Adobe Illustratorとは
Adobe Illustrator(アドビ イラストレーター、通称「イラレ」)は、Adobe社が開発したベクター画像編集ソフトです。
ロゴ、イラスト、アイコン、ポスター、名刺など、拡大縮小しても画質が劣化しないベクターグラフィックの作成に特化しています。
Adobe Illustratorの特徴
- ベクターベース:拡大縮小しても画質が劣化しない
- 業界標準:プロのデザイナーの多くが使用
- 高機能:ロゴ、イラスト、印刷物など幅広く対応
- Adobe製品との連携:Photoshop、InDesignなどとシームレスに連携
- 豊富なチュートリアル:学習リソースが充実
しかし、Adobe Illustratorは高額なサブスクリプション料金がネックとなっています。
Illustratorの料金(2025年1月現在)
- 単体プラン(年間契約):月額3,280円(税込)
- 単体プラン(月々契約):月額4,980円(税込)
- コンプリートプラン:月額7,780円(税込)
年間契約でも約39,000円かかるため、個人や小規模事業者にとって負担は大きいです。
なぜIllustratorの代替ソフトを探すのか
Adobe Illustratorの代替ソフトを探す理由は様々です。
1. コストを削減したい
Illustratorは高額なサブスクリプション型のため、継続的な費用がかかります。
年間約40,000円の支出は、フリーランスや個人事業主にとって大きな負担です。
2. 買い切り版を使いたい
かつてIllustratorは買い切り版がありましたが、現在はサブスクリプションのみです。
一度購入すれば永久に使える買い切り版を求める声は多いです。
3. 機能がシンプルすぎる/複雑すぎる
Illustratorは高機能ですが、初心者には複雑で使いこなすのに時間がかかります。
逆に、シンプルな作業しかしない場合は、オーバースペックに感じることもあります。
4. 使用頻度が低い
たまにしか使わない場合、月額料金を払い続けるのは無駄に感じます。
5. Adobeの方針に不満がある
- 利用規約の変更
- AI機能の押し付け
- サブスクリプション強制
などに不満を持つユーザーも増えています。
Illustrator代替ソフトの選び方
代替ソフトを選ぶ際の重要なポイントを解説します。
1. 料金形態
無料ソフト
- メリット:コストゼロ
- デメリット:機能制限、サポート不足、学習リソース少ない
買い切り型
- メリット:一度購入すれば永久に使える
- デメリット:初期費用がかかる、大型アップデートは有料の場合も
サブスクリプション型
- メリット:常に最新版、初期費用が安い
- デメリット:継続的な支出
2. 対応OS
- Windows:ほとんどのソフトが対応
- Mac:ほとんどのソフトが対応
- Linux:一部のオープンソースソフトのみ
- iPad/タブレット:モバイル版があるか確認
3. ファイル互換性
重要な対応形式
- AI形式(Illustrator):開けるか、書き出せるか
- SVG形式:Web用ベクター画像
- EPS形式:印刷業界で使用
- PDF形式:汎用性が高い
- PSD形式(Photoshop):画像編集ソフトとの連携
4. 印刷会社での対応
印刷物を作る場合、印刷会社が対応しているファイル形式を確認してください。
多くの印刷会社はIllustratorのAI形式を推奨しています。
代替ソフトで作成したデータが受け入れられるか、事前確認が必要です。
5. 商用利用の可否
無料ソフトでも商用利用可能なものが多いですが、必ず利用規約を確認してください。
6. 学習リソースの充実度
- 日本語チュートリアルの有無
- YouTubeでの解説動画
- コミュニティの活発さ
- 書籍の有無
おすすめ無料代替ソフト5選

完全無料で使えるIllustrator代替ソフトを紹介します。
1. Inkscape(インクスケープ)
最もおすすめの無料代替ソフト
Inkscapeは、オープンソースの無料ベクター画像編集ソフトです。
Illustrator代替の筆頭として、多くのユーザーに支持されています。
特徴
- 完全無料、オープンソース
- Windows、Mac、Linux対応
- 豊富な機能(Illustratorに匹敵)
- SVG形式がネイティブ
- AI、EPS、PDF形式に対応
メリット
- 無料なのに高機能
- 利用者が多く、情報が豊富
- プラグインで機能拡張可能
- 商用利用可能
デメリット
- 動作がやや重い
- Illustratorとは操作感が異なる
- 日本語情報はあるが、英語の方が充実
- Mac版は動作が不安定なことがある
こんな人におすすめ
- コストをかけずに本格的なベクター編集をしたい
- SVG形式でWeb用グラフィックを作りたい
- オープンソースソフトに抵抗がない
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2. Affinity Designer(アフィニティデザイナー)
プロレベルの高機能ソフトが無料に
