「スマホの写真を大画面で見たい」「動画をテレビで楽しみたい」──そんなとき、HDMIケーブルでスマホとテレビを繋げれば、簡単に画面を映せるんです。
でも実際にやってみると「映らない!」なんてことも。この記事では、AndroidスマホのHDMI出力について、接続方法から対応機種の見分け方、トラブル解決まで、わかりやすく解説していきます。
AndroidのHDMI出力って何?基本を理解しよう

HDMI出力とは、スマホの画面をテレビやモニターに映し出す技術のことです。
ケーブルで物理的に接続するため、無線接続と比べて映像が途切れにくく、遅延も少ないのが特徴。動画視聴やゲーム、プレゼンテーションなど、幅広い用途で活躍します。
有線接続のメリット
Wi-FiやBluetoothを使った無線接続と違い、有線接続には以下のようなメリットがあります。
安定した通信
ケーブルで直接繋ぐため、映像や音声が途切れたり乱れたりする心配がほとんどありません。Wi-Fi環境に左右されないので、どこでも安定して使えます。
低遅延
映像の遅延がとても少ないため、ゲームをプレイするときや、タイミングが重要な動画編集作業でもストレスを感じません。
高画質・高音質
最大4K/60Hzの高解像度にも対応しており、美しい映像をテレビで楽しめます。音声もデジタル伝送なので、クリアな音質です。
AndroidのHDMI出力に必要な機材
スマホとテレビを繋ぐには、いくつかの機材が必要です。
基本的に必要なもの
1. HDMI端子搭載のテレビまたはモニター
映像を映すための画面が必要です。最近のテレビやモニターであれば、ほとんどの機種にHDMI端子が付いています。
2. HDMI変換アダプタまたはケーブル
スマホとテレビをつなぐための変換器です。お使いのスマホの端子に合ったものを選ぶ必要があります。
3. HDMIケーブル
変換アダプタとテレビをつなぐケーブルです。アダプタによっては、最初からHDMIケーブルが一体化しているタイプもあります。
スマホの端子タイプを確認しよう
Androidスマホの充電口(端子)には、主に2つのタイプがあります。
USB Type-C(タイプC)
最近のスマホに多い楕円形の端子です。上下の向きを気にせず差し込めるのが特徴。2016年以降に発売された多くのAndroidスマホがこのタイプです。
micro USB(マイクロUSB)
少し前のスマホに使われていた台形の端子です。向きを合わせないと差し込めません。
充電するときに使っている端子を確認すれば、どちらのタイプか分かります。
対応機種の見分け方|DisplayPort Alt Modeとは?
ここが重要なポイント──USB Type-C端子があっても、全てのスマホがHDMI出力できるわけではありません。
DisplayPort Alt Mode対応が必須
USB Type-Cでの映像出力には「DisplayPort Alternate Mode」(略してDP Altモード)という機能への対応が必要です。
DP Altモードとは、USB Type-C端子を使って映像信号を送る拡張機能のこと。この機能に対応していないスマホでは、USB Type-C to HDMIケーブルを接続しても何も起こりません。
対応しているか確認する方法
公式サイトや取扱説明書をチェック
製品ページや取扱説明書に「DisplayPort Alternate Mode対応」「DP Alt Mode対応」「映像出力対応」などの記載があるか確認してください。
USB 3.1対応かどうかを確認
DP AltモードはUSB 3.1でサポートされた機能です。USB 2.0止まりのスマホでは利用できません。
ミドルレンジ以下のAndroidスマホは、端子の形状はType-Cでも、中身の規格がUSB 2.0という製品が多いため注意が必要です。
キャリアやメーカーのサポートに問い合わせる
不明な場合は、型番を伝えてサポートセンターに確認するのが確実です。
主な対応メーカーとシリーズ
以下のようなフラッグシップモデルは、HDMI出力に対応していることが多いです。
- Samsung Galaxy: Sシリーズ、Noteシリーズ、一部のAシリーズ
- Sony Xperia: 1シリーズ、5シリーズ、10シリーズなどの上位モデル
- ASUS: ROG Phoneシリーズ、Zenfoneシリーズの一部
- Huawei: Mateシリーズ、Pシリーズの上位モデル
- LG: Gシリーズ、Vシリーズ(2018年以降のアップデートで対応)
ただし、Google Pixelシリーズは、Pixel 7以前のモデルではハードウェアレベルで無効化されています。Pixel 8以降では、ソフトウェアレベルで対応が始まりました。
microUSB端子の場合はMHL対応が必要
古いスマホでmicroUSB端子を使っている場合は、「MHL」(Mobile High-Definition Link)への対応が必要です。
