AlmaLinuxを使い始めたばかりで、「IPアドレスの設定ってどうやるの?」と悩んでいませんか?
Linuxというと、黒い画面にコマンドを打ち込むイメージが強いかもしれません。
でも実は、GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)を使えば、マウス操作で簡単にIPアドレスを設定できるんです。
この記事では、AlmaLinuxでGUIを使ってIPアドレスを設定する方法を、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
コマンドが苦手な方でも大丈夫。画面の操作だけで、ネットワーク設定ができるようになりますよ。
AlmaLinuxって何?CentOSの後継OS
まず、AlmaLinuxについて簡単に説明しておきましょう。
AlmaLinux(アルマリナックス)の特徴
AlmaLinuxは、2021年に登場したLinux OSの一つです。
「OS」とは「Operating System(オペレーティングシステム)」の略で、パソコンの基本となるソフトウェアのこと。WindowsやmacOSと同じ役割を果たすものですね。
AlmaLinuxは、長年親しまれてきた「CentOS」というLinuxの後継として開発されました。
CentOSの開発方針が変更されたことで、多くの企業やユーザーがAlmaLinuxに移行しているんです。
企業向けの安定性
AlmaLinuxは、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)というエンタープライズ向けLinuxと互換性があります。
エンタープライズというのは「企業向け」という意味。つまり、業務用途でも安心して使える安定性と信頼性を持っているということです。
無料で使えるのに、企業向けの品質を備えている。それがAlmaLinuxの大きな魅力なんですね。
IPアドレス設定の基本を理解しよう
GUIでの設定方法に入る前に、IPアドレスについて基本を押さえておきましょう。
IPアドレスとは?ネットワーク上の住所
IPアドレスは、ネットワーク上の住所のようなものです。
「192.168.1.100」のような数字の並びで表されます。
このアドレスがあることで、ネットワーク上の他のコンピュータと通信できるんですね。
2つの設定方法:DHCPと固定IP
IPアドレスの設定方法には、主に2種類あります。
1. DHCP(自動取得)
- ルーターが自動的にIPアドレスを割り当ててくれる
- 家庭用のネットワークではこちらが一般的
- 設定が簡単で、初心者向き
2. 固定IP(手動設定)
- 自分で決めたIPアドレスを設定する
- サーバーとして使う場合や、特定の機器と通信する場合に必要
- 設定項目が多く、ネットワークの知識が必要
どちらを使うかは、使用目的によって変わってきます。
設定に必要な情報
固定IPを設定する場合、以下の情報が必要になります:
- IPアドレス:このコンピュータのアドレス
- サブネットマスク:ネットワークの範囲を示す値
- デフォルトゲートウェイ:インターネットへの出口(通常はルーターのアドレス)
- DNSサーバー:ドメイン名をIPアドレスに変換してくれるサーバー
これらの情報は、ネットワーク管理者から教えてもらうか、ルーターの設定画面で確認できます。
方法1:nmtuiを使った設定(テキストベースGUI)
AlmaLinuxでIPアドレスを設定する最も簡単な方法が、nmtui(エヌエムティーユーアイ)というツールを使う方法です。
nmtuiとは?
