Macを使っていて、「.abbu」という見慣れない拡張子のファイルを見つけたことはありませんか?
これは、Apple Address Book Backup(アドレス帳のバックアップ)の略で、Macの連絡先データをバックアップするためのアーカイブ形式です。
今回は、この.abbuファイルについて、その正体から開き方、他の形式への変換方法まで、初心者の方にも分かるように詳しく解説していきます。
.abbuファイルとは?基本を理解しよう

.abbuの正式名称
.abbu = Address Book Backup
正式名称:Address Book Backup(アドレス帳バックアップ)
何のためのファイル?
.abbuファイルは、Macの「アドレス帳」(現在の「連絡先」アプリ)から書き出されたバックアップファイルです。
保存されている情報
- 連絡先の名前
- 電話番号
- メールアドレス
- 住所
- 会社名
- メモ
- その他の連絡先情報
用途
- 連絡先データのバックアップ
- 別のMacへのデータ移行
- 誤って削除した連絡先の復元
- クラウドに保存して安全に保管
歴史:Address BookからContactsへ
2012年の変更
OS X Mountain Lion(2012年リリース)で、Appleは「Address Book」アプリの名称を「Contacts(連絡先)」に変更しました。
しかし、バックアップファイルの拡張子「.abbu」は、今でもそのまま使われています。
タイムライン
- 〜2012年:Address Book(アドレス帳)アプリ
- 2012年〜現在:Contacts(連絡先)アプリ
- 拡張子:一貫して.abbu
.abbuファイルの特徴
ファイル形式の分類
カテゴリ:バックアップファイル / データファイル
.abbuは、以下のようなバックアップファイルの仲間です。
- .bak(一般的なバックアップ)
- .backup(バックアップ)
- .vcf(vCard – 連絡先の標準形式)
対応OS
主な対応
- macOS(Mac OS X)全バージョン
- iOS(一部機能)
非対応
- Windows(標準では開けない)
- Linux(標準では開けない)
- Android(標準では開けない)
つまり、.abbuファイルはApple製品専用のファイル形式です。
ファイルサイズ
ファイルサイズは、保存されている連絡先の数によって大きく異なります。
目安
- 数十件の連絡先:数KB〜数十KB
- 数百件の連絡先:数百KB〜数MB
- 数千件の連絡先:数MB以上
.abbuファイルの開き方
Macで開く方法
Macでは、連絡先アプリを使って.abbuファイルを開き、データを復元できます。
方法1:ダブルクリック
- .abbuファイルをダブルクリック
- 自動的に「連絡先」アプリが起動
- 連絡先データがインポートされる
方法2:ドラッグ&ドロップ
- 「連絡先」アプリを起動
- .abbuファイルをDockの「連絡先」アイコンにドラッグ
- 連絡先データがインポートされる
方法3:メニューから読み込み
- 「連絡先」アプリを起動
- メニューバーから「ファイル」→「読み込む」を選択
- .abbuファイルを選択
- 「開く」をクリック
重要な注意点
.abbuファイルを読み込むと、現在の連絡先データは上書きされます。
既存のデータを残したい場合は、先にバックアップを取ってから読み込んでください。
Windowsで開く方法
残念ながら、Windowsには標準で.abbuファイルを開くアプリケーションがありません。
Windowsで連絡先データを利用するには、以下の方法があります。
推奨方法:形式を変換する
- Macで.abbuファイルを開く
- vCard形式(.vcf)またはCSV形式に変換
- WindowsのOutlookやGmailなどで読み込む
詳しい変換方法は、後述します。
iPhoneやiPadで開く方法
iOSデバイス(iPhone、iPad)では、直接.abbuファイルを開くことはできません。
代替方法
- iCloudを使って連絡先を同期
- Macで.abbuファイルから連絡先アプリにインポート
- 自動的にiPhoneやiPadにも同期される
.abbuファイルの作成方法
連絡先データをバックアップして.abbuファイルを作成する方法を紹介します。
macOSでの作成手順
手順
