「スマホが盗まれたら、中のデータはどうなるの…?」
そんな不安を解消するために、Googleが2024年にAndroidへ導入したのが盗難保護機能です。
この記事では、AI搭載の盗難検出ロックをはじめとする4つの保護機能の仕組み、設定方法、そして誤作動時の解除方法まで、初心者にもわかりやすく解説していきます。
Android盗難保護機能とは?

Android盗難保護機能は、スマホが盗まれたときに自動的にデータを守るセキュリティシステムです。
2024年にGoogleが発表し、2024年10月から世界中のAndroidスマホに順次展開されています。
なぜこの機能が必要なのか
世界中でスマホ盗難が急増
ロンドンでは6分に1台のペースでスマホが盗まれており、電動自転車やスクーターに乗った窃盗犯によるひったくりが横行しています。
ロック解除済みが狙われる
スマホを使っている最中にひったくられると、ロックが解除された状態で盗まれてしまいます。
その結果、銀行アプリ、写真、連絡先、SNSアカウントなど、すべての個人情報が危険にさらされます。
従来の対策では不十分
「デバイスを探す」機能があっても、盗難の瞬間にすぐ対応するのは困難です。
盗難保護機能は、盗まれた瞬間に自動で反応するため、被害を最小限に抑えられます。
4つの盗難保護機能
Android盗難保護には、4つの主要な機能があります。
1. 盗難検出ロック(Theft Detection Lock)
AIがひったくりを検知して自動ロック
スマホのセンサー、Wi-Fi、Bluetoothのデータを使い、AIが盗難の動きを検出します。
検出する動き
- スマホを手から奪って走り去る
- バイクや車で逃走する
- 急激な移動と位置情報の変化
- Wi-Fi・Bluetooth接続の急な切断
これらの動きを検知すると、数秒以内に画面が自動ロックされます。
メリット
- 即座に反応(盗難後数秒)
- 操作不要で自動作動
- AIが学習して精度向上
注意点
- 誤検知する可能性がある(急に走る、落とすなど)
- アプリを使用中でないと作動しにくい
- ホーム画面で放置中は検知されない
2. オフラインデバイスロック(Offline Device Lock)
インターネットから切断されると自動ロック
盗難犯がWi-Fiやモバイルデータをオフにして追跡を防ごうとすると、自動的にロックがかかります。
作動条件
- スマホがオフライン状態になる
- オフライン状態が一定時間継続
- ロック解除された状態で切断された場合
メリット
- 「デバイスを探す」を無効化されても保護される
- SIMカードを抜かれても有効
- 24時間で最大2回まで作動
注意点
- 画面ロック中は作動しない
- オンライン復帰後も解除には認証が必要
- 日常的にオフライン環境にいる人には不向き
3. リモートロック(Remote Lock)
電話番号だけで遠隔ロック
Googleアカウントにログインしなくても、電話番号だけでスマホをロックできる機能。
使い方
- 任意のデバイスで
android.com/lockにアクセス - 盗まれたスマホの電話番号を入力
- セキュリティチャレンジに回答
- ロックが実行される(約1分以内)
メリット
- Googleアカウントのログイン不要
- 素早い応急処置ができる
- パソコン、タブレット、他のスマホから実行可能
制限事項
- 24時間に2回まで
- スマホがオンラインのときのみ有効
- 事前に電話番号の認証が必要
4. デバイスを探す(Find My Device)
従来からある機能ですが、盗難保護と連携してさらに強化されています。
できること
- スマホの位置を特定
- 遠隔でロック
- 画面にメッセージ表示
- 音を鳴らす
- データを完全消去
Googleアカウントにスマホを登録すると、自動的にオンになります。
盗難保護機能の設定方法
初期状態ではすべてオフになっているため、手動で有効化する必要があります。
対応機種と必要条件
対応OS
- Android 10以降
必要なもの
- 画面ロック(PIN、パターン、パスワード、指紋認証など)
- Googleアカウント
- Google Playサービス v24.26以降
ほとんどのAndroidスマホが対応していますが、Android Goデバイス、タブレット、ウェアラブルは非対応です。
基本設定手順
手順
- 「設定」アプリを開く
- 「Google」をタップ
- 「すべてのサービス」をタップ
- 「個人とデバイスの安全性」セクションを探す
- 「盗難保護」(Theft protection)をタップ
ここに3つの保護機能が表示されます。
盗難検出ロックの有効化
手順
- 盗難保護画面で「盗難検出ロック」をタップ
- スイッチをオンにする
- 確認画面が表示されたら「オンにする」をタップ
これで、AIによる盗難検知が有効になります。
オフラインデバイスロックの有効化
手順
- 盗難保護画面で「オフラインデバイスロック」をタップ
- スイッチをオンにする
オフライン状態が続くと自動的にロックされるようになります。
リモートロックの有効化(重要)
リモートロックは他の2つと設定方法が異なります。
手順
- 盗難保護画面で「リモートロック」の項目をタップ(スイッチではなく項目名)
- 「リモートロックを使用」をオンにする
- 「電話番号を確認」をタップ
- 表示された電話番号が正しいか確認
- 「番号を確認」をタップ
- SMSで届いた確認コードを入力
- (任意)「セキュリティの質問」を設定
重要:電話番号の認証が必須