nmtuiは「NetworkManager Text User Interface」の略。
テキストベースのインターフェースですが、矢印キーとエンターキーだけで操作できるユーザーフレンドリーなツールなんです。
デスクトップ環境がなくても使えるので、サーバー用途でも便利ですよ。
nmtuiの起動方法
ターミナルを開いて、以下のコマンドを入力します:
sudo nmtui
「sudo」は管理者権限で実行するという意味。ネットワーク設定には管理者権限が必要なんですね。
パスワードを求められたら、自分のユーザーパスワードを入力してください。
nmtuiでの設定手順
nmtuiが起動すると、メニュー画面が表示されます。
ステップ1:メニューから選択
矢印キーで「Edit a connection(接続の編集)」を選択して、エンターキーを押します。
ステップ2:ネットワーク接続を選択
設定したいネットワーク接続(eth0、ens33など)を選択して、「Edit(編集)」を選びます。
ステップ3:IPv4設定を変更
「IPv4 CONFIGURATION」の項目を探します。
- DHCP(自動)にする場合:「Automatic」を選択
- 固定IPにする場合:「Manual」を選択
ステップ4:固定IPの場合の追加設定
「Manual」を選んだ場合、以下の情報を入力します:
- 「Addresses」の横にある「」を選択
- IPアドレスとサブネットマスクを入力(例:192.168.1.100/24)
- 「Gateway」にデフォルトゲートウェイを入力(例:192.168.1.1)
- 「DNS servers」の横にある「」を選択
- DNSサーバーのアドレスを入力(例:8.8.8.8)
ステップ5:設定を保存
すべての入力が終わったら、「」を選んで設定を保存します。
ステップ6:接続を有効化
メニューに戻ったら、「Activate a connection(接続の有効化)」を選びます。
設定した接続を選択して、「Deactivate」してから再度「Activate」することで、設定が反映されます。
方法2:GNOME設定画面を使った方法
デスクトップ環境(GNOME)がインストールされている場合は、さらに視覚的な方法で設定できます。
GNOME設定画面の開き方
方法1:トップバーから
画面右上のネットワークアイコンをクリックして、「設定」または「ネットワーク設定」を選択します。
方法2:設定アプリから
- 「アクティビティ」をクリック(画面左上)
- 「設定」アプリを検索して開く
- 左側のメニューから「ネットワーク」を選択
GNOME設定画面での設定手順
ステップ1:ネットワーク接続を選択
有線接続の場合、「有線」または「Wired」の項目が表示されます。
右側の歯車アイコン⚙️をクリックして、詳細設定を開きます。
ステップ2:IPv4タブを開く
上部のタブから「IPv4」を選択します。
ステップ3:設定方法を選択
「IPv4 Method」のドロップダウンメニューから選びます:
- 自動(DHCP):「Automatic (DHCP)」
- 固定IP:「Manual」
ステップ4:固定IPの詳細設定
「Manual」を選んだ場合:
- 「Addresses」の下にある「+」ボタンをクリック
- 以下の情報を入力:
- Address:IPアドレス(例:192.168.1.100)
- Netmask:サブネットマスク(例:255.255.255.0)
- Gateway:デフォルトゲートウェイ(例:192.168.1.1)
- 「DNS」の欄にDNSサーバーを入力(複数の場合はカンマで区切る)
ステップ5:設定を適用
右上の「適用」または「Apply」ボタンをクリックします。
接続をオフにしてから再度オンにすることで、設定が反映されます。
設定の確認方法
設定が正しく反映されたか確認しましょう。
GUIでの確認
GNOME設定画面で、ネットワーク接続の詳細を見ると、現在のIPアドレスが表示されます。
「詳細」または「Details」タブを開くと、以下の情報が確認できます:
- IPアドレス
- サブネットマスク
- デフォルトゲートウェイ
- DNSサーバー
コマンドでの確認(参考)
ターミナルで確認したい場合は、以下のコマンドが使えます:
ip addr show
または
nmcli device show
これらのコマンドで、現在のネットワーク設定が詳しく表示されます。
インターネット接続のテスト
設定が正しいか、実際にインターネットに接続できるかテストしてみましょう。
Webブラウザを開いて、好きなWebサイトにアクセスしてみてください。
