3Dモデリングやアニメーション制作において、多機能なソフト「Blender(ブレンダー)」はクリエイターにとって欠かせないツールです。
しかし、「機能が多すぎて覚えきれない」「毎回メニューを探すのが面倒」と感じている方も多いでしょう。
そんな悩みを解決してくれるのがショートカットキーです。
一度覚えてしまえば、マウス操作だけの場合と比べて作業時間を50%以上短縮できることも珍しくありません。
この記事では、Blender初心者から中級者まで使える厳選ショートカットキーを、実際の作業場面と合わせてわかりやすく紹介します。
まずは基本から始めて、徐々にステップアップしていきましょう!
【第1章】基本操作をサクッと!移動・回転・拡大縮小

3つの基本変形操作
Blenderで最も頻繁に使うのが、オブジェクトの移動・回転・拡大縮小です。
これらのショートカットは必須中の必須です。
移動(Move/Grab)
Gキー:オブジェクトの移動
使い方:
- オブジェクトを選択
- Gキーを押す
- マウスを動かして位置を調整
- 左クリックで確定、右クリックでキャンセル
軸を指定した移動:
- G → X:X軸方向のみに移動
- G → Y:Y軸方向のみに移動
- G → Z:Z軸方向のみに移動
数値指定での移動:
- G → X → 2:X軸方向に2単位移動
- G → Y → -1.5:Y軸方向に-1.5単位移動
実際の作業例: キャラクターの腕を少し上に移動させたい場合 → 腕を選択 → G → Z → 0.5 → Enter
回転(Rotate)
Rキー:オブジェクトの回転
使い方:
- オブジェクトを選択
- Rキーを押す
- マウスを動かして角度を調整
- 左クリックで確定
軸を指定した回転:
- R → X:X軸周りの回転
- R → Y:Y軸周りの回転
- R → Z:Z軸周りの回転
角度指定での回転:
- R → Z → 45:Z軸周りに45度回転
- R → X → 90:X軸周りに90度回転
便利な角度指定:
- R → Z → 15で15度ずつ細かく調整
- R → 180で真反対に回転
拡大縮小(Scale)
Sキー:オブジェクトの拡大縮小
使い方:
- オブジェクトを選択
- Sキーを押す
- マウスを動かしてサイズを調整
- 左クリックで確定
軸を指定した拡大縮小:
- S → X:X軸方向のみ拡大縮小
- S → Y:Y軸方向のみ拡大縮小
- S → Z:Z軸方向のみ拡大縮小
倍率指定での拡大縮小:
- S → 2:2倍に拡大
- S → 0.5:半分に縮小
- S → X → 0:X軸方向を完全に潰す(平面化)
実際の作業例: 建物を縦方向に伸ばしたい場合 → 建物を選択 → S → Z → 1.5 → Enter
組み合わせ技で効率アップ
連続操作の例:
G → X → 2 → Tab(確定)→ R → Z → 45 → Tab → S → 1.2
この操作で「X軸に2単位移動 → Z軸周りに45度回転 → 1.2倍に拡大」が一気にできます。
制約付き操作:
- Shift + X:X軸以外の平面での移動
- Shift + Z:Z軸以外の平面での移動
【第2章】選択と編集のスピードを上げるキー操作

効率的な選択方法
複数のオブジェクトや頂点を扱う場面では、効率的な選択が作業時間を大きく左右します。
基本的な選択操作
Aキー:すべて選択/すべて解除
使い方:
- 1回押す:すべて選択
- 再度押す:すべて解除
活用例:
- 大量のオブジェクトを一括削除したいとき
- シーン全体の確認をしたいとき
Alt + Aキー:選択解除(従来のBlenderでの操作)
範囲選択のテクニック
Bキー:ボックス選択
使い方:
- Bキーを押す
- ドラッグで矩形の範囲を指定
- 左クリックで選択確定
便利な場面:
- 建物の窓を一括選択
- キャラクターの髪の毛の部分選択
- 背景オブジェクトの整理
Cキー:円形選択(Circle Select)
使い方:
- Cキーを押す
- マウスホイールで円のサイズ調整
- 左クリックまたはドラッグで選択
- 中クリックまたはShift + 左クリックで選択解除
- 右クリックまたはEscキーで終了
実際の作業例: キャラクターの顔の細かい頂点を選択する場合 → Tabで編集モード → Cキー → マウスホイールでサイズ調整 → 顔の部分をドラッグ
投げ縄選択とその他の選択方法
Alt + 左クリック:ループ選択
使い方: エッジループ(連続したエッジ)を一括選択
活用例:
- キャラクターの腰周りのエッジループを選択
- 筒状オブジェクトの断面を選択
Shift + Alt + 左クリック:フェースループ選択
Ctrl + L:連結された要素を選択
モード切り替えの高速化
Tabキー:オブジェクトモードと編集モードの切り替え
使い方:
- オブジェクトモード:オブジェクト全体の操作
- 編集モード:頂点・エッジ・面の個別操作
数字キーでのモード切り替え:
- 1キー:頂点選択モード
- 2キー:エッジ選択モード
- 3キー:面選択モード
高度な編集操作
Ctrl + R:ループカット
使い方:
- Ctrl + Rを押す
- マウス移動でカット位置をプレビュー
- 左クリックで分割数確定
- マウス移動で位置調整
- 左クリックで確定
実際の作業例: キューブに細かい分割を入れたい場合 → 編集モードで Ctrl + R → マウスホイールで分割数調整 → クリックで確定
Eキー:押し出し(Extrude)
使い方:
- 面を選択
- Eキーを押す
- マウス移動で押し出し
- 左クリックで確定
Iキー:面の内側挿入(Inset)
Kキー:ナイフツール
使い方:
- Kキーを押す
- 左クリックで切り始め点を指定
- 左クリックで切り終わり点を指定
- Enterキーで確定
【第3章】画面を自在に操る!視点移動とナビゲーション

