「NTFS?FAT32?何が違うの?」
USBメモリやハードディスクをフォーマットする時、「NTFS」という選択肢を見たことはありませんか?
NTFSは、Windowsの標準的なファイルシステムです。ファイルシステムとは、データをディスクに保存・管理するための仕組みのこと。どれを選ぶかで、使える機能や互換性が大きく変わるんです。
この記事では、NTFSの特徴やメリット、他の形式との違いを分かりやすく解説します。
いつNTFSを使うべきか、どんな注意点があるのか、すぐに分かる内容をお届けします!
NTFSとは?

Windowsの標準ファイルシステム
NTFS(エヌティーエフエス)は、「New Technology File System」の略です。
読み方:
- エヌティーエフエス
- またはニューテクノロジーファイルシステム
Microsoftが開発した、Windowsで使用するファイルシステムです。
ファイルシステムの役割
ファイルシステムとは、ディスク上でデータを管理する仕組みのことです。
主な役割:
- ファイルの保存場所を記録
- フォルダ構造を管理
- ファイル名や作成日時を保存
- データの読み書きを制御
- セキュリティ情報を管理
本棚の整理方法のようなもので、ファイルシステムが違うと管理方法も変わります。
NTFSの歴史
NTFSは1993年に登場しました。
主なバージョン:
- Windows NT 3.1:初登場
- Windows 2000:広く普及
- Windows XP以降:標準のファイルシステムに
- Windows 10・11:現在も使用中
30年以上の歴史があり、何度も改良されてきました。
NTFSの主な特徴
NTFSならではの機能や特性を見ていきましょう。
1. 大容量ファイルに対応
NTFSでは、非常に大きなファイルを保存できます。
対応サイズ:
- 理論上:16エクサバイト(約1600京バイト)
- 実用的には無制限と考えて問題なし
- 4GB以上のファイルも余裕で保存可能
動画編集や大きなデータを扱う場合に必須です。
2. 大容量ディスクに対応
ディスク全体のサイズも、ほぼ制限がありません。
対応するディスクサイズ:
- 理論上:256テラバイト
- 実際には数百テラバイトのディスクでも使用可能
外付けハードディスクや大容量SSDでも問題なく使えます。
3. アクセス権限の設定
ファイルやフォルダに、誰がアクセスできるか設定できます。
できること:
- ユーザーごとに読み取り・書き込み権限を設定
- 特定のファイルを他のユーザーから隠せる
- 管理者だけが削除できるファイルを作れる
セキュリティを強化したい時に便利な機能です。
4. ファイルの圧縮機能
ディスク容量を節約するため、ファイルを圧縮して保存できます。
圧縮機能の特徴:
- 透過的に圧縮(使用時は自動的に展開される)
- ZIPファイルのように手動で解凍する必要なし
- 容量の節約になる
- ただし、読み書き速度は少し遅くなる
あまり使わないファイルを圧縮しておくと、空き容量を増やせます。
5. ファイルの暗号化
重要なデータを暗号化して保護できます。
暗号化機能(EFS):
- ファイル単位で暗号化可能
- 他のユーザーから読めなくなる
- パスワードを忘れると復元不可能
機密情報を守りたい時に使います。
6. ジャーナリング機能
突然の電源断などでもデータを保護する仕組みです。
ジャーナリングとは:
- 変更履歴を記録する機能
- トラブル時にファイルシステムを復旧しやすくする
- データの破損を防ぐ
停電やクラッシュからデータを守ります。
7. ディスククォータ
ユーザーごとに使用できる容量を制限できます。
クォータ機能:
- 各ユーザーの使用量を管理
- 容量を使いすぎるのを防ぐ
- 共有パソコンで便利
複数人で使うパソコンで役立ちます。
NTFSと他のファイルシステムの比較
主な3つのファイルシステムを比べてみましょう。
NTFS vs FAT32
FAT32は古いファイルシステムですが、互換性が高いです。
NTFS:
- 最大ファイルサイズ:実質無制限
- 最大ディスクサイズ:256TB
- 対応OS:Windows、一部のMac・Linux
- セキュリティ機能:あり
- 速度:高速
FAT32:
- 最大ファイルサイズ:4GB
- 最大ディスクサイズ:2TB
- 対応OS:ほぼすべての機器で使える
- セキュリティ機能:なし
- 速度:やや遅い
どちらを選ぶ?