リモートロックを使うには、Googleアカウントに電話番号を登録し、認証を完了させる必要があります。
Galaxyシリーズの設定場所
Galaxyでは設定場所が少し異なります。
手順
- 「設定」→「セキュリティとプライバシー」
- 「紛失したデバイスの保護」
- 「盗難保護」をタップ
- 各機能をオンにする
One UI 7.0以降のGalaxyでは、この場所から設定できます。
盗難保護が作動したときの解除方法
誤検知や日常の動きで盗難保護が作動することがあります。
基本的な解除方法
通常の画面ロック解除と同じ
盗難保護機能で自動ロックされた場合でも、解除方法は普段と変わりません。
- PIN:登録した数字を入力
- パターン:登録したパターンをなぞる
- パスワード:登録したパスワードを入力
- 指紋認証:指紋センサーにタッチ
- 顔認証:カメラに顔を向ける
正しい認証をすれば、すぐに使えるようになります。
盗難検出ロックの誤作動
よくある誤作動の例
- ジョギング中に使っている
- 急いで走りながらスマホを操作
- 電車やバスで急ブレーキ
- スマホを落としそうになって慌てる
対処法
画面ロックを解除すれば、通常通り使えます。
何度も誤作動する場合は、盗難検出ロックをオフにすることもできます。
オフラインデバイスロックの解除
オンラインに戻しても自動解除されない
オフライン状態が解消されても、一度ロックされた画面は自動では解除されません。
解除方法
PIN、パターン、パスワード、または生体認証で解除してください。
リモートロックの解除
リモートロックで遠隔ロックした場合も、解除は本体で行います。
解除方法
スマホ本体で画面ロックを解除するだけ。
遠隔で解除する機能はありません。
認証に失敗し続けるとどうなる?
連続して間違えた場合
- 5回失敗:30秒間入力不可
- 10回失敗:再試行まで待機時間が延長
- Android 15以降:認証失敗ロック機能が追加
セキュリティが強化されているため、パスワードを忘れた場合は、Googleアカウントでの復旧が必要になります。
盗難保護機能をオフにする方法

誤作動が多い場合や、必要ない場合はオフにできます。
オフにする手順
手順
- 「設定」→「Google」→「すべてのサービス」
- 「盗難保護」をタップ
- 各機能のスイッチをオフにする
ただし、セキュリティが低下するため、オフにすることは推奨されません。
オフにするとどうなる?
盗難検出ロックをオフ
ひったくられても自動ロックされなくなります。
オフラインデバイスロックをオフ
オフライン状態にされても保護されません。
リモートロックをオフ
電話番号での遠隔ロックができなくなります。
結果
盗難時に即座の対応ができず、個人情報が危険にさらされる可能性が高まります。
Android 15の追加セキュリティ機能
Android 15では、さらに強化された保護機能が追加されています。
機密設定の保護
重要な設定変更に生体認証を要求
以下の操作をする際、追加で生体認証(指紋・顔)が必要になります:
- PINやパスワードの変更
- 盗難保護機能のオフ
- 「デバイスを探す」のオフ
- 工場出荷状態へのリセット
- Googleアカウントの追加・削除
- 開発者オプションへのアクセス
信頼できる場所では不要
自宅や職場など、登録した「信頼できる場所」では通常通り操作できます。
アイデンティティチェック(Identity Check)
Googleアカウント乗っ取りを防止
信頼できない場所で以下の操作をする際、生体認証が必須になります:
- Googleアカウントのパスワード変更
- アカウント復旧情報の追加・変更
- パスキーへのアクセス
1時間の遅延機能
PINを変更しようとすると、1時間の遅延が発生します。
この間にリモートロックなどで対応できます。
プライベートスペース
機密アプリを別の場所に隔離
銀行アプリや個人的なアプリを、別のPINで保護された領域に隠すことができます。
盗難時、通常のアプリ一覧には表示されません。
工場出荷状態リセット保護の強化
リセットしても使えない
スマホを工場出荷状態にリセットしても、Googleアカウントの認証情報がないと再設定できません。
これにより、盗んだスマホを転売しにくくなります。
実際に盗まれたときの対処法
もし本当にスマホが盗まれてしまった場合の手順です。
ステップ1:すぐにリモートロック
最優先で画面をロック
- 別のデバイスで
android.com/lockにアクセス - 盗まれたスマホの電話番号を入力
- ロックを実行
これで応急処置完了です。
ステップ2:デバイスを探すで位置確認
別のデバイスから操作
android.com/findにアクセス- Googleアカウントにログイン
- 盗まれたスマホを選択
- 地図上で位置を確認
できること
- 音を鳴らす
- ロック(メッセージと連絡先を表示)
- データ消去
ステップ3:紛失としてマーク
位置情報を継続的に追跡
「デバイスを探す」で「紛失としてマーク」をすると、スマホの位置が更新されるたびに通知が届きます。
ステップ4:警察に届け出
盗難届を提出
位置情報を確認したら、警察に盗難届を出してください。
持っていくもの
- スマホの機種名
- IMEI番号(設定→デバイス情報で確認可能)
- 購入時のレシート(あれば)
- デバイスを探すの位置情報
ステップ5:データ消去(最終手段)
取り戻せそうにない場合
スマホを回収できる見込みがない場合、最終手段としてデータを完全消去します。
注意
データ消去後は、位置情報の追跡もできなくなります。
よくある質問
Q: 盗難保護機能は無料?
