「この部分だけ強調したいけど、太字じゃ物足りない」「文章の中でさりげなく大切さを示したい」
そんなときに便利なのが、**傍点(ぼうてん)**です。傍点とは、文字の上に点(・)や丸印(●)などを打って意味を強調する表現方法で、ビジネス文書やレポート、報告書でもよく使われます。
この記事では、Wordで傍点を設定する方法と注意点を、中学生にもわかりやすく解説します。
傍点とは:太字とは違う上品な強調方法

傍点の基本的な仕組み
傍点は、文字の上に小さな印をつけて注目を集める表現技法です。日本語の文章でよく使われる、伝統的な強調方法の一つです。
例えば「これは大変な問題です」という文で、「大変」という言葉に傍点を付けると、その部分だけ目立って見えるようになります。
他の強調方法との違い
太字との違い:太字は文字そのものを太くしますが、傍点は文字は変えずに上に印を付けます。
下線との違い:下線は文字の下に線を引きますが、傍点は上に点を打ちます。
色文字との違い:色を変える方法もありますが、印刷したときに見えなくなる可能性があります。傍点なら白黒印刷でも効果があります。
傍点を使うメリット
- 視覚的にやさしい:太字のように強すぎず、自然な強調ができます
- 上品な印象:丁寧で品のある文章に仕上がります
- 読みやすさを保つ:文字そのものは変わらないので、読みやすさが損なわれません
- 印刷に強い:白黒印刷でもしっかり表示されます
Wordで傍点を付ける方法
準備:傍点に適したフォントを選ぶ
傍点を使う前に、日本語フォントを選んでおくことが大切です。おすすめは以下のフォントです:
- MS 明朝
- MS ゴシック
- 游明朝
- 游ゴシック
英語フォント(Arial、Times New Romanなど)では傍点がうまく表示されない場合があります。
ステップ1:対象となる文字を選択する
まずは、傍点を付けたい文字や言葉をマウスでドラッグして選択します。
コツ:一度に選択する文字は、2〜5文字程度にとどめておくと効果的です。長すぎると見た目が煩雑になってしまいます。
ステップ2:フォントダイアログを開く
方法1:リボンから開く
- 「ホーム」タブをクリック
- 「フォント」グループの右下にある小さな矢印マーク(ダイアログボックス起動ツール)をクリック
方法2:右クリックメニューから開く
- 選択した文字の上で右クリック
- 「フォント」を選択
どちらの方法でも「フォント」ダイアログボックスが表示されます。
ステップ3:傍点を設定する
傍点の種類を選ぶ
「フォント」ダイアログの中に「傍点」という項目があります。ここで以下の選択肢から選べます:
- なし:傍点を付けない(元の状態)
- ・(中点):小さな点。最も一般的で読みやすい
- ●(黒丸):しっかりした丸。強い強調に適している
- ○(白丸):輪郭だけの丸。やわらかい印象
設定を完了する
- 使いたい傍点の種類をクリックして選択
- プレビューで仕上がりを確認
- 「OK」ボタンをクリック
これで選択した文字の上に傍点が表示されます。
ステップ4:結果を確認する
設定が完了したら、文書全体を見て傍点の効果を確認しましょう。必要に応じて、他の部分にも同じ方法で傍点を付けることができます。
傍点の効果的な使い方
どんな言葉に傍点を付けるべきか
適している言葉
- キーワード:「重要」「必須」「注意」などの大切な概念
- 専門用語:初めて出てくる技術用語や学術用語
- 強調したい形容詞:「特別な」「画期的な」「革新的な」など
- 読み手に注目してほしい動詞:「確認する」「検討する」「実施する」など
避けた方がよい言葉
- 長すぎる文:5文字を超える長い文章
- 頻繁に出てくる言葉:「です」「ます」などの基本的な言葉
- 既に太字や色文字になっている部分:重複した強調は見にくくなります
文書の種類別活用例
ビジネスメール
「お忙しい中、迅速なご対応をいただき、ありがとうございます」 →「迅速」に傍点を付けることで、感謝の気持ちがより伝わります
報告書
「今回の調査により、予想以上の効果が確認されました」 →「予想以上」に傍点を付けて、結果の重要性を強調
提案書
「この方法なら、確実にコスト削減を実現できます」 →「確実」に傍点を付けて、提案の信頼性をアピール
研修資料
「安全作業において最も大切なのは、事前の確認です」 →「最も大切」に傍点を付けて、重要ポイントを明確化
よくある問題と解決方法
Q:傍点が表示されない場合はどうすればいい?
原因と対策
フォントが対応していない場合
- 日本語フォント(MS明朝、MSゴシックなど)に変更する
- 游明朝や游ゴシックなど、新しい日本語フォントを試す
文字サイズが小さすぎる場合
- フォントサイズを12pt以上にする
- 傍点は小さな印なので、ある程度の文字サイズが必要
Q:傍点が印刷されない場合は?
確認すべき点
印刷プレビューでの確認
- 「ファイル」→「印刷」でプレビュー画面を確認
- 傍点が表示されていない場合は、プリンター設定を確認
プリンター設定の調整
- 印刷品質を「高品質」または「きれい」に設定
- 「文字/線画の向上」オプションを有効にする
代替手段 どうしても印刷されない場合は、以下の方法も検討してください:
- 太字(Bold)に変更
- 下線を追加
- 文字に枠線を付ける
Q:傍点を一括で削除したい場合は?
削除の手順
- 「Ctrl + H」で置換ダイアログを開く
- 「その他」→「書式」→「フォント」で傍点の設定を検索条件に指定
- 置換後の書式では傍点を「なし」に設定
- 「すべて置換」で一括削除
傍点と他の強調方法の使い分け

強調レベル別の使い分け
強調レベル | 方法 | 適用場面 | 印象 |
---|---|---|---|
軽い強調 | 傍点 | さりげなく注目してほしい部分 | 上品、自然 |
中程度の強調 | 太字 | 重要なポイント | はっきり、力強い |
強い強調 | 太字+大きなフォント | 見出しや警告 | インパクト大 |
特別な強調 | 色文字 | 特定の情報を際立たせたい | 目立つ、注意を引く |
文書の格式に応じた選択
正式な文書(契約書、公式報告書など)
- 傍点:適している
- 太字:控えめに使用
- 色文字:避ける
カジュアルな文書(社内メール、メモなど)
- 傍点:上品な印象を与えたいときに
- 太字:気軽に使用可能
- 色文字:効果的に活用
実践的な活用場面
学術論文やレポート
「本研究では、従来の方法とは異なるアプローチを採用した」 →学術的な文書で、重要な違いを上品に強調
プレゼンテーション資料
「今期の売上は過去最高を記録しました」 →数字やデータの重要性を自然に強調
マニュアルや手順書
「この手順は必ず順番通りに実行してください」 →安全や品質に関わる重要な指示を強調
お客様向けの文書
「お客様のご要望にお応えして、新サービスを開始いたします」 →相手への敬意を保ちながら重要な情報を伝達
まとめ
傍点は、Wordで使える洗練された強調表現です。使い方は簡単で、印象をやわらげながらも読み手の注意を引く効果があります。
覚えておきたい重要なポイント
- 設定方法:「ホーム」→「フォント」ダイアログから「傍点」を選択
- 適したフォント:MS明朝、MSゴシックなどの日本語フォント
- 効果的な使い方:キーワードや重要な概念に2〜5文字程度で使用
- 印象の特徴:上品で自然な強調効果
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