「平方完成」と聞いて、うわっ…難しそう…と思いましたか?
大丈夫です!実は平方完成って、コツさえつかめば機械的にできるようになる計算方法なんです。 二次関数の頂点を求めたり、二次方程式を解いたりするときに必要不可欠な技術ですが、パターンを覚えてしまえば誰でもマスターできます。
今回は、平方完成の基本から応用まで、つまずきやすいポイントを押さえながら解説していきます。 この記事を読み終わる頃には、「なんだ、こんなに簡単だったのか!」と思えるはずですよ。
一緒に、平方完成を得意分野にしていきましょう!
そもそも平方完成って何?なぜ必要なの?

平方完成の意味と目的
平方完成とは、簡単に言うと「ごちゃごちゃした二次式を、きれいな形に整理する方法」です。
例えば、x² + 6x + 5 という式を (x + 3)² – 4 という形に変形することを平方完成といいます。
なぜこんなことをするのか? それは、この形にすると二次関数のグラフの頂点がすぐに分かったり、最大値・最小値が一目で分かったりするからなんです。
料理に例えると、材料がバラバラに置いてある状態から、きれいに盛り付けた状態にするようなもの。 見た目が整理されると、全体像が把握しやすくなりますよね。
平方完成が使われる場面
平方完成は、以下のような場面で大活躍します:
- 二次関数の頂点を求めるとき
- 二次関数の最大値・最小値を求めるとき
- 二次方程式を解くとき(解の公式の導出にも使われています)
- 円の方程式を標準形に直すとき
- 物理の放物運動の問題を解くとき
特に、大学入試では必須の技術。 これができないと、多くの問題で行き詰まってしまいます。
基本の平方完成をマスターしよう
ステップ1:基本形 x² + bx の平方完成
まず、一番シンプルな形から始めましょう。
例題:x² + 6x を平方完成せよ
考え方: (x + ?)² の形を作りたい。 展開すると x² + 2×?×x + ?² になる。 6x = 2×?×x だから、? = 3
手順:
- x² + 6x に着目
- 6 ÷ 2 = 3 を計算
- (x + 3)² を作ると x² + 6x + 9 になる
- 9を引いて調整:(x + 3)² – 9
答え:x² + 6x = (x + 3)² – 9
ポイントは「xの係数を2で割る」こと。 これさえ覚えれば、基本形は完璧です!
ステップ2:定数項がある場合 x² + bx + c
次は、定数項(数字だけの項)がある場合です。
例題:x² + 6x + 5 を平方完成せよ
手順:
- まず x² + 6x の部分だけで平方完成
- 6 ÷ 2 = 3 なので、(x + 3)² – 9
- 元の式の +5 を付け加える:(x + 3)² – 9 + 5
- 計算して整理:(x + 3)² – 4
答え:x² + 6x + 5 = (x + 3)² – 4
定数項は最後に足すだけ。 簡単でしょう?
ステップ3:係数がある場合 ax² + bx + c
x²の係数が1じゃない場合は、ちょっとだけ工夫が必要です。
例題:2x² + 8x + 3 を平方完成せよ
手順:
- x²の係数2をくくり出す:2(x² + 4x) + 3
- カッコ内を平方完成:x² + 4x = (x + 2)² – 4
- 元に戻す:2{(x + 2)² – 4} + 3
- 展開して整理:2(x + 2)² – 8 + 3
- 最終形:2(x + 2)² – 5
答え:2x² + 8x + 3 = 2(x + 2)² – 5
最初にくくり出すのがコツ。 これで係数があっても怖くありません!
よくある間違いパターンと対処法
間違い1:符号のミス
最も多いのが符号(プラス・マイナス)のミスです。
よくある間違い例: x² – 4x を (x + 2)² – 4 としてしまう
正解: x² – 4x = (x – 2)² – 4
対策:
- xの係数の符号をそのまま使う
- 必ず展開して確認する習慣をつける
間違い2:係数の処理ミス
x²の係数をくくり出した後の処理でよく間違えます。
よくある間違い例: 3x² + 6x = 3(x + 1)² – 1
正解: 3x² + 6x = 3(x + 1)² – 3
対策: くくり出した数は、後で掛け算することを忘れない!