2024年にCanvaに買収され、無料化されました。
買い切り版(デスクトップ約7,000円、iPad約2,000円)もありますが、無料版でも十分な機能があります。
特徴
- 無料化(Canva買収後)
- Windows、Mac、iPad対応
- AI、PSD形式に対応
- ベクターとラスター編集を1つのアプリで
- 動作が軽快
メリット
- Illustratorに最も近い操作感
- 買い切り版あり(アップデート保証)
- 動作が軽い
- Pantoneカラーライブラリが無料
- 商用利用可能
デメリット
- AI形式で保存できない(開くことは可能)
- 一部の高度な機能がない(メッシュ、ブレンドなど)
- 縦書きに対応していない
こんな人におすすめ
- Illustratorに近い操作感がいい
- 軽快な動作を求める
- ベクターとラスター編集を1つのアプリでしたい
- iPad でも作業したい
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3. Linearity Curve(リニアリティカーブ/旧Vectornator)
Mac・iPad・iPhone専用の無料ソフト
Mac、iPad、iPhone専用のベクター編集ソフトです。
無料とは思えない高機能で、AppleデザインAward受賞歴もあります。
特徴
- 完全無料
- Mac、iPad、iPhone専用
- モダンなUI
- AI機能搭載
- iCloud同期
メリット
- 無料で高機能
- Appleデバイス間で同期
- モダンで直感的なUI
- 軽快な動作
- 商用利用可能
デメリット
- Appleデバイス専用(WindowsやLinuxでは使えない)
- AI形式の完全互換性はない
- 日本語情報が少ない
こんな人におすすめ
- Macユーザー
- iPadでベクター編集したい
- モダンなUIが好き
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4. Canva(キャンバ)
初心者向けオンラインデザインツール
Canvaは厳密にはIllustratorの代替ではありませんが、多くのデザイン作業をカバーできます。
特徴
- Webブラウザで動作
- テンプレートが豊富
- 初心者でも簡単
- スマホアプリあり
- 無料プラン、有料プランあり
メリット
- ソフトのインストール不要
- テンプレートで簡単にデザイン
- SNS投稿、ポスター、名刺など幅広く対応
- チームでの共同作業が可能
- 商用利用可能
デメリット
- ベクター編集機能は限定的
- 細かい編集には不向き
- オフラインでは使えない
- 無料版は機能制限あり
こんな人におすすめ
- デザイン初心者
- SNS用の画像を簡単に作りたい
- テンプレートを活用したい
- チームで作業したい
サイト
5. LibreOffice Draw(リブレオフィス ドロー)
オフィススイート付属の図形描画ソフト
LibreOffice(Microsoft Officeの代替)に含まれる図形描画ソフトです。
特徴
- 完全無料
- Windows、Mac、Linux対応
- シンプルなUI
- オフィス文書との連携
メリット
- 完全無料
- シンプルで初心者向き
- オフィス文書に図を挿入しやすい
- 商用利用可能
デメリット
- Illustratorほど高機能ではない
- ベクター編集機能は限定的
- プロユースには不向き
こんな人におすすめ
- 簡単な図形やイラストを作りたい
- オフィス文書で図を使いたい
- シンプルなツールがいい
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おすすめ有料代替ソフト3選
買い切りまたはサブスクリプションの有料ソフトを紹介します。
1. Affinity Designer 2(買い切り版)
Canva買収後も買い切り版は継続して販売されています。
料金
- デスクトップ版(Windows/Mac):$69.99(約10,000円)
- iPad版:$18.49(約2,700円)
- ユニバーサルライセンス:$164.99(約24,000円、全デバイス対応)
買い切りのメリット
- 一度購入すれば永久に使える
- Illustratorより圧倒的に安い
- 将来のアップデートも無料(v2系)
- 商用利用可能
こんな人におすすめ
- サブスクリプションが嫌い
- 長期的にコストを抑えたい
- プロレベルの機能が欲しい
2. CorelDRAW Graphics Suite
Illustratorの老舗ライバル
CorelDRAWは、Illustratorと並ぶベクター編集ソフトの定番です。
30年以上の歴史があり、特にWindows環境で人気があります。
料金
- サブスクリプション:年間プランで月額3,438円
- 買い切り版:82,500円(税込)
- 無料トライアル:15日間
特徴
- Windows、Mac、Web、iOS対応
- Illustratorと同等以上の機能
