起動順序(Boot Order)とは?パソコンが起動する道筋を決める重要設定

プログラミング・IT

「OSをインストールしたいけど、USBから起動できない…」
「起動順序って何?どうやって変更するの?」
「間違って設定を変えたら、パソコンが起動しなくなった!」

パソコンのトラブルや新しいOSのインストールで、「起動順序(Boot Order)」という言葉を聞いたことはありませんか?

実は、これはパソコンが電源を入れてからOSを読み込むまでの「道順」を決める重要な設定なんです。この記事では、起動順序の基本から具体的な設定方法まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。

読み終わる頃には、あなたも自信を持って起動順序を変更できるようになりますよ!


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  1. 起動順序(Boot Order)とは?OSを探す「順番」
    1. ブート(Boot)って何?
    2. 具体的にどういうこと?
  2. なぜ起動順序が重要なのか?
    1. 理由1:OSのインストール
    2. 理由2:トラブルシューティング
    3. 理由3:複数OSの使い分け
    4. 理由4:セキュリティ対策
  3. BIOS/UEFIと起動順序
    1. BIOSって何?
    2. UEFIって何?
  4. 起動順序の設定画面に入る方法
    1. 一般的な手順
    2. メーカー別の起動キー
    3. Windowsから入る方法(UEFI限定)
  5. 起動順序の具体的な変更方法
    1. BIOS画面での設定
    2. UEFI画面での設定
  6. よくある起動デバイスの種類
    1. 1. Hard Disk / SSD
    2. 2. USB Storage / Removable Device
    3. 3. CD/DVD Drive
    4. 4. Network Boot / PXE
    5. 5. Disabled / 無効
  7. ワンタイムブートメニュー:一時的な起動順序変更
    1. ブートメニューとは
    2. ブートメニューの起動方法
  8. 起動順序のベストプラクティス
    1. 通常使用時の推奨設定
    2. OSインストール時の設定
    3. デュアルブート環境
    4. セキュリティ重視の設定
  9. トラブルシューティング
    1. 問題1:USBメモリから起動できない
    2. 問題2:起動順序を変更したら起動しなくなった
    3. 問題3:設定が保存されない
    4. 問題4:起動デバイスが表示されない
  10. CSM(レガシーモード)とUEFIモード
    1. UEFIモード
    2. レガシーモード(CSM)
    3. 混在の問題
  11. セキュアブート:安全性を高める機能
    1. セキュアブートとは
    2. セキュアブートを無効にする必要がある場合
  12. よくある質問
    1. Q1. 起動順序を変更すると、データは消える?
    2. Q2. 間違えて設定を変えてしまった。どうすれば?
    3. Q3. ノートPCでもBIOS設定に入れる?
    4. Q4. MacでもBoot Orderは設定できる?
  13. まとめ:起動順序はパソコンの基本設定

起動順序(Boot Order)とは?OSを探す「順番」

起動順序とは、パソコンの電源を入れたとき、どのデバイス(記憶装置)からOSを読み込むかを決める優先順位のこと。

英語では「Boot Order」または「Boot Priority」(ブート優先度)と呼ばれます。

ブート(Boot)って何?

ブートとは、パソコンが起動してOSを読み込む一連の処理のこと。「立ち上げる」という意味です。

正式には「ブートストラップ」と呼ばれ、「自力で立ち上がる」という意味から来ています。

具体的にどういうこと?

パソコンには、複数の記憶装置が接続されていることがあります:

  • 内蔵SSD/HDD(通常ここにWindowsやLinuxがインストールされている)
  • USBメモリ
  • 光学ドライブ(DVD/CDドライブ)
  • 外付けHDD
  • ネットワーク(PXEブート)

電源を入れると、パソコンは「どこからOSを読み込めばいいの?」と探します。この探す順番が「起動順序」なんです。

実例:

1番目:USBメモリ
2番目:内蔵SSD
3番目:DVDドライブ

この設定だと、まずUSBメモリを確認し、何もなければ内蔵SSD、それでもなければDVDドライブという順で探します。


なぜ起動順序が重要なのか?

