「Bluetoothイヤホンの音量が急に大きくなった」「音量調整が細かくできない」
こんな経験、ありませんか?
実は、これらの問題の原因は「絶対音量(Absolute Volume)」という機能かもしれません。
この記事では、絶対音量の仕組みから無効化の方法、設定が見つからない時の対処法まで、詳しく解説します。
絶対音量(Absolute Volume)って何?基本を理解しよう

絶対音量とは、スマホとBluetoothデバイス(イヤホンやスピーカーなど)の音量を同期させる機能のことです。
Android 6.0(Marshmallow)以降に搭載された機能で、現在のほとんどのAndroid端末で標準的に有効になっています。
絶対音量が登場する前はどうだったの?
Android 6.0より前は、スマホの音量とBluetoothデバイスの音量を別々に調整する必要がありました。
昔の使い方:
- スマホ側で音量を調整
- Bluetoothイヤホン側でも音量を調整
- 両方のバランスを取って、ちょうど良い音量にする
これが結構面倒だったんですね。
絶対音量の仕組み
絶対音量機能がオンになっていると、こんな動きをします:
スマホの音量ボタンを押す
→ スマホの音量が変わる
→ 同時にBluetoothデバイスの音量も変わる
Bluetoothデバイスの音量ボタンを押す
→ Bluetoothデバイスの音量が変わる
→ 同時にスマホの音量も変わる
つまり、どちらで操作しても両方の音量が連動するわけです。
絶対音量のメリット
1. 音量調整が簡単
スマホの音量ボタンだけで、全ての音量をコントロールできます。
わざわざイヤホンのボタンを探す必要がありません。
2. 一貫した音量管理
スマホとBluetooth機器の音量レベルが常に一致するので、音量の食い違いが起きません。
3. 便利な設計
最近のワイヤレスイヤホンの多くは、この機能を前提に設計されています。
絶対音量のデメリット
1. 細かい音量調整ができない
音量の調整幅が大きすぎて、「小さすぎる」と「大きすぎる」の間がない、という問題が発生することがあります。
2. 急な音量変化
音量を1段階上げただけなのに、急に大きくなりすぎることがあります。
3. 古いBluetooth機器との相性問題
独自の音量制御を持つ古いBluetoothデバイスでは、音が歪んだり、音量が不安定になったりすることがあります。
4. デバイス間の音量ステップ数の違い
- スマホ:音量15段階
- Bluetoothイヤホン:音量7段階
このような違いがあると、特定の音量レベルで音が歪むことがあるんです。
絶対音量を無効化する方法:開発者向けオプションから設定
「絶対音量を無効にしたい」という場合、開発者向けオプションから設定を変更できます。
開発者向けオプションを有効にする
まず、開発者向けオプションという隠し機能を表示させる必要があります。
手順:
- 「設定」アプリを開く
- 「デバイス情報」または「端末情報」をタップ
- 「ビルド番号」を探す
- 「ビルド番号」を連続で7回タップする
途中で表示されるメッセージ:
- 3回目くらいで「開発者になるまであと4ステップです」
- 5回目くらいで「開発者になるまであと2ステップです」
- 7回タップで「これでデベロッパーになりました!」
※機種によっては、PINコードやパスワードの入力を求められる場合があります。
絶対音量を無効化する設定
開発者向けオプションが有効になったら、次のステップに進みます。
手順1:開発者向けオプションを開く
- 「設定」アプリに戻る
- 「システム」をタップ(機種によっては「その他の設定」)
- 下の方に「開発者向けオプション」が追加されているのでタップ
手順2:絶対音量を無効化
- 「ネットワーク」または「Bluetooth」のセクションを探す
- 「絶対音量を無効にする」の項目を見つける
- スイッチをオンにする
※「無効にする」をオンにすると、絶対音量機能が無効になります。
少し分かりにくいですが、これで正解です。
手順3:再起動
設定を変更したら、スマホを再起動してください。
再起動しないと、設定が反映されないことがあります。
手順4:Bluetoothデバイスを再接続
再起動後、Bluetoothデバイスを一度切断して、再度接続し直してください。
機種別の設定場所
メーカーによって、設定メニューの名称や場所が若干異なります。
Google Pixel・AQUOS・Xperiaなど(標準Android):
- 設定 → システム → 開発者向けオプション → 絶対音量を無効にする
Samsung Galaxy(One UI):
- 設定 → 開発者向けオプション → Bluetooth絶対音量 または 絶対音量を無効にする
- 場合によっては、Bluetooth設定の個別デバイス設定内に「絶対音量」のオン/オフがあることも
OPPO(ColorOS):
