「AlmaLinuxのインストールが途中で止まってしまう…」
「画面が真っ黒のまま何も表示されない…」
AlmaLinuxをインストールしようとして、こんな問題に遭遇していませんか?
実は、AlmaLinuxのインストールが進まない問題は、意外とよくあるトラブルです。
今回は、AlmaLinuxのインストールが止まる原因と、その解決方法を詳しく解説していきます。
AlmaLinuxのインストールが止まる5つのパターン

まず、「インストールが進まない」といっても、いくつかのパターンがあります。
あなたの症状がどれに当てはまるか、確認してみましょう。
パターン1:真っ黒な画面のまま何も表示されない
インストールメディア(USBやDVD)から起動したけど、画面が真っ黒のまま何も表示されない状態です。
症状:
- 画面が真っ黒
- カーソルも表示されない
- 何も反応がない
これは、グラフィックドライバーの問題であることが多いです。
パターン2:GRUBメニューは表示されるが、選択後に進まない
起動メニュー(GRUBメニュー)は表示されるけど、「Install AlmaLinux」を選択した後に進まない状態です。
症状:
- 起動メニューは表示される
- 「Install AlmaLinux」を選択できる
- 選択後に黒い画面で止まる
- たまにエラーメッセージが表示される
これもグラフィック関連の問題が多いです。
パターン3:テキストメッセージは出るがGUI画面に移行しない
起動中のテキストメッセージは表示されるけど、GUIのインストーラー画面に移行しない状態です。
症状:
- 起動中のログが表示される
- 「Starting …」などのメッセージが流れる
- ある時点で止まってしまう
- GUIインストーラーが起動しない
これは、システム要件やハードウェアの互換性の問題かもしれません。
パターン4:インストーラーは起動したが途中で止まる
インストーラー自体は起動したけど、特定の画面や処理で止まってしまう状態です。
症状:
- インストーラーの画面は表示される
- 設定を進められる
- 「パッケージのダウンロード中」で止まる
- インストール中にフリーズ
これは、ネットワークやディスクの問題が考えられます。
パターン5:インストール完了後、再起動で起動しない
インストール自体は完了したように見えるけど、再起動後に起動しない状態です。
症状:
- インストールは完了する
- 再起動を促される
- 再起動後に黒い画面
- ブートローダーが起動しない
これは、ブートローダーの設定やディスク構成の問題です。
【最重要】まず試すべき解決方法:nomodesetパラメータ
AlmaLinuxのインストールが止まる原因の大半は、グラフィックドライバーの問題です。
これを解決する最も効果的な方法が「nomodesetパラメータの追加」です。
nomodesetとは?
nomodesetは、起動時のグラフィック設定を無効化するパラメータです。
簡単に言うと、「とりあえずグラフィック機能を最小限にして起動してください」という指示です。
これにより、グラフィックカードのドライバー問題を回避できます。
nomodesetの設定方法
ステップ1:GRUBメニューで「e」キーを押す
- AlmaLinuxのインストールメディアから起動
- GRUBメニュー(起動メニュー)が表示される
- 「Install AlmaLinux」にカーソルを合わせる
- 「e」キーを押す
これで、起動パラメータを編集できる画面になります。
ステップ2:起動パラメータに「nomodeset」を追加
- カーソルキーで「linux」または「linuxefi」で始まる行を探す
- その行の末尾に移動(Endキー)
- スペースを入れて「nomodeset」と入力
編集前:
linux /images/pxeboot/vmlinuz inst.stage2=hd:LABEL=AlmaLinux-9-0-x86_64-dvd quiet
編集後:
linux /images/pxeboot/vmlinuz inst.stage2=hd:LABEL=AlmaLinux-9-0-x86_64-dvd quiet nomodeset
ステップ3:起動する
- Ctrl + Xキーを押す(またはF10キー)
- 編集した設定で起動される
- インストーラーが起動するか確認
これだけで、多くの場合は問題が解決します。
nomodesetで解決しない場合の追加パラメータ
nomodesetだけで解決しない場合、以下のパラメータも試してみてください。
追加パラメータ1:解像度を指定
nomodeset resolution=1024x768
画面解像度を明示的に指定します。
追加パラメータ2:テキストモードでインストール
nomodeset text
GUIインストーラーではなく、テキストモードでインストールします。
追加パラメータ3:基本グラフィックドライバーを使用
nomodeset xdriver=vesa
最も基本的なグラフィックドライバー(VESA)を使用します。
インストール後も設定を維持する方法
nomodesetでインストールに成功しても、再起動後にまた同じ問題が起きることがあります。
