ベクトルと行列、名前は聞いたことあるけど違いがよくわからない?
「ベクトル」や「行列」という言葉を、高校の数学で聞いたことがある人は多いでしょう。
でも「どちらも数字が並んでいるだけなのに、何が違うの?」「どんなときに使うの?」と思っている人もいるのではないでしょうか。
じつは、この2つは私たちの身の回りでたくさん使われています。
スマホのゲーム、写真の加工、天気予報など、さまざまな場面で活躍しているのです。
この記事では、ベクトルと行列の違い・関係・使い方を、むずかしい専門用語を使わずに説明します。
ベクトルとは?|「大きさ」と「向き」をもつ数

ベクトルってなに?
ベクトルとは、向きと大きさの両方をもつ数のことです。
たとえば、こんな場面を想像してみてください。
- 「右に5メートル歩く」
- 「北の方向に時速60キロで進む」
- 「上向きに10ニュートンの力がかかる」
これらはすべて「どっちの方向に」「どのくらいの大きさで」という2つの情報をもっています。
このような情報を数で表したものが、ベクトルなのです。
ベクトルの書き方
ベクトルは、数字をカッコでくくって書きます。
2次元ベクトルの例
(3, 4)
← 右に3、上に4の意味(-2, 5)
← 左に2、上に5の意味
3次元ベクトルの例
(1, -2, 0)
← 右に1、下に2、奥行き0の意味
ベクトルはどこで使われている?
ベクトルは、私たちの身の回りのいろいろなところで使われています。
日常生活での例
- ゲーム:キャラクターが動く方向と速さ
- カーナビ:目的地までの方向と距離
- 天気予報:風の向きと強さ
ポイント ベクトルは「矢印」のようなものだと考えると、イメージしやすくなります。
矢印の向きが「方向」、矢印の長さが「大きさ」を表しているのです。
行列とは?|数字を表のように並べたもの

行列ってなに?
行列とは、数字を縦と横に規則正しく並べた表のことです。
ベクトルが数字を1列に並べたものなら、行列は数字をたくさん並べて表にしたものと考えてください。
行列の書き方
行列は、数字を四角いカッコで囲んで書きます。
[ 1 2 ]
[ 3 4 ]
この例では、
- 行(よこの並び)が2つ
- 列(たての並び)が2つ あります。
行列とベクトルの関係
行列は、複数のベクトルをまとめたものとも考えられます。
たとえば、上の行列は次のように考えることができます:
- 1列目のベクトル:
(1, 3)
- 2列目のベクトル:
(2, 4)
行列はどこで使われている?
行列も、私たちの生活のいろいろな場面で活躍しています。
身近な例
- デジタル写真:写真の画素(ピクセル)は行列で管理されている
- ゲーム:3Dの世界でキャラクターを回転させるとき
- AI(人工知能):機械学習やディープラーニング
ポイント 行列は「データを整理して処理するための道具」として使われることが多いです。
ベクトルと行列の計算|どんな操作ができるの?

ベクトルの計算
ベクトルでは、次のような計算ができます。
足し算
(1, 2) + (3, 4) = (4, 6)
→ それぞれの数字を足すだけです
数をかける計算
2 × (1, 2) = (2, 4)
→ すべての数字に同じ数をかけます
内積(ないせき)
(1, 2) • (3, 4) = 1×3 + 2×4 = 11
→ 対応する数字をかけて、すべて足します
行列の計算
行列でも、いろいろな計算ができます。
足し算・引き算
同じ大きさの行列なら、同じ位置の数字どうしを足したり引いたりできます。
行列×ベクトル
これは少し複雑ですが、ベクトルを「変換」するときに使います。
たとえば、ベクトルを回転させたり、大きさを変えたりできます。
実際の使われ方
- ゲーム:キャラクターを回転させる
- 画像処理:写真を回転・拡大・縮小する
- ロボット工学:ロボットの腕の動きを制御する
応用例:ベクトルと行列が活躍する場面

AI(人工知能)の分野
現在話題のAIやChatGPTなどの技術では、行列の計算がたくさん使われています。
- 画像認識:写真に何が写っているかを判断する
- 音声認識:人の話している内容を理解する
- 翻訳:外国語を日本語に変換する
これらはすべて、行列とベクトルの計算によって実現されています。
ゲーム開発
私たちが遊んでいるゲームでも、ベクトルと行列が大活躍しています。
- キャラクターの移動:どの方向にどのくらいの速さで動くか
- 3Dグラフィックス:立体的な世界を画面に映す
- 物理シミュレーション:ボールが跳ね返る様子など
プログラミングでの使い方
もしプログラミングに興味があるなら、Pythonというプログラミング言語を使って、ベクトルや行列を簡単に扱えます。
主なライブラリ
- NumPy:ベクトルや行列の基本的な計算
- TensorFlow:AI・機械学習
- OpenCV:画像処理
これらのツールを使えば、複雑な計算も簡単にできるようになります。
まとめ:ベクトルと行列を理解すると世界が広がる
ベクトルと行列の違い
- ベクトル:向きと大きさをもつ数(矢印のようなもの)
- 行列:数字を表のように並べたもの(データを整理する道具)
重要なポイント
- ベクトルは日常生活でよく使われている(ゲーム、ナビ、天気予報など)
- 行列はデータを処理するための強力な道具
- AI、ゲーム、画像処理など、現代技術の基礎になっている
- プログラミングと組み合わせることで、さらに応用範囲が広がる
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