「神社に祀られている神様って、どんな神様なんだろう?」
そんな疑問を持ったこと、ありませんか?
神道には「八百万(やおよろず)の神」という言葉があるほど、無数の神様がいます。
太陽の神、海の神、山の神、さらには台所の神様まで。
日本人の生活のあらゆる場面に、神様が寄り添っているんですね。
この記事では、神道の主要な神様を一覧でご紹介します。
「天照大神」や「スサノオ」といった有名な神様から、あまり知られていない神様まで、まとめて見ていきましょう。
神道の神様とは?
神道における「神様」は、私たちが想像する全知全能の存在とは少し違います。
神道では、自然のあらゆるものに神が宿ると考えられてきました。
山にも川にも、大木にも岩にも。
それどころか、台所や井戸、さらにはお風呂にまで神様がいるんです。
この考え方を「八百万(やおよろず)の神」といいます。
「八百万」は数字の「800万」ではなく、「数えきれないほど多い」という意味なんですね。
そんな無数の神様たちですが、大きく分けると「天津神(あまつかみ)」と「国津神(くにつかみ)」の2つに分類できます。
天津神(あまつかみ)と国津神(くにつかみ)の違い
神道の神様は、生まれた場所や役割によって分類されています。
天津神(あまつかみ)とは
天津神は「高天原(たかまがはら)」という天上の世界にいる神々です。
あるいは、高天原から地上に降りてきた神々を指します。
代表的なのは太陽の女神・天照大神(あまてらすおおみかみ)。
天皇家の祖先とされ、伊勢神宮に祀られています。
天津神は主に「国家の平和」や「世界の調和」といった大きな視点でのご利益があるとされています。
個人のお願いごとよりも、もっと大きなスケールで物事を見守る存在なんですね。
国津神(くにつかみ)とは
国津神は地上の世界に現れた神々です。
土地や自然に密接に関わる神様たちで、私たちの日常生活に近い存在といえます。
代表的なのは出雲大社に祀られる大国主神(おおくにぬしのかみ)。
縁結びの神様として有名ですよね。
国津神は「恋愛成就」「商売繁盛」「学業成就」など、個人的な願いを聞いてくれるのが得意です。
天津神に比べて、私たち人間に近い存在といえるでしょう。
例外もある
ただし、この分類には例外もあります。
たとえばスサノオは天照大神の弟で天津神として生まれましたが、後に出雲に降りて国津神とされています。
神様の世界も、なかなか複雑なんですね。
日本の国土を生んだ夫婦神
神道の神話は、まず世界の創造から始まります。
その中心にいるのが、イザナギとイザナミという夫婦神です。
イザナギとイザナミの国産み
高天原の神々から「漂っている地上を固めよ」と命じられた2人。
天の浮橋に立ち、「天沼矛(あめのぬぼこ)」という矛で海をかき回しました。
矛を引き上げると、滴り落ちた潮が固まって島ができました。
これが最初の島「オノゴロ島」です。
2人はオノゴロ島に降り立ち、結婚しました。
そして次々と日本の島々を生み出していったんです。
淡路島、四国、隠岐、九州、壱岐、対馬、佐渡、そして本州。
この8つの島を「大八島国(おおやしまのくに)」といいます。
神産みと悲劇
島を生み終えた2人は、今度は様々な神々を生み出しました。
海の神、山の神、風の神、穀物の神…
ところが、最後に火の神・カグツチを生んだとき、イザナミは大やけどを負って亡くなってしまいます。
悲しんだイザナギは、妻を追って黄泉の国(死者の国)へ向かいました。
しかし、そこで見たのは腐敗した妻の姿。
恐れたイザナギは逃げ出し、黄泉の国の出口を大岩で塞いでしまいます。
この時、イザナミは「毎日1000人の人間を殺す」と言い、イザナギは「ならば毎日1500人を生む」と答えました。
これが、人間に寿命があることの由来とされています。
三貴子(さんきし)の誕生
黄泉の国から戻ったイザナギは、穢れを清めるために禊(みそぎ)をしました。
この時、3柱の重要な神が生まれます。
天照大神(あまてらすおおみかみ)
左目を洗ったときに生まれた太陽の女神。
高天原を統治し、神道の最高神とされています。
弟スサノオの乱暴に怒って天岩戸に隠れたとき、世界は闇に包まれました。
他の神々が必死で岩戸から出てもらい、再び世界に光が戻ったという有名な神話があります。
天皇家の祖先とされ、伊勢神宮に祀られています。
月読命(つくよみのみこと)
右目を洗ったときに生まれた月の神。
夜の世界を統治する神様です。
実は、月読命についてのエピソードは『古事記』にほとんど記載されていません。
謎の多い神様なんですね。
