リモートワークやテレワークが当たり前になった今、ビジネスチャットツールとして多くの企業で使われている「Slack(スラック)」。
毎日使っている人も多いと思いますが、「このサービスってどこの国が作ったの?」と疑問に思ったことはありませんか?
実は、Slackにはゲーム開発の失敗から生まれたという面白い誕生秘話があるんです。
この記事では、Slackがどの国のサービスなのか、そしてなぜ日本でこれほど人気になったのかを分かりやすく解説していきます。
Slackはアメリカ生まれのビジネスチャットツール
本社はサンフランシスコ
Slackはアメリカのサービスです。
本社はカリフォルニア州サンフランシスコにあり、2013年に設立されました。シリコンバレーの近くということもあって、最先端のIT技術が集まる場所で誕生したんですね。
現在は世界的なIT企業「Salesforce(セールスフォース)」の傘下に入っており、2021年に買収されています。
世界17拠点でグローバル展開
Slackは本社のサンフランシスコだけでなく、世界17拠点にオフィスを構えています。
主な拠点は以下の通りです:
- ニューヨーク(アメリカ)
- デンバー(アメリカ)
- トロント(カナダ)
- ロンドン(イギリス)
- パリ(フランス)
- 東京(日本)
- ダブリン(アイルランド)
- バンクーバー(カナダ)
- プネー(インド)
- メルボルン(オーストラリア)
日本にもオフィスがあるため、日本語でのサポートがしっかり受けられるのは安心ですね。
失敗から生まれた大成功のサービス
もともとはゲーム開発会社だった
Slackの誕生秘話は、とてもユニークです。
実は、Slackを作った会社は最初、オンラインゲームを開発していました。「Glitch(グリッチ)」というゲームを作っていたのですが、残念ながらそのゲーム開発は失敗に終わってしまったんです。
しかし、ゲーム開発チームが社内で使っていたコミュニケーションツールがとても便利だったため、「これを製品として販売したらどうだろう?」というアイデアが生まれました。
「Slack」という名前の意味
「Slack」という名前は、実は略語なんです。
「Searchable Log of All Conversation and Knowledge」
日本語に訳すと「検索可能な会話と知識のログ」という意味です。つまり、チャットの内容をすべて検索できて、会社の知識として蓄積できるツールというコンセプトが名前に込められているんですね。
資金調達で急成長
2014年からSlackは本格的にサービスを開始し、投資家から次々と資金を調達しました。
- 2014年4月:約43億円
- 2014年10月:約120億円(企業価値は約1,200億円に)
- 2015年4月:約160億円
- 2016年4月:約200億円
このように、投資家たちもSlackの可能性を高く評価していたことが分かります。そして2019年6月には、ニューヨーク証券取引所に上場し、世界的な企業へと成長しました。
日本は世界第2位のユーザー数
日本でのSlackの存在感
驚くべきことに、日本はアメリカに次いで世界第2位のSlackユーザー数を誇ります。
2018年時点で、日本国内だけで50万人以上のデイリーアクティブユーザー(毎日使っている人)がいて、そのうち15万人以上は有料プランを利用しているという調査結果があります。
メルカリやDeNAといった大手IT企業が早い段階で導入したことも、日本での普及に大きく貢献しました。
2017年に日本語版がスタート
Slackの日本語版がリリースされたのは、2017年11月17日です。
それまでは英語版しかありませんでしたが、日本でのユーザー数の多さを受けて、正式に日本語対応が行われました。
当時、Slackの創業者スチュワート・バターフィールド氏は次のようにコメントしています。
「日本は世界で最も素晴らしいテクノロジー・イノベーション文化を有する国の1つです。日本向けにローカライズされたSlackから、より適切なサポートを提供していきたいと考えています」
このように、Slackは日本市場を非常に重要視しているんですね。
なぜ日本でSlackが人気なのか?
