「スマホからパソコンのファイルにアクセスしたい」「AndroidでNASに接続できる?」「ネットワークドライブって何?」
自宅やオフィスにNAS(ネットワークストレージ)やファイルサーバーがあっても、Androidスマホからどうやってアクセスすればいいのか分からない方は多いのではないでしょうか。
今回は、Androidスマホ・タブレットからネットワークドライブ(NASやPC共有フォルダ)にアクセスする方法を、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
ネットワークドライブとは?

まず、基本的な用語から理解していきましょう。
ネットワークドライブの意味
ネットワークドライブとは、ネットワーク経由でアクセスできるストレージ(記憶装置)のことです。
パソコンやスマホに直接接続するUSBメモリやSDカードとは違い、Wi-Fiやイーサネットケーブルを通じて、複数の端末から同時にアクセスできるのが特徴です。
具体的には以下のようなもの
- NAS(Network Attached Storage)
- パソコンの共有フォルダ
- ファイルサーバー
- ネットワーク接続のHDD
これらはすべて「ネットワークドライブ」と呼ばれます。
NAS(ナス)とは
NASは「Network Attached Storage(ネットワーク・アタッチド・ストレージ)」の略で、ネットワークに直接接続できるハードディスクのことです。
NASの特徴
- 複数の端末から同時にアクセス可能
- 大容量のデータを一元管理できる
- 自動バックアップ機能がある
- メディアサーバーとしても使える
代表的なNASメーカー
- Synology(シノロジー)
- QNAP(キューナップ)
- バッファロー(Buffalo)
- I-O DATA(アイ・オー・データ)
家庭用から業務用まで、様々な製品があります。
PC共有フォルダとは
Windows PCやMacで作成したネットワーク上で共有されているフォルダのことです。
特別な機器を買わなくても、パソコンの設定だけでネットワークドライブを作れます。
PC共有フォルダの活用例
- 家族で写真や動画を共有
- 複数のパソコン間でファイル転送
- スマホで撮った写真をPCに自動保存
Androidからネットワークドライブにアクセスするメリット
なぜわざわざスマホからネットワークドライブにアクセスするのでしょうか?
メリット1:スマホの容量を節約できる
写真や動画をNASに保存すれば、スマホの内部ストレージを圧迫しません。
こんな悩みを解決
- 「空き容量が足りません」のメッセージが出る
- 大量の写真でストレージがいっぱい
- 動画を撮りたいのに容量不足
NASに保存しておけば、必要な時だけアクセスして見られます。
メリット2:大画面でコンテンツを楽しめる
NASに保存した動画や音楽を、スマホから直接再生できます。
活用例
- NASの映画をスマホで視聴
- 音楽ライブラリにアクセス
- 写真をスマホの画面で確認
わざわざPCを起動する必要がありません。
メリット3:どこからでもアクセス可能
外出先からでも、適切に設定すればNASにアクセスできます。
便利なシーン
- 出張先から会社の資料にアクセス
- 旅行先で家の写真を確認
- カフェで作業しながらNASのファイルを編集
ただし、外出先からのアクセスには別途設定が必要です。
メリット4:自動バックアップができる
スマホで撮影した写真を自動的にNASにバックアップできます。
バックアップのメリット
- スマホを紛失してもデータが残る
- 機種変更時のデータ移行が楽
- クラウドサービスの容量を気にしなくていい
NASメーカー専用アプリを使えば、自動バックアップも簡単です。
AndroidからNASにアクセスする準備
実際にアクセスする前に、必要なものを確認しましょう。
必要なもの
ハードウェア
- Androidスマホまたはタブレット
- NASまたは共有フォルダがあるPC
- Wi-Fiルーター(同じネットワークに接続するため)
ソフトウェア
- SMBプロトコルに対応したファイルマネージャーアプリ
情報
- NASまたはPCのIPアドレス
- 接続用のユーザー名とパスワード
SMBプロトコルとは
SMB(Server Message Block)は、ネットワーク上でファイル共有するための通信規格です。
SMBの特徴
- Windowsの標準ファイル共有プロトコル
- NASの多くがSMBに対応