- 設定 → その他の設定 → 開発者向けオプション → 絶対音量を無効にする
Xiaomi(MIUI):
- 設定 → その他の設定 → 開発者向けオプション → 絶対音量を無効化
設定が見つからない!「絶対音量を無効にする」項目がない時の対処法

「開発者向けオプションを開いたのに、絶対音量の設定が見つからない」
こんな悩みを持つ方も多いようです。
原因1:Android OSのバージョンが古い
絶対音量機能は、Android 6.0以降に搭載された機能です。
確認方法:
- 「設定」→「端末情報」→「Androidバージョン」を確認
- Android 5.x以前なら、そもそも絶対音量機能自体がない
※Android 5.x以前の場合、絶対音量機能は存在しないので、設定する必要もありません。
原因2:メーカー独自の設定場所にある
一部のメーカーでは、開発者向けオプション以外の場所に設定がある場合があります。
Samsung Galaxyの場合:
設定 → 接続済みのデバイス → Bluetooth → 接続中のデバイスの横にある「⚙」マーク → 「絶対音量」
ここに絶対音量のオン/オフスイッチがあることがあります。
原因3:検索機能を使っていない
設定アプリ内の検索機能を使うと、簡単に見つかることがあります。
手順:
- 「設定」アプリを開く
- 画面上部の「検索」アイコン(虫眼鏡マーク)をタップ
- 「絶対音量」「absolute volume」と入力して検索
原因4:Android 13以降で仕様が変わった
Android 13以降の一部機種では、絶対音量の設定項目の表示方法が変わったという報告があります。
対処法:
- 開発者向けオプション内を上から下まで丁寧に探す
- 「Bluetooth」「ネットワーク」「オーディオ」などのセクションを重点的にチェック
原因5:メーカーが設定を削除している
残念ながら、一部のメーカー・機種では、この設定項目自体が削除されている場合があります。
確認された非対応の例:
- 一部のXperia機種(XZ1など)
- 一部の格安スマホ
この場合は、サードパーティ製アプリを使う必要があります(後述)。
絶対音量を無効化した後の使い方と注意点
無効化後はどうなる?
絶対音量を無効にすると、スマホとBluetoothデバイスの音量が別々に管理されるようになります。
具体的には:
- スマホの音量ボタン → スマホ側の音量だけが変わる
- Bluetoothデバイスの音量ボタン → デバイス側の音量だけが変わる
音量調整のコツ
絶対音量を無効化した後は、以下のような調整方法がおすすめです。
基本的な手順:
- スマホの音量を70〜80%程度に設定
- Bluetoothデバイス側で細かく音量を調整
- 自分の好みの音量になるまで微調整
この方法なら、細かい音量調整が可能になります。
注意点1:Bluetoothデバイスに音量ボタンが必要
絶対音量を無効化すると、Bluetoothデバイス側で音量調整する必要があります。
音量ボタンがないイヤホンの場合:
最近の完全ワイヤレスイヤホンの中には、音量ボタンがないモデルもあります。
その場合、絶対音量を無効化すると不便になる可能性があるので注意してください。
音量調整機能があるイヤホンの例:
- Apple AirPods Pro(タッチコントロール)
- Sony WF-1000XM4(タッチコントロール)
- Samsung Galaxy Buds(タッチコントロール)
- Powerbeats Pro(物理ボタン)
- Google Pixel Buds Pro(スワイプ操作)
注意点2:再起動やアップデートで設定が戻ることがある
一部の機種では、スマホを再起動したり、OSをアップデートしたりすると、絶対音量の設定が元に戻ることがあります。
対処法:
音量の動きがおかしいと感じたら、開発者向けオプションを確認して、必要に応じて再設定してください。
注意点3:Bluetooth接続ごとに動作が異なる場合がある
機種によっては、Bluetoothデバイスごとに絶対音量の動作が異なることがあります。
例えば:
- イヤホンAでは無効化が有効に働く
- イヤホンBでは無効化しても変わらない
このような場合は、デバイスの相性の問題が考えられます。
サードパーティ製アプリで音量を調整する方法
開発者向けオプションに設定がない場合や、より細かい音量調整がしたい場合は、専用アプリを使う方法があります。
おすすめアプリ1:音量微調整ヘルパー(Volume Helper)
特徴:
- 日本語対応
- シンプルで使いやすい
- 音量を細かく調整できる(100段階以上)
使い方:
- Google Playから「音量微調整ヘルパー」をダウンロード
- アプリを起動
- 調整したい音量の種類を選択(メディア、通話など)
- スライダーで細かく調整
おすすめアプリ2:Precise Volume(+ EQ/Booster)
特徴:
