映画やアニメ、ゲームで「ミカエル」「ガブリエル」「ルシファー」という名前を見かけたことはありませんか?
これらはすべて、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教に登場する天使(または堕天使)たちの名前です。
天使といえば、白い羽に光輪を持った美しい姿を思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし実は、聖書に「天使に翼がある」とは明記されていないんです。
翼を持つ天使のイメージは、中世以降の芸術作品から広まったものなんですね。
「名前は聞いたことあるけど、どんな存在なの?」「天使にも階級があるって本当?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、天使の9つの階級から四大天使・七大天使、そして堕天使まで、網羅的かつ分かりやすく解説します。
天使とは?基本を知ろう

天使の語源と意味
天使(Angel)という言葉は、ギリシャ語の「アンゲロス」に由来しています。
その意味は 「使者」「伝令」 です。
つまり天使とは、神と人間の間を取り持つメッセンジャー的な存在なんですね。
天使の基本的な特徴
天使には、以下のような特徴があるとされています。
- 霊的な存在 で肉体を持たない
- 性別がない(ただし芸術作品では男性的・女性的に描かれることも)
- 神の意志を人間に伝える 使者としての役割
- 人間を守り導く 守護者としての役割
天使の名前の法則
天使の名前には面白い法則があります。
多くの天使の名前の末尾には 「〜エル(-el)」 がついているんです。
この「エル」はヘブライ語で 「神」 を意味する言葉。
つまり天使の名前は「神に関する何か」を表しているんですね。
| 天使名 | 名前の意味 |
|---|---|
| ミカエル | 「神に似た者」 |
| ガブリエル | 「神の力」「神の人」 |
| ラファエル | 「神は癒す」 |
| ウリエル | 「神の光」「神の炎」 |
天使の9つの階級──天上位階論
階級体系の成り立ち
天使の階級は、5〜6世紀頃のキリスト教神学者 偽ディオニュシウス・アレオパギテス が著した『天上位階論』に基づいています。
この体系では、天使は 9つの階級 に分かれ、さらに 3つのグループ(位階) に整理されているとされます。
この考え方は中世の神学者トマス・アクィナスにも受け継がれ、現在でも天使を理解する基本的な枠組みとなっています。
階級の全体像
| 位階 | 階級 | 神との距離 |
|---|---|---|
| 上位三隊 | 熾天使・智天使・座天使 | 神に最も近い |
| 中位三隊 | 主天使・力天使・能天使 | 宇宙の秩序を管理 |
| 下位三隊 | 権天使・大天使・天使 | 人間に最も近い |
上位三隊──神に最も近い天使たち
上位三隊は、神の御前に直接仕え、他の階級よりも媒介なしに神と結びついている存在です。
第1位:熾天使(セラフィム)
基本情報
- 英名:Seraphim(セラフィム)
- 意味:ヘブライ語で「燃えるもの」「蛇」
- 出典:旧約聖書『イザヤ書』
特徴と役割
熾天使は天使の最高位に位置する存在です。
「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな」と永遠に神を讃美し続けています。
その姿は 6枚の翼 を持ち、2枚で顔を覆い、2枚で足を覆い、残り2枚で飛ぶとされています。
神の愛と光を最も純粋に体現する存在なんですね。
有名なエピソード
旧約聖書のイザヤ書では、預言者イザヤが神殿で神の幻を見たとき、熾天使が現れて燃える炭で彼の唇を清めたという記述があります。
第2位:智天使(ケルビム)
基本情報
- 英名:Cherubim(ケルビム)
- 意味:「知識」「祝福する者」
- 出典:旧約聖書『創世記』『エゼキエル書』
特徴と役割
智天使は神の知恵と栄光を象徴する存在です。
現代では「ぽっちゃりした赤ちゃん天使」のイメージがありますが、聖書の描写は全く異なります。
エゼキエル書によると、智天使は 4つの顔(人間・獅子・牛・鷲)と 4枚の翼 を持ち、翼は無数の目で覆われているとされています。
有名なエピソード
アダムとエバが楽園を追放された後、エデンの園の入り口を守ったのが智天使です。
燃える剣を持ち、生命の木への道を守護していました。
第3位:座天使(ソロネ/オファニム)
基本情報
- 英名:Thrones(スローンズ)、Ophanim(オファニム)
- 意味:「車輪」「玉座」
- 出典:『エゼキエル書』
特徴と役割
