BCC(ブラインドカーボンコピー)って何?

BCC(ビーシーシー)とは、「Blind Carbon Copy(ブラインドカーボンコピー)」の略で、メールを送信する時に使う機能の一つです。
簡単に言えば、「他の受信者には見えない形で、こっそりメールのコピーを送る」機能なんです。複数の人にメールを送りたいけれど、お互いのメールアドレスを知られたくない時に使います。
例えば、100人のお客様に一斉メールを送る時、BCCを使えば、それぞれの受信者は「自分だけに送られたメール」のように見えます。他の99人のメールアドレスは表示されないので、プライバシーが守られるんですね。
TO、CC、BCCの違い
メール送信には、3つの宛先指定方法があります。それぞれの違いを理解しておきましょう。
TO(宛先)
メインの送信相手を指定する欄です。
特徴:
- 直接のメッセージ相手
- 全ての受信者に表示される
- 返信を求める相手に使う
使用例:
「山田さん、企画書を確認してください」という時、TOに山田さんのアドレスを入れます。
CC(カーボンコピー)
「参考までに送る」相手を指定する欄です。
特徴:
- 情報共有が目的
- 全ての受信者に表示される
- 返信は基本的に不要(状況による)
使用例:
山田さんへのメールを、上司にも「参考までに」共有したい時、CCに上司のアドレスを入れます。
CCの語源:
Carbon Copyは、昔のタイプライターでカーボン紙を使って複写していたことに由来します。
BCC(ブラインドカーボンコピー)
「他の受信者に見えない形で送る」機能です。
特徴:
- 他の受信者からは見えない
- 受信者同士のアドレスを隠せる
- 密かに情報共有したい時に使う
使用例:
多数の顧客に一斉送信する時、各顧客のメールアドレスを他の顧客に見せたくない場合に使います。
3つの違いを表で比較
| 項目 | TO | CC | BCC |
|---|---|---|---|
| 表示 | 全員に見える | 全員に見える | 他の人には見えない |
| 用途 | 主な宛先 | 参考共有 | 秘密の共有/一斉送信 |
| 返信期待 | あり | 場合による | なし |
BCCを使うべき場面
BCCは適切な場面で使うことで、大きな効果を発揮します。
1. 一斉送信でプライバシーを守る
多数の人に同じ内容を送る時、最も重要な使い方です。
例:
- お客様への新商品案内メール
- セミナー参加者への案内メール
- 同窓会の案内メール
- メールマガジンの配信
なぜBCCを使うべきか:
TOやCCに全員のアドレスを入れると、受信者全員に他の人のメールアドレスが見えてしまいます。これは個人情報の漏洩にあたり、大問題になる可能性があります。
2. 上司や関係者への報告(密かに)
直接の相手には知られたくないが、上司には報告したい時に使えます。
例:
- 取引先とのやり取りを上司に共有
- トラブル対応を管理者に報告
- クレーム対応を関係部署に通知
注意点:
この使い方は慎重に。状況によっては、CCで堂々と共有する方が信頼関係を築けることもあります。
3. メーリングリスト的な使い方
グループ内での情報共有に使うこともできます。
例:
- プロジェクトメンバーへの定期報告
- 社内の部署全体への連絡
- サークルメンバーへの案内
ただし、頻繁にグループ送信するなら、専用のメーリングリストサービスを使う方が効率的です。
4. アドレス帳の整理
自分の複数のメールアドレスにコピーを送りたい時にも使えます。
例:
- 仕事のメールを個人アドレスにもバックアップ
- 重要なメールを別アカウントに保存
BCCの使い方(各メールサービス)
実際にBCCを使う方法を、主要なメールサービスごとに見ていきましょう。
Gmail(ジーメール)
PCブラウザ版:
- 「作成」ボタンをクリックして新規メールを開く
- 宛先欄の右側にある「BCC」をクリック
- BCC欄が表示されるので、アドレスを入力
- メール本文を書いて送信
スマホアプリ版:
- 新規メール作成画面を開く
- 宛先欄の右側にある下向き矢印をタップ
- 「BCC」欄が表示されるので、アドレスを入力
- メール本文を書いて送信
Outlook(アウトルック)
デスクトップ版:
- 「新しいメール」をクリック
- メール作成画面で「オプション」タブをクリック
- 「BCC」ボタンをクリック(または宛先欄の「BCC」をクリック)
- BCC欄にアドレスを入力
- メール本文を書いて送信
Web版(Outlook.com):
