Arduino IDE 2.xをインストールしたのに、起動画面のロゴマークがぐるぐると回り続けてそのまま止まってしまう——この症状に心当たりはありませんか?
企業や学校のネットワークを使っている場合、その原因はほぼ確実にプロキシ設定にあります。
この記事では、なぜプロキシが原因になるのかを解説したうえで、設定ファイルの書き換えと環境変数の指定という2つの対処法を具体的な手順とともに紹介します。
なぜArduino IDE 2.xはプロキシ環境で起動しないのか
Arduino IDE 2.x(2.0系以降)は、初回起動時にインターネット経由でライブラリインデックスなどの情報をダウンロードする仕組みになっています。
この際、arduino.cc のサーバーに直接HTTPS接続を試みますが、プロキシ経由でしかインターネットに出られないネットワーク環境では、その直接接続がファイアウォールに遮断されてしまいます。
問題はここで終わりません。
Arduino IDE 2.xは、WindowsのシステムプロキシをそのままIDEが自動で参照しません。
つまり、Windowsの設定アプリやコントロールパネルで正しくプロキシを設定していても、Arduino IDE 2.xにはその情報が引き渡されず、無限にロード中のまま止まり続けます。
Arduino IDE 1.x系はシステムプロキシを参照していたため、バージョン2.0以降にアップデートして初めてこの問題に気づくケースが多くあります。
Arduino IDE 2.xのプロキシ設定方法
対処は、次の2つの方法を組み合わせることで解決できます。
- 1. 設定ファイル
arduino-cli.yamlにプロキシを記述する - 2. 環境変数(HTTP_PROXY / HTTPS_PROXY / NO_PROXY)を指定して起動する
どちらか一方だけでは起動できない場合があるため、両方を設定することを推奨します。
方法1|設定ファイル arduino-cli.yaml にプロキシを記述する
ファイルの場所
設定ファイルは以下のパスに存在します(Windowsの場合)。
%USERPROFILE%\.arduinoIDE\arduino-cli.yaml
エクスプローラのアドレスバーに上記をそのまま貼り付けるとフォルダが開けます。
ファイルが存在しない場合は、一度Arduino IDEを起動してから(起動画面で止まっても構いません)再度確認してください。
補足:
AppDataフォルダは隠しフォルダになっています。
エクスプローラの「表示」→「隠しファイル」にチェックを入れてから探すか、上記パスをアドレスバーに直接貼り付けてください。
設定ファイルの編集手順
arduino-cli.yamlをメモ帳やVS Codeなどのテキストエディタで開く- 以下の内容を追記する
認証なしのプロキシの場合:
network:
proxy: http://<プロキシサーバーのアドレス>:<ポート番号>
認証ありのプロキシの場合:
network:
proxy: http://<ユーザー名>:<パスワード>@<プロキシサーバーのアドレス>:<ポート番号>
記入例(プロキシアドレスが proxy.example.com、ポートが 8080、認証なしの場合):
network:
proxy: http://proxy.example.com:8080
- 保存してファイルを閉じる
インデント(字下げ)はスペース4文字です。TABキー ではなく 半角スペース でインデントするよう注意してください。
方法2|環境変数を指定してArduino IDEを起動するバッチファイルを作る
設定ファイルだけでは起動できない場合もあるため、環境変数も同時に設定する方法を紹介します。
バッチファイルを一度作っておくと、次回以降もダブルクリックで簡単に起動できて便利です。
バッチファイルの作成手順
- エクスプローラで以下のフォルダを開く
%USERPROFILE%\AppData\Local\Programs\Arduino IDE\
- そのフォルダの中に
ArduinoProxy.batという名前のテキストファイルを作成する - 以下の内容を記述して保存する
set HTTP_PROXY=http://<プロキシサーバーのアドレス>:<ポート番号>
set HTTPS_PROXY=http://<プロキシサーバーのアドレス>:<ポート番号>
set NO_PROXY=127.0.0.1,localhost
".\Arduino IDE.exe"
- ファイルの拡張子を
.batにして保存する(メモ帳で保存する際は「すべてのファイル」を選択してファイル名をArduinoProxy.batとする) ArduinoProxy.batをダブルクリックして起動する
