停留点とは?【微分の基礎から極値の判定まで徹底解説】

その他

数学の微分を学んでいると、「停留点」という言葉に出会うことがあります。

停留点は、関数の極大値や極小値を見つけるために欠かせない重要な概念です。高校数学では極大点・極小点として学びますが、大学数学ではより一般的な「停留点」という用語を使います。

この記事では、停留点とは何か、どうやって求めるのか、そしてその種類と判定方法について、基礎から丁寧に解説していきます。

スポンサーリンク

停留点とは?

停留点(ていりゅうてん、英: stationary point)とは、関数の微分が0になる点のことです。

別名「臨界点(りんかいてん、critical point)」とも呼ばれます。

基本的な定義

関数f(x)において、ある点x₀で導関数f'(x₀) = 0となるとき、この点x₀を停留点と呼びます。

また、停留点における関数の値f(x₀)を停留値と呼びます。

なぜ「停留」と呼ぶのか?

微分(導関数)は、関数の変化率、つまり「どれだけ増えているか・減っているか」を表します。

微分が0ということは、その点で関数が増えもせず減りもしない、つまり「停まっている」状態を意味します。だから「停留点」と呼ばれるんです。

グラフで見ると、停留点では接線が水平(傾きが0)になっています。

臨界点との違い

厳密に言うと、「停留点」と「臨界点」には微妙な違いがあります:

停留点(Stationary Point)

  • 微分が0になる点に限定

臨界点(Critical Point)

  • 微分が0になる点、または微分が定義できない点も含む

例えば、絶対値関数f(x) = |x|のx = 0は、微分できないため臨界点ですが、厳密には停留点ではありません。

ただし、多くの場合、これらの用語は同じ意味で使われます。特に微分可能な関数を扱う場合は、停留点と臨界点は同じです。

停留点の種類

停留点には、いくつかの種類があります。それぞれ関数のグラフでどのような特徴を持つか見ていきましょう。

極大点(Local Maximum)

極大点とは、その点の周辺と比べて関数の値が最も大きくなる点です。

特徴:

  • 停留点の左側では関数が増加している(f'(x) > 0)
  • 停留点の右側では関数が減少している(f'(x) < 0)
  • グラフは山の頂上のような形

例: f(x) = -x² + 4x

  • f'(x) = -2x + 4
  • f'(x) = 0 を解くと x = 2
  • x = 2 が極大点

極小点(Local Minimum)

極小点とは、その点の周辺と比べて関数の値が最も小さくなる点です。

特徴:

  • 停留点の左側では関数が減少している(f'(x) < 0)
  • 停留点の右側では関数が増加している(f'(x) > 0)
  • グラフは谷の底のような形

例: f(x) = x² – 4x + 5

  • f'(x) = 2x – 4
  • f'(x) = 0 を解くと x = 2
  • x = 2 が極小点

変曲点(Point of Inflection)

変曲点とは、関数の凹凸が変わる点のことです。

停留点でありながら、極大でも極小でもない点が存在します。これを「停留変曲点」と呼びます。

特徴:

  • 停留点の左右で関数の増減が変わらない
  • グラフの凹凸(曲がり方)が変わる
  • 接線は水平だが、極値ではない

例: f(x) = x³

  • f'(x) = 3x²
  • f'(x) = 0 を解くと x = 0
  • x = 0 は停留点だが、極大でも極小でもない(変曲点)

鞍点(Saddle Point)

鞍点は、多変数関数(2変数以上の関数)特有の停留点です。

馬の鞍(くら)のような形をしているため、この名前がついています。ある方向から見ると極大に見え、別の方向から見ると極小に見える不思議な点です。

例: f(x, y) = x² – y²

  • ∂f/∂x = 2x、∂f/∂y = -2y
  • 両方とも0になるのは (x, y) = (0, 0)
  • (0, 0)は鞍点

停留点の求め方【一変数関数】

一変数関数f(x)の停留点を求める手順を見ていきましょう。

ステップ1: 導関数を求める

まず、関数f(x)を微分して導関数f'(x)を求めます。

ステップ2: f'(x) = 0を解く

導関数f'(x) = 0となるxの値を求めます。これが停留点のx座標です。

ステップ3: 停留点での関数の値を計算

必要に応じて、ステップ2で求めたxをf(x)に代入し、停留点での関数の値(停留値)を計算します。

具体例1: 二次関数

問題: f(x) = x² – 6x + 5の停留点を求めよ。

解答:

ステップ1: 微分する
f'(x) = 2x – 6

ステップ2: f'(x) = 0を解く
2x – 6 = 0
2x = 6
x = 3

ステップ3: 停留値を計算
f(3) = 3² – 6×3 + 5 = 9 – 18 + 5 = -4

答え: 停留点は(3, -4)

具体例2: 三次関数

問題: f(x) = x³ – 3x² – 9x + 5の停留点を求めよ。

解答:

ステップ1: 微分する
f'(x) = 3x² – 6x – 9

ステップ2: f'(x) = 0を解く
3x² – 6x – 9 = 0
x² – 2x – 3 = 0
(x + 1)(x – 3) = 0
x = -1, 3

ステップ3: 停留値を計算

  • x = -1のとき: f(-1) = (-1)³ – 3(-1)² – 9(-1) + 5 = -1 – 3 + 9 + 5 = 10
  • x = 3のとき: f(3) = 3³ – 3×3² – 9×3 + 5 = 27 – 27 – 27 + 5 = -22

答え: 停留点は(-1, 10)と(3, -22)

停留点の種類を判定する方法

停留点が見つかったら、それが極大点なのか、極小点なのか、それとも変曲点なのかを判定する必要があります。

方法1: 二階微分を使う方法(Second Derivative Test)

これが最も一般的で効率的な方法です。

判定基準:

停留点x₀において:

  • f”(x₀) > 0 ならば 極小点
  • f”(x₀) < 0 ならば 極大点
  • f”(x₀) = 0 ならば 判定不能(さらに高階の微分が必要)

理由:
二階微分f”(x)は、関数の凹凸を表します:

  • f”(x) > 0 なら下に凸(∪型)→ 極小点
  • f”(x) < 0 なら上に凸(∩型)→ 極大点

具体例: 二階微分を使った判定

問題: f(x) = x³ – 3x² – 9x + 5の停留点(-1, 10)と(3, -22)の種類を判定せよ。

解答:

まず二階微分を求めます:
f'(x) = 3x² – 6x – 9
f”(x) = 6x – 6

次に、各停留点で二階微分を評価します:

x = -1のとき:
f”(-1) = 6×(-1) – 6 = -6 – 6 = -12 < 0
極大点

x = 3のとき:
f”(3) = 6×3 – 6 = 18 – 6 = 12 > 0
極小点

方法2: 増減表を使う方法(First Derivative Test)

導関数f'(x)の符号の変化を調べる方法です。

判定基準:

停留点x₀の左右で:

  • f'(x)が「正→負」と変化 → 極大点
  • f'(x)が「負→正」と変化 → 極小点
  • f'(x)の符号が変わらない → 変曲点

この方法は、二階微分が0になって判定できない場合に特に有効です。

具体例: 増減表を使った判定

f(x) = x³ の x = 0 を判定してみましょう。

f'(x) = 3x²

  • x < 0 のとき: f'(x) = 3x² > 0 (正)
  • x = 0 のとき: f'(x) = 0
  • x > 0 のとき: f'(x) = 3x² > 0 (正)

符号が変わらないので、x = 0 は変曲点(極値ではない)

二階微分で確認:
f”(x) = 6x
f”(0) = 0 → 判定不能

この例では、二階微分では判定できませんが、増減表では判定できました。

停留点の求め方【多変数関数】

2変数以上の関数でも、停留点の考え方は基本的に同じです。

二変数関数の場合

関数f(x, y)の停留点は、すべての偏微分が0になる点です。

条件:

  • ∂f/∂x = 0
  • ∂f/∂y = 0

この連立方程式を解いて、停留点(x, y)を求めます。

具体例: 二変数関数の停留点

問題: f(x, y) = x² + y² – 2x – 4y + 5の停留点を求めよ。

解答:

ステップ1: 偏微分を求める
∂f/∂x = 2x – 2
∂f/∂y = 2y – 4

ステップ2: 連立方程式を解く
2x – 2 = 0 → x = 1
2y – 4 = 0 → y = 2

ステップ3: 停留値を計算
f(1, 2) = 1² + 2² – 2×1 – 4×2 + 5 = 1 + 4 – 2 – 8 + 5 = 0

答え: 停留点は(1, 2, 0)

多変数関数での判定: ヘッセ行列

多変数関数の停留点が極大か極小か鞍点かを判定するには、ヘッセ行列(Hessian matrix)を使います。

二変数関数f(x, y)の場合、ヘッセ行列Hは:

H = | ∂²f/∂x²    ∂²f/∂x∂y |
    | ∂²f/∂y∂x   ∂²f/∂y²  |

判定基準:

停留点(a, b)において:

  1. ヘッセ行列の行列式Dを計算:
    D = (∂²f/∂x²)(∂²f/∂y²) – (∂²f/∂x∂y)²
  2. 判定:
  • D > 0 かつ ∂²f/∂x² > 0 なら 極小点
  • D > 0 かつ ∂²f/∂x² < 0 なら 極大点
  • D < 0 なら 鞍点
  • D = 0 なら 判定不能

停留点の応用例

停留点は、数学の理論だけでなく、実際の問題解決にも広く使われています。

最大化・最小化問題

例: 長方形の面積最大化

周の長さが20cmの長方形で、面積を最大にするには縦と横をどうすればよいか?

