Microsoft Copilotを使っていて、「保護済み」という表示が出ない、または緑色の盾マークが表示されない経験はありませんか?
実は、この「保護済み」表示は、あなたのデータが安全に保護されていることを示す重要なサインです。
表示されない場合、入力した内容がAIの学習に使われたり、データが適切に保護されていない可能性があります。
この記事では、Copilotで「保護済み」が表示されない原因と、その解決方法を詳しく解説します。
ビジネスや学業で安心してCopilotを使えるよう、正しい設定方法を身につけましょう。
「保護済み」表示とは何か
保護済み表示の見た目
Copilotで適切にデータ保護が有効になっている場合、以下のような表示が現れます:
1. 緑色の盾マーク
- 画面の右上に緑色の盾のアイコンが表示される
- アイコンをクリックすると「商用データ保護」または「エンタープライズデータ保護」の説明が表示される
2. 「保護済み」のテキスト
- 画面上部に「保護済み」という文字が表示される
- この表示があれば、データが保護されている証拠です
3. チャット欄の説明文
- プロンプト入力欄の上に「このチャットでは、個人と会社のデータが保護されています」というメッセージが表示される
保護済み表示の意味
この表示がある場合、以下のことが保証されています:
- 入力データが保存されない: あなたが入力したプロンプトは、Microsoftのサーバーに保存されません
- AIの学習に使われない: あなたの会話内容は、AIモデルのトレーニングに使用されません
- 暗号化される: データは転送中も保存中も暗号化されます
- アクセス制御が適用される: 組織のデータアクセスポリシーが適用されます
- 監査とeDiscoveryが可能: 企業の管理者は、必要に応じて会話ログを監査できます
表示されない場合のリスク
「保護済み」が表示されない場合、以下のリスクがあります:
- 入力した内容がMicrosoftや他の組織に見られる可能性
- AIモデルの学習データとして使用される可能性
- 企業の機密情報が漏洩する可能性
- コンプライアンス違反のリスク
重要: ビジネスや学業で使う場合、必ず「保護済み」表示を確認してから使用してください。
保護済みが表示されない主な原因
「保護済み」が表示されない原因は、主に以下の6つです。
原因1: 個人用Microsoftアカウントでサインインしている
最も多い原因がこれです。
個人用Microsoftアカウント(outlook.com、hotmail.com、gmail.comなど)でサインインしている場合、「保護済み」は表示されません。
「保護済み」表示は、組織アカウント(Entra IDアカウント、旧Azure ADアカウント)でサインインした場合にのみ表示されます。
原因2: サインインしていない
そもそもCopilotにサインインしていない場合も、「保護済み」は表示されません。
サインインなしでCopilotを使うと、個人向けの無料版Copilotを使っていることになり、データ保護は適用されません。
原因3: 対応していないライセンス
組織アカウントでサインインしていても、ライセンスが対応していない場合があります。
必要なライセンス:
- Microsoft 365 Business Basic
- Microsoft 365 Business Standard
- Microsoft 365 Business Premium
- Microsoft 365 E3、E5
- Microsoft 365 A3、A5(教育機関向け)
- Microsoft 365 F1、F3
これらのいずれかのライセンスが必要です。
原因4: ブラウザのキャッシュやCookieの問題
ブラウザに古いキャッシュやCookieが残っていると、サインイン状態が正しく反映されないことがあります。
原因5: 複数のアカウントを使用している
個人用アカウントと組織アカウントの両方でMicrosoft 365にサインインしている場合、どちらのアカウントが使われているか混乱することがあります。
原因6: リージョン設定の問題
一部の国や地域では、Copilotのエンタープライズデータ保護機能がまだ利用できない場合があります。
確認すべきポイント
「保護済み」が表示されない場合、まず以下のポイントを確認しましょう。
チェックポイント1: サインイン状態を確認
確認方法:
- Copilotの画面右上を見る