- AndroidアプリでもSMB接続が可能
SMBのバージョン
- SMB1:古いバージョン(セキュリティ上非推奨)
- SMB2/SMB3:新しいバージョン(セキュリティが強化)
現在はSMB2以上を使うのが一般的です。
IPアドレスの確認方法
NASやPCのIPアドレスを確認する必要があります。
Windowsの場合
- コマンドプロンプトを開く
- 「ipconfig」と入力してEnter
- 「IPv4アドレス」を確認(例:192.168.1.10)
Macの場合
- システム環境設定を開く
- 「ネットワーク」をクリック
- 接続中のネットワークを選択してIPアドレスを確認
NASの場合
- NASの管理画面にログイン
- システム情報からIPアドレスを確認
- またはルーターの管理画面で接続機器一覧を見る
おすすめのファイルマネージャーアプリ
AndroidからNASに接続するには、SMB対応のファイルマネージャーアプリが必要です。
1. X-plore File Manager(無料)
特徴
- 完全無料で広告なし
- SMB/CIFS対応
- サーバー自動検索機能あり
- デュアルパネル表示で使いやすい
こんな人におすすめ
- 無料アプリを探している人
- 初めてNAS接続を試す人
- シンプルな操作性を求める人
Google Play ストアから「X-plore File Manager」で検索してダウンロードできます。
2. Solid Explorer(有料)
特徴
- 美しいマテリアルデザイン
- SMB2/SMB3対応
- クラウドストレージとの連携も可能
- 14日間の無料トライアルあり
こんな人におすすめ
- デザイン性を重視する人
- 長く使える高機能アプリが欲しい人
- クラウドとNASを一元管理したい人
無料トライアル後は買い切り(数百円)で使えます。
3. ファイルマネージャー+(無料・広告あり)
特徴
- 多機能で使いやすい
- SMB/FTP/SFTP対応
- Android側をFTPサーバー化できる
- 日本語対応
こんな人におすすめ
- 多機能なアプリを使いたい人
- NAS以外のネットワーク接続も必要な人
- 双方向のファイル転送をしたい人
4. Cx File Explorer(無料)
特徴
- シンプルで軽量
- SMB対応
- クラウドストレージにも対応
- ネットワーク検索が簡単
こんな人におすすめ
- 軽いアプリを探している人
- 複雑な設定が苦手な人
- クラウドとNASを併用したい人
5. Total Commander(無料・プラグイン方式)
特徴
- PC版で有名なファイラー
- プラグインでSMB対応
- カスタマイズ性が高い
- 昔ながらのUIで操作性抜群
こんな人におすすめ
- PC版Total Commanderを使っている人
- カスタマイズを楽しみたい人
- 古典的なUIが好きな人
X-plore File Managerで接続する方法【詳細手順】

最も人気のあるX-plore File Managerを例に、具体的な接続手順を解説します。
ステップ1:アプリのインストール
- Google Play ストアを開く
- 「X-plore File Manager」で検索
- 「インストール」をタップ
ステップ2:アプリの初期設定
- X-plore File Managerを起動
- 初回起動時、レイアウト選択画面が表示される
- 好みのレイアウトを選択(デュアルパネルがおすすめ)
ステップ3:LAN接続の設定
手順
- 画面左上の「三本線」アイコンをタップ
- メニューから「LAN」を選択
- 「新しいサーバー」または「サーバーを追加」をタップ
ステップ4:サーバー情報の入力
以下の情報を入力します。
必須項目
- サーバー:NASまたはPCのIPアドレス(例:192.168.1.10)
- ユーザー名:NASに設定したユーザー名
- パスワード:対応するパスワード
オプション項目
- ラベル:わかりやすい名前(例:「リビングNAS」)
- ドメイン:通常は空欄でOK
- 共有:特定のフォルダ名(わかる場合のみ)
ステップ5:接続テスト
- 入力が完了したら「TEST」ボタンをタップ
- 接続成功のメッセージが表示されればOK
- 「SAVE」をタップして保存
ステップ6:NASにアクセス
- メニューから「LAN」を選択
- 先ほど保存したサーバーをタップ
- 共有フォルダ一覧が表示される
- フォルダをタップしてファイルにアクセス
これで接続完了です!