座天使は神の正義と権威を象徴する存在です。
その姿は最も奇妙で、回転する車輪 のような形をしており、車輪の縁には無数の目がついているとされています。
神の玉座を支え、神が座す存在として描かれることからこの名前がつきました。
下位の天使が神にアクセスする際の仲介役も担っています。
中位三隊──宇宙の秩序を司る天使たち
中位三隊は、上位三隊を通じて神の意志を受け取り、宇宙の秩序を維持する役割を担っています。
第4位:主天使(ドミニオンズ)
基本情報
- 英名:Dominions(ドミニオンズ)
- 意味:「支配」「統治」
- 出典:新約聖書『コロサイ書』『エフェソス書』
特徴と役割
主天使は天使たちのリーダー的存在です。
下位の天使たちの仕事を監督し、神の命令を伝達する役割を持っています。
人間界に直接現れることはほとんどなく、天上で秩序の維持に専念しているとされています。
笏(しゃく)や宝珠を持った姿で描かれることが多いです。
主天使長:ザドキエル(神の正義を象徴)
第5位:力天使(ヴァーチューズ)
基本情報
- 英名:Virtues(ヴァーチューズ)
- 意味:「力」「美徳」「高潔」
- 出典:新約聖書『エフェソス書』
特徴と役割
力天使は 奇跡を司る天使 です。
英雄に勇気を授け、人間が困難に立ち向かう力を与えるとされています。
また、自然界の法則を管理し、天体の運行を監督する役割も持っています。
キリストが天に召される前に付き添ったのも力天使たちだといわれているんですね。
力天使長:ハニエル、ラファエル、ミカエル(兼任説あり)
第6位:能天使(パワーズ)
基本情報
- 英名:Powers(パワーズ)
- 意味:「権力」「力」
- 出典:新約聖書『コロサイ書』『エフェソス書』
特徴と役割
能天使は 戦士としての天使 です。
悪魔や堕天使と戦い、宇宙の秩序を守護しています。
また、人間の魂を誘惑から守り、悪霊を追い払う役割も担っています。
剣や鎖を持った姿で描かれることが多いです。
天界と地獄の境界を守る「境界の守護者」としても知られています。
下位三隊──人間に最も近い天使たち
下位三隊は、人間世界と直接関わり、神の意志を人間に伝える役割を担っています。
第7位:権天使(プリンシパリティーズ)
基本情報
- 英名:Principalities(プリンシパリティーズ)
- 意味:「君主」「支配権」
- 出典:新約聖書『コロサイ書』『エフェソス書』
特徴と役割
権天使は 国家や都市、組織の守護者 です。
地上の王国や民族、教会などを監督し、指導者たちに正しい判断を促す役割を持っています。
下位の天使たちを指揮し、彼らの任務を調整する役割も担っているんですね。
第8位:大天使(アークエンジェルズ)
基本情報
- 英名:Archangels(アークエンジェルズ)
- 意味:「天使の長」「卓越した使者」
- 出典:新約聖書『ユダの手紙』『テサロニケ書』
特徴と役割
大天使は階級としては8番目ですが、天使の中で 最も知名度が高い存在 です。
神の重要なメッセージを人間に伝える役割を担っています。
ミカエル、ガブリエル、ラファエルなど、聖書に名前が登場する有名な天使の多くがこの階級に属しています。
人間の姿で地上に現れることも多く、私たちに最も親しみやすい天使といえるでしょう。
第9位:天使(エンジェルズ)
基本情報
- 英名:Angels(エンジェルズ)
- 意味:「使者」
- 出典:聖書全般
特徴と役割
最下位の天使は、私たちが一般的に「天使」と呼ぶ存在です。
人間に最も近く、個人を守護する 守護天使 もこの階級に含まれます。
神のメッセージを人間に届け、祈りを神に伝え、日常生活の中で人間を見守っているとされています。
一人一人に守護天使がついているという考え方は、この階級の天使に基づいているんですね。
四大天使──最も重要な4体の天使
四大天使は、大天使の中でも特に重要とされる4体の天使です。
四大元素(火・水・風・地)とも関連づけられています。
ミカエル(Michael)──天使軍団の長
基本情報
- 名前の意味:「神に似た者」
- 司る分野:戦い、正義、守護
- 象徴:剣、天秤、青い炎
- 対応元素:火
- 祝日:9月29日(聖ミカエルの日)
特徴
ミカエルは 天使の中で最も偉大 とされる存在です。
天使軍団を率いる総司令官であり、悪魔と戦う戦士としての側面を持っています。
『ヨハネの黙示録』では、ミカエルが天使軍を率いてサタン(竜)と戦い、勝利を収める姿が描かれています。
最後の審判では人々の魂を天秤で量る役割も担っているとされているんですね。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教のすべてで重要視されている数少ない天使の一人です。
