「CentOSのサポートが終わって、AlmaLinuxに移行したいけど、どうすればいいの?」「Linuxの勉強をしたいけど、パソコンに直接インストールするのは怖い…」そんな悩みを抱えていませんか?
AlmaLinuxは、CentOS 8のサポート終了を受けて登場した、無料で使えるエンタープライズLinuxディストリビューションです。仮想環境にインストールすれば、今使っているWindowsやMacを残したまま、安全にLinuxを学習・利用できます。
この記事では、AlmaLinuxを仮想環境にインストールする方法を、初心者にも分かりやすく完全図解で解説します。VirtualBox、VMware、Hyper-Vの3つの主要な仮想化ソフトに対応しています。
- AlmaLinuxとは?なぜ注目されているのか
- 仮想環境とは?メリットを理解しよう
- どの仮想化ソフトを選ぶべき?比較表
- 事前準備:システム要件を確認
- AlmaLinux ISOファイルのダウンロード
- VirtualBoxのインストール
- VirtualBoxにAlmaLinuxをインストール
- Guest Additionsのインストール(VirtualBox)
- VMware WorkstationでAlmaLinuxをインストール
- Hyper-VでAlmaLinuxをインストール(Windows Pro以上)
- 初期設定:インストール後にやるべきこと
- よくあるトラブルと解決方法
- まとめ:AlmaLinux仮想環境を活用しよう
AlmaLinuxとは?なぜ注目されているのか

まず、AlmaLinuxがどんなOSなのか、基本を理解しましょう。
AlmaLinuxの誕生背景
2020年12月、Red HatがCentOS 8のサポートを2021年末で終了すると発表しました。これは、多くの企業や開発者にとって衝撃的なニュースでした。
そこで登場したのがAlmaLinuxです。
AlmaLinuxの特徴
1. 完全無料・永久無料
- ライセンス費用なし
- 商用利用も無料
- 「Forever Free」を掲げている
2. RHEL(Red Hat Enterprise Linux)との完全互換
- RHELのソースコードをベースに構築
- バイナリ互換性があり、RHELと同じように動作
- パッケージの互換性が高い
3. 安定性と信頼性
- エンタープライズグレードの品質
- 長期サポート(約10年)
- 定期的なセキュリティアップデート
4. CentOSからの移行が簡単
- CentOS 8からの移行スクリプトが提供されている
- パッケージ構成が似ている
- 既存のスキルをそのまま活用できる
「Alma」の意味
「Alma」はラテン語とスペイン語で「魂(ソウル)」を意味します。CentOSの精神を引き継ぐという想いが込められています。
仮想環境とは?メリットを理解しよう
仮想環境について、初心者向けに説明します。
仮想環境(仮想化)の仕組み
仮想環境とは、1台のパソコンの中に、もう1台のコンピューターを作り出す技術です。
具体的には:
- 今使っているWindows 11はそのまま
- その中に、AlmaLinuxという別のOSを起動できる
- まるで「パソコンの中にもう1台パソコンがある」状態
仮想環境を使うメリット
1. 安全にテストできる
- メインのOSに影響を与えない
- 失敗してもやり直せる
- ウイルスの検証なども安全に実施可能
2. 複数のOSを同時に使える
- Windowsを使いながら、Linuxも起動
- 切り替えが簡単
- コピー&ペーストも可能(設定により)
3. スナップショット機能
- 特定の状態を保存できる
- 問題が起きたら、保存した時点に戻れる
- まるで「セーブポイント」のように使える
4. リソースの効率的な利用
- 1台のパソコンで複数のサーバーを運用できる
- ハードウェアを追加購入する必要がない
- 学習コストが低い
どの仮想化ソフトを選ぶべき?比較表
主要な仮想化ソフトの特徴を比較します。
3大仮想化ソフトの比較
| 項目 | VirtualBox | VMware Workstation | Hyper-V |
|---|---|---|---|
| 価格 | 完全無料 | Player:無料 Pro:有料 | Windows Proに付属 |
| 対応OS | Windows/Mac/Linux | Windows/Linux | Windows 10/11 Pro以上 |
| 初心者向け | ◎ とても簡単 | ○ 比較的簡単 | △ やや難しい |
| 性能 | △ やや遅い | ◎ 高速 | ○ 高速 |
| 日本語対応 | ○ あり | ○ あり | ◎ 完全対応 |
| GUI | シンプル | 高機能 | Windows統合 |
| おすすめ用途 | 学習・個人利用 | 開発・業務利用 | Windows環境統合 |
各ソフトの詳細
VirtualBox(オラクル製)
メリット:
- 完全無料でオープンソース
- インストールが簡単
- 情報が豊富(日本語の解説記事が多い)
- 初心者に最適
デメリット:
- 他の仮想化ソフトより動作がやや遅い
- 高度な機能は少なめ
VMware Workstation(VMware製)
メリット:
- 動作が高速で安定
- プロフェッショナル向けの機能が豊富
- スナップショット機能が強力
- Playerは個人利用なら無料
デメリット:
- Pro版は有料(数万円)
- 設定項目が多く、初心者には複雑に感じることも
Hyper-V(マイクロソフト製)
メリット:
- Windowsに標準搭載(追加費用なし)
- Windowsとの統合が優れている
- 企業環境での採用が多い
デメリット:
- Windows 10/11 Pro、Enterprise、Education版のみ
- Home版では使えない
- 有効化に多少の知識が必要
どれを選べばいい?