3Dビューポートの基本操作
3D空間を効率よく見渡せることは、作業の快適さに直結します。
マウス中ボタンを使った基本ナビゲーション
中クリック + ドラッグ:視点回転
使い方:
- 中ボタンを押しながらマウスを動かす
- オブジェクトの周りを回り込むように視点が変わる
Shift + 中クリック + ドラッグ:視点の平行移動
使い方:
- シーン全体を左右上下に移動
- オブジェクトの位置関係を保ったまま視点移動
Ctrl + 中クリック + ドラッグ:ズームイン/アウト
使い方:
- 上下のドラッグでズーム操作
- マウスホイールでも同様の操作が可能
マウスホイール:ズームイン/アウト
テンキーを使った定型視点
テンキー1:正面ビュー(Front View)
テンキー3:右側面ビュー(Right View)
テンキー7:上面ビュー(Top View)
テンキー9:下面ビュー(Bottom View)
対角線ビュー:
- Ctrl + テンキー1:背面ビュー
- Ctrl + テンキー3:左側面ビュー
- Ctrl + テンキー7:下面ビュー
その他の便利なテンキー操作:
- テンキー0:カメラビュー
- テンキー5:透視投影/平行投影の切り替え
- テンキー.:選択オブジェクトにフォーカス
高度なナビゲーション操作
Home キー(テンキー Home):すべてのオブジェクトが見えるように視点調整
テンキー.:選択したオブジェクトにズームフォーカス
使い方:
- フォーカスしたいオブジェクトを選択
- **テンキー.**を押す
- そのオブジェクトが画面中央に配置される
実際の作業例: 複雑なシーンで特定のオブジェクトを編集したい場合 → オブジェクト選択 → テンキー. → Tabで編集モード
Shift + 中クリック:視点の中心点を変更
使い方: クリックした点を中心に回転するようになる
カメラ操作のショートカット
Ctrl + Alt + テンキー0:現在の視点をカメラビューに設定
テンキー0:カメラビューの切り替え
G キー(カメラ選択時):カメラの移動
R キー(カメラ選択時):カメラの回転
【第4章】知って得する!便利すぎる裏技ショートカット

