/php -v
Q4: Composerとの互換性問題
確認方法:
composer diagnose
composer show --platform
対処法:
- 適切なPHPバージョンでComposerを実行
- composer.jsonの platform設定を確認
バージョンアップ時の注意事項
事前確認事項:
- 現在のアプリケーションの対応状況確認
- 依存関係の互換性チェック
- バックアップの作成
- テスト環境での動作確認
段階的アップグレード:
# 現在のバージョン確認
php -v
# アプリケーションの互換性確認
composer check-platform-reqs
# 新バージョンのテストインストール
# 本格導入前に必ずテスト環境で確認
まとめ
PHPバージョンの確認は、システムの安定性やアプリケーションの動作に直結する重要なステップです。
特に複数バージョンが存在する環境では、CLIとWebで別々に確認することがトラブル回避につながります。
本記事の重要ポイント
基本的な確認方法:
php -v
でCLI上のバージョンを確認phpinfo()
でWebサーバー上のバージョン確認- OSや環境ごとの切り替え方法を理解しておく
セキュリティ面:
- phpinfo()ファイルは使用後必ず削除
- 本番環境では特に注意が必要
- 古いPHPバージョンは脆弱性リスクがある
開発環境での注意:
- CLIとWebで異なるバージョンの可能性
- 複数バージョン環境では現在の設定を把握
- アプリケーションの推奨バージョンを確認
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