初心者・学習目的:VirtualBox
- まずはこれから始めるのがおすすめ
- 無料で情報も豊富
開発者・業務利用:VMware Workstation
- より本格的な環境が必要な場合
- 性能重視
Windows Pro以上を持っている:Hyper-V
- 追加ソフト不要で使える
- Windowsとの統合を活用したい場合
この記事では、最も初心者向けのVirtualBoxを中心に解説し、VMware、Hyper-Vについても触れます。
事前準備:システム要件を確認
インストール前に、パソコンのスペックを確認しましょう。
AlmaLinuxのシステム要件
最小要件:
- CPU: 64ビット対応プロセッサ(x86_64)
- メモリ(RAM): 最低1.5GB、推奨2GB以上
- ディスク容量: 最低10GB、推奨20GB以上
実用的な推奨スペック:
- CPU: 2コア以上
- メモリ: 4GB以上
- ディスク容量: 30GB以上
- 仮想化支援技術(VT-x/AMD-V): 有効
仮想化機能が有効か確認(Windows)
確認手順:
Ctrl + Shift + Escでタスクマネージャーを開く- 「パフォーマンス」タブをクリック
- 「CPU」を選択
- 右下の「仮想化」という項目を確認
- 「有効」と表示:OK、そのまま進める
- 「無効」と表示:BIOSで有効化が必要
BIOSで仮想化を有効にする方法
注意: BIOS設定は慎重に行ってください。不明な設定は変更しないでください。
一般的な手順:
- パソコンを再起動
- 起動時に特定のキーを連打
- Dell:F2
- HP:F10 または Esc
- Lenovo:F1 または F2
- ASUS:F2 または Delete
- メーカーによって異なる
- BIOS画面で以下を探す
- Intel: VT-x、Intel Virtualization Technology
- AMD: AMD-V、SVM Mode
- Enabled(有効)に変更
- 設定を保存して終了(通常はF10キー)
AlmaLinux ISOファイルのダウンロード
まず、AlmaLinuxのインストールメディアをダウンロードします。
ダウンロード先
公式サイトにアクセス:
https://almalinux.org/
ダウンロード手順
Step 1:公式サイトにアクセス
- ブラウザでAlmaLinux公式サイトを開く
- トップページの「Get AlmaLinux」または「Download」をクリック
Step 2:バージョンとアーキテクチャを選択
- 最新の安定版を選択
- 執筆時点ではAlmaLinux 9.5が最新
- 「Intel/AMD (x86_64)」を選択
- 一般的なパソコンはこれ
Step 3:ISOイメージの種類を選択
3つのタイプがあります:
DVD ISO(推奨)
- サイズ: 約10〜11GB
- 特徴: すべてのパッケージが含まれている
- メリット: ネット接続なしでインストール可能
- 用途: 一般的な用途、初心者におすすめ
Minimal ISO
- サイズ: 約1.5〜2GB
- 特徴: 最小限のパッケージのみ
- メリット: ダウンロードが速い
- 用途: サーバー用途、上級者向け
Boot ISO
- サイズ: 約700MB
- 特徴: インストーラーのみ
- メリット: 軽量
- デメリット: パッケージはネット経由でダウンロード
初心者は「DVD ISO」を選んでください。
Step 4:ミラーサイトを選択
- ミラーサイトの一覧が表示される
- 日本のミラーサイト、または近い地域のサイトを選択
- JAIST(日本)
- 韓国、台湾なども比較的高速
- ダウンロードが開始される
ダウンロード時間の目安
- 光回線(1Gbps): 約5〜10分
- 光回線(100Mbps): 約15〜30分
- モバイル回線: 30分〜1時間以上
ダウンロード中に次のステップの準備を進めましょう。
VirtualBoxのインストール

最も初心者向けのVirtualBoxから解説します。
VirtualBoxのダウンロード
手順:
- VirtualBox公式サイトにアクセス
https://www.virtualbox.org/
- トップページの「Download VirtualBox」をクリック
- 自分のOSに対応したバージョンを選択
- Windows hosts: Windowsの場合
- macOS / Intel hosts: Intel Mac の場合
- macOS / Apple Silicon hosts: M1/M2/M3 Mac の場合
- Linux distributions: Linuxの場合
