「加重平均(かじゅうへいきん)」
この言葉を聞いて、どう思いましたか?
「難しそう…」 「普通の平均と何が違うの?」 「日常生活で使わないでしょ?」
ちょっと待ってください! 実は、学校の成績、大学の単位、会社の評価、さらには天気予報まで、加重平均が使われているんです。
例えば、「期末テスト50%、中間テスト30%、小テスト20%で成績を決める」 これ、まさに加重平均の考え方なんです。
この記事では、小学生でも理解できるように、身近な例をたくさん使って加重平均を解説します。
読み終わる頃には、「なるほど!こんなに便利な計算方法だったんだ!」と思えるはずです。
加重平均を超簡単に説明すると

一言で言うと「重要度を考えた平均」
普通の平均と加重平均の違いを理解しましょう。
普通の平均(算術平均):
- すべてを同じ重要度で扱う
- 全部足して、個数で割る
加重平均:
- それぞれに「重み(重要度)」をつける
- 重要なものほど、結果に大きく影響する
つまり、「全部同じじゃなくて、大事なものを重視する平均」です!
お菓子の例で理解しよう
状況:3つのお店のチョコレートの値段
お店A:100円(1個買った) お店B:120円(2個買った) お店C:150円(7個買った)
普通の平均なら: (100 + 120 + 150) ÷ 3 = 123.3円
でも実際は:
- お店Cで7個も買ってる!
- お店Aは1個だけ
加重平均で計算: (100×1 + 120×2 + 150×7) ÷ (1+2+7) = (100 + 240 + 1050) ÷ 10 = 1390 ÷ 10 = 139円
実際に払った平均単価は139円。これが加重平均です!
なぜ「加重」って言うの?
加重の意味:
- 「加」= 加える
- 「重」= 重み、重要度
つまり、「重みを加えた平均」という意味なんです。
英語では「Weighted Average(ウェイテッド・アベレージ)」 Weight(重さ)がついた平均、というイメージです。
加重平均の計算方法
基本の公式
加重平均の公式は意外とシンプル!
公式:
加重平均 = (値1×重み1 + 値2×重み2 + 値3×重み3 + ...) ÷ (重み1 + 重み2 + 重み3 + ...)
簡単に書くと:
加重平均 = すべての(値×重み)の合計 ÷ 重みの合計
ステップで覚える計算方法
ステップ1:それぞれの値に重みをかける
値1 × 重み1 = ?
値2 × 重み2 = ?
値3 × 重み3 = ?
ステップ2:全部足す
ステップ1の結果を全部足す
ステップ3:重みの合計で割る
ステップ2の結果 ÷ 重みの合計
これだけです!
具体例:テストの成績
問題:
- 国語:80点(重要度3)
- 数学:90点(重要度5)
- 英語:70点(重要度2)
計算:
ステップ1:
国語:80 × 3 = 240
数学:90 × 5 = 450
英語:70 × 2 = 140
ステップ2:
240 + 450 + 140 = 830
ステップ3:
830 ÷ (3 + 5 + 2) = 830 ÷ 10 = 83点
数学の重要度が高いので、90点が強く影響して、全体も高めになりました!
身近な加重平均の例