- アカウントのアイコンやイニシャルが表示されているか確認
- 表示されていれば、クリックしてアカウント情報を確認
正しいアカウントかどうかの見分け方:
- 組織アカウント: メールアドレスが会社や学校のドメイン(例: taro@yourcompany.com)
- 個人用アカウント: @outlook.com、@hotmail.com、@gmail.comなどのドメイン
チェックポイント2: 使用しているCopilotの種類を確認
Microsoftは複数の「Copilot」を提供しており、それぞれデータ保護の扱いが異なります。
1. Microsoft Copilot(個人向け)
- URL: copilot.microsoft.com(サインインなし)
- 無料で誰でも使える
- データ保護なし
- 「保護済み」表示なし
2. Microsoft Copilot(商用データ保護付き)
- URL: copilot.microsoft.com(組織アカウントでサインイン)
- Microsoft 365ライセンスが必要
- 基本的なデータ保護あり
- 「保護済み」表示あり
3. Microsoft 365 Copilot Chat(エンタープライズデータ保護)
- Microsoft 365アプリ内からアクセス
- Microsoft 365ライセンスが必要
- 高度なデータ保護あり
- 「保護済み」表示あり(または「Microsoft 365用」と表示)
4. Microsoft 365 Copilot(有料版)
- 月額30ドルの追加ライセンスが必要
- 社内データにアクセス可能
- 最高レベルのデータ保護
- 「保護済み」表示は省略される場合あり(Microsoft 365内で使用するため)
チェックポイント3: ライセンスを確認
組織のIT管理者に確認するか、以下の方法で自分のライセンスを確認できます:
確認方法:
- Microsoft 365ポータルにアクセス
- 右上のアカウントアイコンをクリック
- 「アカウントを表示」を選択
- 「サブスクリプション」タブで保有しているライセンスを確認
「Commercial data protection for Microsoft Copilot」というサービスプランが表示されていれば、データ保護が有効です。
解決方法 – ステップバイステップ
「保護済み」を表示させるための手順を、ステップごとに説明します。
ステップ1: 完全にサインアウトする
まず、現在のアカウントから完全にサインアウトしましょう。
手順:
- Copilotの画面右上のアカウントアイコンをクリック
- 「サインアウト」を選択
- ブラウザをすべて閉じる
ステップ2: ブラウザのキャッシュとCookieをクリアする
古いデータをクリアして、新しくスタートしましょう。
Microsoft Edgeの場合:
- Ctrl + Shift + Deleteキーを押す
- 「時間の範囲」ですべての期間を選択
- 以下の項目にチェックを入れる:
- Cookieおよびその他のサイトデータ
- キャッシュされた画像とファイル
- 「今すぐクリア」をクリック
Google Chromeの場合:
- Ctrl + Shift + Deleteキーを押す
- 「期間」で全期間を選択
- 以下の項目にチェックを入れる:
- Cookieと他のサイトデータ
- キャッシュされた画像とファイル
- 「データを削除」をクリック
ステップ3: 組織アカウントでサインインする
正しいアカウントでサインインしましょう。
手順:
- copilot.microsoft.comにアクセス
- 右上の「サインイン」ボタンをクリック
- 組織のメールアドレスを入力(例: taro@yourcompany.com)
- 組織のサインインページにリダイレクトされる
- パスワードを入力してサインイン
- 多要素認証が必要な場合は、指示に従って認証
重要: 必ず会社や学校から提供されたメールアドレスを使用してください。個人用のアドレス(@outlook.com、@gmail.comなど)では保護されません。
ステップ4: 保護済み表示を確認する
サインイン後、以下を確認してください:
- 画面右上に緑色の盾マークがあるか
- 「保護済み」というテキストが表示されているか
- プロンプト入力欄の上に「このチャットでは、個人と会社のデータが保護されています」と表示されているか
これらが表示されていれば成功です!