- ダウンロード開始
VirtualBoxのインストール(Windows)
手順:
- ダウンロードしたVirtualBox-x.x.x-xxxxxx-Win.exeをダブルクリック
- セットアップウィザードが起動
- 「Next」をクリック
- インストール場所の選択
- 特に変更不要、そのまま「Next」
- 機能の選択
- すべてチェックを入れたまま「Next」
- ネットワーク警告
- 「一時的にネットワークが切断される」という警告
- 問題ないので「Yes」
- Python警告(表示される場合)
- 「Yes」をクリック
- インストール開始
- 「Install」をクリック
- デバイスソフトウェアのインストール確認
- 「Oracleのソフトウェアをインストールしますか?」
- 「インストール」をクリック
- 完了
- 「Finish」をクリック
VirtualBoxにAlmaLinuxをインストール
いよいよAlmaLinuxをインストールします。
仮想マシンの作成
Step 1:VirtualBoxを起動
- VirtualBoxを起動
- 「Oracle VM VirtualBox マネージャー」画面が表示される
Step 2:新規仮想マシンの作成
- 上部メニューの「新規」をクリック
- 「仮想マシンの作成」ウィンドウが表示される
Step 3:名前とOSタイプの設定
- 名前: 「AlmaLinux9.5」など分かりやすい名前を入力
- ISO Image:
- フォルダアイコンをクリック
- 「追加」から、ダウンロードしたAlmaLinux-9.5-x86_64-dvd.isoを選択
- ISOが選択されると、タイプとバージョンが自動設定される
- 自動的に以下のように設定される:
- タイプ: Linux
- バージョン: Red Hat (64-bit)
- 「次へ」をクリック
Step 4:ハードウェアの設定
- メモリサイズ(RAM):
- スライダーで調整
- 推奨:2048MB(2GB)以上
- パソコンに8GB以上あれば、4096MB(4GB)がおすすめ
- 注意:緑のゾーンを超えないように
- プロセッサー数:
- 推奨:2コア以上
- パソコンのCPUコア数の半分程度まで
- 「次へ」をクリック
Step 5:仮想ハードディスクの作成
- 「仮想ハードディスクを作成する」を選択(デフォルト)
- ディスク容量:
- 推奨:20GB以上
- 余裕があれば30〜40GB
- 「次へ」をクリック
Step 6:確認と作成
- 設定内容を確認
- 「完了」をクリック
- 左側に作成した仮想マシンが表示される
詳細設定の調整(重要)
作成直後に、いくつか設定を調整します。
設定画面を開く:
- 作成した仮想マシンを選択
- 上部の「設定」ボタンをクリック
推奨設定:
1. システム設定
- 左メニューで「システム」を選択
マザーボードタブ:
- 「フロッピー」のチェックを外す
- 不要なデバイス
プロセッサータブ:
- プロセッサー数を2以上に(既に設定済みの場合はOK)
2. ディスプレイ設定
- 左メニューで「ディスプレイ」を選択
- ビデオメモリー:
- スライダーを右に動かして128MB(最大)に設定
- これでグラフィックス性能が向上
3. ネットワーク設定(後で変更可能)
- 左メニューで「ネットワーク」を選択
- アダプター1:
- 「ネットワークアダプターを有効化」にチェック
- 割り当て:NAT(デフォルト)
- これでインターネット接続可能
設定が完了したら「OK」をクリック。
AlmaLinuxのインストール開始
Step 1:仮想マシンの起動
- 作成した仮想マシンを選択
- 上部の「起動」ボタンをクリック
- 新しいウィンドウが開き、AlmaLinuxが起動開始
Step 2:インストールメニュー
数秒待つと、以下のようなメニューが表示されます:
Install AlmaLinux 9.5
Test this media & install AlmaLinux 9.5
Troubleshooting -->
- 「Install AlmaLinux 9.5」が選択されているのを確認
- 矢印キーで選択、文字が白色になる
- Enterキーを押す
- インストールが開始される(画面に文字がたくさん流れる)
Step 3:言語選択
しばらくすると、「ALMALINUX 9.5 へようこそ。」という画面が表示されます。
- 言語選択画面で「日本語」を選択
- 「続行」をクリック
Step 4:インストール概要画面
インストールの各種設定を行う画面が表示されます。
必須設定項目(!マークがついている):