有名なエピソード
- サタンとの天上の戦いで勝利
- アダムとエバを楽園から追放
- モーセの遺体をめぐってサタンと争った
ガブリエル(Gabriel)──神の伝令
基本情報
- 名前の意味:「神の力」「神の人」
- 司る分野:伝令、啓示、出産
- 象徴:百合の花、ラッパ、水晶玉
- 対応元素:水
- 祝日:9月29日(三大天使の日)
特徴
ガブリエルは 神のメッセンジャー として最も有名な天使です。
神の重要なお告げを人間に伝える役割を担っています。
新約聖書では、聖母マリアにイエス・キリストの誕生を告げる「受胎告知」の場面で登場。
この場面は多くの画家によって描かれ、ガブリエルは白百合を持った姿で表現されることが多いです。
イスラム教では「ジブリール」と呼ばれ、預言者ムハンマドにコーランを伝えた天使として極めて重要な存在とされています。
有名なエピソード
- マリアへの受胎告知
- ザカリアへの洗礼者ヨハネ誕生の予告
- ダニエルへの幻視の説明
- イスラム教ではムハンマドへのコーランの伝達
ラファエル(Raphael)──癒しの天使
基本情報
- 名前の意味:「神は癒す」
- 司る分野:癒し、旅、医術
- 象徴:杖、魚、薬瓶
- 対応元素:風
- 祝日:9月29日(三大天使の日)
特徴
ラファエルは 癒しを司る天使 です。
人間や動物の健康を見守り、病を癒す力を持っているとされています。
旧約聖書外典の『トビト記』では、若者トビアの旅に同行し、様々な危険から守る姿が描かれています。
盲目だったトビアの父を癒し、悪魔に苦しめられていたサラを救ったエピソードが有名です。
医者の守護聖人としても知られ、旅人や病人の守護者として信仰されています。
有名なエピソード
- トビアの旅の守護
- トビトの盲目を癒す
- サラを苦しめていた悪魔アスモデウスを追放
ウリエル(Uriel)──知恵の天使
基本情報
- 名前の意味:「神の光」「神の炎」
- 司る分野:知恵、啓示、太陽
- 象徴:炎の剣、書物、光
- 対応元素:地
- 祝日:宗派により異なる
特徴
ウリエルは 知恵と啓示を司る天使 です。
四大天使の中では最も「影が薄い」存在ですが、神秘学やオカルティズムでは重要視されています。
正典の聖書には登場せず、外典『エノク書』などに記述があります。
そのため、カトリック教会では正式な崇敬対象から外されていた時期もありました。
しかし、エデンの園の門を守る天使、ノアに大洪水を知らせた天使として伝承されており、多くの人に親しまれています。
有名なエピソード
- エデンの門を炎の剣で守護
- ノアに大洪水の到来を警告
- 預言者エズラに黙示録的な幻を見せた
七大天使──天使界のトップセブン
七大天使は、四大天使にさらに3体の天使を加えた、最も有力な7体の天使のことです。
ただし、四大天使以外の3体については、宗派や聖典によって異なります。
七大天使の構成(一例)
| 順位 | 天使名 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 1 | ミカエル | 天使軍団長、戦いの天使 |
| 2 | ガブリエル | 神の伝令、啓示の天使 |
| 3 | ラファエル | 癒しの天使、旅人の守護者 |
| 4 | ウリエル | 知恵と啓示の天使 |
| 5 | サリエル | 月を司る天使 |
| 6 | ラグエル | 天使の調和を保つ天使 |
| 7 | レミエル | 死者の魂を導く天使 |
注意:5〜7位の天使は、以下のように宗派や文献によって異なります。
- エノク書:サリエル、ラグエル、レミエル
- 東方正教会:セラフィエル、イェグディエル、バラキエル
- その他:メタトロン、サンダルフォン、カマエル、ハニエル、ザドキエルなど
その他の有名な大天使
メタトロン(Metatron)
「神の玉座のそばに仕える天使」「小さきヤハウェ」とも呼ばれる特別な存在。
ユダヤ教の伝承では、かつて人間だったエノクが昇天してメタトロンになったとされています。
天使の中で唯一、神の玉座の横に座ることを許された存在とも。
サンダルフォン(Sandalphon)
預言者エリヤが昇天して変身した天使とされています。
人間の祈りを花輪に変えて神に届ける役割を持つとも伝えられています。
メタトロンの双子の兄弟という説もあります。
ザドキエル(Zadkiel)
「神の正義」を意味する天使で、慈悲と記憶を司ります。
アブラハムがイサクを生贄に捧げようとした際、直前でそれを阻止したのがザドキエルだという伝承があります。
堕天使──天から堕ちた天使たち

堕天使とは?