- Windowsだけで使う、大きなファイルを扱う → NTFS
- テレビやゲーム機など色々な機器で使う → FAT32
NTFS vs exFAT
exFATは、FAT32の制限を改善した新しい形式です。
NTFS:
- セキュリティ機能:充実
- 圧縮・暗号化:可能
- Windowsでの安定性:非常に高い
- 他のOSでの互換性:限定的
exFAT:
- セキュリティ機能:基本的なもののみ
- 圧縮・暗号化:不可
- 互換性:Windows・Mac・Linuxで使いやすい
- 大容量ファイル:対応
どちらを選ぶ?
- WindowsとMacの両方で使う → exFAT
- Windowsのシステムディスクやセキュリティ重視 → NTFS
NTFS vs APFS/HFS+(Mac)
Macで使われるファイルシステムとの比較です。
NTFS:
- Windows標準
- Macで読み取りは可能、書き込みは制限あり
APFS/HFS+:
- Mac標準
- Windowsでは専用ソフトがないと読めない
WindowsとMacでデータ共有するには?
- exFATを使う(両方で読み書き可能)
- 専用ソフトをインストールする
- クラウドストレージを使う
NTFSのメリット
NTFSを使う利点をまとめます。
1. 大容量データの取り扱い
4GB以上の大きなファイルを保存できます。
具体例:
- 高画質の動画ファイル(5GB、10GBなど)
- ディスクイメージファイル(ISOファイル)
- 大規模なデータベース
- 高解像度の写真コレクション
FAT32では保存できないファイルも、NTFSなら問題ありません。
2. 高い信頼性
ジャーナリング機能により、データ破損のリスクが低いです。
安心できるポイント:
- 突然の電源断でもファイルシステムが壊れにくい
- エラーからの復旧が早い
- 長期間使用しても安定している
重要なデータを保存するのに適しています。
3. 充実したセキュリティ
アクセス権限や暗号化で、データを保護できます。
セキュリティ面の強み:
- ユーザーごとにアクセス制御
- ファイル単位での暗号化
- 監査ログの記録
企業や組織での使用に向いています。
4. Windows環境での最適化
Windows専用に最適化されているため、高速で安定しています。
Windowsとの相性:
- OSが直接サポート
- 特別なドライバー不要
- トラブル時の修復ツールが充実
Windowsを使うなら、最も信頼できる選択肢です。
NTFSのデメリット

良い点ばかりではありません。注意点もあります。
1. 他のOSでの互換性が低い
Windows以外では、制限があります。
互換性の問題:
Macの場合:
- 読み取りは可能
- 書き込みは標準ではできない(専用ソフトが必要)
Linuxの場合:
- 読み書き可能なものもある
- ただし完全なサポートではない
その他の機器:
- テレビ、ゲーム機、カーナビなど:対応していないことが多い
2. USBメモリでは向かない場合も
小さなUSBメモリには、少し重いかもしれません。
理由:
- 管理情報が多い
- 小容量のUSBでは領域を圧迫する
- 細かい書き込みが多いと寿命が短くなる可能性
大容量のUSBメモリや外付けハードディスクなら問題ありません。
3. 機能が多く設定が複雑
高機能な分、設定項目が多くなります。
初心者には:
- アクセス権限の設定が難しい
- エラーメッセージが分かりにくい
- トラブル時の対処が複雑
基本的な使い方なら、特に設定を変えなくても大丈夫です。
NTFSの使い方
実際にNTFSでフォーマットする方法を説明します。
ディスクをNTFSでフォーマットする
新しいディスクや、既存のディスクをNTFSに変換する手順です。
手順(Windows):
- エクスプローラーを開く
- フォーマットしたいドライブを右クリック
- 「フォーマット」を選択
- ファイルシステムで「NTFS」を選ぶ
- ボリュームラベル(ドライブ名)を入力(任意)
- 「クイックフォーマット」にチェック(通常はチェックを入れる)
- 「開始」をクリック
- 警告メッセージを確認して「OK」
注意: フォーマットすると中のデータは全て消えます。必ずバックアップを取ってください。
FAT32からNTFSへの変換
データを保持したまま、FAT32からNTFSに変換することもできます。
コマンドでの変換:
- コマンドプロンプトを管理者権限で開く
- 以下のコマンドを入力:
convert D: /fs:ntfs
(D:の部分は変換したいドライブ文字に変更)
- Enterキーを押す
- 指示に従って進める
注意点:
- データは残るが、念のためバックアップ推奨
- 変換後は元に戻せない
- ディスクエラーがないか事前にチェック
パーティションの作成
新しいハードディスクにNTFSパーティションを作る方法です。