- インストール先
- rootパスワード
推奨設定項目:
- ソフトウェアの選択
- ネットワークとホスト名
- 時刻と日付
各項目の設定
1. インストール先
- 「インストール先」をクリック
- ストレージデバイスの選択画面
- 仮想ハードディスクが1つ表示される
- チェックマークがついているのを確認
- ストレージの構成:
- 「自動」を選択(初心者推奨)
- 手動でパーティションを切りたい上級者は「カスタム」
- 画面左上の「完了」をクリック
2. ソフトウェアの選択
- 「ソフトウェアの選択」をクリック
- ベース環境を選択:
GUI版(初心者推奨):
- 「サーバー(GUI使用)」を選択
- グラフィカルなデスクトップ環境
- Windowsのように操作できる
- 推奨
CUI版(上級者向け):
- 「最小限のインストール」
- コマンドのみの黒い画面
- サーバー用途
- Linuxに慣れている人向け
- 右側の「追加ソフトウェア」で必要なものにチェック
- 開発ツール
- システム管理ツール
- など(後からでもインストール可能)
- 「完了」をクリック
3. ネットワークとホスト名
- 「ネットワークとホスト名」をクリック
- Ethernetの右側にあるスイッチを「オン」に変更
- これでインターネット接続が有効になる
- ホスト名(任意):
- デフォルトは「localhost.localdomain」
- 変更したい場合は、下部の入力欄に入力
- 例:「almalinux.local」
- 「適用」をクリック
- 「完了」をクリック
4. 時刻と日付
- 「時刻と日付」をクリック
- 地域:「アジア」
- 都市:「東京」
- 画面上部の「ネットワーク時刻」をオンに
- 自動的に正確な時刻に設定される
- 「完了」をクリック
5. キーボード
- 「キーボード」をクリック
- 「日本語」が追加されているか確認
- なければ左下の「+」で追加
- 「完了」をクリック
6. rootパスワード(重要)
- 画面を下にスクロール
- 「rootパスワード」をクリック
- rootパスワードを入力
- rootはシステムの最高管理者
- 強力な権限を持つため、強固なパスワードを設定
- 確認のため再度入力
- 簡単なパスワードの場合:
- 警告が表示される
- 「完了」ボタンを2回クリックすれば設定可能
- ただし、セキュリティ的には推奨しない
- 「完了」をクリック
7. ユーザーの作成(推奨)
- 「ユーザーの作成」をクリック
- 情報を入力:
- フルネーム: 実名または任意の名前
- ユーザー名: ログイン時に使用する名前(半角英数)
- パスワード: ユーザーのパスワード
- パスワードの確認: 再度入力
- 「このユーザーを管理者にする」にチェック(推奨)
- sudo権限が付与される
- システム管理作業が可能になる
- 「完了」をクリック
インストールの実行
すべての設定が完了したら:
- 「インストールの開始」をクリック
- 右下の青いボタン
- インストールが開始される
- プログレスバーが表示
- 通常10〜30分程度(パソコンの性能による)
- インストール完了まで待つ
- この間にパソコンを使っても大丈夫
インストール完了:
- 「システムの再起動」ボタンが表示される
- 「システムの再起動」をクリック
- 仮想マシンが再起動する
初回起動と初期設定
Step 1:ライセンス同意
- 再起動後、「ライセンス情報」画面が表示される
- 「ライセンス契約に同意します」にチェック
- 「完了」をクリック
- 「設定の完了」をクリック
Step 2:ログイン
GUI版の場合:
- ユーザー選択画面
- 作成したユーザー名をクリック
- パスワード入力
- 設定したパスワードを入力
- 「サインイン」またはEnterキー
CUI版(最小限インストール)の場合:
- ログインプロンプトが表示
AlmaLinux 9.5 (Seafoam Ocelot)
localhost login:
- ユーザー名を入力してEnter
- パスワードを入力してEnter
- 入力中は表示されない(セキュリティ上の仕様)
Step 3:初回セットアップ(GUI版)
初回起動時、簡単なセットアップウィザードが表示される場合があります。
- 言語とキーボード
- 日本語になっているか確認
- プライバシー設定
- 位置情報サービスなど
- 好みに応じて設定
- オンラインアカウント
- Google、Microsoftなどのアカウント連携
- スキップ可能
- 「AlmaLinuxを使い始める」をクリック
- デスクトップが表示される
おめでとうございます!