学校の成績評価
大学のGPA(成績評価):
科目と単位数:
- 経済学(4単位):A評価(4.0点)
- 英語(2単位):B評価(3.0点)
- 体育(1単位):C評価(2.0点)
GPA計算:
(4.0×4 + 3.0×2 + 2.0×1) ÷ (4+2+1)
= (16 + 6 + 2) ÷ 7
= 24 ÷ 7
= 3.43
単位数が多い科目ほど、GPAへの影響が大きい!
会社の人事評価
年間評価の例:
- 成果(重み50%):90点
- 勤務態度(重み30%):80点
- チームワーク(重み20%):85点
総合評価:
90×0.5 + 80×0.3 + 85×0.2
= 45 + 24 + 17
= 86点
成果を最重視する会社の評価方法です。
投資の平均取得価格
株を買い増しした場合:
- 1回目:1000円で100株
- 2回目:1200円で200株
- 3回目:900円で300株
平均取得価格:
(1000×100 + 1200×200 + 900×300) ÷ (100+200+300)
= (100,000 + 240,000 + 270,000) ÷ 600
= 610,000 ÷ 600
= 1,016.67円
たくさん買った時の価格が、平均に大きく影響します。
商品レビューの総合評価
ECサイトの星評価:
- ★5:30人
- ★4:50人
- ★3:15人
- ★2:3人
- ★1:2人
総合評価:
(5×30 + 4×50 + 3×15 + 2×3 + 1×2) ÷ (30+50+15+3+2)
= (150 + 200 + 45 + 6 + 2) ÷ 100
= 403 ÷ 100
= 4.03
多くの人がつけた評価ほど、総合評価に反映されます。
普通の平均との使い分け
普通の平均を使う場面
すべてが同じ重要度の時:
- クラス全員のテストの平均点
- 毎日の気温の月平均
- 野球チームの平均身長
全員・全部を平等に扱いたい時は、普通の平均でOK!
加重平均を使う場面
重要度に差がある時:
- 期末60%、中間40%の成績
- 売上個数を考慮した平均単価
- 投票数を反映した評価
「たくさん」や「重要」を考慮したい時は、加重平均!
間違えやすいポイント
よくある間違い:
❌ 3つの店の平均価格
- A店:100円
- B店:120円
- C店:150円
- 平均:123.3円?
✓ でも、どの店でどれだけ買ったか次第!
- たくさん買った店の価格が、実際の平均に近くなる
購入数や頻度を無視すると、実態とズレた平均になってしまいます。
加重平均の応用例
移動平均(株価チャート)
最近のデータを重視:
今日:重み5
昨日:重み3
一昨日:重み2
新しいデータほど重要視することで、トレンドを掴みやすくなります。
天気予報の降水確率
地域の面積で加重:
- 都心部(面積小):降水確率80%
- 郊外(面積大):降水確率30%
面積を考慮した加重平均で、地域全体の降水確率を計算。
センター試験の傾斜配点
大学・学部による配点:
理系学部の例:
- 数学:200点満点を2倍
- 英語:200点満点を1倍
- 国語:200点満点を0.5倍
文系と理系で、科目の重みを変えて評価します。
練習問題で理解を深めよう

初級問題
問題1:バイトの時給
- 平日(月〜金):時給1000円で20時間
- 土日:時給1200円で10時間 平均時給は?
中級問題
問題2:クラスの平均点
- 男子15人の平均:70点
- 女子25人の平均:80点 クラス全体の平均点は?
上級問題
問題3:複数回のテスト
- 1回目(配点30%):85点
- 2回目(配点30%):75点
- 3回目(配点40%):90点 最終成績は?
解答
問題1:
(1000×20 + 1200×10) ÷ (20+10)
= (20,000 + 12,000) ÷ 30
= 32,000 ÷ 30
= 1,066.67円
問題2:
(70×15 + 80×25) ÷ (15+25)
= (1,050 + 2,000) ÷ 40
= 3,050 ÷ 40
= 76.25点
問題3:
85×0.3 + 75×0.3 + 90×0.4
= 25.5 + 22.5 + 36
= 84点
加重平均の注意点
重みの合計は必ずしも1(100%)じゃない
パーセントの場合:
- 重みの合計 = 100%
- 計算しやすい
個数や人数の場合:
- 重みの合計 = 実際の合計
- 最後に合計で割る
どちらでも計算できます!
重みが0の項目
重み0 = 無視される:
- いくら値が大きくても影響なし
- 実質的に計算から除外
欠席した科目などは、重み0として扱います。
マイナスの重みは通常使わない
基本的に重みは正の数:
- 0以上の値を使う
- マイナスは特殊な場合のみ
通常の加重平均では、マイナスの重みは使いません。
まとめ:加重平均で正確な判断を!
加重平均は、「重要度を考慮した、より実態に近い平均」です。
押さえておきたいポイント:
- 基本の考え方
- 重要なものを重視する平均
- 普通の平均より実態に近い
- 計算方法は簡単
- 値×重みを全部足す
- 重みの合計で割る
- 使い分けが大切
- 同じ重要度→普通の平均
- 重要度が違う→加重平均
身近な活用場面:
- テストの成績計算
- 買い物の平均単価
- 投資の平均取得価格
- 商品の総合評価
加重平均を理解すると、より正確な判断ができるようになります。
「全部同じじゃない」という当たり前のことを、きちんと数値化する。 それが加重平均の素晴らしさです。
今日から、ニュースや成績表を見る時、「これは加重平均かな?」と考えてみてください。 きっと、数字の見方が変わるはずです!
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