MHLは、モバイル端末向けの高速映像伝送規格です。対応端末であれば、MHL変換アダプターを経由してHDMIケーブルで接続できます。
ただし、最近のAndroidスマホではMHLへの対応が減っており、多くの新しい機種では非対応です。
実際の接続手順を詳しく解説
必要な機材が揃ったら、実際に接続してみましょう。
USB Type-Cスマホの接続方法
ステップ1:変換アダプタを用意する
USB Type-C to HDMI変換アダプタ、またはUSB Type-C to HDMIケーブルを用意します。価格は1,500円〜3,000円程度が目安です。
ステップ2:スマホにアダプタを接続
スマホのUSB Type-C端子に、変換アダプタのUSB Type-C側を差し込みます。
ステップ3:HDMIケーブルで接続
変換アダプタのHDMI端子に、HDMIケーブルの一方の端を差し込みます。もう一方の端をテレビやモニターのHDMI端子に差し込んでください。
ステップ4:テレビの入力を切り替える
テレビのリモコンで「入力切替」ボタンを押し、接続したHDMI端子(HDMI1、HDMI2など)を選択します。
ステップ5:映像が表示される
正常に接続されていれば、スマホの画面がテレビに映し出されます。スマホ側での特別な設定は基本的に不要です。
microUSB端子スマホの接続方法
ステップ1:MHL変換アダプタを用意する
microUSB to HDMI変換アダプタ(MHL対応)を用意します。スマホがMHLに対応しているか、事前に確認しておいてください。
ステップ2:外部電源が必要な場合もある
MHL変換アダプタの中には、外部電源(USB充電)が必要なタイプもあります。その場合は、アダプタに充電用のUSBケーブルも接続してください。
ステップ3:接続の流れはType-Cと同じ
あとはType-Cスマホと同様に、アダプタをスマホに接続し、HDMIケーブルでテレビと繋ぎ、入力切替を行います。
映らないときのトラブルシューティング

接続したのに映像が出ない──そんなときは、以下の項目を順番にチェックしてみましょう。
1. テレビの入力設定を確認
正しいHDMI入力チャンネルを選んでいますか?
HDMI端子が複数あるテレビの場合、接続した端子と同じ番号を選ぶ必要があります。HDMI1に接続したなら、テレビの設定もHDMI1にしてください。
リモコンの「入力切替」ボタンを押して、全てのHDMI入力を順番に試してみるのも効果的です。
2. ケーブルとアダプタの接続を確認
しっかり奥まで差し込まれていますか?
スマホ側、テレビ側、アダプタの全ての接続部分を一度抜いて、もう一度しっかり差し直してみてください。
ケーブルやアダプタが故障していませんか?
別のケーブルやアダプタを試してみると、故障かどうか判断できます。
3. スマホの対応状況を再確認
DisplayPort Alt Modeに対応していますか?
前述の方法で、お使いのスマホが映像出力に対応しているか、もう一度確認してください。非対応の場合は、残念ながら有線接続はできません。
4. HDMI端子の汚れをチェック
ホコリやゴミが詰まっていませんか?
スマホやテレビのHDMI端子にホコリやゴミが詰まっていると、正常に通信できません。エアダスターや綿棒で優しく掃除してみてください。
5. 他のHDMI機器との干渉
他の機器を接続していませんか?
DVDレコーダーなど、すでに他の機器をHDMI接続している場合、電子処理がうまくいかないことがあります。
一度全ての機器を外してから、スマホだけを接続してみてください。問題なく映れば、接続の順番や設定を見直しましょう。
6. Androidのバージョンを確認
OSが古すぎませんか?
Android 6.0以降では「Multi-Display Support」という機能が追加され、外部ディスプレイへの出力がサポートされています。
それより古いバージョンでは、正常に動作しない可能性があります。設定アプリから「システム」→「システムアップデート」でバージョンを確認してください。
7. 解像度の不一致
テレビの解像度が低すぎませんか?
スマホの解像度がテレビより高い場合、映像が表示されないことがあります。古いテレビを使っている場合は特に注意が必要です。
8. HDCP(著作権保護)の問題
著作権保護された動画を再生していませんか?
NetflixやAmazon Prime Videoなどの有料動画配信サービスは、著作権保護(HDCP)により、外部出力が制限される場合があります。
HDCP 2.2以上に対応したテレビとアダプタを使用する必要があります。また、サービスによっては、有線接続での再生を完全にブロックしている場合もあります。
9. 100均のケーブルを使っている
安価すぎるケーブルではありませんか?
