「外付けHDDを接続したのに、マウントできませんでしたと表示される…」
大切なデータが入っているドライブが突然認識されなくなると、とても不安になりますよね。
「マウントできませんでした」というエラーは、外付けHDD、USBメモリ、SDカード、ISOファイルなど、様々な場面で発生します。しかし、原因を特定すれば、多くの場合は解決できるんです。
この記事では、「マウントできませんでした」エラーが発生する原因と、デバイス別・OS別の具体的な解決方法を詳しく解説していきます。
「マウント」とは何か

まずは、マウントという言葉の意味を理解しておきましょう。
マウントの基本
マウントとは、ストレージデバイス(HDD、USBメモリなど)をコンピュータで使えるようにする処理のことです。
マウントの流れ
- デバイスを接続
- OSがデバイスを認識
- ファイルシステムを読み込む
- アクセス可能な状態になる(マウント完了)
この過程のどこかで問題が起きると、「マウントできませんでした」というエラーが表示されます。
マウントエラーの種類
エラーメッセージは、OSによって異なります。
Macでの表示
- 「ディスクはマウントできませんでした」
- 「操作が完了できませんでした」
- 「このディスクは読み取れません」
Windowsでの表示
- 「フォーマットする必要があります」
- 「ドライブにアクセスできません」
- 「ファイルまたはディレクトリが壊れています」
どちらも、ストレージにアクセスできない状態を示しています。
マウントできない主な原因
エラーが発生する原因は、いくつかあります。
原因1:物理的な接続の問題
最も多いのが、物理的な接続不良です。
具体例
- USBケーブルの断線
- ポートの接触不良
- ケーブルの緩み
- ハブの電力不足
特に古いケーブルは、見た目は正常でも内部で断線していることがあります。
原因2:ファイルシステムの破損
ファイルシステムが壊れていると、マウントできません。
原因となる出来事
- 突然の電源断
- 安全な取り外しをせずに抜いた
- ウイルス感染
- 不良セクタの発生
これは比較的よくある問題です。
原因3:ドライブの物理的な故障
ドライブ自体が壊れている可能性もあります。
症状
- 異音がする(カチカチ、カラカラ)
- 異常に熱い
- 全く反応しない
- 認識したり消えたりを繰り返す
この場合は、専門業者への依頼が必要になることもあります。
原因4:互換性の問題
フォーマット形式が、OSに対応していない場合があります。
非互換の例
- WindowsでHFS+(Mac形式)を読もうとした
- MacでNTFS(Windows形式)への書き込みを試みた
- 古いファイルシステム(FAT32など)の制限
OSによって、対応するファイルシステムが異なります。
原因5:権限の問題
アクセス権限が適切でない場合もあります。
よくあるケース
- 他のコンピュータでロックされている
- 管理者権限が必要
- 暗号化されている
特に企業のPCでは、セキュリティ設定が影響することがあります。
原因6:ドライバの問題
デバイスドライバが古い、または破損している可能性もあります。
確認すべきこと
- ドライバが最新か
- ドライバが正しくインストールされているか
- デバイスマネージャーでエラーが出ていないか
【Mac】マウントできない時の対処法
Macでマウントエラーが出た場合の解決方法です。
対処法1:再接続を試す
最も基本的な方法から始めましょう。
手順
- ドライブを安全に取り外す
- デスクトップのアイコンを右クリック
- 「〇〇を取り出す」を選択
- USBケーブルを抜く
- 10秒待つ
- 再度接続
これだけで解決することも多いです。
対処法2:別のポートに接続
USBポートが原因の可能性を確認します。
試すこと
- 別のUSBポートに接続
- USB-Cポートとハブを使っている場合、直接接続を試す
- 可能であれば別のMacで試す
ハブを経由すると、電力不足でマウントできないことがあります。
対処法3:ディスクユーティリティでFirst Aidを実行
ファイルシステムの修復を試みます。
手順
- 「アプリケーション」→「ユーティリティ」→「ディスクユーティリティ」を開く
- 左側のサイドバーで問題のドライブを選択
- 上部の「First Aid」をクリック
- 「実行」をクリック
- 検証と修復が始まる(数分〜数十分)
- 完了後、結果を確認
成功すれば、ドライブがマウントされます。
対処法4:ターミナルから強制マウント
ディスクユーティリティで解決しない場合、ターミナルを使います。
手順
- 「アプリケーション」→「ユーティリティ」→「ターミナル」を開く
- 以下のコマンドを入力してドライブを確認
diskutil list
- 目的のドライブの識別子(disk2s1など)を確認
- 以下のコマンドでマウントを試みる
sudo diskutil mount /dev/disk2s1
- 管理者パスワードを入力
注意:disk2s1の部分は、実際の識別子に置き換えてください。
対処法5:NVRAMとSMCのリセット
Macのシステム設定をリセットします。
NVRAMリセット(Intel Mac)
- Macをシャットダウン