- 「連絡先」アプリを起動
- メニューバーから「ファイル」→「書き出す」→「連絡先のアーカイブ」を選択
- 保存場所を選択
- ファイル名を入力(デフォルトは「Address Book.abbu」)
- 「保存」をクリック
これで、現在の連絡先データがすべて.abbuファイルとして保存されます。
バックアップのタイミング
以下のような場合に、.abbuファイルを作成しておくと安心です。
推奨タイミング
- 新しいMacに買い替える前
- macOSをアップグレードする前
- 大量の連絡先を編集する前
- 定期的なバックアップとして(月1回など)
.abbuファイルから他の形式への変換

.abbuファイルを他のプラットフォームでも使えるように変換する方法を紹介します。
vCard形式(.vcf)への変換
vCard(.vcf)は、連絡先データの国際標準形式です。
ほとんどのメールクライアントやスマートフォンで対応しています。
変換手順
- 「連絡先」アプリで.abbuファイルを読み込む
- メニューバーから「ファイル」→「書き出す」→「vCardを書き出す」を選択
- 保存場所を選択
- 「保存」をクリック
vCardのメリット
- Windows、Linux、Androidで使える
- Gmail、Outlook、Thunderbirdなどで読み込める
- 国際標準なので互換性が高い
CSV形式への変換
CSV(Comma-Separated Values)は、表計算ソフトで開けるテキスト形式です。
変換手順
- 「連絡先」アプリで.abbuファイルを読み込む
- メニューバーから「ファイル」→「書き出す」→「CSVを書き出す」を選択
- 保存場所を選択
- 「保存」をクリック
CSVのメリット
- Excel、Google スプレッドシートで開ける
- データの編集・加工が容易
- 一括編集に便利
注意点
CSV形式では、連絡先の写真やメモなど、一部の情報が失われる場合があります。
LDIF形式への変換
LDIF(LDAP Data Interchange Format)は、主に企業のディレクトリサービスで使われる形式です。
「連絡先」アプリでは、LDIFファイルの読み込みは対応していますが、書き出しには対応していません。
.abbuファイルに関するトラブルシューティング
問題1:ファイルが開けない
原因と対策
原因1:適切なアプリケーションがインストールされていない
→ 対策:macOSの「連絡先」アプリを使用する
原因2:ファイルが破損している
→ 対策:
- ファイルを再度入手する
- 別のバックアップファイルを試す
- ウイルススキャンを実行
原因3:OSのバージョンが古すぎる
→ 対策:macOSを最新バージョンにアップデート
問題2:データが上書きされてしまった
.abbuファイルを読み込むと、既存の連絡先データが置き換えられてしまいます。
対策
- Time Machineのバックアップから復元
- iCloudの連絡先データを復元(30日以内なら可能)
- 別の.abbuバックアップから復元
予防策
.abbuファイルを読み込む前に、必ず現在の連絡先データのバックアップを取る習慣をつけましょう。
問題3:文字化けが発生する
CSV形式に変換した際、日本語が文字化けすることがあります。
原因
文字エンコーディングの違い(UTF-8、Shift-JIS、EUC-JPなど)
対策
- テキストエディタ(テキストエディット、VS Codeなど)でCSVファイルを開く
- 文字エンコーディングを変更して保存
- 改めてExcelやGoogleスプレッドシートで開く
問題4:重複した連絡先が作成される
.abbuファイルを読み込むと、既存の連絡先と重複してしまうことがあります。
対策
「連絡先」アプリには、重複を検出する機能があります。
- 「カード」→「重複を探す」を選択
- 重複している連絡先を確認
- 「結合」をクリックして統合
.abbuファイルの代替手段
1. iCloud連絡先の同期
現代では、iCloudを使った自動同期が主流です。
メリット
- 自動バックアップ
- すべてのAppleデバイスで同期
- 手動でのバックアップ不要
設定方法
- 「システム設定」(または「システム環境設定」)を開く
- 「Apple ID」をクリック
- 「iCloud」を選択
- 「連絡先」をオンにする
2. vCard形式(.vcf)