<プロキシサーバーのアドレス> と <ポート番号> の部分は自分の環境に合わせて書き換えてください。
NO_PROXYの設定が重要な理由
NO_PROXY=127.0.0.1,localhost の設定が抜けていると、Arduino IDEの内部プロセス同士の通信(ローカル通信)までプロキシを経由しようとしてしまいます。
その結果、Failed to connect to localhost:XXXXX through proxy というエラーが発生し、やはり起動できなくなります。
この NO_PROXY の設定は必ず含めてください。
Arduino IDE 起動後のGUI設定(補足)
Arduino IDEが無事に起動できた後は、GUIからもプロキシを設定できます。
次回以降も設定が引き継がれるかを確認するために、一度GUIで設定しておくのがおすすめです。
- Arduino IDEのメニューから「ファイル」→「環境設定」を開く
- 「ネットワーク」タブを選択する
- 「手動プロキシ設定」を選択し、プロキシアドレスとポート番号を入力する
- 「OK」をクリックして保存する
ただし、GUI設定は初回起動が完了してから有効になります。
起動できない段階では、この画面にたどり着けないため、上述の設定ファイルと環境変数の方法で先に起動させる必要があります。
ログを確認してエラー原因を特定する
「設定したのに起動しない」という場合は、Arduino IDEのログを直接確認することで原因を特定できます。
コマンドプロンプトで以下を実行すると、起動時のログが表示されます。
cd "%USERPROFILE%\AppData\Local\Programs\Arduino IDE\"
".\Arduino IDE.exe"
ログに以下のようなメッセージが出ていれば、プロキシを経由せず直接接続しようとして失敗していることが確認できます。
dial tcp XXX.XX.XX.XX:443: connectex: A connection attempt failed ...
また、ログに Failed to connect to localhost が出ている場合は、NO_PROXY=127.0.0.1,localhost の設定が不足しているサインです。
その他の起動しない原因と対処
プロキシ以外の原因で起動しないケースも報告されています。
ユーザー名やフォルダパスに日本語が含まれている
設定ファイルの directories: 欄に日本語を含むパスが記録されていると、起動時にエラーになる場合があります。
その場合は、arduino-cli.yaml を開き、directories: 以下に記載されているパスが英数字のみで構成されているかを確認してください。
VPNが起動している
VPN接続中にArduino IDE 2.xが起動しないという報告もArduinoの公式フォーラムに寄せられています。
VPNを一時的に無効にした状態で起動を試みてください。
Arduino IDE 1.xは使える
Arduino IDE 1.x系(1.8.x)は従来どおり動作します。
2.x系での開発が必須でない場合は、Arduino公式サイトから1.x系をダウンロードして使うという選択肢もあります。
まとめ
Arduino IDE 2.xが起動画面でロゴが回り続けて止まる問題の原因は、多くの場合プロキシ設定の未対応です。
Windowsのシステムプロキシは自動では参照されないため、arduino-cli.yaml への記述と環境変数の設定を組み合わせることで解決できます。
Arduinoの概要については以下の記事も参考にしてください。
参考情報
- プロキシ環境下でArduino IDE 2.0が起動しないときの対処(Arduino IDE 2.3.4) – Qiita(BerandaMegane氏)(2025年2月10日更新)
- Arduino IDE 2.0.0(Windows Proxy環境)で起動画面でグルグル – Zenn(確認日:2025年3月)
- IDE doesn’t start when proxy configuration is required – GitHub(arduino/arduino-ide #1438)(確認日:2025年3月)
- Arduino 2.x proxy system settings – Arduino Forum(確認日:2025年3月)

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