オブジェクトの複製と管理
Shift + D:オブジェクトの複製
使い方:
- オブジェクトを選択
- Shift + Dを押す
- マウス移動で配置位置を調整
- 左クリックで確定
軸を指定した複製:
- Shift + D → X:X軸方向に複製
- Shift + D → Y → 2:Y軸方向に2単位の位置に複製
Alt + D:リンク複製(インスタンス複製)
通常の複製との違い:
- Shift + D:独立したコピー(個別に編集可能)
- Alt + D:元オブジェクトとリンク(同期して変更される)
リンク複製の活用例: 同じ形状の建物を複数配置する場合 → 1つの建物を Alt + D で複製 → 元の建物を編集すると全部が同時に変更
モデリングの効率化
Fキー:面の作成(Fill)
使い方:
- 頂点またはエッジを選択
- Fキーを押す
- 選択した要素間に面が作成される
活用場面:
- 開いた穴を塞ぐ
- 頂点同士を結んで面を作る
- エッジループから面を生成
Ctrl + A:トランスフォームの適用
適用できる項目:
- Location:位置の適用
- Rotation:回転の適用
- Scale:拡大縮小の適用
- All Transforms:すべてのトランスフォームの適用
なぜ適用が必要?:
- モディファイアの正常な動作
- 物理演算の正確性
- アニメーションの予測可能性
実際の作業例: 拡大したオブジェクトにモディファイアを適用する前 → オブジェクト選択 → Ctrl + A → Scaleを選択
オブジェクトの追加と削除
Shift + A:新しいオブジェクトの追加
追加できるオブジェクト:
- Mesh:基本的な形状(キューブ、スフィア、シリンダーなど)
- Curve:曲線オブジェクト
- Surface:サーフェス
- Metaball:メタボール
- Text:テキストオブジェクト
- Volume:ボリューム
- Grease Pencil:グリースペンシル
- Armature:アーマチュア(骨格)
- Lattice:ラティス
- Empty:エンプティ
- Image:画像
- Light:光源
- Light Probe:ライトプローブ
- Camera:カメラ
- Speaker:スピーカー
- Force Field:フォースフィールド
- Collection Instance:コレクションインスタンス
Xキー または Delete:オブジェクトの削除
削除オプション:
- Delete:通常の削除
- Dissolve:周囲の構造を保ったまま削除
- Collapse:頂点を中心に向かって収束させながら削除
便利な表示切り替え
Zキー:表示モードの切り替え
表示モード:
- Wireframe:ワイヤーフレーム表示
- Solid:ソリッド表示
- Material Preview:マテリアルプレビュー
- Rendered:レンダー表示
数字キーでの直接切り替え:
- Z → 1:ワイヤーフレーム
- Z → 2:ソリッド
- Z → 3:マテリアルプレビュー
- Z → 4:レンダー表示
- Alt + Z:X-Ray表示の切り替え
- H キー:選択オブジェクトを非表示
- Alt + H:すべての非表示オブジェクトを再表示
ファイル操作とプロジェクト管理
- Ctrl + S:ファイルの保存
- Ctrl + Shift + S:名前を付けて保存
- Ctrl + O:ファイルを開く
- Ctrl + N:新規ファイル
- Ctrl + Z:元に戻す(Undo)
- Ctrl + Shift + Z または Ctrl + Y:やり直し(Redo)
アニメーション関連のショートカット
I キー:キーフレームの挿入
挿入できるキーフレーム:
- Location:位置
- Rotation:回転
- Scale:拡大縮小
- LocRot:位置と回転
- LocScale:位置と拡大縮小
- LocRotScale:すべて
- Visual Location:ビジュアル位置
- Visual Rotation:ビジュアル回転
- スペースキー:アニメーション再生/停止
- Left Arrow / Right Arrow:前/次のフレームに移動
- Shift + Left Arrow / Shift + Right Arrow:10フレーム単位で移動
作業効率を最大化するコツ

ショートカットキーの組み合わせテクニック
連続操作の例:
Tab → A → X → Delete → Tab → Shift + A → Mesh → Cube
この操作で「編集モード → 全選択 → 削除 → オブジェクトモード → 新しいキューブ追加」が一連の流れでできます。
両手を使った効率的な操作
左手の担当:
- Tab、Shift、Ctrl、Altなどの修飾キー
- G、R、Sなどの変形キー
- テンキーでの視点変更
右手の担当:
- マウス操作
- 数値入力
- Enter、Escapeでの確定・キャンセル
カスタムショートカットの設定
よく使う機能にショートカットを割り当て:
- Edit → Preferences → Keymap
- 設定したい機能を検索
- 新しいキーを割り当て
おすすめカスタムショートカット:
- よく使うモディファイアへの直接アクセス
- 特定のアドオン機能への高速アクセス
- レンダリング関連の操作
まとめ
Blenderのショートカットキーは、使いこなせば使いこなすほど、作業の質とスピードが格段にアップします。
今日覚えた重要なショートカット:
基本操作(必須):
- G:移動、R:回転、S:拡大縮小
- Tab:モード切り替え
- A:全選択/解除
選択操作:
- B:ボックス選択
- C:円形選択
- Ctrl + R:ループカット
視点操作:
- 中クリック + ドラッグ:視点回転
- テンキー1/3/7:正面/側面/上面ビュー
- テンキー.:選択オブジェクトにフォーカス
便利な機能:
- Shift + D:複製
- Alt + D:リンク複製
- F:面作成
- Shift + A:オブジェクト追加
習得のステップ:
- 基本の3つ(G、R、S)から始める
- 選択操作を覚えて編集効率を上げる
- 視点操作で3D空間を自在に操る
- 応用テクニックで作業を高速化
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