サーバー管理をしていると、「今使っているApacheのバージョンって何だっけ?」と確認したくなる場面がありますよね。
バージョン確認が必要になるタイミングは、実はたくさんあります。
- セキュリティ対策:脆弱性情報が出た時に影響があるか判断したい
- トラブルシューティング:エラーが起きた時に原因を調べる手がかりにしたい
- アップデート前の確認:更新作業の前に現在の状態を記録しておきたい
- 動作要件の確認:新しいアプリケーションが対応しているか調べたい
この記事では、AlmaLinuxでApacheのバージョンを確認する複数の方法を、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
基礎知識:AlmaLinuxとApacheの関係

まず基本的なことを押さえておきましょう。
AlmaLinuxって何?
AlmaLinuxは、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)と互換性のある無料のLinuxディストリビューションです。
CentOSの後継として注目されていて、多くの企業サーバーで採用されています。
Apache=httpdという事実
ここが初心者の方が混乱しやすいポイントなのですが…
Red Hat系のLinux(AlmaLinuxを含む)では、Apacheのパッケージ名は「httpd」と呼ばれています。
- 一般的な呼び方:Apache HTTP Server、Apache
- AlmaLinuxでのパッケージ名:httpd
- サービス名:httpd
つまり、コマンドを実行する時は「apache」ではなく「httpd」と入力する必要があるんです。
これを知らないと、「コマンドが見つかりません」というエラーになってしまいますよ。
最も簡単な確認方法【基本コマンド】
それでは実際にバージョンを確認してみましょう!
httpdコマンドで確認する方法
最もシンプルで確実なのが、この方法です。
httpd -v
実行結果の例:
Server version: Apache/2.4.57 (AlmaLinux)
Server built: Aug 14 2023 00:00:00
表示される情報:
Apache/2.4.57:メジャーバージョンとマイナーバージョン(AlmaLinux):ディストリビューション情報Server built:ビルドされた日時
これだけで、必要な情報がサッと分かります!
より詳しい情報を表示する
もっと詳細な情報が知りたい場合は、大文字の「V」を使います。
httpd -V
実行結果の例:
Server version: Apache/2.4.57 (AlmaLinux)
Server built: Aug 14 2023 00:00:00
Server's Module Magic Number: 20120211:119
Server loaded: APR 1.7.0, APR-UTIL 1.6.1
Compiled using: APR 1.7.0, APR-UTIL 1.6.1
Architecture: 64-bit
Server MPM: event
threaded: yes (fixed thread count)
forked: yes (variable process count)
Server compiled with....
-D APR_HAS_SENDFILE
-D APR_HAS_MMAP
-D APR_HAVE_IPV6 (IPv4-mapped addresses enabled)
...(以下省略)
このコマンドで分かること:
- コンパイルオプション
- 使用しているMPM(マルチプロセッシングモジュール)
- APRのバージョン
- サポートしている機能
トラブルシューティングの時に役立つ情報です!