これでAlmaLinuxのインストールは完了です!
Guest Additionsのインストール(VirtualBox)
より快適に使うための追加機能をインストールします。
Guest Additionsとは
VirtualBox Guest Additionsは、以下の機能を提供します:
- 画面の自動リサイズ
- ウィンドウサイズに合わせて画面が自動調整
- クリップボード共有
- ホスト(Windows/Mac)とゲスト(AlmaLinux)間でコピー&ペースト可能
- ファイル共有
- ホストとゲスト間でフォルダを共有
- マウス統合
- ホストとゲスト間でマウスがシームレスに移動
- パフォーマンス向上
- グラフィックス性能の改善
インストール手順
Step 1:依存パッケージのインストール
ターミナルを開いて、以下のコマンドを実行します。
- ターミナルを開く:
- デスクトップで右クリック → 「ターミナルを開く」
- または、「アクティビティ」から「Terminal」を検索
- システムを最新に更新:
sudo dnf update -y
- パスワードを求められたら入力
- 必要なパッケージをインストール:
sudo dnf install -y gcc make perl kernel-devel kernel-headers bzip2 dkms
- 再起動:
sudo reboot
Step 2:Guest Additionsのインストール
- 仮想マシンが再起動したらログイン
- VirtualBoxのメニューバーから
- 「デバイス」→「Guest Additions CDイメージの挿入」をクリック
- 自動的にCDがマウントされる
- 通知が表示されたら「実行」をクリック
- または手動で実行:
- ターミナルで以下を実行:
cd /run/media/$(whoami)/VBox_GAs_*
sudo ./VBoxLinuxAdditions.run
- インストールが完了するまで待つ
- 再起動:
sudo reboot
Step 3:動作確認
再起動後:
- VirtualBoxのウィンドウサイズを変更
- AlmaLinuxの画面も自動的にリサイズされるはず
- クリップボード共有を有効化:
- VirtualBoxメニュー →「デバイス」→「クリップボードの共有」→「双方向」
- Windowsでテキストをコピー → AlmaLinuxでペースト
- 動作すればOK!