- 100段階の音量調整
- イコライザー機能付き
- 英語のみ(日本語非対応)
使い方:
- Google Playからダウンロード
- 必要な権限を許可
- 音量を細かく調整
おすすめアプリ3:Bluetooth Volume Manager
特徴:
- Bluetooth接続時の音量を自動調整
- 接続するデバイスごとに音量を記憶
- 接続時に自動的に設定した音量になる
使い方:
- アプリをダウンロード
- Bluetoothデバイスを接続
- デバイスごとに好みの音量を設定
- 次回から自動的にその音量で接続される
アプリを使う際の注意点
セキュリティ:
音量調整アプリは、システムの深い部分にアクセスする必要があります。
信頼できる開発者のアプリを選び、レビューを確認してからインストールしてください。
バッテリー消費:
常駐型のアプリは、バッテリーを少し消費します。
不要な場合はアプリを終了しましょう。
よくあるトラブルと解決策
トラブル1:絶対音量を無効化しても変わらない
考えられる原因:
- 再起動していない
- Bluetoothデバイスを再接続していない
- 機種が対応していない
解決策:
- スマホを再起動する
- Bluetoothデバイスを一度切断して再接続
- それでもダメなら、サードパーティ製アプリを試す
トラブル2:音量が勝手に変わる
考えられる原因:
- 絶対音量の設定が有効/無効で切り替わっている
- アプリ側の音量設定と干渉している
- Bluetoothデバイス側の問題
解決策:
- 開発者向けオプションで設定を確認
- 音楽アプリやメディアアプリの音量設定を確認
- Bluetoothデバイスのファームウェアを最新に更新
- デバイスを再ペアリング(一度削除して再接続)
トラブル3:音量が小さすぎる/大きすぎる
考えられる原因:
- 絶対音量とBluetoothデバイスの相性が悪い
- 音量ステップ数の不一致
解決策:
- 絶対音量を無効化してみる
- スマホとデバイスの音量を別々に調整
- 音量調整アプリを使う
トラブル4:音が歪む・音質が悪い
考えられる原因:
- 音量レベルの不一致による音の歪み
- Bluetoothコーデックの問題
解決策:
- 絶対音量を無効化
- 音量を下げてみる(特に最大音量付近では歪みやすい)
- 開発者向けオプションで、BluetoothオーディオコーデックをSBC以外(AAC、aptXなど)に変更してみる
トラブル5:無効化の設定が勝手に戻る
考えられる原因:
- OSアップデートで初期化された
- セキュリティアップデートの影響
解決策:
定期的に開発者向けオプションを確認し、必要に応じて再設定してください。
Bluetoothイヤホン選びのポイント
絶対音量の問題を避けるため、Bluetoothイヤホンを選ぶ際のポイントを紹介します。
音量調整機能があるものを選ぶ
絶対音量を無効化する場合、イヤホン側で音量調整できることが重要です。
確認ポイント:
- 物理ボタンで音量調整できるか
- タッチコントロールで音量調整できるか
- 専用アプリで音量設定できるか
Bluetoothコーデックを確認
高音質コーデックに対応していると、音質が良くなり、音量調整の問題も減ることがあります。
主なコーデック:
- SBC:標準(全てのデバイスで使える)
- AAC:iPhoneやAndroid向け(高音質)
- aptX:Android向け(高音質・低遅延)
- LDAC:Sony製品向け(最高音質)
レビューを確認
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同じ悩みを持つ人のレビューが参考になります。
まとめ:自分に合った音量設定で快適に
Android の絶対音量機能は、便利な反面、人によっては不便に感じることもある機能です。
覚えておきたいポイント:
- 絶対音量とは:スマホとBluetoothデバイスの音量を同期する機能
- 無効化の方法:開発者向けオプション → 絶対音量を無効にする をオン
- 設定が見つからない時:検索機能を使う、機種別の場所を確認、アプリを使う
- 無効化のメリット:細かい音量調整ができる
- 無効化のデメリット:Bluetoothデバイス側で音量調整が必要
こんな人は絶対音量を無効化すべき:
- 音量調整が大雑把で困っている
- 音量が急に大きくなりすぎる
- 古いBluetoothデバイスで音が歪む
- より細かい音量コントロールがしたい
こんな人は有効のままで良い:
- 今の音量調整に不満がない
- Bluetoothデバイスに音量ボタンがない
- シンプルな操作が好き
自分の使用環境に合わせて、設定を調整してみてください。
最初は少し戸惑うかもしれませんが、慣れればより快適な音楽体験ができるはずですよ!

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