パッケージマネージャーで確認する方法
AlmaLinuxには2つのパッケージマネージャーがあります。
どちらを使っても同じ情報が得られますよ。
yumコマンドで確認
従来からあるyumコマンドを使う方法です。
yum info httpd
実行結果の例:
インストール済みパッケージ
名前 : httpd
バージョン : 2.4.57
リリース : 5.el9
アーキテクチャ: x86_64
サイズ : 1.4 M
ソース : httpd-2.4.57-5.el9.src.rpm
リポジトリー : @System
提供元リポジトリー: appstream
要約 : Apache HTTP Server
表示される主な情報:
- バージョン番号
- リリース番号
- インストール元のリポジトリ
- パッケージサイズ
dnfコマンドで確認
AlmaLinux 8以降では、dnfが推奨されています。
dnf info httpd
yumと同じ情報が表示されます。実は内部的には、yumはdnfへのエイリアス(別名)になっているんです。
インストールされているか確認だけしたい時
Apacheがそもそもインストールされているか知りたい場合は:
rpm -q httpd
結果の見方:
httpd-2.4.57-5.el9.x86_64:インストール済みpackage httpd is not installed:インストールされていない
シンプルで速い確認方法ですね。
Apacheが起動中か確認しながらバージョンをチェック
サービスの状態と一緒にバージョンも確認したい時があります。
systemctlで状態を確認
systemctl status httpd
実行結果の例:
● httpd.service - The Apache HTTP Server
Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/httpd.service; enabled; preset: disabled)
Active: active (running) since Mon 2024-01-15 10:30:25 JST; 2h 15min ago
Docs: man:httpd.service(8)
Main PID: 1234 (httpd)
Status: "Running, listening on: port 80"
Tasks: 213 (limit: 23281)
Memory: 45.2M
この情報から分かること:
Active: active (running):正常に稼働中enabled:自動起動が有効Main PID:メインプロセスのID- 起動時刻とメモリ使用量
ここにはバージョン番号は出ませんが、稼働状況を把握できます。
プロセスから確認する方法
実行中のApacheプロセスを確認しつつ、情報を得る方法もあります。
ps aux | grep httpd | head -1
または:
pgrep -a httpd
これでApacheが動いているかどうか、すぐに分かりますよ。
設定ファイルやログファイルの場所も確認しよう
バージョン確認と一緒に、よく使うファイルの場所も覚えておくと便利です。
主要な設定ファイル
メイン設定ファイル:
/etc/httpd/conf/httpd.conf
追加設定ファイル:
/etc/httpd/conf.d/
このディレクトリに .conf という拡張子のファイルを置くと、自動的に読み込まれます。
ログファイルの場所
アクセスログ:
/var/log/httpd/access_log
エラーログ:
/var/log/httpd/error_log
ログファイルからもバージョン情報を確認できる場合があります:
sudo head -n 20 /var/log/httpd/error_log
起動時のメッセージにバージョン情報が記録されていることが多いんです。
モジュールの情報も確認したい時
Apacheには様々な機能を追加する「モジュール」があります。
これらの情報も確認できますよ。
インストール済みモジュールの確認
httpd -M
実行結果の例:
Loaded Modules:
core_module (static)
so_module (static)
http_module (static)
mpm_event_module (static)
authn_file_module (shared)
authn_core_module (shared)
authz_host_module (shared)
...(以下省略)
表示の意味:
(static):静的にコンパイルされたモジュール(shared):動的にロードされるモジュール
利用可能なモジュールパッケージを探す
dnf search mod_
または:
yum list available | grep httpd
これで、インストール可能な追加モジュールが一覧表示されます。
バージョン情報からセキュリティをチェック

バージョンが分かったら、セキュリティ面も気にしてみましょう。
最新バージョンと比較する
現在利用可能な最新バージョンを確認:
dnf list httpd
表示例:
インストール済みパッケージ
httpd.x86_64 2.4.57-5.el9 @appstream
利用可能なパッケージ
httpd.x86_64 2.4.57-8.el9 appstream
この例では、アップデート可能なバージョンがあることが分かりますね。
セキュリティアップデートの確認
セキュリティ関連のアップデートだけをチェック:
dnf updateinfo list security
または、Apacheに関連するものだけ:
dnf updateinfo list --security httpd
定期的にチェックする習慣をつけると良いですよ。
CVE(脆弱性情報)の確認
特定の脆弱性が該当するか調べたい時:
dnf updateinfo list --cve CVE-2023-XXXXX
セキュリティ情報と照らし合わせて、対応が必要か判断できます。
アップデートする前の準備
バージョンを確認して、アップデートが必要だと分かったら…
いきなり更新するのはちょっと待ってください!