手順:
- 「ディスクの管理」を開く
- Windowsキー + X → 「ディスクの管理」
- 未割り当て領域を右クリック
- 「新しいシンプルボリューム」を選択
- ウィザードに従って進める
- ファイルシステムで「NTFS」を選択
- 完了
これで、新しいNTFSドライブが作成されます。
NTFSの便利な機能の使い方
いくつかの実用的な機能を紹介します。
ファイルの圧縮
ディスク容量を節約する方法です。
手順:
- 圧縮したいファイルやフォルダを右クリック
- 「プロパティ」を選択
- 「詳細設定」ボタンをクリック
- 「内容を圧縮してディスク領域を節約する」にチェック
- 「OK」をクリック
圧縮されたファイルは、エクスプローラーで青い文字で表示されます。
アクセス権限の設定
特定のユーザーだけがアクセスできるようにする方法です。
手順:
- ファイルやフォルダを右クリック
- 「プロパティ」を選択
- 「セキュリティ」タブをクリック
- 「編集」ボタンをクリック
- ユーザーやグループを追加・削除
- 各ユーザーの権限を設定
- 「OK」で保存
家族で使うパソコンで、個人のファイルを保護できます。
ディスククォータの設定
ユーザーごとの使用量を制限する方法です。
手順:
- ドライブを右クリック → 「プロパティ」
- 「クォータ」タブをクリック
- 「クォータ管理を有効にする」にチェック
- 制限値を設定
- 「OK」で保存
共有パソコンで容量を管理する時に便利です。
NTFSのトラブルシューティング
よくある問題と解決方法です。
「このディスクは書き込み禁止になっています」
書き込み保護がかかっている可能性があります。
対処法:
- ディスクの物理的な書き込み保護スイッチを確認
- レジストリで書き込み保護設定を確認
- ディスクのプロパティでセキュリティ設定を確認
「アクセスが拒否されました」
アクセス権限がない可能性があります。
対処法:
- 管理者権限で実行
- セキュリティタブで自分のアカウントに権限を追加
- ファイルの所有者を変更
ディスクエラーが出る
ファイルシステムが破損しているかもしれません。
修復方法:
- エクスプローラーでドライブを右クリック
- 「プロパティ」→「ツール」タブ
- 「チェック」ボタンをクリック
- エラーをスキャンして修復
または:
- コマンドプロンプトで
chkdsk D: /f(D:は対象ドライブ)
よくある質問
Q1:NTFSとNTFSv3の違いは?
Windows 2000以降で使われているのがNTFSv3です。
現在のWindowsでは、特に意識する必要はありません。すべて最新版のNTFSが使われています。
Q2:NTFSをFAT32に戻せる?
フォーマットし直せば可能ですが、データは全て消えます。
手順:
- データをバックアップ
- フォーマット時にFAT32を選択
- データを戻す
ただし、32GB以上のドライブはWindowsの標準機能ではFAT32にできません。
Q3:MacでNTFSに書き込むには?
サードパーティ製のソフトが必要です。
主なソフト:
- Paragon NTFS for Mac(有料)
- Tuxera NTFS for Mac(有料)
- NTFS-3G(無料、やや難しい)
または、exFATでフォーマットし直すのも選択肢です。
Q4:NTFSは古い?新しい規格はないの?
NTFSは古いですが、まだ現役です。
Microsoftは「ReFS」という新しいファイルシステムも開発していますが、一般ユーザー向けではありません。
NTFSは今後もWindowsの標準として使われ続けます。
Q5:SSDでもNTFSを使える?
はい、問題なく使えます。
むしろ、SSDでもNTFSが標準です。Windows 7以降は、SSD用の最適化機能(TRIMコマンド)も自動的に働きます。
まとめ
NTFSは、Windowsで使う標準的なファイルシステムです。
この記事のポイント:
- 大容量ファイルとディスクに対応
- セキュリティ機能が充実(アクセス権限、暗号化)
- 高い信頼性(ジャーナリング機能)
- Windows環境で最適なパフォーマンス
- Mac・Linuxでの互換性は限定的
使い分けの目安:
- Windowsのシステムドライブ、大容量データ → NTFS
- WindowsとMacで共有 → exFAT
- 古い機器との互換性重視 → FAT32
基本的に、Windowsパソコンのハードディスクやメインの外付けドライブはNTFSでフォーマットしておけば間違いありません。
他のOSや機器との互換性が必要な時だけ、exFATやFAT32を検討しましょう。
自分の使い方に合ったファイルシステムを選んで、快適なパソコンライフを送ってくださいね!

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