または、ターミナルで以下のコマンドを実行:
ping -c 4 8.8.8.8
このコマンドは、Googleの公開DNSサーバーに4回通信を試みます。
応答があれば、ネットワーク設定は成功です。
よくあるトラブルと解決方法
IPアドレス設定でよくある問題と、その対処法を紹介します。
トラブル1:設定が反映されない
原因:
接続を再起動していない可能性があります。
解決方法:
nmtuiやGNOME設定で、一度接続を無効にしてから再度有効にしてください。
または、ターミナルで以下のコマンドを実行:
sudo systemctl restart NetworkManager
NetworkManagerを再起動することで、設定が反映されます。
トラブル2:インターネットに繋がらない
原因:
デフォルトゲートウェイやDNSサーバーの設定が間違っている可能性があります。
解決方法:
- デフォルトゲートウェイが正しいか確認(通常はルーターのIPアドレス)
- DNSサーバーが設定されているか確認
- 試しに「8.8.8.8」(GoogleのDNS)を設定してみる
トラブル3:固定IPで「IPアドレスが競合しています」
原因:
設定したIPアドレスが、既に他の機器で使われています。
解決方法:
別のIPアドレスを設定してください。
ネットワーク内で使われていないアドレスを選ぶ必要があります。
ルーターの管理画面で、DHCPの割り当て範囲を確認し、その範囲外のアドレスを使うと安全です。
トラブル4:ネットワークインターフェースが見つからない
原因:
ネットワークカードのドライバーが正しく読み込まれていない可能性があります。
解決方法:
ターミナルで以下のコマンドを実行して、インターフェースの状態を確認:
ip link show
インターフェースが「DOWN」になっている場合は、以下のコマンドで有効化:
sudo ip link set [インターフェース名] up
それでも解決しない場合は、ドライバーの再インストールが必要かもしれません。
セキュリティとベストプラクティス
IPアドレスを設定する際の、セキュリティ面での注意点を紹介します。
ファイアウォールの設定
AlmaLinuxにはfirewalldというファイアウォールが標準で搭載されています。
IPアドレスを設定した後も、ファイアウォールの設定を確認しておきましょう。
必要なポート(通信の出入り口)だけを開放することで、セキュリティを高められます。
固定IPを使う場合の注意点
固定IPアドレスを設定する場合:
- ネットワーク管理者と相談して、使用可能なアドレス範囲を確認
- DHCPの割り当て範囲と重複しないアドレスを選ぶ
- ドキュメントに記録しておく(どの機器にどのIPを割り当てたか)
これらを守ることで、アドレス競合などのトラブルを防げます。
定期的な更新
AlmaLinux本体やNetworkManagerは、定期的にアップデートされます。
セキュリティパッチや機能改善が含まれているため、定期的に更新しましょう。
sudo dnf update
このコマンドで、システム全体をアップデートできます。
まとめ:AlmaLinuxのIP設定はGUIで簡単!
AlmaLinuxでGUIを使ってIPアドレスを設定する方法をまとめます。
主な設定方法:
1. nmtuiを使う方法
- テキストベースの対話型ツール
- デスクトップ環境がなくても使える
- 矢印キーとエンターキーで操作
2. GNOME設定を使う方法
- 完全なグラフィカルインターフェース
- マウス操作で直感的に設定
- デスクトップ環境が必要
IPアドレスの設定方法:
- DHCP(自動):初心者向け、簡単設定
- 固定IP(手動):サーバー用途や特定の用途向け
設定に必要な情報:
- IPアドレス
- サブネットマスク
- デフォルトゲートウェイ
- DNSサーバー
トラブル対策:
- 設定後は必ず接続を再起動
- インターネット接続をテスト
- アドレス競合に注意
- ファイアウォール設定も確認
AlmaLinuxのIPアドレス設定は、GUIを使えば思ったよりも簡単です。
コマンドラインが苦手な方でも、nmtuiやGNOME設定を使えば、マウスやキーボード操作だけで設定できます。
この記事で紹介した手順に従って、ぜひ自分のAlmaLinux環境でネットワーク設定にチャレンジしてみてください。
慣れてしまえば、数分で設定できるようになりますよ。
サーバーとして使う場合も、デスクトップとして使う場合も、適切なネットワーク設定は快適な利用の第一歩です。


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