より互換性の高い形式として、vCardがあります。
iCloudとの使い分け
- 日常的なバックアップ:iCloud(自動)
- 他のプラットフォームへの移行:vCard(手動)
- 完全なアーカイブ:.abbu(手動)
3. Time Machine
Mac全体のバックアップとして、Time Machineを使う方法もあります。
メリット
- Macのすべてのデータをバックアップ
- 任意の時点に復元可能
- システム全体の保護
.abbuファイルのセキュリティ
個人情報の保護
.abbuファイルには、大量の個人情報が含まれています。
注意事項
- メールで送信する際は、パスワード付きZIPで圧縮する
- クラウドストレージに保存する場合、暗号化を有効にする
- 不要になったバックアップファイルは確実に削除する
ウイルス感染のリスク
.abbuファイル自体は実行ファイルではないため、ウイルスに感染するリスクは低いです。
しかし、信頼できないソースからダウンロードしたファイルは、念のためウイルススキャンをかけましょう。
スキャン方法
- .abbuファイルを右クリック
- 「このファイルをスキャン」(ウイルス対策ソフトがインストールされている場合)
- またはオンラインスキャンサービス(VirusTotalなど)を利用
.abbuファイルの将来
iCloudの普及で減少
iCloudによる自動同期が一般的になったことで、手動で.abbuファイルを作成する機会は減ってきました。
しかし、以下のような場面では、今でも.abbuファイルが役立ちます。
現在も有用な場面
- オフライン環境でのバックアップ
- 完全なローカルコピーの保管
- 複数のMac間での大量データの移行
- Time Machineを使わない場合の代替
より標準的な形式へのシフト
Appleは、将来的により標準的な形式(vCardなど)への移行を進める可能性があります。
しかし、既存の.abbuファイルとの互換性は維持されると考えられます。
まとめ:.abbuファイルを理解して安全に使おう
.abbuファイルについて、その正体から使い方まで詳しく解説してきました。
.abbuファイルの重要ポイント
- 基本情報
- Address Book Backup(アドレス帳バックアップ)の略
- Macの連絡先データをバックアップするための形式
- 拡張子は.abbu
- 歴史
- 元々はAddress Book(アドレス帳)アプリ用
- 2012年にContacts(連絡先)に改名
- 拡張子は今でも.abbu
- 対応環境
- macOS / Mac OS X:完全対応
- iOS:間接的に対応(iCloud経由)
- Windows、Linux、Android:標準では非対応
- 開き方
- Mac:連絡先アプリでダブルクリック
- Windows:vCardやCSVに変換してから利用
- 作成方法
- 連絡先アプリ→「ファイル」→「書き出す」→「連絡先のアーカイブ」
- 変換
- vCard(.vcf):最も互換性が高い
- CSV:表計算ソフトで編集可能
- LDIF:企業向けディレクトリサービス用
- 注意点
- 読み込むと既存データを上書き
- 事前にバックアップを取る
- 個人情報なので取り扱いに注意
- 現代の代替手段
- iCloud連絡先の自動同期(推奨)
- vCard形式での保存
- Time Machineバックアップ
iCloud時代の.abbuファイル
iCloudによる自動同期が主流の現代でも、.abbuファイルは以下の目的で有用です。
- 完全なローカルバックアップ:クラウドに依存しない保管
- 大量データの移行:新しいMacへの一括移行
- オフライン環境:インターネット接続不要
- 長期保存:確実なアーカイブ
これから.abbuファイルを扱う方へ
.abbuファイルは、Macユーザーにとって大切な連絡先データを守るための重要なツールです。
定期的にバックアップを取り、適切に管理することで、万が一のデータ損失から大切な連絡先を守ることができます。
また、WindowsやAndroidなど、他のプラットフォームに移行する際も、適切な形式に変換することで、スムーズにデータを引き継ぐことができます。
この記事が、.abbuファイルを理解し、安全に使いこなすための助けになれば幸いです。


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