堕天使(Fallen Angel)とは、もともと神に仕えていた天使が、何らかの理由で 天界から追放された存在 です。
キリスト教の教義では、悪魔は堕落した天使であるとされています。
つまり、悪魔と堕天使は同一視されることが多いんですね。
堕天使が生まれた理由
天使が堕落する理由は、主に以下の3つとされています。
- 傲慢:神に反逆し、自らが神になろうとした(ルシファー)
- 嫉妬:人間が神に愛されることを妬んだ(ベリアル)
- 欲望:人間の女性に惹かれ、禁忌を犯した(アザゼル、シェムハザ)
主要な堕天使一覧
ルシファー(Lucifer)──堕天使の王
基本情報
- 名前の意味:「光をもたらす者」「明けの明星」
- 堕天前の地位:天使長、熾天使
- 堕天の理由:傲慢により神に反逆
物語
ルシファーは最も有名な堕天使です。
かつては 全天使の中で最も美しく、最高位の存在 でした。
しかし、神がアダム(人間)を創造し、天使たちに人間に仕えるよう命じたとき、ルシファーは反発。
「なぜ我々が泥から造られた存在に仕えなければならないのか」と考え、神に反旗を翻しました。
ミカエル率いる天使軍との戦いに敗れ、天界から追放されたルシファーは、「敵対者」を意味する サタン と呼ばれるようになりました。
以後、地獄の王として人間を誘惑し、神に敵対し続けているとされています。
サタンとの関係
キリスト教、特に西方教会では、ルシファーとサタンは同一の存在とされています。
ルシファーは「堕天前の名前」、サタンは「堕天後の名前」という解釈が一般的です。
アザゼル(Azazel)──禁断の知識を教えた天使
基本情報
- 名前の意味:「神のごとき強者」
- 堕天前の役割:監視者(グリゴリ)の一人
- 堕天の理由:人間に禁断の知識を授けた
物語
アザゼルは『エノク書』に登場する堕天使です。
もともとは人間界を監視する天使「グリゴリ(見張る者たち)」の一人でした。
しかし、人間の女性の美しさに惹かれ、地上に降りて交わってしまいます。
さらに人間に 武器の作り方、化粧の技術、占星術 など、本来知るべきでない知識を教えました。
神はこれを重く見て、アザゼルを荒野の岩の下に縛りつけ、最後の審判の日まで閉じ込めたとされています。
ベルゼブブ(Beelzebub)──蝿の王
基本情報
- 名前の意味:「蝿の王」(本来は「高き館の主」)
- 地位:サタンに次ぐ地獄の第二位
- 特徴:腐敗と堕落を司る
物語
ベルゼブブは「蝿の王」として知られる悪魔です。
元々はカナンの神バアル・ゼブル(高き館の主)でしたが、ユダヤ人によって「バアル・ゼブブ(蝿の主)」と蔑称され、悪魔化されました。
ルシファーの反乱に参加し、「蝿騎士団」を率いて戦ったとされています。
サタンに次ぐ権力を持ち、実力ではサタンを超えるという説もあります。
アスモデウス(Asmodeus)──欲望の悪魔
基本情報
- 名前の意味:「怒りの精霊」
- 司る分野:色欲、嫉妬、復讐
- 七つの大罪:色欲
物語
アスモデウスは『トビト記』に登場する悪魔です。
サラという女性を執拗に苦しめ、彼女の7人の夫を次々と殺害しました。
最終的に、大天使ラファエルの助けを借りたトビアによって追放されます。
魚の心臓と肝臓を焼いた煙によって退散したというエピソードが有名です。

ベリアル(Belial)──無価値なる者
基本情報
- 名前の意味:「無価値なもの」「邪悪」
- 堕天前の地位:ルシファーに次ぐ高位の天使
- 特徴:美しい容姿だが邪悪な性格
物語
ベリアルはルシファーの次に創造された天使とされています。
かつてはミカエルよりも高い位階にあったという説もあります。
神が人間を創造し、天使に人間への服従を命じた際、ベリアルは「炎から生まれた我々が、土から造られた存在に従うのか」と反発。
ルシファーと共に神に挑み、敗れて堕天しました。