須佐之男命(すさのおのみこと)
鼻を洗ったときに生まれた海と嵐の神。
「スサノオ」と呼ばれることが多いです。
最初は高天原で乱暴を働いて追放されましたが、出雲に降りた後は英雄として活躍します。
特に有名なのが「ヤマタノオロチ退治」の神話です。
8つの頭と8本の尾を持つ大蛇・ヤマタノオロチを退治し、その尾から出てきた剣が「草薙の剣」。
これが三種の神器の1つとなりました。
出雲の国を作った神様
国津神の代表格といえば、大国主神です。
縁結びの神様として、多くの人に親しまれています。
大国主神(おおくにぬしのかみ)
スサノオの子孫とされる大国主神は、少名毘古那神(すくなびこなのかみ)と協力して出雲の国を豊かにしました。
医療や農業の技術を広め、立派な国を作り上げたんですね。
ところが、その豊かな国を見た天照大神が「この国は私の子孫が治めるべきだ」と言い出します。
これが有名な「国譲り」の神話です。
国譲りの物語
天照大神は何度も使者を送りますが、最初の2人は大国主神と仲良くなってしまい、国を譲ってもらえません。
3人目の使者として、建御雷神(たけみかづちのかみ)という力の強い神が派遣されました。
建御雷神は出雲の稲佐の浜に降り立ち、剣を逆さに立ててその上にあぐらをかく…という威圧的な登場。
大国主神に国譲りを迫ります。
大国主神は「息子たちに聞いてみます」と答えました。
1人目の息子・事代主神(ことしろぬしのかみ)はあっさり承諾。
しかし、2人目の息子・建御名方神(たけみなかたのかみ)は反対し、建御雷神と力比べをします。
結果は建御名方神の敗北。信濃国(長野県)の諏訪湖まで逃げて、そこで降参しました。
大国主神は、国を譲る条件として「天の宮殿のような立派な神殿を建ててほしい」と要求。
これが出雲大社の始まりとされています。
その他の重要な神々
稲荷神(いなりしん)
お稲荷さんとして親しまれる、稲と豊穣の神。
商売繁盛のご利益でも有名です。
狐が使いとされ、稲荷神社には狐の像がよく見られます。
ただし、狐そのものが神様というわけではありません。
八幡神(はちまんしん)
武神として崇敬される神様。
もともとは農業の神でしたが、武士の時代になって戦いの神となりました。
源氏の守護神とされ、全国に多くの八幡宮があります。
天児屋命(あめのこやねのみこと)
祭祀を司る神様。
藤原氏の祖神とされています。
少名毘古那神(すくなびこなのかみ)
大国主神と協力して国造りをした小さな神様。
医療と農業の神として信仰されています。
神道の神様 一覧表
ここでは、主要な神様を一覧表にまとめました。
神社を訪れる際の参考にしてみてください。
| 神様の名前 | 読み方 | 分類 | 主なご利益 | 代表的な神社 |
|---|---|---|---|---|
| 天照大神 | あまてらすおおみかみ | 天津神 | 所願成就、国家安泰 | 伊勢神宮 |
| 月読命 | つくよみのみこと | 天津神 | 豊穣、五穀豊穣 | 月読神社 |
| 須佐之男命 | すさのおのみこと | 国津神 | 厄除け、縁結び | 八坂神社、氷川神社 |
| 大国主神 | おおくにぬしのかみ | 国津神 | 縁結び、商売繁盛 | 出雲大社 |
| 伊邪那岐命 | いざなぎのみこと | 天津神 | 縁結び、夫婦和合 | 伊弉諾神宮 |
| 伊邪那美命 | いざなみのみこと | 天津神 | 縁結び、安産 | 花の窟神社 |
| 事代主神 | ことしろぬしのかみ | 国津神 | 商売繁盛、漁業守護 | 美保神社 |
| 建御名方神 | たけみなかたのかみ | 国津神 | 武運長久、勝負運 | 諏訪大社 |
| 稲荷神 | いなりしん | – | 商売繁盛、五穀豊穣 | 伏見稲荷大社 |
| 八幡神 | はちまんしん | – | 武運長久、勝負運 | 宇佐神宮、鶴岡八幡宮 |
| 天児屋命 | あめのこやねのみこと | 天津神 | 学問成就、立身出世 | 春日大社 |
| 少名毘古那神 | すくなびこなのかみ | 国津神 | 医療、病気平癒 | 少彦名神社 |
| 天手力男神 | あめのたぢからおのかみ | 天津神 | 技芸上達、スポーツ上達 | 戸隠神社 |
| 天宇受売命 | あめのうずめのみこと | 天津神 | 芸能上達、縁結び | 芸能神社 |
| 思兼神 | おもいかねのかみ | 天津神 | 学問、知恵 | 秩父神社 |
| 大山津見神 | おおやまつみのかみ | 国津神 | 山の守護、家内安全 | 大山祇神社 |
