Bing Mapsって何?Googleマップだけじゃないの?
地図アプリといえば、多くの人が「Googleマップ」を思い浮かべるでしょう。でも実は、Microsoftが提供する「Bing Maps(ビング マップ)」という地図サービスもあるんです。
「Bing Mapsなんて聞いたことない」という方も多いかもしれません。確かに日本ではGoogleマップの知名度が圧倒的ですが、Windows PCユーザーやMicrosoft Edgeをメインに利用するユーザーに広く採用されています。
約11%のユーザーがBing Mapsを日常的に使用しているとされており、決して無視できない存在です。特に海外、ヨーロッパやアメリカで広く利用されています。
この記事では、Bing Mapsとは何か、どんな機能があるのか、Googleマップとの違いは何なのかを、初心者の方でも分かるように詳しく解説していきます。
Bing Mapsとは何か

まずは、Bing Mapsの基本情報から見ていきましょう。
Microsoftが提供する地図サービス
Bing Maps(ビング マップ)は、マイクロソフトが提供する地図サービス。Bingサービスの1つです。
道路地図、航空写真、道路沿いの画像など、包括的な地図サービスを提供しています。ユーザーは、道順を調べたり、地元のビジネスを探索したり、リアルタイムの交通情報を表示したりできます。
Bingとは
BingはMicrosoftが提供する検索エンジンです。Googleに次ぐ検索エンジンとして、世界中で利用されています。Bing Mapsは、その検索エンジンと連携した地図サービスというわけです。
サービスの歴史
Bing Mapsは、一夜にして誕生したわけではありません。長い進化の歴史があります。
2005年7月に「MSN Virtual Earth」(ベータ版)を公開し、2005年12月にはVirtual Earth にローカル検索やイエローページを統合した「Windows Live Local」を公開。2006年9月にはLive Search と同時に「Live Local Search」を公開し、2006年11月に日本語版 Live Search に地図機能(ベータ版)を追加。2009年6月にBing と同時に「Bing Maps」を公開しました。
つまり、2005年から始まったサービスが、約20年の時を経て現在のBing Mapsになったのです。
日本での地図データ提供元
Bing Mapsの大きな特徴の一つが、日本の地図一強ともいわれ、日本中を回って地図を入手しているゼンリンから地図提供を受けている点です。
ゼンリンとは
ゼンリンは、日本の地図情報会社で、非常に詳細で正確な地図データを持っています。実際に現地を調査して地図を作成しているため、精度が高いことで知られています。
つまり、地図精度は悪くないということです。この点は、日本でBing Mapsを使う大きなメリットと言えるでしょう。
Bing Mapsの主な機能
Bing Mapsには、どんな機能があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
道路地図表示
基本的な道路地図を表示できます。世界各地の都市の詳細な地図を参照することができます。アメリカ版では、道の名前や地下鉄の駅の出口も表示されるとされています。
地図の見方
- 道路や建物が表示される
- 施設名や店舗名が記載される
- ズームイン・ズームアウトで縮尺を変更できる
航空写真
衛星写真や航空写真を見ることができます。
ランドサットの衛星写真・デジタルグローブ社の衛星写真や、Vexcel(ベクセル)社製デジタルカメラを使用して撮られた写真などを使用しています。
航空写真の特徴
- 実際の地形が見える
- 建物の形状が分かる
- 次のような地域の航空写真では、人々が点として見えるほど高解像度
ハイブリッド表示
地図と航空写真の良いとこ取りができる表示モードです。
Bing Maps でのハイブリッドとは、航空写真に名称の表示を入力したものです。例えば、ビルの名称や交差点の名称などが、航空写真に表示されている形式です。
便利な使い方
地理的な位置関係を把握しつつ、施設名も確認できるため、初めての場所に行く時に便利です。
鳥瞰写真(3D表示)
建物を立体的に見られる機能です。
鳥瞰写真では、建物が立体的に表示され、東西南北どの方向からも鳥瞰写真の機能を利用できます。また、この機能はかなり鮮明な写真を利用できます。
活用シーン
- 目的地周辺の建物の高さや配置を確認
- 観光地の雰囲気を事前に把握
- 不動産物件周辺の環境チェック
Google Earthにそっくりなサービスなどをあります。鳥瞰図という3D表示が地図でも衛星写真でもできるのが特徴です。
ストリートサイド(ストリートビュー相当)
Googleマップのストリートビューに相当する機能です。
ストリートビューは、関西のほとんどで非対応でした。(国道1号とかならいけました。)関東ならいけましたという状況のようです。
注意点
日本での対応エリアは、Googleストリートビューに比べると限定的です。主要な道路や都市部では利用できますが、全国をカバーしているわけではありません。
ルート検索
車、徒歩、公共交通機関など、さまざまな交通手段のルート計画もサポートしています。
検索できる移動手段
- 自動車
- 徒歩
- 公共交通機関(電車・バス)
ただし、乗換案内機能は、まずまず、Bingは弱い。(といいますか、Googleが強すぎる)という評価もあります。
リアルタイム交通情報
GPSやリアルタイムの交通データを活用することで、効率的なルート検索を可能にしています。