- AI形式に対応
- ビットマップからベクターへの変換機能
メリット
- 業界標準レベルの高機能
- 買い切り版あり
- Illustratorと同等の互換性
- 商用利用可能
デメリット
- 価格が高い(買い切り版)
- Illustratorとは操作感が異なる
- 日本語情報が少ない
こんな人におすすめ
- プロレベルの機能が必要
- Windowsユーザー
- 買い切り版を希望
サイト
3. Adobe Creative Cloud Express(旧Adobe Spark)
Adobe公式の簡易デザインツール
Adobeが提供する、より手軽なデザインツールです。
料金
- 無料プラン:あり(機能制限)
- プレミアムプラン:月額1,180円(税込)
特徴
- Webブラウザ、スマホアプリで使用
- テンプレートが豊富
- Adobe Fontsが使える
- SNS、ポスター、チラシなど簡単作成
メリット
- Illustratorより安い
- テンプレートで簡単
- Adobe Fonts使い放題
- 商用利用可能
デメリット
- ベクター編集機能は限定的
- Illustratorほど高機能ではない
こんな人におすすめ
- Adobe製品を使いたいが予算が限られている
- テンプレートで簡単にデザインしたい
- Adobe Fontsを使いたい
サイト
その他の代替ソフト

Gravit Designer
- Webベースのベクター編集ソフト
- 無料版、有料版あり
- IllustratorライクなUI
- クロスプラットフォーム
Krita
- オープンソースのペイントソフト
- ベクターレイヤー機能あり
- イラスト制作に特化
- 完全無料
Sketch
- Mac専用
- UI/UXデザインに特化
- サブスクリプション(年間$99)
- Web・アプリデザイナーに人気
Figma
- Webベースのデザインツール
- UI/UXデザインに特化
- 無料プランあり
- チーム作業に最適
用途別おすすめソフト
ロゴ作成
おすすめ:Affinity Designer、Inkscape
ロゴは拡大縮小が必要なため、ベクター編集機能が重要です。
印刷会社への入稿も考慮し、AI形式やEPS形式に対応したソフトを選びましょう。
Web用グラフィック
おすすめ:Inkscape、Linearity Curve、Figma
SVG形式に対応したソフトが便利です。
Webデザイン全体を考えるなら、FigmaやSketchもおすすめです。
SNS投稿画像
おすすめ:Canva、Adobe Creative Cloud Express
テンプレートが豊富で、初心者でも簡単に作れるツールが便利です。
印刷物(チラシ、ポスター、名刺)
おすすめ:Affinity Designer、CorelDRAW
印刷会社に入稿する場合、AI形式やPDF形式に対応したソフトが安全です。
事前に印刷会社に対応ファイル形式を確認してください。
イラスト制作
おすすめ:Affinity Designer、Inkscape、Krita
ペンタブレットを使う場合、筆圧感知に対応したソフトを選びましょう。
初心者
おすすめ:Canva、LibreOffice Draw、Adobe Creative Cloud Express
シンプルで直感的なUIのソフトがおすすめです。
テンプレートが豊富なツールなら、デザインの知識がなくても作れます。
プロ・フリーランス
おすすめ:Affinity Designer、CorelDRAW
クライアントとのファイルのやり取りや、印刷会社への入稿を考慮すると、AI形式に対応したソフトが安全です。
Illustratorから代替ソフトへの移行ポイント
ファイルの互換性を確認
AI形式ファイルを開けるか
多くの代替ソフトはAI形式を開けますが、完全互換ではありません。
- フォントがアウトライン化される
- 一部のエフェクトが失われる
- レイヤー構造が変わる
などの問題が起こる可能性があります。
AI形式で保存できるか
Affinity DesignerなどはAI形式を開けますが、保存はできません。
クライアントがIllustratorを使っている場合、PDF形式やSVG形式での受け渡しを検討してください。
操作感の違いに慣れる
Illustratorと代替ソフトでは、操作方法が異なります。
- ツールの名前
- ショートカットキー
- パネルの配置
などが違うため、最初は戸惑うかもしれません。
YouTubeのチュートリアル動画を見ながら、少しずつ慣れていきましょう。
印刷会社に確認
印刷物を作る場合、印刷会社に以下を確認してください:
- 対応ファイル形式
- カラーモード(CMYK対応)
- トンボ・塗り足しの設定方法
多くの印刷会社はPDF/X-1a形式に対応しているため、この形式で書き出せるソフトを選びましょう。
バックアップを取る
移行前に、Illustratorファイルのバックアップを必ず取りましょう。
代替ソフトで開いた後、元に戻せなくなる可能性があります。
よくある質問
Q1. Illustratorを無料で使う方法はありますか?