VMware WorkstationでAlmaLinuxをインストール

VMwareを使用する場合の手順です。
VMware Workstation Playerのダウンロード
- VMware公式サイトにアクセス
https://www.vmware.com/
- 「VMware Workstation Player」を検索
- 無料版のPlayerをダウンロード
- 個人利用・非商用利用は無料
- インストーラーを実行してインストール
仮想マシンの作成(VMware)
Step 1:VMwareを起動
- VMware Workstation Playerを起動
- 「新規仮想マシンの作成」をクリック
Step 2:インストール方法の選択
- 「インストーラディスクイメージファイル(ISO)」を選択
- 「参照」をクリックして、AlmaLinuxのISOファイルを選択
- 「次へ」をクリック
Step 3:ゲストOSの選択
- ゲストOS: Linux
- バージョン: CentOS 8 64-bit
- AlmaLinuxはまだリストにない場合があるため
- RHEL 8 64-bitでも可
- 「次へ」をクリック
Step 4:仮想マシン名と場所
- 仮想マシン名: AlmaLinux 9.5
- 場所: 保存場所を選択
- デフォルトでもOK
- 「次へ」をクリック
Step 5:ディスク容量の設定
- 最大ディスクサイズ: 20GB以上を推奨
- 「仮想ディスクを複数のファイルに分割」を選択(推奨)
- バックアップが容易
- 「次へ」をクリック
Step 6:ハードウェアのカスタマイズ
- 「ハードウェアをカスタマイズ」をクリック
- メモリ: 2GB(2048MB)以上
- プロセッサ: 2コア以上
- ネットワークアダプター: NAT(デフォルト)
- 「閉じる」→「完了」
Step 7:インストール開始
- 作成した仮想マシンを選択
- 「仮想マシンの再生」をクリック
- 以降の手順は、VirtualBoxと同じ
- 言語選択
- インストール概要設定
- インストール実行
VMware Toolsのインストール
VMware版のGuest Additionsです。
手順:
- AlmaLinuxにログイン
- VMwareメニューから
- 「Player」→「管理」→「VMware Toolsのインストール」
- ターミナルで実行:
sudo dnf install -y open-vm-tools open-vm-tools-desktop
- 再起動:
sudo reboot
Hyper-VでAlmaLinuxをインストール(Windows Pro以上)
Windows Pro/Enterprise/Educationユーザー向けです。
Hyper-Vの有効化
Step 1:Hyper-V機能を有効化
Windows + Rキーで「ファイル名を指定して実行」- appwiz.cpl と入力してEnter
- 左側の「Windowsの機能の有効化または無効化」をクリック
- 以下の項目にチェック:
- Hyper-V
- Hyper-V管理ツール
- Hyper-Vプラットフォーム
- 「OK」をクリック
- 再起動が必要
Step 2:Hyper-Vマネージャーを開く
Windows + Sキーで検索- 「Hyper-Vマネージャー」と入力して起動
仮想マシンの作成(Hyper-V)
手順:
- 右側の「新規」→「仮想マシン」をクリック
- 「新しい仮想マシンの作成ウィザード」が起動
- 名前と場所:
- 名前:AlmaLinux 9.5
- 次へ
- 世代の指定:
- 第2世代を選択(推奨)
- 次へ
- メモリの割り当て:
- 2048MB以上
- 「動的メモリを使用」にチェック
- 次へ
- ネットワークの構成:
- 接続:Default Switch
- 次へ
- 仮想ハードディスクの接続:
- 「仮想ハードディスクを作成する」
- サイズ:20GB以上
- 次へ
- インストールオプション:
- 「ブート可能なイメージファイルからOSをインストールする」
- AlmaLinuxのISOファイルを選択
- 次へ
- 完了をクリック
Step 3:セキュアブートの無効化
AlmaLinuxインストール前に必要な設定:
- 作成した仮想マシンを右クリック →「設定」
- 左側で「セキュリティ」を選択
- 「セキュアブートを有効にする」のチェックを外す
- これを外さないとAlmaLinuxが起動しない
- 「OK」をクリック
Step 4:起動してインストール
- 仮想マシンを右クリック →「起動」
- 「接続」をクリック
- 以降はVirtualBoxと同様の手順
初期設定:インストール後にやるべきこと
AlmaLinuxをより使いやすくする設定です。
1. システムのアップデート
最新の状態にする:
sudo dnf update -y
実行時間:5〜20分程度(環境による)
2. 開発ツールのインストール
プログラミングやコンパイルに必要なツール:
sudo dnf groupinstall "Development Tools" -y
3. 便利なツールのインストール
推奨パッケージ:
# テキストエディタ
sudo dnf install -y vim nano
# ネットワークツール
sudo dnf install -y net-tools wget curl
# 圧縮ツール
sudo dnf install -y unzip zip
# システム監視
sudo dnf install -y htop