現在の道路の混雑状況を確認でき、渋滞を避けたルートを提案してくれます。
ビジネス検索
地名や施設名、住所を入力し、地図上に表示されるリストから詳細情報を確認したり、そこまでの行き方をルート検索するなどの機能があります。
レストラン、ホテル、ガソリンスタンドなど、周辺の施設を検索できます。
Googleマップとの違い

Bing MapsとGoogleマップ、何が違うのでしょうか。比較してみましょう。
地図データの提供元
Bing Maps
日本ではゼンリンから地図データの提供を受けています。これにより、詳細で正確な地図が利用できます。
Googleマップ
Googleは独自の地図データを使用しています。世界中の地図を自社で整備しており、更新頻度も高いです。
航空写真の鮮明度
両サービスとも高品質な航空写真を提供していますが、地域によって得意・不得意があります。
衛星写真上にストリートビューの地図を表示できたりと、かなりGoogle mapに近い使い勝手を実現しており、酷い!というサービスどころか便利やんぐらいのサービスです。
ストリートビュー機能
Googleマップ
日本全国の主要道路をほぼカバーしています。更新頻度も高く、常に新しい画像が追加されています。
Bing Maps(ストリートサイド)
日本での対応エリアは限定的です。関東地方では利用できますが、関西のほとんどで非対応という状況です。
乗換案内・公共交通機関
Googleマップ
日本の公共交通機関に非常に強いです。バス、電車、地下鉄など、詳細な時刻表と乗換情報が充実しています。
Bing Maps
バスに対応していない。まずバス停すら見つけてくれなかったという状況です。電車はある程度対応していますが、Googleには及びません。
Microsoft製品との連携
Bing Mapsの強み
他のMicrosoft製品やツールとの高い互換性を持ち、企業向けソリューションとしての優位性があります。
Windows PCやMicrosoft Office、Dynamics 365などとシームレスに連携できます。
使用例
- ExcelにBing Mapsを埋め込む
- PowerPointのプレゼン資料に地図を挿入
- ビジネスアプリケーションと連携
利用者数とシェア
世界規模
Googleマップが圧倒的なシェアを持っていますが、約11%のユーザーがBing Mapsを日常的に使用しているとされています。
地域差
ヨーロッパやアメリカで広く利用されていますが、日本では知名度が低いのが現状です。
Bing Mapsの使い方
実際にBing Mapsを使ってみましょう。基本的な操作方法を説明します。
アクセス方法
方法1:直接アクセス
ブラウザで「bing.com/maps」にアクセスします。
方法2:Bing検索から
- bing.comで検索
- 地名や施設名で検索
- 検索結果に表示される地図をクリック
方法3:Windows PCの標準アプリ
Windows 10/11には、マップアプリがプリインストールされています。これもBing Mapsを使用しています。
基本的な操作
場所を検索する
- 検索ボックスに地名、住所、施設名を入力
- 候補が表示されるので選択
- 地図上に位置が表示される
表示モードを切り替える
画面右上のメニューから、以下のモードを選択できます。
- 道路(Road)
- 航空写真(Aerial)
- 鳥瞰図(Bird’s eye)
- ストリートサイド(Streetside)
ズームイン・ズームアウト
- マウスホイールで拡大・縮小
- 画面右下の「+」「-」ボタン
- ピンチイン・ピンチアウト(タッチデバイス)
ルート検索の使い方
手順
- 出発地を入力
- 目的地を入力
- 移動手段を選択(車・徒歩・公共交通機関)
- ルートが表示される
表示される情報
- 所要時間
- 距離
- ターンバイターンの詳細な道案内
- 代替ルート
カスタムマップの作成
カスタムマップを作成するには、Bingマップのホームページの右側にある[マイプレイス]アイコンをクリックします。次に、「新しいマップ」をクリックして、場所、ルート、またはメモの追加を開始します。
活用例
- 旅行の計画を立てる
- 訪問先のリストを作成
- 気になる場所をまとめる
ビジネスオーナー向け:Bing Places for Business
店舗や施設を運営している方には、Bing Mapsへのビジネス登録が重要です。
Bing Places for Businessとは
Bing 検索や Bing Maps( Bing マップ)でビジネス情報を表示したり編集をするための、「 Bing Places for business 」というサービスがあります。
できること
- 店舗情報の登録・編集
- 営業時間の設定
- 写真のアップロード
- レビューへの返信
なぜ登録すべきか
Google以外の検索エンジンやマップサービスの利用者に対しても店舗情報を届けられる点が大きなメリットです。
メリット
- 検索結果での露出が増える
- Windows OSがプレインストールされたパソコンの普及や、Bing検索エンジンの利用拡大に伴い、徐々に認知度が高まっています
- Googleマップだけでは届かないユーザーにリーチできる
登録方法
Bing Places for business にアクセスし、「新しいユーザー」をクリックします。アカウントの新規登録には、「 Google アカウントと連携して、Google ビジネスプロフィール(旧:Google マイビジネス)から設定をインポートする方法」と、「手動で申請する方法」とがあります。
おすすめの方法
すでにGoogleビジネスプロフィールを運用している場合は、そこからインポートすると効率的です。