100円ショップなどで売られている格安のケーブルやアダプタは、品質が不安定な場合があります。
高解像度に対応していなかったり、信号が不安定だったりすることも。信頼できるメーカーの製品を選ぶことをおすすめします。
おすすめのHDMI変換アダプタの選び方
どんなアダプタを買えばいいか迷っている方へ、選び方のポイントをご紹介します。
対応解像度を確認
4K対応かどうか
高画質で楽しみたいなら、4K/60Hz対応のアダプタを選びましょう。フルHD(1920×1080)にしか対応していないものもあるので、商品説明をよく読んでください。
充電機能付きがおすすめ
給電ポート付きのタイプ
映像を出力しながらスマホを充電できるタイプなら、長時間の使用でもバッテリー切れの心配がありません。
USB Type-CポートやUSB-Aポートが追加で付いているアダプタを選ぶと便利です。
信頼できるブランドを選ぶ
Anker、Elecom、Samsungなど
大手メーカーの製品は品質が安定しており、サポートも充実しています。少し価格は高くなりますが、長く使えることを考えるとコストパフォーマンスは良いです。
USBハブ機能付きも便利
複数のポートが付いたタイプ
HDMI出力だけでなく、USB-Aポート、SDカードスロット、LANポートなどが付いた多機能ハブタイプもあります。
プレゼンテーションやデスクワークで使う場合は、こうした製品が役立ちます。
無線接続との使い分け
有線接続以外にも、スマホの画面をテレビに映す方法はあります。
Chromecast(キャスト)
Googleが提供する無線ストリーミングデバイスです。テレビのHDMI端子に挿して、Wi-Fi経由でスマホの画面を映せます。
メリット
- ケーブル不要で手軽
- 複数のデバイスから接続可能
- YouTube、Netflixなどの主要アプリに対応
デメリット
- Wi-Fi環境が必要
- 遅延が発生することがある
- Amazon Prime Videoには非対応
Miracast(ミラキャスト)
Wi-Fi Allianceが策定した無線ミラーリング技術です。対応テレビであれば、追加機器なしでスマホの画面を映せます。
メリット
- 追加機器が不要な場合がある
- 幅広いAndroid端末に対応
デメリット
- 遅延が発生しやすい
- 動画配信サービスの一部は利用不可
使い分けの目安
有線接続が向いている場面
- ゲームをプレイする(遅延を最小限にしたい)
- 高画質な映画を楽しむ
- プレゼンテーションなど、確実に映像を表示したい
無線接続が向いている場面
- 写真や動画を気軽に共有したい
- ケーブルの配線が邪魔
- 複数人で順番に画面を共有する
まとめ:AndroidのHDMI出力を使いこなそう
AndroidスマホをHDMIでテレビに接続すれば、小さな画面では味わえない迫力ある映像体験が楽しめます。
ただし、全てのスマホが対応しているわけではないので、まずは自分のスマホが「DisplayPort Alternate Mode」に対応しているか確認することが大切です。
対応機種であれば、適切な変換アダプタとHDMIケーブルを用意するだけで、すぐに大画面で映像を楽しめます。
もし映らない場合は、この記事のトラブルシューティングを参考に、一つずつ原因をチェックしてみてください。
ケーブル接続なら遅延も少なく、安定した映像が楽しめるので、動画視聴やゲームにも最適。ぜひ試してみてくださいね。
よくある質問(FAQ)
Q1: 全てのUSB Type-CスマホでHDMI出力できますか?
A: いいえ、できません。USB Type-C端子があっても、DisplayPort Alternate Mode(DP Altモード)に対応していないスマホでは、HDMI出力できません。購入前に製品の仕様を確認してください。
Q2: 100円ショップのHDMI変換ケーブルは使えますか?
A: 品質が不安定な場合が多いため、おすすめしません。対応解像度が低かったり、信号が途切れたりすることがあります。信頼できるメーカーの製品を選んだほうが安心です。
Q3: NetflixやAmazon Prime Videoは見られますか?
A: HDCP 2.2以上に対応したテレビとアダプタであれば視聴可能です。ただし、サービスによっては、著作権保護の理由で外部出力が制限される場合があります。公式のキャスト機能やテレビアプリでの視聴が推奨されることもあります。
Q4: スマホを充電しながらHDMI出力できますか?
A: USB Type-CポートとHDMIポートを両方備えた変換ハブを使えば可能です。長時間の動画視聴やプレゼンテーションでは、充電機能付きのアダプタがおすすめです。
Q5: 古いスマホ(microUSB端子)でもHDMI出力できますか?
A: MHL(Mobile High-Definition Link)に対応していれば可能です。ただし、最近の機種ではMHL対応が減っており、多くの新しいスマホでは非対応です。お使いの機種の仕様を確認してください。
Q6: 接続したときにスマホ側で設定が必要ですか?
A: 基本的に不要です。正常に接続されていれば、自動的に映像が出力されます。ただし、一部の機種では、初回接続時に通知が表示され、許可が必要な場合があります。
Q7: ゲームをプレイするときの遅延はどのくらいですか?
A: 有線接続の場合、遅延はほとんど感じられないレベルです。無線接続と比べて圧倒的に低遅延なので、アクションゲームやリズムゲームにも適しています。
Q8: Google Pixelシリーズは対応していますか?
A: Pixel 7以前の機種は、ハードウェアレベルで無効化されているため、標準では使えません。Pixel 8以降では、ソフトウェアレベルで対応が始まりました。ただし、完全な機能は今後のアップデートで追加される可能性があります。
Q9: テレビが4Kに対応していないと使えませんか?
A: いいえ、フルHD(1920×1080)のテレビでも問題なく使えます。ただし、スマホの解像度がテレビより高い場合、映像が表示されないことがあるため、テレビの解像度を確認しておきましょう。
Q10: 横画面と縦画面、どちらも映せますか?
A: はい、スマホの画面向きがそのままテレビに映ります。動画を全画面で見るときは横向き、写真を見るときは縦向きと、自由に切り替えられます。

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