4. SELinuxの設定(任意)
SELinuxはセキュリティ機能ですが、初心者には扱いが難しい場合があります。
一時的に無効化(再起動で戻る):
sudo setenforce 0
永続的に無効化(非推奨):
sudo vi /etc/selinux/config
SELINUX=enforcingをSELINUX=permissiveに変更
5. ファイアウォールの基本設定
ファイアウォールの状態確認:
sudo systemctl status firewalld
サービスを許可(例:HTTP):
sudo firewall-cmd --permanent --add-service=http
sudo firewall-cmd --reload
よくあるトラブルと解決方法
初心者がつまずきやすいポイントです。
トラブル1:仮想マシンが起動しない
症状:
- 「VT-x is not available」エラー
- 黒い画面のまま進まない
原因:
- 仮想化機能が無効
- BIOSで仮想化が有効になっていない
解決方法:
- BIOSで仮想化機能を有効化(前述の手順参照)
- Windows 10/11の場合、Hyper-Vと競合している可能性
- コマンドプロンプト(管理者)で実行:
bcdedit /set hypervisorlaunchtype off
- 再起動
トラブル2:インストール画面が真っ暗
症状:
- インストール起動時に画面が黒いまま
原因:
- グラフィックドライバの問題
- VirtualBoxの3Dアクセラレーションが有効
解決方法:
方法1: 3Dアクセラレーションを無効化
- 仮想マシンの設定を開く
- 「ディスプレイ」→「3Dアクセラレーションを有効化」のチェックを外す
方法2: インストールオプションを変更
- インストールメニューで「e」キーを押す
- 「quiet」の後ろに半角スペースを入れて追加:
nomodeset
- Ctrl + Xキーで起動
トラブル3:ネットワークに接続できない
症状:
- インターネットにアクセスできない
ping google.comが失敗
原因:
- ネットワークアダプターが無効
- NATの設定ミス
解決方法:
AlmaLinux側:
- ネットワークの状態確認:
ip addr
- ネットワークを有効化:
sudo nmcli connection up "System eth0"
- または、GUIから:
- 「設定」→「ネットワーク」→ Ethernet を「オン」に
VirtualBox側:
- 仮想マシンの設定 →「ネットワーク」
- 「ネットワークアダプターを有効化」にチェック
- 割り当て:NATを選択
トラブル4:画面が小さい/リサイズできない
原因:
- Guest Additionsがインストールされていない
- ディスプレイ設定が不適切
解決方法:
- Guest Additionsをインストール(前述の手順)
- 画面解像度を手動変更:
- GUIの場合:「設定」→「ディスプレイ」で解像度を変更
トラブル5:rootパスワードを忘れた
解決方法:
方法1: シングルユーザーモードで起動
- 仮想マシンを再起動
- GRUBメニューが表示されたら「e」キーを押す
- 数秒しか表示されないので注意
linuxで始まる行の末尾に以下を追加:
rd.break
- Ctrl + Xで起動
- 以下のコマンドを実行:
mount -o remount,rw /sysroot
chroot /sysroot
passwd root
# 新しいパスワードを入力
touch /.autorelabel
exit
exit
- 再起動後、新しいパスワードでログイン可能
まとめ:AlmaLinux仮想環境を活用しよう
この記事では、AlmaLinuxを仮想環境にインストールする方法を詳しく解説しました。
重要ポイントのおさらい
✅ AlmaLinuxはCentOSの後継として注目されている
✅ 完全無料でRHEL互換
✅ 仮想環境なら安全にテスト・学習できる
✅ VirtualBoxが初心者に最適
✅ Guest Additionsで快適性が大幅向上
✅ インストール後はシステムアップデートを忘れずに
こんな用途に活用できる
学習・スキルアップ:
- Linuxコマンドの練習
- サーバー管理の学習
- プログラミング環境の構築
開発環境:
- Webアプリケーション開発
- データベースのテスト
- コンテナ(Docker)の学習
本番環境の検証:
- サーバー設定のテスト
- ソフトウェアの動作確認
- アップデート前の検証
次のステップ
AlmaLinuxのインストールができたら、以下に挑戦してみましょう:
- 基本コマンドの習得
- cd、ls、mkdir、rm など
- Webサーバーの構築
- Apache、Nginxのインストール
- データベースのセットアップ
- MySQL、PostgreSQLのインストール
- Dockerの導入
- コンテナ技術の学習
さらに学びたい方へ
公式ドキュメント:
- AlmaLinux公式Wiki
- Red Hat Enterprise Linux ドキュメント
コミュニティ:
- AlmaLinux公式フォーラム
- Stack Overflow(英語)
- 日本語のLinuxコミュニティ
仮想環境なら、失敗を恐れず何度でもやり直せます。ぜひ、自由にAlmaLinuxを触って、Linuxの世界を楽しんでください!

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