Bing MapsのAPI利用

開発者向けの情報も少し紹介します。
Bing Maps APIとは
Bing Mapsは、2009年にマイクロソフトがリリースした地図検索サービスで、さまざまなブラウザで使用できます。Microsoftが提供しているので、IEでも確実に動作するであろう点は利用メリットです。
できること
- ウェブサイトに地図を埋め込む
- カスタム地図アプリの開発
- ジオコーディング(住所から緯度経度を取得)
- ルート検索APIの利用
利用シーン
MAPの利用シーンは限られています。サイトに地図を載せる場合、アプリで地図を利用する場合がほとんどでしょう。
具体例
- 店舗検索サイト
- 不動産物件サイト
- 配送追跡システム
- イベント会場案内
今後の展開:Azure Mapsへの移行
重要なお知らせがあります。
Bing Mapsの廃止予定
Bing Maps は 2028 年に廃止され、Azure Maps に置換されます。
Azure Mapsとは
Microsoftのクラウドサービス「Azure」の一部として提供される地図サービスです。より高度な機能と、クラウドとの統合が特徴です。
一般ユーザーへの影響
通常の地図利用については、大きな変化はない見込みです。サービス名が変わり、機能が強化されると考えられます。
開発者への影響
APIを利用している開発者は、Bing Maps から Azure Maps への移行の手順については、Microsoft Azure のドキュメントをご参照くださいとされています。
よくある質問と回答
Bing Mapsについて、よくある質問をまとめました。
Q1:Bing Mapsは無料で使えますか?
はい、一般的な地図閲覧や検索は完全に無料です。APIを大量に使用する場合は、有料プランが必要になることがあります。
Q2:スマホでも使えますか?
使えます。ブラウザからアクセスするか、Windows端末の場合は標準のマップアプリが利用できます。iPhoneやAndroidでも、ブラウザ経由で利用可能です。
Q3:Googleマップより優れている点は?
他のMicrosoft製品やツールとの高い互換性が大きな利点です。また、ビジネス用途では、Microsoft製品のエコシステム内で一貫したサービスを受けられます。
Q4:日本語に対応していますか?
はい、日本語に完全対応しています。インターフェースも日本語で使用できます。
Q5:オフラインで使えますか?
基本的にはインターネット接続が必要です。一部のWindows端末向けマップアプリでは、オフラインマップのダウンロード機能がありますが、機能は限定的です。
Q6:カーナビとして使えますか?
ルート案内機能はありますが、リアルタイムのターンバイターン音声ナビゲーションは、専用のカーナビアプリには及びません。簡易的な道案内として使う分には問題ありません。
Bing Mapsを使うべき人・シーン
どんな人がBing Mapsを使うと良いのでしょうか。
おすすめの人
Windows PCユーザー
Windows PCユーザーやMicrosoft Edgeをメインに利用するユーザーに広く採用されています。OSとの統合により、シームレスに利用できます。
ビジネスユーザー
Microsoft 365やOffice製品を使っている方は、連携機能を活用できます。
海外旅行者
ヨーロッパやアメリカで広く利用されていますので、これらの地域では情報が充実しています。
使うべきシーン
Office製品との連携
PowerPointやExcelに地図を埋め込む時は、Bing Mapsがスムーズです。
航空写真の確認
高品質な航空写真を見たい時は、Bing Mapsの鳥瞰図機能が便利です。
ビジネス情報の発信
店舗経営者は、GoogleだけでなくBing Mapsにも情報を登録することで、より多くのユーザーにリーチできます。
まとめ:GoogleマップとBing Mapsを使い分けよう
Bing Mapsについて、理解が深まったでしょうか。
重要なポイントをおさらい
- Microsoftの地図サービス:マイクロソフトが提供する地図サービス。Bingサービスの1つ
- ゼンリンと提携:日本では正確な地図データを使用
- 豊富な表示モード:道路地図、航空写真、3D、ストリートサイド
- Microsoft製品との連携:Windows、Office、Azureとシームレスに統合
- ビジネス登録可能:Bing Places for Businessで店舗情報を発信
- 2028年にAzure Mapsへ:Bing Maps は 2028 年に廃止され、Azure Maps に置換されます
使い分けの提案
- 日本国内の詳細な検索・ナビ → Googleマップ
- Microsoft製品との連携 → Bing Maps
- 海外(特に欧米)の情報 → Bing Maps
- ビジネス露出の最大化 → 両方に登録
Bing Mapsは、Googleマップの「代わり」ではなく「補完」として考えるのが良いでしょう。それぞれの強みを理解して、状況に応じて使い分けることで、より便利に地図サービスを活用できます。
特にビジネスオーナーの方は、Google以外の検索エンジンやマップサービスの利用者に対しても店舗情報を届けられるメリットを考えると、Bing Mapsへの登録も検討する価値は十分にあります。
地図サービスは一つに絞る必要はありません。Googleマップと Bing Mapsの両方を使いこなして、より快適なデジタルライフを送ってくださいね!

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