ステップ5: 表示されない場合の追加対策
まだ「保護済み」が表示されない場合は、以下を試してください。
対策1: ページを更新する
ブラウザの更新ボタン(F5キー)を押して、ページを再読み込みしてください。
対策2: 別のブラウザで試す
Microsoft Edgeを使っていない場合は、Edgeで試してみてください。Copilotは本来Edgeで最適化されています。
対策3: プライベートモード/シークレットモードで試す
ブラウザのプライベートモード(Edgeの場合はInPrivateウィンドウ)で開き、組織アカウントでサインインしてみてください。
対策4: IT管理者に確認する
それでも表示されない場合は、組織のIT管理者に以下を確認してください:
- Microsoft 365のライセンスが正しく割り当てられているか
- Copilotの機能が組織で有効化されているか
- ネットワークのファイアウォール設定で問題がないか
各環境での確認方法
使用している環境によって、確認方法が少し異なります。
Web版Copilot(copilot.microsoft.com)
確認箇所:
- 右上: 緑色の盾マーク + 「保護済み」の文字
- プロンプト入力欄の上: 保護メッセージ
- 盾マークをクリック: 「商用データ保護」または「エンタープライズデータ保護」の詳細
期待される表示:
「商用データ保護 このチャットに適用されます。個人データと組織データを共有する場合は慎重に行ってください。」
Microsoft Edgeのサイドバー
確認箇所:
- サイドバーを開いたときの上部
- チャット入力欄の上
注意: Edgeのサイドバーから開くCopilotも、組織アカウントでサインインすれば「保護済み」が表示されます。
Microsoft 365アプリ内(Word、Excel、PowerPointなど)
確認箇所:
Microsoft 365アプリ内でCopilotを使う場合、通常「保護済み」の表示は省略されます。
これは、Microsoft 365環境内で使用しているため、当然データが保護されているからです。
代わりに、以下のような表示があります:
- 「Microsoft 365用」という説明
- 「仕事向けCopilot」というラベル
Windows 11のCopilotアプリ
確認箇所:
- アプリの上部
- チャット入力欄の付近
注意: Windows 11の統合Copilotは、Microsoft 365アカウントでサインインすると自動的にデータ保護が適用されます。
モバイルアプリ(iOS/Android)
確認箇所:
- アプリの上部
- 設定画面でアカウント情報を確認
手順:
- Copilotモバイルアプリを開く
- 右上のプロフィールアイコンをタップ
- サインインしているアカウントを確認
- 組織アカウントでサインインしていることを確認
よくある誤解と注意点
「保護済み」表示について、よくある誤解を解消します。
誤解1: Microsoft 365を持っていれば自動的に保護される
答え: No
Microsoft 365のライセンスを持っていても、個人用アカウントでサインインしていたら保護されません。
必ず組織アカウント(会社や学校のメールアドレス)でサインインする必要があります。
誤解2: Edgeを使えば自動的に保護される
答え: No
Microsoft Edgeブラウザを使っているだけでは保護されません。
組織アカウントで明示的にサインインする必要があります。
誤解3: 「保護済み」が表示されなくても問題ない
答え: 問題あり
業務や学業で機密情報を扱う場合、「保護済み」表示がない状態で使用するのは非常に危険です。
データがAIの学習に使われたり、第三者に見られる可能性があります。
誤解4: Microsoft 365 Copilot(有料版)なら「保護済み」が必ず表示される
答え: 部分的にNo
Microsoft 365 Copilot(月額30ドルの有料版)を使用している場合、Microsoft 365アプリ内では「保護済み」の表示が省略されることがあります。
これは、環境自体が既に保護されているためで、保護されていないわけではありません。
誤解5: 一度サインインすれば、ずっと保護される
答え: No
ブラウザのキャッシュをクリアしたり、別のデバイスで使用したりする場合は、毎回サインインし直す必要があります。
使用前に必ず「保護済み」表示を確認する習慣をつけましょう。
エンタープライズデータ保護とは
「保護済み」表示の背景にある、エンタープライズデータ保護(EDP)について詳しく説明します。
商用データ保護(CDP)とエンタープライズデータ保護(EDP)の違い
以前は、2種類のデータ保護がありました:
商用データ保護(Commercial Data Protection – CDP)
- 基本的なデータ保護
- プロンプトと応答が保存されない
- AIのトレーニングに使用されない
- 暗号化される
エンタープライズデータ保護(Enterprise Data Protection – EDP)
- 商用データ保護のすべて + 追加機能
- 監査ログの記録
- eDiscovery対応(法的調査での検索・保全)
- データ保持ポリシーの適用
- Microsoft Purview統合(コンプライアンス管理)
- アクセス制御の継承
- 感度ラベルの適用
2024年9月以降の変更:
2024年9月から、Microsoft Entra IDアカウント(組織アカウント)でサインインしたユーザーには、自動的にエンタープライズデータ保護(EDP)が適用されるようになりました。
つまり、現在は商用データ保護とエンタープライズデータ保護の区別はほぼなくなり、組織アカウントでサインインすればすべてEDPが適用されるようになっています。