恒久的な設定方法:
インストール完了後、初回起動時にもGRUBメニューで「e」キーを押して、同じように「nomodeset」を追加してください。
起動後、以下のコマンドで恒久的に設定します:
sudo grub2-editenv - set "$(grub2-editenv - list | grep kernelopts) nomodeset"
sudo grub2-mkconfig -o /boot/grub2/grub.cfg
これで、次回からはnomodesetが自動的に適用されます。
原因別の解決方法
nomodeset以外にも、症状に応じた解決方法があります。
原因1:古いハードウェアの互換性問題
古いパソコンやCPUの場合、AlmaLinux 9が対応していないことがあります。
具体的な症状:
- Intel Core 2 Duoなどの古いCPU
- AlmaLinux 8はインストールできたが、9で失敗する
- エラーメッセージが表示される
解決方法:
【方法1】AlmaLinux 8を使用する
AlmaLinux 9ではなく、AlmaLinux 8をインストールしてください。
AlmaLinux 8は2029年までサポートされるので、十分使えます。
【方法2】カーネルパラメータを追加する
GRUBメニューで以下のパラメータを追加:
nomodeset forcepae
これで、古いCPUでも動作する可能性があります。
ただし、将来のアップデートで問題が再発する可能性があります。
原因2:BIOSの設定問題
BIOSの設定が原因で、インストールが進まないことがあります。
確認すべきBIOS設定:
1. UEFIとLegacyの設定
- UEFI modeで起動しているか
- Secure Bootは有効か無効か
- Legacy BIOSモードにする必要がないか
2. 仮想化支援機能
- Intel VT-x / AMD-Vが有効になっているか
- (仮想環境で使う場合)
3. グラフィック設定
- オンボードグラフィックが有効か
- 外付けグラフィックカードとの優先順位
対処法:
- BIOS設定画面に入る(起動時にF2やDelキーを押す)
- Boot Mode(起動モード)を確認
- UEFIとLegacyを切り替えてみる
- Secure Bootを無効にしてみる
- 設定を保存して再起動
- インストールを再試行
原因3:VirtualBox / VMwareでの問題
仮想環境でAlmaLinuxをインストールする場合、特有の問題があります。
VirtualBoxの場合:
【問題】kernel bug at arch/x86/kernel/traps.c:654 というエラー
これはVirtualBoxのバージョンが古い場合に発生します。
解決方法:
- VirtualBoxを最新版にアップデート
- バージョン6.1.36以降を使用
- 仮想マシンの設定を調整
- メモリ:最低2GB(推奨4GB以上)
- プロセッサ数:2個以上
- ビデオメモリ:128MB
- グラフィックコントローラ:VMSVGA
- 3Dアクセラレーションを無効化
VMwareの場合:
- ゲストOSタイプを「CentOS 8 64-bit」に設定
- 解像度を明示的に指定
- GRUBメニューで
resolution=1024x768を追加
- VMware Toolsは後からインストール
原因4:ネットワークの問題
インストーラーは起動するけど、「パッケージのダウンロード中」で止まる場合、ネットワークの問題かもしれません。
確認事項:
1. ネットワーク設定を確認
インストーラーの「ネットワークとホスト名」で以下を確認:
- ネットワークがオン(有効)になっているか
- IPアドレスが正しく割り当てられているか
- DNSサーバーが設定されているか
2. DNS設定
DNS設定が漏れていると、パッケージのダウンロードができません。
- DNSサーバー:8.8.8.8(GoogleのDNS)を試す
- または、ルーターのIPアドレス(例:192.168.1.1)
3. プロキシ設定
企業ネットワークでは、プロキシ設定が必要な場合があります。
対処法:
【方法1】ネットワークを無効化して最小インストール
- インストーラーで「ネットワークとホスト名」をオフにする
- 「ソフトウェアの選択」で「最小限のインストール」を選択
- インストール完了後、ネットワークを設定
【方法2】DNSを手動設定
- 「ネットワークとホスト名」をクリック
- 接続名をクリックして「設定」
- 「IPv4設定」タブ
- 「メソッド」を「手動」に変更
- DNSサーバーに
8.8.8.8を追加 - 「保存」→「オン」にする
原因5:ISOファイルの破損
ダウンロードしたISOファイルが破損している可能性もあります。
確認方法:
- ISOファイルのチェックサム(SHA256)を確認
- AlmaLinux公式サイトに記載されているチェックサムと比較
対処法:
- ISOファイルを再ダウンロード
- 別のミラーサイトからダウンロード
- ダウンロード後、必ずチェックサムを確認
- USBメモリへの書き込みも再度実行
原因6:ディスクの問題