| 大綿津見神 | おおわたつみのかみ | 国津神 | 海上安全、漁業守護 | 綿津見神社 |
| 木花之佐久夜毘売 | このはなのさくやびめ | 国津神 | 安産、子授け、縁結び | 富士山本宮浅間大社 |
| 火之迦具土神 | ひのかぐつちのかみ | 国津神 | 火除け、鍛冶守護 | 秋葉神社 |
| 宗像三女神 | むなかたさんじょしん | 天津神 | 交通安全、航海安全 | 宗像大社 |
造化三神(ぞうかさんしん)
天地開闢の時に現れた最初の3柱の神々。
| 神様の名前 | 読み方 | 特徴 |
|---|---|---|
| 天之御中主神 | あめのみなかぬしのかみ | 宇宙の中心に現れた最初の神 |
| 高御産巣日神 | たかみむすびのかみ | 生成の力を持つ神 |
| 神産巣日神 | かみむすびのかみ | 生成の力を持つ神 |
神世七代(かみよななよ)
天地開闢の後に現れた7代の神々。
| 神様の名前 | 読み方 | 特徴 |
|---|---|---|
| 国之常立神 | くにのとこたちのかみ | 国土の基盤となる神 |
| 豊雲野神 | とよくもののかみ | 豊かな雲を司る神 |
| 宇比地邇神 | うひぢにのかみ | 男神(女神は須比智邇神) |
| 須比智邇神 | すひぢにのかみ | 女神(男神は宇比地邇神) |
| 角杙神 | つのぐいのかみ | 男神(女神は活杙神) |
| 活杙神 | いくぐいのかみ | 女神(男神は角杙神) |
| 意富斗能地神 | おおとのぢのかみ | 男神(女神は大斗乃弁神) |
| 大斗乃弁神 | おおとのべのかみ | 女神(男神は意富斗能地神) |
| 淤母陀琉神 | おもだるのかみ | 男神(女神は阿夜訶志古泥神) |
| 阿夜訶志古泥神 | あやかしこねのかみ | 女神(男神は淤母陀琉神) |
| 伊邪那岐神 | いざなぎのかみ | 男神(女神は伊邪那美神) |
| 伊邪那美神 | いざなみのかみ | 女神(男神は伊邪那岐神) |
天照大神とスサノオの誓約で生まれた神々
| 神様の名前 | 読み方 | 親 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命 | まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと | 天照大神の子 | 天孫降臨の祖 |
| 天之菩卑能命 | あめのほひのみこと | 天照大神の子 | 出雲国造の祖 |
| 天津日子根命 | あまつひこねのみこと | 天照大神の子 | 凡河内氏の祖 |
| 活津日子根命 | いくつひこねのみこと | 天照大神の子 | 尾張氏の祖 |
| 熊野久須毘命 | くまのくすびのみこと | 天照大神の子 | 熊野の神 |
| 多紀理毘売命 | たぎりびめのみこと | スサノオの子 | 宗像三女神の長女 |
| 市寸島比売命 | いちきしまひめのみこと | スサノオの子 | 宗像三女神の次女 |
| 多岐都比売命 | たぎつひめのみこと | スサノオの子 | 宗像三女神の三女 |
現代に息づく神様たち
神道の神様は、決して遠い昔の物語ではありません。
今でも、私たちの生活の身近なところに存在しています。
七福神との関係
大国主神は、七福神の1つ「大黒天」と同一視されるようになりました。
小槌を持って米俵の上に乗った姿で親しまれています。
また、事代主神は「恵比寿」と同一視されています。
鯛を持った姿が有名ですね。
現代のご利益信仰
「縁結び」の出雲大社、「商売繁盛」の稲荷神社、「学問」の天満宮。
目的に応じて神社を選んでお参りする習慣は、今も根強く残っています。
これは、それぞれの神様が持つ特性や神話のエピソードが、現代まで受け継がれているからなんですね。
まとめ
神道には無数の神様がいますが、主要な神々を知っておくと神社参拝がもっと楽しくなります。
この記事のポイント
- 神道の神様は「天津神」と「国津神」に大別される
- 天津神は国家規模の大きな視点、国津神は個人の願いに応えてくれる
- イザナギ・イザナミが日本の国土と神々を生んだ
- 天照大神、スサノオ、大国主神が特に重要な神様
- それぞれの神様には得意分野がある
次に神社を訪れるときは、どんな神様が祀られているのか、ちょっと気にしてみてください。
神話のエピソードを思い出しながらお参りすると、また違った感じ方ができるかもしれませんね。




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