バックアップを取る
設定ファイルのバックアップ:
sudo cp -r /etc/httpd /etc/httpd.backup.$(date +%Y%m%d)
データベースやコンテンツのバックアップ:
sudo tar czf /backup/www-$(date +%Y%m%d).tar.gz /var/www/html
日付を付けておくと、後で分かりやすいですよ。
テスト環境で確認する
本番環境でいきなりアップデートするのはリスクがあります。
可能なら、テスト環境で先に試してみましょう。
アップデートコマンド
準備ができたら、更新を実行:
sudo dnf update httpd
すべてのパッケージを更新する場合:
sudo dnf update
更新後は必ずサービスを再起動:
sudo systemctl restart httpd
よくある疑問とトラブル対処法
実際にバージョン確認をしていて、困ることがあるかもしれません。
よくある問題と解決方法をまとめました。
「httpd: command not found」と表示される
原因: Apacheがインストールされていない
解決方法:
# インストールされているか確認
rpm -q httpd
# インストールされていない場合
sudo dnf install httpd
バージョンが古すぎる
原因: リポジトリの設定が古い、または長期サポート版を使用している
解決方法:
# リポジトリの更新
sudo dnf clean all
sudo dnf update
# EPELリポジトリの追加(新しいバージョンが必要な場合)
sudo dnf install epel-release
ただし、安定性を重視するサーバーでは、無理に最新版を追うより、セキュリティパッチが適用された安定版を使う方が推奨されます。
「Permission denied」エラー
原因: 実行権限がない
解決方法:
# sudoを付けて実行
sudo httpd -v
# または、一般ユーザーでも実行可能
httpd -v
多くの確認コマンドは、sudo無しでも実行できます。
複数のバージョンが表示される
原因: 複数のApacheがインストールされている(稀なケース)
解決方法:
# インストールされているすべてのhttpdパッケージを表示
rpm -qa | grep httpd
# 実行中のバージョンを確認
ps aux | grep httpd
which httpd
通常は1つだけのはずですが、念のため確認しましょう。
コマンドのチートシート
よく使うコマンドを一覧にまとめました。
ブックマークしておくと便利ですよ!
バージョン確認系
# 基本的なバージョン表示
httpd -v
# 詳細情報の表示
httpd -V
# パッケージ情報の表示
dnf info httpd
yum info httpd
rpm -q httpd
# インストール済みモジュールの表示
httpd -M
サービス管理系
# 状態確認
systemctl status httpd
# 起動
sudo systemctl start httpd
# 停止
sudo systemctl stop httpd
# 再起動
sudo systemctl restart httpd
# 設定リロード(停止せずに設定を反映)
sudo systemctl reload httpd
# 自動起動の有効化
sudo systemctl enable httpd
# 自動起動の無効化
sudo systemctl disable httpd
アップデート関連
# アップデート可能なパッケージを確認
dnf check-update httpd
# セキュリティアップデートのチェック
dnf updateinfo list --security
# httpdのアップデート
sudo dnf update httpd
# システム全体のアップデート
sudo dnf update
ログ確認系
# エラーログの最新表示
sudo tail -f /var/log/httpd/error_log
# アクセスログの最新表示
sudo tail -f /var/log/httpd/access_log
# エラーログの最後20行
sudo tail -n 20 /var/log/httpd/error_log
まとめ:定期的なバージョン確認を習慣にしよう
この記事では、AlmaLinuxでApacheのバージョンを確認する様々な方法を解説してきました。
重要なポイントをおさらい:
- AlmaLinuxでは「apache」ではなく「httpd」というパッケージ名を使う
- 最も簡単な確認方法は
httpd -vコマンド - 詳細情報は
httpd -Vで取得できる - パッケージマネージャー(dnf/yum)でも確認可能
- セキュリティアップデートは定期的にチェックすべき
- アップデート前は必ずバックアップを取る
- ログファイルや設定ファイルの場所も把握しておくと便利
バージョン確認は、サーバー管理の基本中の基本です。
定期的にバージョンをチェックして、セキュリティアップデートが出ていないか確認する習慣をつけましょう。
特に本番環境で稼働しているサーバーなら、月に一度は確認することをおすすめします。
最初は難しく感じるかもしれませんが、何度か実行しているうちにすぐ慣れますよ。
まずは httpd -v コマンドから試してみてくださいね!

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