起動順序を理解することは、以下のような場面で役立ちます。

理由1:OSのインストール

新しいOSをインストールするとき、インストールメディア(USBやDVD)から起動する必要があります。

実例:
Windowsを再インストールする場合、通常は内蔵SSDから起動しようとします。でも、インストール用USBから起動しないと、インストール作業が始まりません。

理由2:トラブルシューティング

パソコンが正常に起動しないとき、回復メディアから起動して修復作業を行います。

実例:
Windowsが起動しなくなったとき、回復ドライブ(USBメモリ)から起動して修復ツールを実行できます。

理由3:複数OSの使い分け

複数のOSをインストールしている場合、どのOSから起動するかを選べます。

実例:
一つのパソコンに、WindowsとLinuxの両方をインストールしている場合(デュアルブート)、起動順序で優先するOSを決められます。

理由4:セキュリティ対策

外部メディアからの起動を無効にすることで、不正なOSの起動を防げます。

実例:
USBメモリからの起動を無効にすれば、第三者が勝手にUSBから起動してデータを盗むことを防げます。

私はパソコンのSSDが破損(システム的なやつ)して、内部のHDDにOSを移動したことがありました。

その時に、ブートオーダーの順序をHDD優先に変更したりもしました。


BIOS/UEFIと起動順序

起動順序の設定は、BIOSまたはUEFIという場所で行います。

BIOSって何?

BIOS(Basic Input/Output System)は、パソコンの基本的な動作を制御するプログラムのこと。

OSよりも先に起動し、ハードウェアの初期化やOSの読み込みを担当します。

UEFIって何?

UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)は、BIOSの後継となる新しい仕組みです。

UEFIの特徴:

  • グラフィカルな画面(マウスが使える場合も)
  • 高速起動
  • 2TB以上のディスク対応
  • セキュアブート機能

違い:

  • 古いPC(2010年以前):BIOS
  • 新しいPC(2012年以降):UEFI

どちらの場合も、起動順序の設定方法は似ています。


起動順序の設定画面に入る方法

BIOS/UEFI設定画面への入り方は、メーカーによって異なります。

一般的な手順

ステップ1:パソコンの電源を入れる

完全にシャットダウンした状態から電源を入れます。

ステップ2:特定のキーを連打

メーカーのロゴが表示されたら、すぐに特定のキーを連打します。

ステップ3:BIOS/UEFI画面が表示される

設定画面が開きます。

メーカー別の起動キー

メーカーキー
DellF2、F12
HPF10、Esc
LenovoF1、F2、Enter
ASUSDel、F2
AcerF2、Del
ToshibaF2、F12
SonyF2、F3、Assist
富士通F2
NECF2
PanasonicF2、Del
自作PC(多くのマザーボード)Del、F2

ヒント:
画面の下部に「Press F2 to enter Setup」のような表示が一瞬出ることがあります。これが目印です。

Windowsから入る方法(UEFI限定)

Windows 10/11の場合、OSから直接UEFI設定に入れます。

手順:

  1. 「設定」→「更新とセキュリティ」→「回復」
  2. 「今すぐ再起動」(PCの起動をカスタマイズする)
  3. 「トラブルシューティング」→「詳細オプション」
  4. 「UEFIファームウェアの設定」
  5. 「再起動」

起動順序の具体的な変更方法

実際に起動順序を変更してみましょう。

BIOS画面での設定

ステップ1:Boot(起動)メニューを探す

BIOS画面で「Boot」「起動」「Boot Order」などのタブやメニューを探します。

ステップ2:Boot Orderまたはプライオリティを選択

「Boot Priority」「Boot Order」「起動優先順序」などの項目を選びます。

実例:

Boot Priority Order:
1st Boot Device: [Hard Disk]
2nd Boot Device: [USB Storage]
3rd Boot Device: [CD/DVD Drive]

ステップ3:順序を変更

デバイスを選択して、矢印キーやEnterキーで順序を変更します。

多くの場合:

  • 上下矢印キー:項目の選択
  • +/-キー:優先順位の変更
  • Enter:詳細設定

ステップ4:設定を保存して終了

通常は「F10」キーを押して保存し、再起動します。

画面に「Save & Exit」「保存して終了」などの項目もあります。

UEFI画面での設定

UEFIは画面がグラフィカルで、マウスが使える場合もあります。

ステップ1:Boot(起動)タブを開く

画面上部のメニューから「Boot」タブをクリック。

ステップ2:起動順序を確認

デバイスの一覧が表示されます:

Boot Option #1: [Windows Boot Manager]
Boot Option #2: [USB HDD]
Boot Option #3: [DVD Drive]