美しい容姿に反して残忍で邪悪な性格として描かれることが多いです。
堕天使一覧表
| 堕天使名 | 主な特徴 |
|---|---|
| ルシファー | 堕天使の王、元天使長 |
| ベルゼブブ | 蝿の王、サタンに次ぐ第二位 |
| アスモデウス | 欲望と色欲の悪魔 |
| ベリアル | 無価値なる者、美しき邪悪 |
| アザゼル | 禁断の知識を教えた天使 |
| シェムハザ | グリゴリのリーダー |
| サマエル | 死の天使、毒の天使 |
| マモン | 富と貪欲の悪魔 |
| レヴィアタン | 海の怪物、嫉妬の象徴 |
| ベルフェゴール | 怠惰の悪魔 |
宗教による天使観の違い
ユダヤ教の天使
ユダヤ教では、天使の存在を強く認め、信仰の対象としています。
天使の階級は10段階に分けられることが多く、マイモニデスの『ミシュネ・トーラー』などで詳しく論じられています。
ミカエルはイスラエルの守護天使として特に重要視されています。
キリスト教の天使
キリスト教では、天使は9つの階級に分類されるのが一般的です。
カトリック教会ではミカエル、ガブリエル、ラファエルの三大天使が公式に崇敬されています。
プロテスタント教会では、唯一の神のみを信仰するため、天使への崇敬は行いません。
イスラム教の天使(マラーイカ)
イスラム教では、天使を「マラーイカ」と呼びます。
光から創造された存在で、自由意志を持たず、神の命令に絶対服従する存在とされています。
主要な天使として、以下の4体が挙げられます。
| 天使名(アラビア語) | 対応する天使 | 役割 |
|---|---|---|
| ジブリール | ガブリエル | 啓示を伝える天使 |
| ミーカーイール | ミカエル | 恵みをもたらす天使 |
| イスラーフィール | ラファエル | 審判のラッパを吹く天使 |
| アズラーイール | ― | 死を司る天使 |
天使の現代文化への影響

絵画・美術
天使は西洋美術の重要なモチーフです。
- 「受胎告知」:ガブリエルがマリアに現れる場面は、レオナルド・ダ・ヴィンチ、フラ・アンジェリコなど多くの巨匠が描いています
- 「最後の審判」:ミカエルが魂を天秤で量る場面
- 「堕天使」:ギュスターヴ・ドレの「失楽園」挿絵が有名
ゲーム・アニメ・漫画
天使は日本のポップカルチャーでも人気のモチーフです。
- ペルソナシリーズ:天使がペルソナとして登場
- 真・女神転生シリーズ:天使と悪魔が対立する世界観
- エヴァンゲリオン:「使徒」の名前は天使に由来
- ハイスクールD×D:天使、堕天使、悪魔が登場
スピリチュアル
現代のスピリチュアル文化では、天使は「癒しの存在」として親しまれています。
- エンジェルカード:オラクルカードの一種
- エンジェルナンバー:数字に込められた天使からのメッセージ
- 守護天使との対話:瞑想やヒーリングの手法
天使の名前一覧
最後に、天使の名前を網羅的にリストアップしました。
調べものの際にご活用ください。
大天使・有名な天使
| 天使名 | 読み方 | 主な役割・特徴 |
|---|---|---|
| ミカエル | Michael | 天使軍団長、戦いの天使 |
| ガブリエル | Gabriel | 神の伝令、啓示の天使 |
| ラファエル | Raphael | 癒しの天使、旅人の守護者 |
| ウリエル | Uriel | 知恵と啓示の天使 |
| メタトロン | Metatron | 神の玉座の側近、天使の書記 |
| サンダルフォン | Sandalphon | 祈りを神に届ける天使 |
| サリエル | Sariel | 月を司る天使 |
| ラグエル | Raguel | 天使の調和を守る天使 |
| レミエル | Remiel | 死者の魂を導く天使 |
| ハニエル | Haniel | 金星の天使、美と調和 |
