「Excelで作った表を印刷したら、ページがずれてしまった」
「思ったより多くの用紙が出てきてびっくりした」そんな経験はありませんか?
Excel印刷でよくある困りごと
- 表が2ページに分かれて印刷される
- 白紙のページが混ざって出てくる
- 見出し行が2ページ目以降に表示されない
- 文字が小さすぎて読めない
Excelは画面上ではきれいに見えても、印刷すると予期しないトラブルが起こりがちです。
でも安心してください。適切な設定を知っていれば、これらの問題はすべて解決できます。
この記事で学べること
- Excel印刷の基本的な仕組み
- ページずれや白紙印刷を防ぐ方法
- きれいで読みやすい印刷物を作るテクニック
- トラブル発生時の対処法
オフィスワークでもテレワークでも、エクセルの印刷スキルは必須です。
スプレッドシートソフトウェアの特性を理解して、効率的なドキュメント作成を目指しましょう。
Excel印刷でよくある失敗パターンと原因

ページがずれる・思った位置で切れない問題
なぜページずれが起こるのか
Excelは表計算ソフトなので、もともと印刷を前提として作られていません。
セルの幅や高さが用紙サイズを超えると、自動的に次のページに送られてしまいます。
具体的な原因例
- 列幅を広げすぎている
- 行の高さが大きすぎる
- 余分な空白行や空白列がある
- 用紙の向き(縦・横)が内容に合っていない
実際のトラブル例
A4サイズで収めたい売上表でも、商品名の列幅を広げすぎていると、金額部分が2ページ目に回ってしまいます。これでは見にくい資料になってしまいます。
白紙ページが印刷される問題
白紙印刷の主な原因
- 見えない位置に入力データや書式設定が残っている
- 印刷範囲が正しく設定されていない
- 不要なグラフやオブジェクトが配置されている
データ範囲の確認方法
Ctrl + End キーを押すと、Excelが認識している「最後のセル」に移動します。思わぬ遠くのセルにデータがあると、そこまで印刷範囲に含まれてしまいます。
解決のポイント
印刷したい部分だけを明確に指定することで、無駄な白紙印刷を防げます。
見出しが2ページ目以降に表示されない問題
なぜ見出しが消えるのか
Excelはページごとに独立して印刷するため、1ページ目にある見出し行は2ページ目以降には自動で表示されません。
困る場面の例
長い商品リストを印刷するとき、2ページ目以降に「商品名」「価格」などの項目名がないと、どの列が何を表しているかわからなくなります。
印刷前に必ず確認すべき基本設定

印刷範囲の正しい設定方法
印刷範囲設定の手順
- 印刷したいセル範囲を選択(ドラッグで範囲指定)
- 「ページレイアウト」タブをクリック
- 「印刷範囲」グループで「印刷範囲の設定」をクリック
- 設定完了後、点線で囲まれた部分が印刷対象
範囲選択のコツ
- データがある部分だけを正確に選択
- 空白行や空白列は除外
- 必要に応じて複数の範囲を選択可能
印刷範囲のクリア方法 設定をやり直したい場合は、「印刷範囲」→「印刷範囲のクリア」で解除できます。
改ページプレビューでレイアウト確認
改ページプレビューとは どこでページが区切られるかを視覚的に確認できる表示モードです。青い線がページの境界を示します。
表示方法と使い方
- 「表示」タブをクリック
- 「ワークブック表示」グループで「改ページプレビュー」を選択
- 青い実線:自動改ページ位置
- 青い点線:手動改ページ位置(ドラッグで移動可能)
効果的な活用方法
- 表の区切り位置を事前に確認
- 重要なデータが分割されないよう調整
- 最適なページ分割ポイントを見つける
印刷タイトル機能で見出しを全ページに表示
印刷タイトルの設定手順
- 「ページレイアウト」タブをクリック
- 「ページ設定」グループで「印刷タイトル」をクリック
- 「行のタイトル」:各ページに表示したい行を指定
- 「列のタイトル」:各ページに表示したい列を指定
設定例 売上管理表で1行目に「商品名」「単価」「数量」がある場合、行のタイトルに「$1:$1」を設定すると、すべてのページで見出しが表示されます。
メリット
- 長い表でも内容が理解しやすい
- データの見間違いを防止
- 資料としての完成度向上
用紙サイズとページ設定の最適化

用紙サイズの選択と向きの設定
一般的な用紙サイズと用途
- A4縦:レポート、請求書、一般的な資料
- A4横:横に長い表、グラフが多い資料
- A3:大きな表、詳細なデータ一覧
用紙設定の変更方法
- 「ページレイアウト」タブをクリック
- 「ページ設定」グループで用紙サイズと向きを選択
- 「印刷の向き」で縦・横を切り替え
余白の調整でスペース有効活用
余白設定の基本
- 標準:上下2.54cm、左右1.91cm
- 狭い:上下1.91cm、左右1.27cm
- 広い:上下3.18cm、左右2.54cm
カスタム余白の設定
- 「ページレイアウト」タブの「余白」をクリック
- 「ユーザー設定の余白」を選択
- 数値を入力して細かく調整
余白調整のポイント
- 内容に応じて最小限の余白に設定
- 印刷後のファイリングを考慮
- 会社の資料規定がある場合はそれに従う
きれいで読みやすい印刷のテクニック