エンタープライズデータ保護の具体的なメリット
1. データの暗号化
- 転送中と保存中の両方でデータが暗号化される
- 第三者による傍受や盗聴から保護される
2. テナント間のデータ分離
- あなたの組織のデータは、他の組織のデータと完全に分離される
- データの混在や漏洩のリスクがない
3. GDPR、ISO 27018準拠
- 欧州のGDPR(一般データ保護規則)に準拠
- ISO 27018認証を取得したプラットフォーム上で動作
4. アクセス制御の継承
- Microsoft 365内のアクセス権限がCopilotにも適用される
- ユーザーは自分がアクセス権を持つデータのみ参照できる
5. 監査とコンプライアンス
- すべてのCopilot操作が監査ログに記録される
- コンプライアンス担当者がログを確認できる
- 法的調査(eDiscovery)にも対応
6. AIセキュリティリスクからの保護
- 有害コンテンツのブロック
- プロンプトインジェクション攻撃(脱獄攻撃)の防止
- 著作権で保護された素材の検出
トラブルシューティング
それでも「保護済み」が表示されない場合の、詳細なトラブルシューティング方法を紹介します。
トラブル1: 「保護済み」が一時的に表示されてすぐ消える
原因: ブラウザの拡張機能やセキュリティソフトが干渉している可能性
解決方法:
- ブラウザの拡張機能をすべて無効にする
- セキュリティソフトを一時的に無効にする
- Copilotにアクセスして確認
- 問題が解決したら、拡張機能を1つずつ有効にして原因を特定
トラブル2: 組織アカウントでサインインできない
原因: 組織のIT管理者がCopilotへのアクセスをブロックしている可能性
解決方法:
IT管理者に以下を確認してください:
- Copilotへのアクセスが許可されているか
- ネットワークのファイアウォール設定でCopilotがブロックされていないか
- Microsoft 365の管理センターで、Copilotが有効化されているか
トラブル3: 「このアカウントは対象外です」というメッセージが表示される
原因: ライセンスが対応していない、またはCopilotがあなたの地域で利用できない
解決方法:
- IT管理者にライセンスを確認してもらう
- 組織がCopilotのライセンスを購入しているか確認
- あなたのアカウントにライセンスが割り当てられているか確認
トラブル4: 複数のアカウントが混在している
原因: 個人用アカウントと組織アカウントの両方でサインインしている
解決方法:
- すべてのMicrosoftサービスからサインアウトする
- ブラウザのキャッシュとCookieをクリアする
- ブラウザを再起動する
- 組織アカウントのみでサインインする
トラブル5: VPNやプロキシを使用している
原因: VPNやプロキシ経由の接続が原因で、認証がうまくいかない
解決方法:
- VPNを一時的に切断する
- Copilotにアクセスして「保護済み」が表示されるか確認
- VPNが原因の場合、IT管理者に相談してVPN設定を調整してもらう
トラブル6: 古いブラウザを使用している
原因: 古いバージョンのブラウザでは、Copilotの一部機能が正常に動作しない
解決方法:
- ブラウザを最新バージョンに更新する
- Microsoft Edge: Edgeメニュー → ヘルプとフィードバック → Microsoft Edgeについて
- Chrome: Chromeメニュー → ヘルプ → Google Chromeについて
- 更新後、ブラウザを再起動
- 再度Copilotにアクセス
まとめ
Copilotで「保護済み」が表示されない問題について、原因と解決方法を詳しく解説しました。
重要ポイントのおさらい:
「保護済み」表示の意味:
- データが暗号化され、保護されている証
- AIの学習に使われない
- 組織のコンプライアンスに準拠
表示されない主な原因:
- 個人用アカウントでサインインしている
- サインインしていない
- 対応していないライセンス
- ブラウザのキャッシュ問題
- 複数アカウントの混在
- リージョン設定の問題
基本的な解決手順:
- 完全にサインアウトする
- ブラウザのキャッシュとCookieをクリアする
- 組織アカウントでサインインする
- 「保護済み」表示を確認する
確認すべき箇所:
- 右上の緑色の盾マーク
- 「保護済み」のテキスト
- プロンプト入力欄の保護メッセージ
エンタープライズデータ保護(EDP):
- 2024年9月以降、組織アカウントで自動適用
- 暗号化、監査、コンプライアンス対応
- GDPR、ISO 27018準拠
重要な注意点:
- 必ず組織アカウントを使用: 個人用アカウント(@outlook.com、@gmail.comなど)では保護されません
- 使用前に毎回確認: デバイスやブラウザを変えるたびに、「保護済み」表示を確認する習慣をつけましょう
- 機密情報は保護された状態でのみ使用: ビジネスや学業で機密情報を扱う場合、「保護済み」表示がない状態では絶対に使用しないでください
- IT管理者に相談: それでも解決しない場合は、組織のIT管理者に相談しましょう
最後に:
Microsoft Copilotは非常に便利なツールですが、データ保護が適切に設定されていないと、情報漏洩のリスクがあります。
「保護済み」表示を必ず確認してから使用することで、安心してCopilotを活用できます。
この記事を参考にして、正しい設定で安全にCopilotを使いこなしてください!

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