間違い3:分数が出てきたときの処理
係数に分数が含まれる場合も要注意です。
例:x² + 3x の平方完成 3 ÷ 2 = 3/2 なので x² + 3x = (x + 3/2)² – 9/4
分数が苦手な人は、最初に全体を4倍してから計算し、最後に4で割る方法もありますよ。
実践問題で力をつけよう
基本レベル
問題1:x² + 10x を平方完成せよ
解答の流れ: 10 ÷ 2 = 5 (x + 5)² を作ると x² + 10x + 25 25を引いて調整
答え:(x + 5)² – 25
問題2:x² – 8x + 12 を平方完成せよ
解答の流れ: -8 ÷ 2 = -4 (x – 4)² – 16 + 12
答え:(x – 4)² – 4
標準レベル
問題3:3x² – 12x + 5 を平方完成せよ
解答の流れ: 3でくくり出す:3(x² – 4x) + 5 x² – 4x = (x – 2)² – 4 3{(x – 2)² – 4} + 5
答え:3(x – 2)² – 7
問題4:-x² + 6x – 8 を平方完成せよ
解答の流れ: -1でくくり出す:-(x² – 6x) – 8 x² – 6x = (x – 3)² – 9 -{(x – 3)² – 9} – 8
答え:-(x – 3)² + 1
応用レベル
問題5:2x² – 5x + 1 を平方完成せよ
解答の流れ: 2でくくり出す:2(x² – 5/2 x) + 1 -5/2 ÷ 2 = -5/4 (x – 5/4)² – 25/16 2{(x – 5/4)² – 25/16} + 1
答え:2(x – 5/4)² – 17/8
分数が出てきても慌てずに! 基本の手順は同じです。
平方完成の応用:二次関数のグラフ
頂点の座標を求める
平方完成の最大のメリットは、二次関数の頂点が一発で分かることです。
y = x² + 6x + 5 を平方完成すると y = (x + 3)² – 4
この形から、頂点の座標は (-3, -4) とすぐ分かります。
なぜなら、(x + 3)² は x = -3 のとき最小値0をとり、 そのときy = 0 – 4 = -4 となるからです。
一般的に、y = a(x – p)² + q の頂点は (p, q) です。 符号に注意してくださいね。
最大値・最小値を求める
例題:y = -2x² + 8x – 3 の最大値を求めよ
平方完成すると: y = -2(x – 2)² + 5
x²の係数が負なので、グラフは上に凸(山型)。 よって、頂点で最大値をとります。
x = 2 のとき、最大値 5
平方完成さえできれば、最大値・最小値問題は楽勝です!
軸と頂点から式を作る
逆に、頂点が分かっている場合に式を作ることもできます。
例:頂点が(1, 3)で、点(0, 5)を通る二次関数を求めよ
頂点が(1, 3)なので: y = a(x – 1)² + 3
点(0, 5)を通るので: 5 = a(0 – 1)² + 3 5 = a + 3 a = 2
答え:y = 2(x – 1)² + 3
展開すれば、y = 2x² – 4x + 5 となります。
計算を楽にするテクニック

暗算でできる平方完成
xの係数が偶数の場合は、暗算でサクッとできます。
例:x² + 8x 8 ÷ 2 = 4 4² = 16 答え:(x + 4)² – 16
慣れてくると、この程度なら5秒で答えが出せるようになりますよ。
検算の方法
平方完成が合っているか不安なときは、展開して確認しましょう。
例:x² + 6x + 5 = (x + 3)² – 4 が正しいか?
(x + 3)² – 4 を展開: = x² + 6x + 9 – 4 = x² + 6x + 5
元の式と一致したのでOK!
公式として覚えておくと便利な形
以下の形は覚えておくと計算が速くなります:
- x² + 2x = (x + 1)² – 1
- x² + 4x = (x + 2)² – 4
- x² + 6x = (x + 3)² – 9
- x² – 2x = (x – 1)² – 1
- x² – 4x = (x – 2)² – 4
パターンが見えてきましたか? xの係数の半分を二乗したものを引くだけです。
試験で使える時短テクニック
マーク式試験での裏技
選択肢がある場合は、逆算で確認する方法があります。
例:x² + 6x + 5 の平方完成として正しいものを選べ (ア) (x + 3)² + 4 (イ) (x + 3)² – 4 (ウ) (x – 3)² + 4 (エ) (x – 3)² – 4
x = 0 を代入してみる: 元の式:0 + 0 + 5 = 5 (イ):9 – 4 = 5
一致したので答えは(イ)!
記述式での注意点
記述式では、途中式をきちんと書くことが大切です。
良い書き方の例: x² + 6x + 5 = x² + 6x + 9 – 9 + 5 (9を足して引く) = (x + 3)² – 4
この書き方なら、部分点ももらいやすくなります。
まとめ:平方完成マスターへの道
平方完成は、最初は難しく感じるかもしれませんが、練習すれば必ずできるようになります。
押さえるべきポイント:
- xの係数を2で割る
- その数を二乗して引く
- x²の係数が1でない場合は、最初にくくり出す
- 必ず展開して検算する
まずは基本形をしっかりマスターして、徐々に応用問題にチャレンジしていきましょう。
平方完成ができれば、二次関数の問題の半分は解けたようなもの。 今日から練習を始めて、得意分野にしてしまいましょう!
最後に一言:数学は積み重ねです。 今日できなくても、明日にはできるようになります。 あきらめずに、一緒に頑張りましょう!
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