フィット機能で1ページに収める方法
拡大縮小印刷の設定 「ページレイアウト」タブの「拡大縮小印刷」で以下の調整が可能:
幅に合わせて印刷
- 「幅」を「1ページ」に設定
- 横方向の列数を自動調整
- 縦の長さは内容に応じて伸びる
高さに合わせて印刷
- 「高さ」を「1ページ」に設定
- 縦方向の行数を自動調整
- 横幅は内容に応じて伸びる
注意点 文字が小さくなりすぎて読めなくなる場合があります。印刷プレビューで必ず確認しましょう。
ヘッダー・フッターで情報を追加
ヘッダー・フッター設定方法
- 「挿入」タブをクリック
- 「テキスト」グループで「ヘッダーとフッター」を選択
- 左・中央・右の位置にそれぞれ情報を配置
おすすめの設定内容
- ヘッダー左:会社名、部署名
- ヘッダー中央:資料タイトル
- ヘッダー右:作成日
- フッター左:ファイル名
- フッター中央:ページ番号
- フッター右:作成者名
自動挿入できる情報
- ページ番号:&[ページ番号]
- 総ページ数:&[総ページ数]
- 現在の日付:&[日付]
- ファイル名:&[ファイル名]
印刷プレビューで最終確認
プレビュー画面の活用方法
- 「ファイル」→「印刷」をクリック
- 右側にプレビューが表示
- ページ送りボタンで全ページを確認
- 拡大・縮小機能で詳細をチェック
確認すべきポイント
- 文字切れやデータの分割がないか
- 余白のバランスは適切か
- ページ数は想定通りか
- 見出しやタイトルが正しく表示されるか
セルとフォントの調整テクニック
列幅と行の高さの最適化
自動調整機能の活用
- 調整したい列を選択
- 列境界線をダブルクリック
- 内容に合わせて自動で幅が調整される
手動での微調整
- 列幅:列境界線をドラッグ
- 行の高さ:行境界線をドラッグ
- 数値指定:右クリック→「列の幅」「行の高さ」
文字サイズとフォントの選択
印刷に適したフォント設定
- 本文:10〜12ポイント
- 見出し:14〜16ポイント
- 注釈:8〜9ポイント
読みやすいフォントの選択
- 日本語:メイリオ、游ゴシック
- 英数字:Arial、Calibri
- 表示用:MS Pゴシック(画面表示は良いが印刷には注意)
セルの書式設定で見栄えを向上
罫線の効果的な使用
- 範囲を選択して右クリック
- 「セルの書式設定」→「罫線」タブ
- 外枠は太線、内側は細線にすると見やすい
背景色とパターンの活用
- 見出し行:薄いグレーやブルー
- 合計行:薄い黄色
- 重要データ:薄いピンク
トラブルシューティングと解決法

よくある印刷エラーと対処法
「印刷範囲が設定されていません」エラー
- 原因:データがないシートで印刷を実行
- 解決法:データを入力するか、印刷範囲を手動設定
文字化けや表示くずれ
- 原因:フォントの互換性問題
- 解決法:標準フォント(Arial、MS Pゴシック)に変更
印刷が途中で止まる
- 原因:プリンターのメモリ不足
- 解決法:ページ分割して印刷、画像品質を下げる
パフォーマンス向上のコツ
印刷速度を上げる方法
- 不要なグラフや画像を削除
- 複雑な数式を値に変換
- ファイルサイズを最小限に抑制
メモリ使用量の削減
- 使用していない行・列を削除
- 不要な書式設定をクリア
- 定期的にファイルの最適化を実行
高度な印刷設定とカスタマイズ
複数シートの同時印刷
ワークブック全体の印刷
- 「ファイル」→「印刷」をクリック
- 「設定」で「ブック全体を印刷」を選択
- すべてのシートが連続して印刷される
選択したシートのみ印刷
- Ctrlキーを押しながらシートタブをクリック
- 複数シートを選択状態にする
- 印刷実行で選択シートのみ印刷
PDF形式での出力
PDFとして保存する利点
- レイアウトが崩れない
- どの環境でも同じ表示
- ファイルサイズのコントロールが可能
PDF出力の手順
- 「ファイル」→「名前を付けて保存」
- ファイルの種類で「PDF」を選択
- 「オプション」で印刷品質を設定
マクロを使った印刷自動化
簡単な印刷マクロの例 定期的に同じ形式で印刷する場合、マクロを使って設定を自動化できます。
基本的なマクロコード例
Sub 印刷実行()
ActiveSheet.PageSetup.PrintArea = "A1:G20"
ActiveSheet.PrintOut Copies:=1
End Sub
マクロ活用のメリット
- 設定の統一化
- 作業時間の短縮
- ヒューマンエラーの防止
まとめ:Excel印刷マスターへの道
重要ポイントの振り返り
基本設定の徹底
- 印刷範囲を明確に設定する
- 改ページプレビューで事前確認する
- 印刷タイトルで見出しを全ページに表示
レイアウトの最適化
- 用紙サイズと向きを内容に合わせる
- フィット機能で1ページに収める
- 余白を調整してスペースを有効活用
品質向上のテクニック
- ヘッダー・フッターで必要情報を追加
- フォントサイズと色の調整
- 印刷プレビューでの最終確認
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