「WindowsでEPSファイルを開きたいけど、どうすればいいの?」
「開こうとしたらエラーが出てしまった…」
そんな悩みをお持ちではありませんか?
EPSファイルは印刷やデザイン業界でよく使われるファイル形式ですが、Windows環境ではそのまま開けないことが多いのが現実です。
でも安心してください。適切なソフトを使えば、EPSファイルの閲覧から編集まで問題なく行えます。
この記事では、EPSファイルの基本知識からWindowsで扱う具体的な方法、さらに作業時の注意点まで、初心者にもわかりやすく解説します。
これを読めば、EPSファイルで困ることはなくなるはずです。
EPSファイルとは?どんな場面で使われるのか

EPSファイルの基本知識
EPSとはEncapsulated PostScriptの略で、主に印刷物やロゴデータの入稿に使われるファイル形式です。
EPSファイルには次のような特徴があります:
- ベクターデータを含む(拡大しても画質が劣化しない)
- Adobe Illustratorなどのプロ向けソフトで主に作成される
- 印刷業界での標準的なファイル形式の一つ
- カラー情報や透明度も正確に保存できる
どんな場面で使われる?
EPSファイルは、特に高品質で精密さが求められる場面で多く利用されています:
- チラシやポスターの印刷入稿データ
- 会社ロゴやブランドデザイン
- カッティングシート用データ
- 看板やサイン制作のデータ
- パッケージデザインの入稿
これらの用途では、拡大しても画質が劣化しないベクターデータの特性が重要になります。
よくある疑問:「JPEGやPNGとの違いは?」
JPEGやPNGは「ラスター画像」と呼ばれ、小さな点(ピクセル)の集まりで画像を表現します。一方、EPSは「ベクター画像」で、数式で図形を表現するため、どれだけ拡大しても滑らかな線を保てます。
WindowsでEPSを開く方法(無料ソフト編)
Windows標準ではEPSファイルを開けませんが、無料ソフトを使えば簡単に閲覧・編集できます。
無料でEPSを開ける代表的なソフト
1. Inkscape(インクスケープ)
おすすめ度:★★★★★
オープンソースの無料ベクター編集ソフトです。EPSファイルを開けるだけでなく、簡単な編集やPDF・PNGへの書き出しも可能です。
メリット:
- 完全無料で使える
- ベクターデータとして正しく表示される
- 基本的な編集機能が充実
- 日本語対応
デメリット:
- Illustratorの複雑なエフェクトは再現できない場合がある
- 初回起動時の読み込みが少し重い
2. GIMP
おすすめ度:★★★☆☆
無料の画像編集ソフトです。Ghostscriptというプログラムを追加インストールすればEPSを読み込めます。
メリット:
- 完全無料
- 画像編集機能が豊富
- 多くのファイル形式に対応
デメリット:
- ベクターデータではなくラスター画像(ドット絵)として読み込まれる
- Ghostscriptの追加インストールが必要
- ベクターの利点(拡大時の画質保持)が失われる
3. IrfanView
おすすめ度:★★★☆☆
シンプルな画像ビューアです。プラグインを追加すればEPSを開いて画像として確認できます。
メリット:
- 軽量で起動が速い
- 操作が簡単
- 多くの画像形式に対応
デメリット:
- 閲覧のみで編集はできない
- プラグインの追加インストールが必要
実際の使い分け方法
「デザインをちょっと確認したいだけ」 → IrfanViewで十分 「内容を確認して少し修正したい」 → Inkscapeがおすすめ 「印刷用データとして正確に扱いたい」 → 有料ソフトを検討
よくある質問:「無料ソフトで開いたEPSファイルは印刷に使える?」
基本的には使えますが、フォントの置き換えやカラープロファイルの問題が起こる可能性があります。重要な印刷物の場合は、制作元と同じソフトで確認することをおすすめします。
EPSを編集したい場合のおすすめソフト