- 電源を入れる
- すぐに「Command + Option + P + R」を同時に押す
- 20秒ほど押し続ける
- 起動音が2回鳴ったら離す
SMCリセット(Intel Mac)
ノートブック:
- シャットダウン
- 「Shift + Control + Option」を押しながら電源ボタンを押す
- 10秒後にすべて離す
- 電源を入れる
デスクトップ:
- シャットダウン
- 電源コードを抜く
- 15秒待つ
- 電源コードを接続
- 5秒待って電源を入れる
Apple Silicon Mac(M1/M2/M3)
NVRAMリセット:
- シャットダウン
- 電源を入れる
- すぐに「Command + Option + P + R」を約20秒押す
SMCリセットは不要です(自動管理されています)。
対処法6:読み取り専用でマウント
書き込みができなくても、読み取りだけできればデータを救出できます。
手順
- ターミナルを開く
- 以下のコマンドを実行
sudo diskutil mount readOnly /dev/disk2s1
- ファイルをコピーして別の場所に保存
対処法7:フォーマット(最終手段)
データを諦める場合の最終手段です。
注意:フォーマットするとすべてのデータが消えます。
手順
- ディスクユーティリティを開く
- ドライブを選択
- 「消去」をクリック
- 名前とフォーマット形式を選択
- Mac専用:APFS
- Mac/Windows両対応:exFAT
- 「消去」を実行
【Windows】マウントできない時の対処法

Windowsでマウントエラーが出た場合の解決方法です。
対処法1:デバイスマネージャーで確認
デバイスが認識されているか確認します。
手順
- 「Win + X」を押す
- 「デバイスマネージャー」を選択
- 「ディスクドライブ」を展開
- 問題のドライブにエラーマーク(!や?)がないか確認
エラーがあれば、デバイスを右クリックして「デバイスのアンインストール」→再接続を試します。
対処法2:ディスクの管理でドライブレターを割り当て
ドライブレターが割り当てられていない可能性があります。
手順
- 「Win + X」→「ディスクの管理」を開く
- 該当するドライブを探す
- ドライブを右クリック
- 「ドライブ文字とパスの変更」を選択
- 「追加」をクリック
- ドライブレター(E:、F:など)を選択
- 「OK」をクリック
これでエクスプローラーに表示されるようになります。
対処法3:CHKDSKでエラーチェック
ファイルシステムのエラーを修復します。
手順
- コマンドプロンプトを管理者権限で開く
- 「Win + X」→「ターミナル(管理者)」
- 以下のコマンドを実行
chkdsk E: /f /r
(E:は該当するドライブレターに置き換え)
- 修復が完了するまで待つ(時間がかかる場合あり)
/f:エラーを自動修復
/r:不良セクタを見つけて読み取り可能な情報を回復
対処法4:ドライバの更新
ドライバが古い可能性があります。
手順
- デバイスマネージャーを開く
- 「ディスクドライブ」で該当デバイスを右クリック
- 「ドライバーの更新」を選択
- 「ドライバーソフトウェアの最新版を自動検索」を選択
- 更新があればインストール
- PCを再起動
対処法5:USBコントローラーのリセット
USB接続の問題を解決します。
手順
- デバイスマネージャーを開く
- 「ユニバーサル シリアル バス コントローラー」を展開
- 各USBデバイスを右クリック→「デバイスのアンインストール」
- すべてアンインストール後、PCを再起動
- 再起動時に自動で再インストールされる
対処法6:diskpartでクリーン
ディスクをクリーンにして初期化します。
警告:この操作はすべてのデータを消去します。
手順
- コマンドプロンプトを管理者権限で開く
- 以下のコマンドを順に実行
diskpart
list disk
select disk 1
(1は該当するディスク番号に置き換え)
clean
create partition primary
format fs=ntfs quick
assign
exit
これで使えるようになります。
デバイス別の対処法
デバイスの種類によって、追加の対処法があります。
外付けHDD/SSDの場合
追加チェック項目
- 電源供給は十分か(セルフパワーのHDDの場合、電源ケーブルを確認)
- ドライブが熱を持っていないか
- 異音がしないか(故障の兆候)
専用の対処法
- 別の電源アダプタで試す(持っている場合)
- USB 3.0ポートに接続(USB 2.0より安定することがある)
- ケースから取り出して直接接続(可能な場合)
USBメモリの場合
追加チェック項目
- 書き込み禁止スイッチがないか(オンになっていないか)
- 端子が汚れていないか
専用の対処法
- 端子を柔らかい布で拭く
- 接点復活剤を使う(電子機器用)
- 別のUSBメモリで試して、ポートの問題か特定
SDカードの場合
追加チェック項目
- カードリーダーが正常に動作しているか
- ロックスイッチが「LOCK」になっていないか
- カードに物理的な損傷がないか
