あなたのWebサイトに、正体不明の訪問者が頻繁にアクセスしていることをご存知ですか?
アクセスログを見ると「Bingbot」という名前が出てくる……これは一体何者なのでしょうか?
Bingbot(ビングボット)は、Microsoftの検索エンジン「Bing」が運用するWebクローラーです。インターネット上のWebサイトを巡回し、情報を収集して検索結果に反映させる、いわば「自動巡回ロボット」なんですね。
「Googleじゃないから関係ない」と思うかもしれませんが、実はBingも無視できない存在です。Bingのシェアは日本では約5〜10%程度ですが、Windows PCのデフォルト検索エンジンとして、また音声アシスタント「Cortana」や「ChatGPT」の検索機能としても使われています。
この記事では、Bingbotの基本的な仕組みから、適切な対応方法、SEO対策まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
あなたのサイトを訪れる「見えない訪問者」の正体を、一緒に探っていきましょう!
Bingbotとは?基本を理解しよう

Bingbotは、Microsoftの検索エンジン「Bing」が使用するWebクローラー(検索ボット)です。
クローラーって何?
クローラー(crawler)は、英語で「這う」「はいまわる」という意味です。
インターネット上を這い回るように巡回し、Webページの情報を自動的に収集するプログラムのことを指します。「スパイダー」「ボット」「ロボット」とも呼ばれるんですね。
Bingbotの役割
Bingbotは以下のような仕事をしています。
1. Webページの発見
インターネット上の新しいページや更新されたページを見つけます。
2. 情報の収集
ページの内容(テキスト、画像、リンクなど)を読み取ります。
3. インデックス化
収集した情報をBingのデータベースに登録します。
4. 検索結果への反映
ユーザーが検索したときに、適切なページを表示できるようにします。
つまり、Bingbotが訪問しないと、あなたのサイトはBingの検索結果に表示されないということです。
BingとGoogleの違い
検索エンジンといえばGoogleが圧倒的なシェアを持っていますが、Bingも重要な存在です。
市場シェア
世界全体
- Google:約90〜92%
- Bing:約3〜4%
- その他:約5%
日本国内
- Google:約75〜80%
- Yahoo! JAPAN:約15〜18%(実はGoogleのエンジンを使用)
- Bing:約3〜5%
数字だけ見ると小さいですが、日本のインターネット利用者が約1億人とすると、Bingからのアクセスも300万〜500万人規模になる計算です。無視できない数字なんですね。
Bingが使われる場面
Windows PC
EdgeブラウザやWindowsの検索バーでは、デフォルトでBingが使われています。
音声アシスタント
CortanaやAmazon Alexaの一部機能でBingが採用されています。
ChatGPTの検索機能
ChatGPTが最新情報を取得する際、Bingの検索結果を利用しています。
企業向けツール
Microsoft 365(旧Office 365)の一部機能でBingが統合されています。
BingbotとGooglebotの違い
BingbotとGooglebot(Googleのクローラー)には、いくつかの違いがあります。
クロール頻度
Googlebotの方がクロール頻度が高い傾向にあります。
Bingbotは比較的ゆっくりとしたペースでサイトを巡回するため、新しいページがインデックスされるまでに時間がかかることがあるんですね。
評価基準の違い
Googleが重視する要素
- コンテンツの質と独自性
- モバイルフレンドリー
- ページ速度
- ユーザー体験
Bingが重視する要素
- ソーシャルシグナル(SNSでのシェア数など)
- ドメインの年齢
- 正確なメタデータ
- Flash非使用(Bingは特にFlashを嫌う)
完全に同じではないため、SEO対策も若干異なってくるでしょう。
技術的な違い
JavaScriptの処理
Googlebotは高度なJavaScriptレンダリング機能を持っていますが、Bingbotはやや弱い部分があります。
クロールの深さ
Googlebotは深い階層まで積極的にクロールしますが、Bingbotは比較的浅い階層に留まる傾向があります。
Bingbotの種類
実は、Bingbotには複数の種類があります。
1. Bingbot(通常版)
一般的なWebページをクロールする基本的なボットです。
ユーザーエージェント
Mozilla/5.0 (compatible; Bingbot/2.0; +http://www.bing.com/bingbot.htm)
2. BingPreview
検索結果に表示するプレビュー画像を生成するためのボットです。
ユーザーエージェント
Mozilla/5.0 (Windows NT 6.1; WOW64) AppleWebKit/534+ (KHTML, like Gecko) BingPreview/1.0b
3. MSNBot
Bingbotの前身で、現在も一部で使用されています。
ユーザーエージェント
msnbot/2.0b (+http://search.msn.com/msnbot.htm)
4. AdIdxBot
広告関連の情報を収集するボットです。
ユーザーエージェント
Mozilla/5.0 (compatible; adidxbot/2.0; +http://www.bing.com/bingbot.htm)
5. BingMobile
モバイルページをクロールするボットです。
アクセスログを見ると、これらのボットが混在していることが分かるでしょう。
robots.txtでBingbotを制御する
robots.txtファイルを使って、Bingbotのクロールを制御できます。
robots.txtとは?