細部へのこだわりが日本人に合っている
Slackが日本で人気の理由の1つは、アプリの仕様やUI(ユーザーインターフェース)を細部までこだわって作られている点です。
日本人は品質やデザインの細かさを大切にする傾向がありますが、Slackのそうしたクラフトマンシップ(職人気質)が日本人の感性と合っていると分析されています。
絵文字文化との相性
Slackには豊富な絵文字機能があり、オリジナルの絵文字を簡単に作成できます。
日本は世界でも「絵文字」を最初に生み出した国として知られていて、絵文字を使ったコミュニケーションに親しみがあります。Slackの絵文字機能は、そんな日本のコミュニケーション文化とピッタリ合っているんです。
絵文字でリアクションするだけで、「いいね」や「了解」などの意思表示ができるため、テキストを打つ手間が省けて効率的です。
働き方改革にマッチ
日本では長時間労働や労働人口減少などの問題から、「働き方改革」が推進されています。
Slackは、チーム内での情報共有をスムーズにし、メールよりも素早くコミュニケーションが取れるため、業務効率の改善に役立ちます。2,500以上の外部アプリと連携できる機能も、仕事の効率化を後押ししているんです。
日本国内にデータ保存も可能に
データレジデンシー機能とは
企業がビジネスチャットを導入する際、「データがどこに保存されるのか」という点は非常に重要です。
特に、金融機関や医療機関、政府機関など、機密性の高い情報を扱う企業では、「データは日本国内に保存する」というルールを設けていることがあります。
以前のSlackは、主にアメリカのサーバーにデータが保存されていました。しかし、2020年3月からはデータレジデンシー機能が導入され、東京リージョン(日本のサーバー)を選択できるようになりました。
プラスプラン以上で利用可能
このデータレジデンシー機能は、「プラス」プランまたは「Enterprise Grid」プランのユーザーが利用できます。
データを保存する場所を選べるリージョンは、現在以下の通りです:
- 東京(日本)
- フランクフルト(ドイツ)
- パリ(フランス)
- 米国内の複数拠点
これにより、セキュリティやコンプライアンス(法令遵守)を重視する日本企業でも、安心してSlackを導入できるようになりました。
世界150カ国以上で使われるグローバルツール
圧倒的な利用規模
Slackは現在、世界150カ国以上でサービスを提供しており、約142,000社が有料プランを利用しています。
フォーチュン100企業(アメリカの売上高上位100社)の多くがSlackを導入しており、NASA(アメリカ航空宇宙局)のジェット推進研究所や、ミシュランの星付きレストランなど、幅広い業種で活用されているんです。
他のビジネスチャットとの違い
日本にはSlack以外にも、「LINE WORKS」「Chatwork」「Microsoft Teams」などのビジネスチャットがあります。
これらと比較したSlackの特徴は以下の通りです:
- 検索機能が強力:過去の会話やファイルを素早く検索できる
- 外部連携が豊富:2,500以上のアプリと連携可能
- カスタマイズ性:絵文字やボットなど、自由にカスタマイズできる
- グローバル対応:世界中の企業との連携に便利
どのツールが最適かは、会社の規模や業種、使い方によって変わってきます。
まとめ:アメリカ生まれで日本でも大人気のSlack
Slackはアメリカ・サンフランシスコで誕生したビジネスチャットツールで、現在はSalesforceの傘下にあります。
ゲーム開発の失敗から生まれたという意外な誕生秘話を持ちながら、細部へのこだわりや豊富な機能で世界中の企業から支持されています。
特に日本では、世界第2位のユーザー数を誇り、絵文字文化との相性の良さや働き方改革への適合性から、多くの企業で導入が進んでいます。
2020年からは日本国内にデータを保存できる機能も追加され、セキュリティを重視する企業でも安心して使えるようになりました。
リモートワークが一般化した今、Slackのようなコミュニケーションツールは、これからもビジネスに欠かせない存在となっていくでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. Slackは無料で使えますか?
はい、無料プランがあります。ただし、メッセージ履歴が直近90日分に制限されるなど、いくつか機能制限があります。本格的に使う場合は、有料プランの検討をおすすめします。
Q2. Slackと他のビジネスチャットの違いは何ですか?
Slackの最大の特徴は、強力な検索機能と2,500以上のアプリとの連携です。Google ドライブ、Trello、GitHubなど、さまざまなツールと組み合わせて使えるため、業務効率が大幅に向上します。
Q3. 日本語でサポートは受けられますか?
はい、2017年から日本語版が提供されており、日本語でのサポートも受けられます。日本にもオフィスがあるため、安心して利用できます。
Q4. データのセキュリティは大丈夫ですか?
Slackは企業向けのセキュリティ機能が充実しています。有料プランでは、データを日本国内のサーバーに保存することも可能です。また、二段階認証やシングルサインオン(SSO)など、セキュリティ対策も万全です。
Q5. どんな企業がSlackを使っていますか?
メルカリ、DeNA、NASAのジェット推進研究所、ミシュランの星付きレストランなど、スタートアップから大企業まで幅広い企業が使っています。フォーチュン100企業の多くも導入しています。

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