A. 公式の無料体験版(7日間)以外に、完全無料で使う方法はありません。
体験版は繰り返し使用できないため、代替ソフトの使用をおすすめします。
Q2. 無料の代替ソフトで商用利用できますか?
A. はい、Inkscape、Affinity Designer(無料版)、Linearity Curveなど、多くの無料ソフトで商用利用可能です。
ただし、利用規約を必ず確認してください。
Q3. Illustratorのファイル(.ai)を開けますか?
A. Affinity Designer、Inkscape、CorelDRAWなどは AI形式を開けます。
ただし、完全互換ではないため、一部の機能やエフェクトが失われる可能性があります。
Q4. 印刷会社にデータ入稿できますか?
A. Affinity DesignerやCorelDRAWなら、多くの印刷会社で受け入れられます。
Inkscapeは対応していない印刷会社が多いため、事前確認が必要です。
PDF/X-1a形式なら、ほとんどの印刷会社で対応しています。
Q5. 買い切り版のIllustratorはありますか?
A. いいえ、現在Illustratorは サブスクリプションのみです。
買い切り版を希望する場合は、Affinity DesignerやCorelDRAWを検討してください。
Q6. どの代替ソフトが一番おすすめですか?
A. 用途によりますが、総合的には以下をおすすめします:
- 無料で高機能:Inkscape
- Illustratorに近い:Affinity Designer
- Mac/iPad専用:Linearity Curve
- 初心者向け:Canva
- プロ向け買い切り:CorelDRAW
Q7. IllustratorとAffinity Designerの違いは?
A. 主な違い:
Affinity Designerにないもの
- 画像トレース機能
- メッシュツール
- ブレンドツール
- 縦書きテキスト
- AI形式での保存
Affinity Designerの利点
- 買い切り版
- 動作が軽い
- ベクターとラスター編集を統合
- Pantoneカラーライブラリ無料
Q8. Macでも使えますか?
A. はい、ほとんどの代替ソフトはMacに対応しています。
特にLinearity Curveは Mac、iPad、iPhone専用です。
Q9. スマホやタブレットで使えますか?
A. 以下のソフトにモバイル版があります:
- Affinity Designer(iPad)
- Linearity Curve(iPad、iPhone)
- Canva(iOS、Android)
- Adobe Creative Cloud Express(iOS、Android)
Q10. Illustratorから移行する際の注意点は?
A. 以下に注意してください:
- ファイル互換性の確認
- 印刷会社の対応確認
- 操作方法の違いを理解
- 既存ファイルのバックアップ
- フォントの互換性
まとめ
Adobe Illustratorは業界標準の優れたソフトですが、高額なサブスクリプション料金がネックです。
幸い、優れた代替ソフトが多数存在します。
無料で始めたい方
- Inkscape:最も高機能な無料ソフト
- Affinity Designer(無料版):プロレベルの機能
- Linearity Curve:Mac/iPad専用、モダンなUI
- Canva:初心者向け、テンプレート豊富
買い切り版が欲しい方
- Affinity Designer 2:約10,000円、プロレベル
- CorelDRAW:82,500円、業界標準レベル
用途別のおすすめ
- ロゴ作成:Affinity Designer、Inkscape
- Web用:Inkscape、Linearity Curve、Figma
- SNS画像:Canva、Adobe Creative Cloud Express
- 印刷物:Affinity Designer、CorelDRAW
- 初心者:Canva、LibreOffice Draw
- プロ:Affinity Designer、CorelDRAW
選び方のポイント
- 予算を決める
- 用途を明確にする
- 対応OSを確認
- ファイル互換性をチェック
- 印刷会社の対応を確認(印刷物の場合)
- 無料トライアルで試す
まずは無料ソフトから試してみて、物足りなければ有料ソフトを検討するのがおすすめです。
Illustratorでなければできないことは意外と少なく、代替ソフトでも十分プロレベルの作品を作れます。
自分の用途と予算に合ったソフトを見つけて、デザイン活動を楽しんでください。

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