毎日の仕事で、Google DriveやDropbox、OneDriveなどのクラウドストレージを使っているけれど、こんな経験はありませんか?
「いちいちブラウザを開いてファイルをアップロード・ダウンロードするのが面倒」
「ローカルのフォルダみたいに直接ファイルを開けたらいいのに」
そんなときに便利なのが、クラウドストレージをローカルPCにマウントして、普通のドライブやフォルダのように使う方法です。
この方法を覚えると、クラウド上のファイルを自分のパソコンにあるファイルと同じように扱えるようになります。
ExcelやPhotoshopで直接開いて編集したり、右クリックでコピーしたりできるので、作業効率が格段にアップします。
この記事では、クラウドストレージの「マウント」について、初心者の方でもわかるように丁寧に解説します。
主要なクラウドサービスの設定方法から、便利なツールの紹介まで、すぐに実践できる情報をお届けします。
クラウドストレージを「マウント」するってどういう意味?

マウントの基本的な仕組み
マウントとは、クラウド上にあるデータを、あたかも自分のパソコンの中にあるフォルダやドライブのように扱えるようにすることです。
たとえば、こんなイメージです:
- エクスプローラーで「G:」ドライブにGoogle Driveを割り当てる
- Macのファインダーに「Dropbox」フォルダが表示される
- LinuxのディレクトリにOneDriveを接続する
通常、クラウドストレージのファイルを使うときは、ブラウザでサイトにアクセスして、ファイルをダウンロードしてから開く必要があります。
しかし、マウントすると、自分のパソコンにあるファイルと同じようにダブルクリックで開いたり、ドラッグ&ドロップで移動したりできるようになります。
マウントと同期の違い
多くの人が混同しやすいのが「マウント」と「同期」の違いです。
同期の場合:
- ファイルを実際にパソコンにダウンロードして保存
- インターネットがなくても使える
- パソコンの容量を使う
マウントの場合:
- ファイルは基本的にクラウド上に保存
- 必要なときだけデータを取得
- パソコンの容量をあまり使わない
どちらにもメリット・デメリットがあるので、使い方に応じて選ぶことが大切です。
マウントの主なメリット
クラウドストレージをマウントすると、こんな便利なことができるようになります:
操作が簡単になる ローカルファイルと同じ感覚で、右クリックメニューやドラッグ&ドロップが使えます。
アプリから直接開ける ExcelやPhotoshop、動画編集ソフトなどから直接クラウド上のファイルを開いて編集できます。
容量を節約できる ファイルの実体はクラウドにあるため、パソコンの容量をあまり消費しません。
自動同期される 編集したファイルは自動的にクラウドに保存されるため、他のデバイスからもすぐにアクセスできます。
主要クラウドストレージのマウント方法

Google Drive
Windows・Mac での設定方法
Google Driveの場合、公式の「Google Drive for Desktop」を使うのが一番簡単で安全です。
手順:
- Googleの公式サイトから「Google Drive for Desktop」をダウンロード
- インストールして、Googleアカウントでログイン
- 設定で「ストリーミング」を選択
- エクスプローラー(Windows)やファインダー(Mac)に「Google Drive」が表示される
インストールが完了すると、Windowsなら「G:」や「H:」ドライブとして、Macなら「Google Drive」フォルダとして表示されます。この中のファイルは、ダブルクリックで直接開けるようになります。
ストリーミングとミラーリングの選択:
- ストリーミング:必要なときだけファイルをダウンロード(容量節約)
- ミラーリング:すべてのファイルをローカルに保存(オフラインでも使用可能)
用途に合わせて選択しましょう。
Linux での設定方法
Linuxには公式ツールがないため、サードパーティのツールを使います。
最も人気があるのは「rclone」です。
rcloneのインストールと設定:
# rcloneのインストール
sudo apt install rclone
# Google Driveの設定
rclone config
# マウント
mkdir ~/GoogleDrive
rclone mount googledrive: ~/GoogleDrive --daemon
設定には少し技術的な知識が必要ですが、一度設定すれば非常に便利に使えます。
Dropbox
Dropboxは他のサービスと少し仕組みが異なります。標準的な方法では、ファイルをローカルにダウンロードして同期する形になります。
基本的な設定
手順:
- Dropboxアプリをダウンロード・インストール
- アカウントでログイン
- 自動的にホームフォルダに「Dropbox」フォルダが作成される
Windowsなら「C:\Users\ユーザー名\Dropbox」に、Macなら「/Users/ユーザー名/Dropbox」にフォルダができます。
Smart Sync(スマートシンク)機能
Dropbox Plusプラン以上では、「Smart Sync」という機能が使えます。これを使うと:
- ファイルをクラウドにだけ保存
- 必要なときだけダウンロード
- ローカル容量を大幅に節約
設定方法:
- Dropboxフォルダ内のファイルを右クリック
- 「Smart Syncで管理」を選択
- 「オンラインのみ」を選択
この設定により、ファイルは見た目上フォルダに存在しますが、実際のデータはクラウドに保存されます。
OneDrive
Windows での設定
Windows 10/11なら、OneDriveは最初から組み込まれています。
設定手順:
- Microsoftアカウントでサインイン
- 自動的に「C:\Users\ユーザー名\OneDrive」が作成される
- 「オンラインのみ」設定で容量を節約可能
オンデマンド同期の活用: OneDriveには「ファイル オンデマンド」という機能があり、これを使うとファイルをクラウドに保存したまま、ローカルファイルのように扱えます。
Mac・Linux での設定
Mac版のOneDriveアプリも同様の機能を提供しています。Linux版は公式にはサポートされていませんが、rcloneを使って接続できます。
より多機能にしたいなら?便利なツール紹介