専用の対処法
- カードを取り出して接点を確認
- 別のカードリーダーで試す
- スマホやカメラで認識するか確認
ISOファイル・DMGファイルの場合
追加チェック項目
- ファイルが完全にダウンロードされているか
- ファイルが破損していないか
- 十分な空き容量があるか
専用の対処法
Mac(DMGファイル)
- ファイルを右クリック→「開く」を試す
- ターミナルで以下を実行
hdiutil attach /path/to/file.dmg
Windows(ISOファイル)
- ファイルを右クリック→「マウント」
- ダメなら7-ZipやWinRARで解凍を試みる
データ復旧について

どうしてもマウントできない場合、データ復旧を検討しましょう。
自分でできるデータ復旧
使えるソフト
Mac:
- Disk Drill
- PhotoRec
- TestDisk
Windows:
- Recuva
- EaseUS Data Recovery Wizard
- MiniTool Power Data Recovery
これらは無料版もありますが、復旧容量に制限があります。
復旧ソフトの使い方(基本)
一般的な手順
- 復旧ソフトをインストール(問題のドライブとは別の場所に)
- スキャン対象のドライブを選択
- ディープスキャンを実行
- 見つかったファイルをプレビュー
- 必要なファイルを復元(別のドライブに保存)
注意点
- 復元先は必ず別のドライブに
- スキャンには数時間かかることも
- 上書きされたファイルは復元できない
専門業者に依頼すべきケース
以下の場合は、専門業者への依頼を検討してください。
業者依頼が必要な状況
- 物理的な故障(異音、認識しない)
- 重要なデータで失敗が許されない
- 自分で試して悪化させた
- RAIDなど複雑な構成
費用の目安
- 論理障害:3万〜10万円
- 物理障害:10万〜50万円以上
高額ですが、確実性は高いです。
予防策
今後マウントエラーを防ぐための対策です。
予防策1:安全な取り外しを徹底
正しい取り外し方
Mac:
- デスクトップのアイコンを右クリック
- 「〇〇を取り出す」を選択
- アイコンが消えてから抜く
Windows:
- タスクバーの「ハードウェアの安全な取り外し」をクリック
- デバイスを選択
- 「安全に取り外すことができます」を確認してから抜く
突然抜くと、ファイルシステムが破損します。
予防策2:定期的なバックアップ
3-2-1ルール
- データを3つ保存
- 2種類のメディアに
- 1つはオフサイト(別の場所)に
具体例:
- 元データ(PC内蔵ドライブ)
- バックアップ1(外付けHDD)
- バックアップ2(クラウドストレージ)
予防策3:良質なケーブルとハブを使う
選ぶポイント
- 信頼できるメーカー品
- 規格に合ったもの(USB 3.0など)
- 十分な電力供給ができるハブ
100円ショップのケーブルは、データ転送に対応していないことがあります。
予防策4:定期的なディスクチェック
月に1回程度、ディスクのエラーチェックを実行しましょう。
Mac:ディスクユーティリティでFirst Aid
Windows:CHKDSKまたはエラーチェック
早期発見で、深刻な問題を防げます。
予防策5:適切な環境で保管
注意すべきこと
- 高温多湿を避ける
- 直射日光を避ける
- ホコリの多い場所を避ける
- 衝撃を与えない
特にHDDは衝撃に弱いので、丁寧に扱いましょう。
よくある質問
Q: マウントできないドライブのデータは取り出せる?
A: 物理的に故障していなければ、多くの場合は復旧ソフトで取り出せます。ただし、物理障害の場合は専門業者が必要です。
Q: フォーマットすれば直る?
A: はい、多くの場合フォーマットで解決します。ただし、すべてのデータが消えるので、データ復旧を試してからにしてください。
Q: 突然認識しなくなった原因は?
A: 安全な取り外しをせずに抜いた、電源が突然切れた、などが主な原因です。ファイルシステムが破損している可能性が高いです。
Q: Macで使っていたドライブがWindowsで認識されない
A: MacのファイルシステムHFS+やAPFSは、Windowsでは標準では読めません。専用ソフト(Paragon HFS+など)が必要です。
Q: エラーが出るけど時々マウントできる
A: ドライブが故障しかけている可能性が高いです。すぐにデータをバックアップして、ドライブの交換を検討してください。
まとめ
「マウントできませんでした」エラーの対処法について解説しました。
重要なポイントをおさらいしましょう。
- まずは再接続や別のポートを試す(物理的問題の確認)
- MacはFirst Aid、WindowsはCHKDSKでエラー修復
- ターミナルやコマンドプロンプトでの強制マウントも有効
- データが重要な場合は復旧ソフトを試す
- 物理故障の場合は専門業者に依頼
- 安全な取り外しと定期的なバックアップで予防
焦らず一つずつ試していけば、多くの場合は解決できます。
ただし、大切なデータがある場合は、無理に操作せず専門家に相談することも大切です。
この記事が、あなたのトラブル解決の助けになれば幸いです!

コメント