- 「新規作成」をクリック
- 宛先欄の右側にある「BCC」をクリック
- BCC欄が表示されるので、アドレスを入力
- メール本文を書いて送信
Yahoo!メール
PCブラウザ版:
- 「メール作成」をクリック
- 宛先欄の横にある「BCC」をクリック
- BCC欄が表示されるので、アドレスを入力
- メール本文を書いて送信
スマホアプリ版:
- 新規メール作成アイコンをタップ
- 「宛先」をタップして展開
- 「BCC」欄にアドレスを入力
- メール本文を書いて送信
iCloud Mail(アイクラウドメール)
PCブラウザ版:
- 新規メール作成アイコンをクリック
- 宛先欄の「BCC」ラベルをクリック
- BCC欄が表示されるので、アドレスを入力
- メール本文を書いて送信
iPhone標準メールアプリ:
- 新規メール作成画面を開く
- 「CC/BCC, 差出人」をタップ
- BCC欄にアドレスを入力
- メール本文を書いて送信
Thunderbird(サンダーバード)
- 「作成」ボタンをクリック
- 宛先欄の左にあるドロップダウンから「BCC」を選択
- または、メニューから「表示」→「宛先入力欄」→「BCC」を選択
- BCC欄にアドレスを入力
- メール本文を書いて送信
BCCを使う時のマナーとエチケット

1. TO欄を空にしない
BCCだけでメールを送る時は、TO欄に自分のアドレスを入れるのがマナーです。
理由:
- TO欄が空だと、受信者が「自分宛てのメール」と認識しにくい
- 迷惑メールと間違われる可能性がある
- メールサーバーによっては配信されないことがある
正しい例:
- TO:自分のメールアドレス
- BCC:送信したい人たちのアドレス
- 件名:〇〇セミナーのご案内
2. BCC送信であることを明記する
本文の冒頭で、BCCで送っていることを伝えましょう。
例文:
※このメールは、BCCにて複数の方に一斉送信しております。
皆様
お世話になっております。
〇〇セミナーのご案内をお送りいたします。
これにより、受信者が「なぜTO欄が自分のアドレスでないのか」を理解できます。
3. 返信方法を明記する
BCCで送ったメールに対して、受信者が「全員に返信」しても、他の受信者には届きません。
明記すべきこと:
※このメールへの返信は、送信者のみに届きます。
参加申し込みは、以下のフォームからお願いします。
4. 密告的な使い方は避ける
BCCで上司に報告する場合、相手に知られると信頼関係が損なわれる可能性があります。
考えるべきこと:
- 本当にBCCで送る必要があるか
- CCで堂々と共有した方が良くないか
- 事前に「上司に共有します」と伝えるべきでないか
5. 個人情報保護を意識する
BCCを使う最大の理由は、プライバシー保護です。
絶対に守るべきルール:
- 他人のメールアドレスを勝手にTO/CCに入れない
- 多数の人に送る時は必ずBCCを使う
- 誤送信に注意する
BCCでよくあるミスと対策
ミス1:BCCとCCを間違える
最も深刻なミスです。BCCのつもりがCCに入れてしまい、全員のアドレスが漏洩してしまいます。
対策:
- 送信前に必ず宛先を確認
- 重要なメールはダブルチェック
- テスト送信を自分宛てに行う
- 送信前に一呼吸置く
ミス2:TO欄を空にして送信
TO欄が空だと、迷惑メールフィルターに引っかかる可能性があります。
対策:
- TO欄に自分のアドレスを入れる
- または、メーリングリスト用の専用アドレスを用意
ミス3:BCCで送ったことを忘れる
受信者が「全員に返信」しても、他の受信者には届かないことを忘れてトラブルになります。
対策:
- 本文にBCC送信であることを明記
- 返信方法を具体的に指示
- 必要なら個別に返信する
ミス4:大量のアドレスを手入力
アドレスを一つずつ入力していると、入力ミスや漏れが発生します。
対策:
- アドレス帳のグループ機能を使う
- CSVファイルからインポート
- メール配信サービスの利用を検討
ミス5:返信時にBCCが残る
元のメールがBCCで送られてきた場合、返信時に誤って全員に送ってしまうミスがあります。
対策:
- 返信前に宛先を必ず確認
- 不要なアドレスは削除
- 個別対応が必要な場合は新規メールを作成
BCCの技術的な仕組み
BCCがどのように動作しているのか、簡単に解説します。
メールサーバーの処理
- 送信者がTO、CC、BCCにアドレスを指定
- メールサーバーがメールを受け取る