ファイルの操作方法
接続できたら、実際にファイルを操作してみましょう。
ファイルをスマホにダウンロード
- NAS側のファイルを長押し
- 下部のメニューから「コピー」を選択
- 左パネルでスマホの保存先を選択
- 「ペースト」をタップ
これでNASのファイルがスマホに保存されます。
ファイルをNASにアップロード
- スマホ側のファイルを長押し
- 「コピー」または「移動」を選択
- 右パネルでNASの保存先を選択
- 「ペースト」をタップ
写真のバックアップなどに便利です。
ファイルを直接開く
NASのファイルをダウンロードせずに、直接開くこともできます。
対応ファイル
- 画像(JPEG、PNG、GIF)
- 動画(MP4、MKVなど)
- 音楽(MP3、FLACなど)
- テキストファイル
- PDFファイル
ファイルをタップするだけで、対応アプリが起動します。
PC共有フォルダへの接続方法
NASではなく、PCの共有フォルダに接続する場合の設定方法です。
Windows側の設定
ステップ1:共有フォルダを作成
- 共有したいフォルダを右クリック
- 「プロパティ」を選択
- 「共有」タブを開く
- 「共有」ボタンをクリック
- 「Everyone」を追加して「読み取り/書き込み」権限を付与
ステップ2:ネットワーク探索を有効化
- コントロールパネルを開く
- 「ネットワークと共有センター」を選択
- 「共有の詳細設定の変更」をクリック
- 「ネットワーク探索を有効にする」にチェック
- 「ファイルとプリンターの共有を有効にする」にチェック
ステップ3:パスワード保護の設定
セキュリティを重視する場合は有効に、家庭内だけなら無効でもOKです。
Android側の設定
X-plore File Managerで以下の情報を入力します。
- サーバー:PCのIPアドレス
- ユーザー名:Windowsのユーザー名
- パスワード:Windowsのログインパスワード
トラブルシューティング
うまく接続できない場合の対処法を紹介します。
問題1:サーバーが見つからない
原因
- スマホとNAS/PCが同じネットワークに接続していない
- IPアドレスが間違っている
- ファイアウォールがブロックしている
解決方法
- スマホとNAS/PCが同じWi-Fiに接続しているか確認
- IPアドレスを再確認(数字のタイプミスがないか)
- Windowsファイアウォールの設定を確認
問題2:認証エラーが出る
原因
- ユーザー名またはパスワードが間違っている
- パスワード保護が有効になっている
- SMBのバージョンが合っていない
解決方法
- ユーザー名とパスワードを再確認
- Windows側でパスワード保護を無効にする
- アプリの設定でSMB2またはSMB3を指定
問題3:接続が切れる
原因
- スマホがスリープモードになっている
- Wi-Fi接続が不安定
- NASやPCの電源管理設定
解決方法
- スマホのWi-Fi詳細設定で「スリープ時もWi-Fi接続を維持」を有効化
- ルーターの近くで試してみる
- NASやPCの省電力設定を確認
問題4:速度が遅い
原因
- Wi-Fiの電波が弱い
- ルーターが古い
- 大量のファイルを同時転送している
解決方法
- ルーターの近くで使う
- 5GHz帯のWi-Fiを使う(対応している場合)
- ファイル転送は少量ずつ行う
問題5:VPNアプリが干渉している
原因
- セキュリティアプリやVPNアプリがネットワーク接続をブロック
解決方法
- VPNアプリを一時的にオフにする
- セキュリティアプリの設定でLAN接続を許可
外出先からアクセスする方法
自宅のNASに外出先からアクセスしたい場合の方法です。
方法1:NASメーカーの公式アプリを使う
多くのNASメーカーが、外出先アクセス用のアプリを提供しています。
主なアプリ
- Synology:DS file、DS photo
- QNAP:Qfile、Qphoto
- バッファロー:WebAccess
- I-O DATA:Remote Link 3
これらのアプリを使えば、比較的簡単に外出先アクセスが可能です。
方法2:VPN接続を利用
VPN(Virtual Private Network)を使って、外出先から自宅ネットワークに接続する方法です。
必要なもの
- VPN対応ルーター
- またはNAS自体のVPN機能
メリット
- セキュリティが高い
- 自宅にいるのと同じようにアクセス可能
デメリット
- 設定がやや複雑
- 速度が遅くなることがある
方法3:クラウド経由でアクセス
NASの一部機能をクラウド経由でアクセスする方法です。
代表的なサービス
- Synology QuickConnect
- QNAP myQNAPcloud
メリット
- ポート開放不要
- 設定が比較的簡単
デメリット
- NASメーカーのサービスに依存
- 無料プランは機能制限あり
注意点
外出先アクセスを設定する際は、セキュリティに十分注意してください。強力なパスワードの設定や二段階認証の有効化を推奨します。
よくある質問

AndroidでNASにアクセスするのに料金はかかる?