A: はい、完全無料です。
Android 10以降のスマホであれば、追加料金なしで使えます。
Q: 設定しておけば100%安全?
A: いいえ、完全な保証はありません。
盗難保護機能は被害を「最小限に抑える」ためのものです。
限界
- 盗難そのものは防げない
- 完璧な検知は不可能(誤検知・見逃しがある)
- オフライン状態が長時間続くと追跡不可
それでも、何もしないよりは遥かに安全です。
Q: 誤作動が多いんだけど…
A: 感度が高すぎる場合があります。
2024年後半から、Googleが感度を上げたため、誤検知の報告が増えています。
対処法
- 盗難検出ロックだけオフにする
- オフラインデバイスロックとリモートロックは残す
- 誤作動が起きたら、すぐに画面ロックを解除
Q: 画面ロックを設定していないと使えない?
A: はい、画面ロックは必須です。
PIN、パターン、パスワード、生体認証のいずれかを設定してください。
画面ロックがないと、そもそもスマホのセキュリティ自体が低すぎます。
Q: 古いAndroidスマホでも使える?
A: Android 10以降なら使えます。
確認方法
- 「設定」→「システム」→「端末情報」
- 「Androidバージョン」を確認
Android 9以前の場合は、OSのアップデートが必要です。
Q: iPhoneにも同じ機能はある?
A: 似た機能があります。
iPhoneには「盗難デバイスの保護」という機能があり、iOS 17.3以降で利用できます。
ただし、AndroidのようなAIによる動作検知はありません。
Q: 盗難保護をオンにするとバッテリーは減る?
A: ほとんど影響ありません。
センサーやAIは常時動作していますが、消費電力は非常に小さいです。
バッテリーへの影響を気にする必要はありません。
Q: 子どものスマホにも設定すべき?
A: 絶対に設定してください。
子どもはスマホの管理が不十分なことが多く、盗難や紛失のリスクが高いです。
保護者が一緒に設定を確認しましょう。
Q: リモートロックが使えない
A: いくつかの原因が考えられます。
チェック項目
- 電話番号の認証が完了しているか
- スマホがオンラインか
- 24時間以内に2回使っていないか
- Google Playサービスが最新版か
それでもダメな場合は、「デバイスを探す」からロックしてください。
Q: 盗難検出ロックが作動しない
A: 作動条件が厳しい場合があります。
作動しにくい状況
- アプリを使っていない(ホーム画面で放置)
- 電車など移動しているがスマホは動かない
- Wi-Fi・Bluetoothがもともとオフ
盗難検出ロックに頼りすぎず、他の機能も併用してください。
Q: 誤作動で業務に支障が…
A: 設定を見直しましょう。
推奨設定
- 盗難検出ロック:オフ(誤作動が多い場合)
- オフラインデバイスロック:オン
- リモートロック:オン
- デバイスを探す:オン
これでも十分な保護が得られます。
まとめ
Android盗難保護機能は、スマホが盗まれたときに自動的にデータを守る画期的なシステムです。
4つの保護機能
- 盗難検出ロック:AIがひったくりを検知して即座にロック
- オフラインデバイスロック:ネット切断で自動ロック
- リモートロック:電話番号だけで遠隔ロック可能
- デバイスを探す:位置追跡、ロック、データ消去
設定方法
- 「設定」→「Google」→「すべてのサービス」→「盗難保護」
- 初期状態は全てオフなので、手動でオンにする
- リモートロックは電話番号の認証が必要
解除方法
- 誤作動したら、通常の画面ロック解除と同じ
- PIN、パターン、パスワード、生体認証で解除
- 遠隔では解除できない(本体操作が必要)
Android 15の追加機能
- 機密設定の保護(生体認証必須)
- アイデンティティチェック(アカウント乗っ取り防止)
- プライベートスペース(アプリ隔離)
- 工場出荷状態リセット保護の強化
重要なポイント
- 設定は5分で完了、効果は絶大
- 誤作動しても簡単に解除可能
- 無料で使える
- Android 10以降なら対応
- 画面ロックの設定が必須
こんな人は今すぐ設定を
- 通勤・通学で電車を使う
- 人混みの多い場所によく行く
- 海外旅行をする
- 高価なスマホを使っている
- 銀行アプリや重要データがある
スマホには銀行情報、写真、連絡先、SNSアカウントなど、膨大な個人情報が詰まっています。
盗難保護機能を設定しておけば、万が一のときでも安心です。
「自分は大丈夫」と思わず、今すぐ設定しておきましょう!

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