- TO/CCの受信者には、TO/CCの情報が含まれたメールを送信
- BCCの受信者には、BCC情報を削除したメールを送信
つまり、BCCの情報は配送時に削除されるんです。
メールヘッダーの違い
TO/CCに入れた場合のメールヘッダー:
To: user1@example.com
Cc: user2@example.com
BCCに入れた場合のメールヘッダー:
(BCC情報は含まれない)
受信者側でメールの詳細情報を見ても、BCC欄は表示されません。
BCCの代替手段

BCCには限界もあります。状況に応じて、他の方法も検討しましょう。
メール配信サービスを使う
大量のメールを定期的に送る場合は、専用サービスが便利です。
主なサービス:
- Mailchimp(メールチンプ)
- SendGrid(センドグリッド)
- Benchmark Email(ベンチマークメール)
メリット:
- 配信管理が簡単
- 開封率などの統計が見られる
- 迷惑メール判定されにくい
- テンプレート機能が充実
Googleグループやメーリングリスト
定期的にグループに送信する場合は、メーリングリストが便利です。
メリット:
- グループアドレス一つで送信可能
- メンバー管理が簡単
- 過去のメールがアーカイブされる
個別送信
少人数なら、一人ずつ個別に送る方が丁寧です。
メリット:
- パーソナライズできる
- 受信者が「自分宛て」と感じやすい
- トラブルが起きにくい
ビジネスシーンでのBCC活用
社内コミュニケーション
適切な使用例:
- 全社員への一斉連絡
- 部署内での情報共有
- プロジェクトメンバーへの報告
注意点:
社内でも個人情報保護は重要です。他部署の人のアドレスを勝手にさらさないようにしましょう。
顧客対応
適切な使用例:
- キャンペーン案内の一斉送信
- セミナー参加者への連絡
- アンケート送付
注意点:
顧客のメールアドレスは重要な個人情報です。漏洩すると大問題になります。
取引先とのやり取り
慎重に使うべき場面:
- 上司への報告を兼ねる場合
- 関係部署への情報共有
推奨される対応:
できればCCで堂々と共有するか、転送機能を使う方が透明性があります。
BCCに関するよくある質問
BCCで送ったメールは、他のBCC受信者に見えますか?
いいえ、見えません。BCCで送られたメール同士も、お互いに存在がわかりません。
BCCで送ったメールに返信されたらどうなりますか?
送信者にのみ返信が届きます。他のBCC受信者には届きません。
「全員に返信」を押すとどうなりますか?
TOとCCの人には届きますが、BCC受信者には届きません。元のメールがBCCで送られてきた場合、送信者にのみ返信されます。
スマホでもBCCは使えますか?
はい、使えます。どのメールアプリでもBCC機能があります。
BCCに入れられる最大人数は?
メールサービスによって異なりますが、一般的には以下の制限があります。
- Gmail:1日500通まで
- Outlook.com:1通あたり500人まで
- Yahoo!メール:1日1,500通まで
大量送信が必要な場合は、メール配信サービスの利用を検討しましょう。
BCCで送ったことはバレますか?
通常の方法では、受信者側でBCCで送られたことを確認する手段はありません。ただし、メールサーバーの管理者レベルでは確認できる可能性があります。
まとめ
BCCは、メールのプライバシーを守るための重要な機能です。
BCCの基本:
- Blind Carbon Copyの略
- 他の受信者には見えない形でメールを送信
- 主に一斉送信時のプライバシー保護に使用
使うべき場面:
- 多数の人への一斉送信
- メールアドレスの保護が必要な時
- 上司や関係者への密かな報告(慎重に)
使い方のマナー:
- TO欄に自分のアドレスを入れる
- BCC送信であることを本文に明記
- 返信方法を具体的に指示
- 送信前に必ず宛先を確認
注意すべきポイント:
- BCCとCCの入力ミスは重大な情報漏洩
- 送信前のダブルチェックは必須
- 大量送信は専用サービスの利用を検討
- 個人情報保護を最優先に
BCCを正しく使えば、効率的かつ安全にメールを送信できます。特にビジネスシーンでは、プライバシー保護の観点から必須のスキルと言えるでしょう。ただし、便利だからといって多用せず、状況に応じて適切な送信方法を選ぶことが大切です。

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