解答:

縦をx、横をyとすると:

  • 制約条件: 2x + 2y = 20 → y = 10 – x
  • 面積: A(x) = xy = x(10 – x) = 10x – x²

停留点を求める:
A'(x) = 10 – 2x = 0
x = 5

二階微分で判定:
A”(x) = -2 < 0 → 極大点

答え: 縦5cm、横5cm(正方形)のとき面積が最大

物理学での応用

ポテンシャルエネルギー

物理学では、ポテンシャルエネルギーの停留点が平衡点(釣り合いの位置)を表します:

  • 極小点: 安定平衡(ボールが谷底にある状態)
  • 極大点: 不安定平衡(ボールが山頂にある状態)
  • 鞍点: 中立平衡

機械学習での応用

機械学習の最適化問題では、損失関数の停留点(特に極小点)を探すことが目標です。

ただし、複雑な関数では鞍点が多数存在し、これが最適化を難しくする要因の一つになっています。

よくある間違いと注意点

停留点を扱う際によくある誤解や注意すべきポイントをまとめます。

間違い1: 停留点 = 極値と思い込む

✗ 誤り: 「停留点はすべて極大点か極小点である」

✓ 正しい: 停留点には変曲点(極値でない停留点)も含まれる

例: f(x) = x³ の x = 0 は停留点だが極値ではない

間違い2: 極値 = 停留点と思い込む

✗ 誤り: 「極値はすべて停留点である」

✓ 正しい: 微分できない点でも極値になりうる

例: f(x) = |x| は x = 0 で極小値をとるが、この点で微分できない(停留点ではない)

間違い3: f”(x) = 0 なら変曲点

✗ 誤り: 「二階微分が0なら必ず変曲点である」

✓ 正しい: f”(x) = 0 は変曲点の必要条件だが、十分条件ではない

例: f(x) = x⁴ は x = 0 で f”(0) = 0 だが、これは変曲点ではなく極小点

注意点: 定義域に注意

停留点は定義域の内部で考えます。定義域の端点では、微分が0でなくても極値になることがあります。

例: f(x) = x (0 ≤ x ≤ 1)

  • 停留点はない(f'(x) = 1 ≠ 0)
  • しかし x = 0 で最小、x = 1 で最大

よくある質問(FAQ)

Q1: 停留点と臨界点は同じですか?

A: ほぼ同じですが、厳密には少し違います。停留点は「微分が0の点」だけを指しますが、臨界点は「微分が0の点または微分が定義できない点」を含みます。微分可能な関数を扱う場合は、この2つの用語は同じ意味で使われます。

Q2: すべての停留点で極値をとりますか?

A: いいえ。停留点には極大点、極小点のほかに、変曲点や鞍点も含まれます。停留点が極値かどうかは、二階微分や増減表で判定する必要があります。

Q3: 二階微分が0のときはどうすればいいですか?

A: 二階微分が0の場合は、その方法では判定できません。その場合は、増減表を使う方法や、三階微分以上を調べる方法があります。または、停留点の前後で関数の値を直接計算して比較する方法も有効です。

Q4: 多変数関数の停留点はどう求めますか?

A: すべての変数についての偏微分を0とした連立方程式を解きます。二変数関数f(x, y)なら、∂f/∂x = 0 と ∂f/∂y = 0 の両方を満たす(x, y)を求めます。判定にはヘッセ行列を使います。

Q5: 鞍点とは何ですか?

A: 鞍点は多変数関数特有の停留点で、ある方向から見ると極大、別の方向から見ると極小に見える点です。馬の鞍のような形をしているため、この名前がつきました。ヘッセ行列の行列式が負のとき、その停留点は鞍点です。

Q6: 停留点はどんな場面で使われますか?

A: 停留点は、最大化・最小化問題を解くときに非常に重要です。例えば、コストを最小化する、利益を最大化する、最短経路を見つけるなど、様々な実用的な問題で使われます。物理学、経済学、工学、機械学習など、幅広い分野で応用されています。

まとめ

停留点は、微分の最も重要な応用の一つです。

この記事の要点:

  • 停留点は微分が0になる点(f'(x) = 0)
  • 停留点には極大点、極小点、変曲点、鞍点がある
  • 一変数関数では二階微分テストで判定できる
  • 多変数関数ではヘッセ行列を使って判定する
  • すべての停留点が極値とは限らない
  • 実用的な最大化・最小化問題に広く応用される

停留点を理解することで、関数の性質をより深く理解でき、様々な最適化問題を解けるようになります。

高校数学では「極大・極小」として学びますが、大学数学では「停留点」という、より一般的で強力な概念を使います。この基礎をしっかり身につけて、さらに高度な数学へとステップアップしていきましょう!

コメント

タイトルとURLをコピーしました