ステップ3:ドラッグ&ドロップで変更

マウスでデバイスをドラッグして、順序を入れ替えます。

キーボード操作の場合は、矢印キーと+/-キーで変更します。

ステップ4:保存して終了

「Save & Exit」「保存して終了」をクリックまたはF10キーを押します。


よくある起動デバイスの種類

起動順序で設定できる主なデバイスを紹介します。

1. Hard Disk / SSD

表示名の例:

  • Hard Disk
  • SATA HDD
  • SSD
  • Windows Boot Manager
  • Samsung SSD 980

説明:
内蔵のハードディスクやSSD。通常、ここにOSがインストールされています。

2. USB Storage / Removable Device

表示名の例:

  • USB HDD
  • USB Storage Device
  • Removable Devices
  • USB Flash Drive

説明:
USBメモリや外付けHDD。OSのインストールメディアや回復ドライブとして使われます。

3. CD/DVD Drive

表示名の例:

  • ATAPI CD-ROM
  • DVD Drive
  • Optical Drive

説明:
光学ドライブ。昔はOSのインストールにDVDが使われていました。

4. Network Boot / PXE

表示名の例:

  • Network Boot
  • PXE Boot
  • LAN Boot
  • Realtek Boot Agent

説明:
ネットワーク経由で起動。企業環境で一括インストールに使われます。

5. Disabled / 無効

特定のデバイスを起動順序から除外できます。


ワンタイムブートメニュー:一時的な起動順序変更

毎回BIOS設定を変更するのは面倒です。一時的に起動デバイスを選ぶ方法があります。

ブートメニューとは

起動時に特定のキーを押すと、その場で起動デバイスを選べるメニューが表示されます。

メリット:

  • BIOS設定を変更しなくていい
  • 一度だけUSBから起動したいときに便利

ブートメニューの起動方法

メーカーキー
DellF12
HPF9、Esc
LenovoF12
ASUSF8、Esc
AcerF12
ToshibaF12
多くの自作PCF11、F12

使い方:

  1. 電源を入れる
  2. メーカーロゴが表示されたらブートメニューキーを連打
  3. デバイス一覧が表示される
  4. 矢印キーで起動したいデバイスを選択
  5. Enterキーを押す

実例の表示:

Please select boot device:
1. Windows Boot Manager (SSD)
2. USB: SanDisk Cruzer (USB 2.0)
3. UEFI: ATAPI DVD Drive

起動順序のベストプラクティス

効果的な起動順序の設定方法です。

通常使用時の推奨設定

1位:内蔵SSD/HDD(OSがインストールされているドライブ)
2位:無効、または使わないデバイス
3位:無効、または使わないデバイス

理由:

  • 起動が最速になる
  • 誤って外部メディアから起動するのを防ぐ

OSインストール時の設定

1位:USBメモリまたはDVDドライブ(インストールメディア)
2位:内蔵SSD/HDD

注意:
インストール完了後は、元の設定に戻しましょう。

デュアルブート環境

1位:ブートローダー(GRUBなど)がインストールされているドライブ
2位:もう一方のOS

通常、GRUBなどのブートローダーが両方のOSを管理してくれます。

セキュリティ重視の設定

1位:内蔵SSD/HDD
2位以降:すべて無効

さらに、BIOS/UEFI設定にパスワードを設定します。

効果:
外部メディアからの不正起動を防げます。


トラブルシューティング

起動順序に関する問題と解決方法です。

問題1:USBメモリから起動できない

症状:
起動順序を変更したのに、USBメモリから起動しない。

原因と解決策:

原因1:USBメモリが起動可能でない
→ブータブルUSBを正しく作成しましたか?Rufusなどのツールを使って作成しましょう。

原因2:セキュアブートが有効
→UEFI設定で「Secure Boot」を無効にしてみてください。

原因3:レガシーモードとUEFIモードの不一致
→USBがUEFI対応なら、BIOS設定も「UEFI」モードに。レガシーBIOSで作成したUSBなら「Legacy」モードに設定します。

原因4:USBポートの問題
→USB 3.0ポート(青色)ではなく、USB 2.0ポート(黒色)に挿してみてください。古いBIOSではUSB 3.0が認識されないことがあります。

問題2:起動順序を変更したら起動しなくなった

症状:
「Operating System not found」「No bootable device」などのエラーが出る。

解決策:

  1. もう一度BIOS/UEFI設定に入る
  2. Boot Orderを確認
  3. OSがインストールされているドライブを1位に設定
  4. 保存して再起動