ハードディスクやSSDに問題がある場合、インストール中にフリーズすることがあります。
症状:
- インストール中に突然止まる
- 特定のパッケージインストールで必ず失敗
- インストール後も起動しない
対処法:
【方法1】ディスクのチェック
別のOSやLive USBから、ディスクの健全性をチェック:
# ディスクのSMART情報を確認
sudo smartctl -a /dev/sda
# ディスクエラーをチェック
sudo badblocks -v /dev/sda
【方法2】別のディスクで試す
可能であれば、別のハードディスクやSSDで試してみてください。
【方法3】インストール先の変更
- パーティション構成を変更
- 自動パーティション設定ではなく、手動設定を試す
【パターン別】おすすめの対処手順

症状別に、試すべき対処法の順番をまとめました。
ケース1:画面が真っ黒で何も表示されない
- nomodesetパラメータを追加(最優先)
- 解像度を指定(
resolution=1024x768) - テキストモードでインストール(
text) - BIOSでグラフィック設定を確認
- 別のディスプレイで試す
ケース2:Install AlmaLinux選択後に止まる
- nomodesetパラメータを追加(最優先)
- VirtualBoxなら最新版にアップデート
- 仮想マシンのビデオメモリを128MBに増やす
- BIOSアップデートを検討
- AlmaLinux 8を試す
ケース3:パッケージダウンロード中に止まる
- ネットワークを無効化して最小インストール
- DNS設定を手動で行う(8.8.8.8)
- プロキシ設定を確認
- ISOファイルを再ダウンロード
- DVD版ISOを使用(ネットワーク不要)
ケース4:インストール後に起動しない
- nomodesetを恒久的に設定
- ブートローダーを再インストール
- UEFIとLegacyの設定を確認
- Secure Bootを無効化
- インストールをやり直す
よくある質問
Q1. インストール途中でフリーズした。強制終了しても大丈夫?
A:はい、問題ありません。
インストール中にフリーズした場合、強制終了して再試行しても大丈夫です。
まだディスクに書き込まれていないか、途中のデータは無効になるだけです。
Q2. AlmaLinux 9でダメだった。AlmaLinux 8なら大丈夫?
A:はい、解決する可能性が高いです。
AlmaLinux 9はカーネルが新しいため、古いハードウェアで問題が起きやすいです。
AlmaLinux 8の方が互換性が高く、古いPCでも動作しやすいです。
AlmaLinux 8は2029年までサポートされるので、十分実用的です。
Q3. 仮想環境と物理マシン、どちらで試すべき?
A:まず仮想環境で試すのがおすすめです。
物理マシンで問題が解決しない場合、まず仮想環境(VirtualBoxなど)で試してみてください。
仮想環境で正常にインストールできれば、物理マシンのハードウェアに問題があると判断できます。
Q4. メモリは何GB必要?
A:最低2GB、推奨4GB以上です。
- 最小インストール:2GB以上
- GUI環境あり:4GB以上
- 快適に使いたい:8GB以上
メモリが少ないと、インストール中にフリーズしやすくなります。
Q5. Rocky Linuxなら大丈夫?
A:試す価値はあります。
Rocky LinuxもRHEL互換のディストリビューションで、AlmaLinuxと似ています。
AlmaLinuxで問題がある場合、Rocky Linuxでは解決することもあります。
逆もまた然りです。
まとめ:AlmaLinuxインストールのトラブルは解決できる
AlmaLinuxのインストールが進まない問題について、いかがでしたか?
最後に、重要なポイントをまとめておきます。
まず試すべきこと:
- nomodesetパラメータを追加(これだけで大半が解決)
- GRUBメニューで「e」キーを押す
- 「linux」行の末尾に「nomodeset」を追加
- Ctrl + Xで起動
パターン別の対処法:
- 真っ黒な画面 → nomodeset
- 選択後に止まる → nomodeset + 仮想環境の設定
- ダウンロード中に止まる → ネットワーク設定 + 最小インストール
- 起動しない → ブートローダーの再設定
困った時の選択肢:
- AlmaLinux 9がダメなら、AlmaLinux 8を試す
- 物理マシンがダメなら、仮想環境で試す
- AlmaLinuxがダメなら、Rocky Linuxを試す
ハードウェアの確認:
- 古すぎるCPUは対応していない可能性
- BIOSアップデートで解決することも
- メモリは最低2GB、推奨4GB以上
AlmaLinuxは安定したサーバーOSですが、インストール時のトラブルは決して珍しくありません。
特に、グラフィックドライバー関連の問題は頻発します。
しかし、nomodesetパラメータの追加だけで、ほとんどの問題は解決できます。
まずは落ち着いて、この記事で紹介した方法を一つずつ試してみてください。
あなたのAlmaLinuxインストールが成功することを願っています!

コメント