Webサイトのルートディレクトリに配置するテキストファイルで、クローラーに対する指示書のようなものです。
配置場所
https://example.com/robots.txt
Bingbotを完全にブロックする
説明
サイト全体へのBingbotのアクセスを禁止します。
実例
User-agent: Bingbot
Disallow: /
ただし、通常はこの設定をする必要はありません。検索結果に表示されなくなってしまいます。
特定のディレクトリをブロックする
説明
管理画面など、検索結果に表示したくないページを除外します。
実例
User-agent: Bingbot
Disallow: /admin/
Disallow: /private/
Disallow: /test/
画像クロールを制御する
説明
画像の収集を制限します。
実例
User-agent: Bingbot
Disallow: /*.jpg$
Disallow: /*.png$
クロール頻度を調整する
説明
Crawl-delayディレクティブで、クロール間隔を指定します(秒単位)。
実例
User-agent: Bingbot
Crawl-delay: 10
これにより、Bingbotは各リクエストの間に10秒待機します。サーバー負荷が高い場合に有効です。
すべてのボットに適用する設定
実例
User-agent: *
Disallow: /admin/
Disallow: /cgi-bin/
User-agent: Bingbot
Crawl-delay: 5
この例では、すべてのボットに対して特定ディレクトリを禁止し、Bingbotには追加でクロール間隔を設定しています。
Bingウェブマスターツールの活用

Bing Webmaster Tools(Bingウェブマスターツール)は、Googleサーチコンソールに相当するMicrosoftの無料ツールです。
できること
1. インデックス状況の確認
自分のサイトがどれくらいBingにインデックスされているか確認できます。
2. クロールエラーの確認
Bingbotがアクセスできなかったページを教えてくれます。
3. 検索パフォーマンスの分析
どんなキーワードで検索されているか、クリック数はどうか、といったデータが見られるんですね。
4. サイトマップの送信
XMLサイトマップを送信して、クロールを促進できます。
5. URL検査ツール
特定のページがどう認識されているか確認できます。
6. バックリンクの確認
どのサイトから被リンクを受けているか分かります。
登録方法
ステップ1:アクセス
https://www.bing.com/webmasters にアクセスします。
ステップ2:サインイン
Microsoftアカウントでログインします。
ステップ3:サイトの追加
自分のWebサイトのURLを入力します。
ステップ4:所有権の確認
以下のいずれかの方法で、サイトの所有者であることを証明します。
- XMLファイルのアップロード
- メタタグの追加
- DNSレコードの追加
ステップ5:サイトマップの送信
XMLサイトマップのURLを登録します。
https://example.com/sitemap.xml
これで、Bingがより効率的にサイトをクロールできるようになります。
BingのSEO対策
Bingの検索結果で上位表示されるためのポイントを紹介します。
1. メタタグを正確に設定する
Bingはメタデータを重視する傾向があります。
タイトルタグ
<title>具体的で分かりやすいページタイトル | サイト名</title>
メタディスクリプション
<meta name="description" content="ページの内容を150文字程度で簡潔に説明します。">
メタキーワード
Googleは無視しますが、Bingは一応参考にします(ただし重要度は低い)。
<meta name="keywords" content="キーワード1, キーワード2, キーワード3">
2. ソーシャルシグナルを意識する
BingはFacebookやTwitterでのシェア数を評価要素として考慮します。
Open Graphタグの設定
<meta property="og:title" content="記事のタイトル">
<meta property="og:description" content="記事の説明">
<meta property="og:image" content="https://example.com/image.jpg">
<meta property="og:url" content="https://example.com/page.html">
SNSでシェアされやすいコンテンツを作ることが、Bingでの評価向上につながるんですね。
3. 構造化データを実装する
Schema.orgのマークアップを使って、コンテンツの意味をBingに正確に伝えます。
実例:記事の構造化データ
<script type="application/ld+json">
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "Article",
"headline": "記事のタイトル",
"author": {
"@type": "Person",
"name": "著者名"
},
"datePublished": "2024-01-01",
"image": "https://example.com/image.jpg"
}
</script>
4. ページ速度を改善する
Bingも表示速度を評価要素としています。
改善方法
- 画像を圧縮する
- CSSとJavaScriptを最小化する
- キャッシュを活用する
- CDNを利用する
5. モバイル対応を徹底する
レスポンシブデザインで、スマートフォンでも快適に閲覧できるようにします。
<meta name="viewport" content="width=device-width, initial-scale=1.0">