| ザドキエル | Zadkiel | 慈悲と記憶の天使 |
| カマエル | Camael | 神の正義を執行する天使 |
| ヨフィエル | Jophiel | 知恵と理解の天使 |
| ラジエル | Raziel | 秘密の天使、知識の守護者 |
| アズラエル | Azrael | 死の天使(イスラム教) |
九階級の天使
| 階級 | 天使名 | 読み方 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 熾天使 | セラフィエル | Seraphiel | 熾天使の長 |
| 智天使 | ケルビエル | Kerubiel | 智天使の長 |
| 座天使 | オファニエル | Ophaniel | 座天使の長 |
| 主天使 | ドミニエル | Dominiel | 主天使の長 |
| 力天使 | ペリエル | Peliel | 力天使の長 |
| 能天使 | サマエル | Samael | 能天使の長(堕天説あり) |
| 権天使 | ニシロク | Nisroch | 権天使の一人 |
| 大天使 | 上記参照 | – | – |
| 天使 | 守護天使 | Guardian Angel | 個人を守護する天使 |
月を司る天使(12か月)
| 月 | 天使名 |
|---|---|
| 1月 | ガブリエル |
| 2月 | バルキエル |
| 3月 | マルキディエル |
| 4月 | アスモデル |
| 5月 | アムビエル |
| 6月 | ムリエル |
| 7月 | ベルキエル |
| 8月 | ハマリエル |
| 9月 | ウリエル |
| 10月 | バルビエル |
| 11月 | アドナキエル |
| 12月 | ハナエル |
堕天使・悪魔
| 名前 | 読み方 | 特徴 |
|---|---|---|
| ルシファー | Lucifer | 堕天使の王、明けの明星 |
| サタン | Satan | 悪魔の王、敵対者 |
| ベルゼブブ | Beelzebub | 蝿の王、サタンに次ぐ第二位 |
| アスモデウス | Asmodeus | 欲望と色欲の悪魔 |
| ベリアル | Belial | 無価値なる者 |
| アザゼル | Azazel | 禁断の知識を教えた天使 |
| シェムハザ | Shemhazai | グリゴリのリーダー |
| マモン | Mammon | 富と貪欲の悪魔 |
| レヴィアタン | Leviathan | 海の怪物、嫉妬 |
| ベルフェゴール | Belphegor | 怠惰の悪魔 |
| アスタロト | Astaroth | 元は女神イシュタル |
| バアル | Baal | 元はカナンの神 |
まとめ
天使は、単なる「羽の生えた美しい存在」ではありません。
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の伝統の中で、神と人間を結ぶ重要な存在として、長い歴史を持っています。
この記事で学んだこと
- 天使は 9つの階級 に分かれ、それぞれ異なる役割を持つ
- 四大天使(ミカエル・ガブリエル・ラファエル・ウリエル)が特に重要
- 堕天使 は神に反逆して追放された元天使たち
- 天使の概念は宗教によって微妙に異なる
天使の物語には、「善と悪」「光と闘」「服従と反逆」といった普遍的なテーマが込められています。
だからこそ、現代でも映画やゲーム、アニメなど様々なメディアで題材として取り上げられ続けているのでしょう。
興味を持った天使がいたら、ぜひその天使が登場する聖書の箇所や文学作品を読んでみてください。
きっと新たな発見があるはずです。









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