rclone(全プラットフォーム対応)
rcloneは、コマンドラインで様々なクラウドストレージを操作できる万能ツールです。
特徴:
- Google Drive、Dropbox、OneDrive、Amazon S3など70以上のサービスに対応
- Windows、Mac、Linux全てで使用可能
- 無料で高機能
基本的な使い方:
# 設定
rclone config
# ファイル一覧表示
rclone ls remote:
# マウント
rclone mount remote: /path/to/mount/point
コマンドラインに慣れている人には最強のツールです。
RaiDrive(Windows専用)
Windowsユーザーにおすすめの、GUI操作でクラウドストレージをネットワークドライブとして使えるツールです。
特徴:
- 直感的なGUI操作
- 無料版でも十分な機能
- Google Drive、Dropbox、OneDriveに対応
- ドライブ文字(F: G:など)として表示
使い方:
- RaiDriveをダウンロード・インストール
- 「追加」ボタンでクラウドサービスを選択
- アカウント認証を完了
- ドライブ文字を指定して接続
設定が完了すると、エクスプローラーに新しいドライブとして表示されます。
Mountain Duck(Windows・Mac)
より高度な機能を求める人向けの有料ツールです。
特徴:
- FTP、SFTP、WebDAVなど多数のプロトコルに対応
- 各種クラウドストレージにも対応
- 高度なキャッシュ機能
- プロフェッショナル仕様
料金:
- 個人ライセンス:約40ドル
- ビジネスライセンス:約80ドル
コストはかかりますが、業務で頻繁にクラウドストレージを使う場合は投資する価値があります。
マウント使用時に注意したいポイント

ファイル削除の注意点
マウントしたクラウドストレージで最も注意すべきなのが、ファイルの削除です。
重要な注意事項:
- ローカルでファイルを削除すると、クラウド側からも削除される
- 通常のゴミ箱に入らない場合がある
- 間違って削除すると復元が困難
対策方法:
- 重要なファイルは事前にバックアップを取る
- クラウドサービスのゴミ箱機能を確認しておく
- 削除前に一度確認する習慣をつける
ネット接続への依存
ストリーミング方式でマウントしている場合、インターネット接続が必須です。
よくある問題:
- Wi-Fiが不安定だとファイルが開けない
- 外出先でネットがないと作業できない
- 大きなファイルの読み込みに時間がかかる
解決策:
- 重要なファイルは事前にオフライン用にダウンロード
- 複数のネット接続手段を確保(スマホのテザリング等)
- 小さなファイルから優先的に同期設定
セキュリティ面での配慮
クラウドストレージを便利に使うために、セキュリティ面でも注意が必要です。
確認すべきポイント:
- 二段階認証の設定
- アクセス権限の管理
- 共有設定の確認
- ログイン履歴のチェック
特に、会社の機密ファイルを扱う場合は、IT部門のガイドラインに従って設定しましょう。
まとめ
クラウドストレージをマウントすることで、以下のような大きなメリットが得られます:
効率面での改善:
- ローカルファイルと同じ感覚で操作可能
- アプリから直接編集できるため作業がスムーズ
- ファイル管理が統一されて混乱が減る
設定の簡単さ:
- WindowsやMacは公式アプリで簡単設定
- 一度設定すれば、その後は意識せずに使える
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