6. HTTPS化する
セキュリティ対策として、SSLを導入しましょう。
https://example.com
BingもHTTPSサイトを優遇する傾向があります。
7. 質の高いコンテンツを作る
これはGoogleと同じですが、独自性があり、ユーザーに価値を提供するコンテンツが重要です。
Bingが好むコンテンツ
- 正確な情報
- 適度な文章量(1000文字以上)
- 明確な見出し構造
- 関連する内部リンク
- オリジナル画像
Bingbotのクロール状況を確認する方法
自分のサイトにBingbotが来ているか確認しましょう。
1. アクセスログを確認する
サーバーのアクセスログに以下のような記録があれば、Bingbotが訪問しています。
ログの例
40.77.167.xxx - - [01/Jan/2024:12:34:56] "GET /index.html HTTP/1.1" 200
"Mozilla/5.0 (compatible; Bingbot/2.0; +http://www.bing.com/bingbot.htm)"
2. Googleアナリティクスで確認する
Google Analytics 4では、以下の手順で確認できます。
- 「レポート」→「ライフサイクル」→「集客」→「トラフィック獲得」
- 「セカンダリディメンション」で「デバイスカテゴリ」を追加
- フィルタで「Bingbot」を検索
3. Bingウェブマスターツールで確認する
「サイトエクスプローラー」→「クロール」セクションで、最新のクロール情報が確認できます。
よくある問題とトラブルシューティング
Bingbot関連でよく発生する問題と解決方法です。
問題1:Bingbotがサイトに来ない
原因
- robots.txtでブロックしている
- サイトが新しすぎる
- 被リンクが少ない
- サイトマップを送信していない
解決方法
- robots.txtを確認する
- Bingウェブマスターツールにサイトを登録する
- サイトマップを送信する
- SNSでコンテンツをシェアする
- 他のサイトから被リンクを獲得する
問題2:クロール頻度が高すぎてサーバー負荷が上がる
原因
Bingbotが頻繁にアクセスしすぎている。
解決方法
robots.txtでCrawl-delayを設定します。
User-agent: Bingbot
Crawl-delay: 10
または、Bingウェブマスターツールの「クロール制御」で調整します。
問題3:特定のページがインデックスされない
原因
- noindexタグが設定されている
- robots.txtでブロックしている
- ページの品質が低いと判断されている
- 重複コンテンツと判定されている
解決方法
- noindexタグを確認する
<!-- これがあると検索結果に表示されない -->
<meta name="robots" content="noindex">
- robots.txtを確認する
- コンテンツの質を改善する
- canonicalタグで正規URLを指定する
問題4:Bingbotが404エラーを返す
原因
削除されたページや存在しないページへのリンクがある。
解決方法
- Bingウェブマスターツールでエラーページを確認
- 内部リンクを修正する
- 外部からのリンクが原因なら、301リダイレクトを設定する
301リダイレクトの例(.htaccess)
Redirect 301 /old-page.html https://example.com/new-page.html
Bingbotを装った悪意のあるボット
注意が必要なのは、Bingbotを装った偽物のボットが存在することです。
本物のBingbotを見分ける方法
IPアドレスの確認
本物のBingbotは、Microsoftが所有するIPアドレスからアクセスします。
主に以下の範囲です。
- 40.77.167.0/24
- 65.52.0.0/14
- 157.55.0.0/16
- 207.46.0.0/16
逆引きDNSで確認する
手順
- アクセスログからIPアドレスを取得
- 逆引きDNSで確認
- ホスト名に「search.msn.com」が含まれていれば本物
コマンド例
nslookup 40.77.167.xxx
正規のBingbotなら、以下のような結果が返ります。
xxx.167.77.40.in-addr.arpa name = msnbot-40-77-167-xxx.search.msn.com.
偽物への対処
本物でないことが判明したら、アクセスをブロックしましょう。
.htaccessでIPをブロック
Deny from 123.456.789.0
まとめ
Bingbotは、Microsoftが運用するWebクローラーで、Bing検索にサイトを登録するために重要な役割を果たしています。
Googleほどのシェアはありませんが、Windows環境やChatGPTの検索機能など、様々な場面で活用されているんですね。
この記事のポイント
- BingbotはBingの検索エンジンが使用するWebクローラー
- Bingのシェアは日本で3〜5%程度だが、無視できない規模
- BingbotとGooglebotでは評価基準や技術的な違いがある
- robots.txtでクロールを制御できる
- Bingウェブマスターツールで詳細な分析が可能
- メタタグ、ソーシャルシグナル、構造化データがBingで重要
- クロール頻度やエラーは適切に管理する必要がある
- 偽物のBingbotに注意し、逆引きDNSで確認する
Googleだけでなく、Bingにも適切に対応することで、より多くのユーザーにサイトを見てもらえるチャンスが広がります。
Bingウェブマスターツールへの登録は無料ですし、設定も難しくありません。
まだ対応していない方は、この機会にぜひ登録してみてください。検索エンジン経由のアクセスが増えるかもしれませんよ!

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