問題3:設定が保存されない

症状:
起動順序を変更して保存しても、再起動すると元に戻る。

原因と解決策:

原因:CMOSバッテリーの消耗
→マザーボードのボタン電池が切れている可能性があります。電池を交換しましょう(CR2032という型番が一般的)。

問題4:起動デバイスが表示されない

症状:
接続したUSBメモリやSSDがBIOS/UEFIに表示されない。

解決策:

  1. ケーブルの接続を確認
  2. 別のポートに接続してみる
  3. BIOS/UEFIを最新版にアップデート
  4. CSM(Compatibility Support Module)を有効にする

CSM(レガシーモード)とUEFIモード

起動モードには2つの種類があります。

UEFIモード

現代的な起動方式。

特徴:

  • GPTパーティション対応(2TB以上のディスクOK)
  • セキュアブート対応
  • 高速起動
  • グラフィカルな設定画面

対応OS:

  • Windows 8以降(64ビット)
  • 新しいLinuxディストリビューション

レガシーモード(CSM)

古い起動方式(BIOS互換モード)。

特徴:

  • MBRパーティションのみ対応(2TBまで)
  • 古いOSと互換性あり

対応OS:

  • Windows 7以前
  • 古いLinuxディストリビューション

混在の問題

UEFIモードでインストールしたOSは、レガシーモードでは起動できません。逆も同様です。

注意:
OSをインストールするとき、BIOS設定とインストールメディアのモードを合わせる必要があります。


セキュアブート:安全性を高める機能

UEFI環境では、セキュアブートという機能があります。

セキュアブートとは

デジタル署名のないOSやブートローダーの起動を防ぐセキュリティ機能です。

目的:
悪意のあるソフトウェアによる不正起動を防ぐ。

対応OS:

  • Windows 8以降
  • Ubuntu、Fedoraなどの主要Linuxディストリビューション

セキュアブートを無効にする必要がある場合

  • 古いLinuxディストリビューションをインストールする
  • 一部のハードウェアドライバを使う
  • 自作のブートローダーを使う

手順:

  1. UEFI設定に入る
  2. 「Security」タブまたは「Boot」タブ
  3. 「Secure Boot」を「Disabled」に変更
  4. 保存して再起動

よくある質問

Q1. 起動順序を変更すると、データは消える?

いいえ、消えません。起動順序の変更は、どのデバイスから起動するかの優先順位を変えるだけです。データには影響しません。

Q2. 間違えて設定を変えてしまった。どうすれば?

「Load Default Settings」「Load Optimized Defaults」「初期設定を読み込む」という項目を選べば、工場出荷時の設定に戻せます。

Q3. ノートPCでもBIOS設定に入れる?

はい、デスクトップと同じように入れます。メーカーによってキーが違うので、取扱説明書を確認しましょう。

Q4. MacでもBoot Orderは設定できる?

Macは独自の起動方式を使っています。「Option」キー(Intel Mac)または電源ボタン長押し(Apple Silicon Mac)で起動ディスクを選択できます。


まとめ:起動順序はパソコンの基本設定

起動順序(Boot Order)は、パソコンがどのデバイスからOSを読み込むかを決める重要な設定です。

起動順序の重要ポイント:

  • OSを探す優先順位を決める
  • BIOS/UEFIで設定する
  • 通常は内蔵SSD/HDDを1位に設定

設定が必要な場面:

  • OSのインストール
  • システムの回復
  • 複数OSの使い分け
  • セキュリティ対策

BIOS/UEFI設定の入り方:

  • 電源投入時に特定のキーを連打
  • メーカーごとにキーが異なる(F2、Del、F12など)
  • Windowsから入ることも可能(UEFI限定)

ワンタイムブートメニュー:

  • 一時的にデバイスを選択
  • F12やF11キーで起動
  • BIOS設定を変更しなくていい

通常使用時の推奨設定:

1位:内蔵SSD/HDD(OSドライブ)
2位以降:無効または不使用

トラブル時のチェック項目:

  • USBメモリが起動可能か
  • セキュアブートの状態
  • UEFIとレガシーの整合性
  • USBポートの種類

起動順序の設定は、一見難しそうに見えますが、基本を理解すれば簡単です。OSのインストールやトラブル解決に必須の知識なので、ぜひマスターしてくださいね。

快適なPC環境を!

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