基本的に無料です。
- NASやPC共有フォルダへのアクセス自体は無料
- 無料のファイルマネージャーアプリで十分
- 同じWi-Fiネットワーク内なら通信料も不要
一部の高機能アプリは有料ですが、無料アプリでも十分使えます。
ファイルをダウンロードせずに直接再生できる?
はい、できます。
直接再生できるファイル
- 動画(MP4、MKV、AVIなど)
- 音楽(MP3、FLAC、AACなど)
- 画像(JPEG、PNG、GIFなど)
ファイルマネージャーからタップするだけで、対応アプリが起動します。
ただし、ネットワーク速度が遅いと再生が途切れる場合があります。
スマホのストレージを圧迫しない?
直接再生やストリーミングならスマホのストレージは使いません。
ストレージを使わない操作
- NAS上のファイルを直接再生
- ファイルを閲覧するだけ
- ストリーミング再生
ストレージを使う操作
- ファイルをスマホにダウンロード
- オフラインで見るために保存
必要なファイルだけダウンロードすれば、効率的に使えます。
Wi-Fiがないとアクセスできない?
基本的にはWi-Fi接続が必要です。
Wi-Fi接続が必要な理由
- 同じローカルネットワークに接続する必要がある
- モバイルデータ通信では直接アクセスできない
例外
- VPNを使った外出先アクセス
- NASメーカーのクラウドサービス経由
これらの方法なら、モバイルデータ通信でもアクセス可能です(ただし通信料がかかります)。
複数のNASに同時接続できる?
はい、できます。
ほとんどのファイルマネージャーアプリは、複数のサーバー接続を保存できます。
活用例
- 自宅と職場のNASを登録
- 複数の共有フォルダを管理
- NASとクラウドストレージを併用
iPhoneでもNASにアクセスできる?
はい、iPhoneでも可能です。
iOS 13以降
標準の「ファイル」アプリでSMB接続が可能になりました。
それ以前のiOS
サードパーティ製のファイルマネージャーアプリが必要です。
基本的な接続方法はAndroidと同じです。
安全性は大丈夫?
適切に設定すれば安全です。
セキュリティ対策
- 強力なパスワードを設定
- SMB1は使わず、SMB2以上を使用
- パスワード保護を有効化
- 外部アクセスは必要最小限に
家庭内ネットワークだけで使う分には、大きな問題はありません。
まとめ:AndroidからNASへのアクセスは意外と簡単
Androidからネットワークドライブ(NASやPC共有フォルダ)にアクセスする方法について解説してきました。
この記事のポイント
- ネットワークドライブはWi-Fi経由でアクセスできるストレージ
- NASやPC共有フォルダにスマホから接続可能
- SMB対応のファイルマネージャーアプリが必要
- X-plore File Managerなど無料アプリで十分使える
接続の基本手順
- ファイルマネージャーアプリをインストール
- NASまたはPCのIPアドレスを確認
- アプリでサーバー情報を入力
- 接続テストして保存
活用方法
- スマホの容量節約
- 写真や動画の自動バックアップ
- 大画面でメディア再生
- 複数端末でのファイル共有
注意点
- 同じWi-Fiネットワークに接続が必要
- セキュリティ設定は適切に
- 外出先アクセスは慎重に設定
一度設定してしまえば、NASやPC共有フォルダへのアクセスは非常に便利です。スマホの容量不足に悩んでいる方や、写真のバックアップを自動化したい方は、ぜひ試してみてください!


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