EPSファイルを本格的に編集したい場合は、より高機能なソフトが必要になります。
本格的に編集するなら(有料ソフト)
Adobe Illustrator
おすすめ度:★★★★★
EPSファイルの標準ともいえるソフトです。ほぼすべてのEPSファイルを正確に開けて、自由度の高い編集が可能です。
メリット:
- EPSファイルの互換性が最も高い
- プロレベルの編集機能
- 印刷業界での標準ソフト
- 豊富なチュートリアルや情報
デメリット:
- 月額課金制(Creative Cloud)
- 高機能すぎて初心者には難しい
- パソコンのスペックをそれなりに要求する
料金: 月額2,728円(単体プラン)
CorelDRAW
おすすめ度:★★★★☆
商用向けのベクター編集ソフトで、EPSファイルの対応も優秀です。Illustratorと並ぶプロ仕様のソフトです。
メリット:
- 買い切りプランがある
- Illustratorと同等の機能
- 日本語サポートが充実
デメリット:
- 日本での普及率がIllustratorより低い
- 学習リソースが限定的
料金: 買い切り版 約6万円、サブスクリプション版 月額1,800円程度
無料で済ませたい場合
Inkscape
おすすめ度:★★★★☆
パスの編集や文字の変更程度であれば十分対応可能です。完全無料でありながら、基本的なベクター編集機能は揃っています。
できること:
- テキストの編集・追加
- 色の変更
- 簡単な図形の追加・削除
- PDFやPNG形式での書き出し
できないこと:
- Illustratorの複雑なエフェクトの再現
- 高度なグラデーション処理
- プロレベルの印刷用カラー管理
使用例: 会社のロゴの色を変更したい、チラシの文字を差し替えたい、といった基本的な編集作業には十分使えます。
EPSをPDFやPNGに変換する方法

EPSファイルを他の形式に変換すると、より多くの環境で確認・利用できるようになります。
変換する理由
- 確認目的: 内容を確認したいだけなら軽いPDFの方が便利
- 配布目的: メールで送る際はPNGの方が相手が開きやすい
- 文書への挿入: WordやPowerPointに貼り付ける場合
- ウェブでの使用: ホームページで表示する場合
変換方法
Inkscapeを使った変換
PDFへの変換:
- InkscapeでEPSファイルを開く
- 「ファイル」→「別名で保存」を選択
- ファイル形式で「Portable Document Format (*.pdf)」を選択
- 保存ボタンをクリック
PNGへの変換:
- Inkscapeでファイルを開く
- 「ファイル」→「PNG画像にエクスポート」を選択
- 解像度を設定(印刷用なら300dpi、ウェブ用なら72dpi)
- エクスポートボタンをクリック
オンラインコンバーターの活用
インストール不要で手軽に変換できるウェブサービスもあります:
代表的なサービス:
- CloudConvert
- Zamzar
- Online-Convert.com
使い方:
- サイトにアクセス
- EPSファイルをアップロード
- 変換先の形式を選択(PDF、PNG、JPEGなど)
- 変換ボタンをクリック
- 変換されたファイルをダウンロード
変換時の注意点
セキュリティの観点
オンラインサービスを使う場合:
- ファイルが外部サーバーにアップロードされる
- 機密データや会社ロゴなどは避ける
- 利用後はサーバーからファイルが削除されるか確認
安全な方法:
- 重要なファイルはInkscapeなどのローカルソフトで変換
- 変換後のファイルの品質を必ず確認
品質の確認
変換後は必ず以下の点をチェックしましょう:
- 文字化けしていないか
- 色が正しく再現されているか
- 図形が欠けていないか
- 解像度が用途に適しているか
よくあるトラブル:「変換したら文字が変わってしまった」
これはフォントの問題です。EPSファイルで使われているフォントがパソコンにインストールされていない場合、別のフォントに置き換わってしまいます。
重要な文書の場合は、フォントをアウトライン化(文字を図形に変換)してから変換することをおすすめします。
まとめ
WindowsでEPSファイルを扱う方法について詳しく解説しました。ポイントをまとめると:
EPSファイルの基本
- 印刷やデザインでよく使われるベクター形式
- Windows標準では開けないため専用ソフトが必要
- 拡大しても画質が劣化しない特徴がある
無料で開く・編集する方法
- 閲覧のみ: IrfanViewが手軽
- 簡単な編集: Inkscapeがおすすめ
- 高品質な編集: GIMPも選択肢の一つ
本格的な編集を行う場合
- プロレベル: Adobe Illustrator(月額課金)
- 買い切り希望: CorelDRAW
- 無料で頑張る: Inkscapeで基本的な編集
ファイル変換について
- PDF・PNGへの変換で利便性向上
- オンラインサービスは便利だが機密データは注意
- ローカルソフトでの変換が安全
これらの方法を使えば、Windows環境でもEPSファイルをスムーズに扱えるようになります。まずは無料のInkscapeから始めて、必要に応じて有料ソフトの導入を検討してみてください。
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