立体図形の問題で「斜高」という言葉が出てきて、「これって何?」と思ったことはありませんか。円錐や角錐の表面積を求めるときに必ず必要になる、この斜高について詳しく解説していきます。
中学数学で習う内容ですが、意外と混乱しやすいポイントなので、図と一緒にしっかり理解していきましょう。
斜高って何? まずは定義から
斜高(しゃこう)とは、円錐や角錐の頂点から底面の縁までの、斜めの面に沿った距離のことです。英語では「slant height」といいます。
ポイントは「斜めの面に沿った」という部分。垂直に測る「高さ」とは違うんです。
円錐の斜高
円錐の場合、斜高は頂点から底面の円周上の任意の点までの距離です。
円錐を側面に沿って切り開くと扇形になりますが、その扇形の半径が斜高になります。つまり、円錐の表面を這って頂点から底の縁まで行く最短距離が斜高というわけですね。
角錐の斜高
角錐の場合は少し注意が必要です。斜高は頂点から底面の辺の中点までの距離として定義されます。
つまり、側面の三角形の高さのことを斜高と呼んでいるんです。正四角錐や正三角錐など、底面が正多角形の場合によく使われます。
高さと斜高の違い
この2つをごっちゃにしてしまう人が多いので、しっかり区別しましょう。
高さ(h)
頂点から底面に垂直に下ろした距離です。立体の「縦の長さ」と考えればOK。底面と垂直に交わります。
斜高(l)
頂点から底面の縁(円錐なら円周、角錐なら辺の中点)までの、斜めの距離です。側面に沿った長さと考えましょう。
重要: 斜高は必ず高さより長くなります(または等しい)。斜めに測っているので当然ですね。
斜高の求め方: 三平方の定理を使おう
斜高を計算するには、三平方の定理(ピタゴラスの定理)を使います。
円錐の斜高の公式
円錐で、底面の半径をr、高さをh、斜高をlとすると:
l = √(r² + h²)
なぜこうなるかというと、円錐を縦に切った断面を見ると、半径r、高さh、斜高lが直角三角形を作っているからです。
例題1: 底面の半径が3cm、高さが4cmの円錐の斜高を求めなさい。
解答:
l = √(3² + 4²)
l = √(9 + 16)
l = √25
l = 5cm
簡単ですね! 3-4-5の直角三角形になっています。
角錐の斜高の公式
正方形を底面とする正四角錐の場合、底面の一辺をa、高さをh、斜高をlとすると:
l = √((a/2)² + h²)
底面の一辺の半分(a/2)を使うのがポイントです。なぜなら、斜高は辺の中点まで測るからですね。
例題2: 底面が一辺6cmの正方形で、高さが4cmの正四角錐の斜高を求めなさい。
解答:
底面の一辺の半分は 6 ÷ 2 = 3cm
l = √(3² + 4²)
l = √(9 + 16)
l = √25
l = 5cm
こちらも3-4-5の直角三角形になりました!
斜高が必要な場面: 表面積の計算
斜高が特に重要になるのは、円錐や角錐の表面積を求めるときです。
円錐の表面積
円錐の表面積は、底面積と側面積を足したものです。
表面積 = πr² + πrl
ここでlが斜高です。側面積の部分(πrl)で斜高が使われているんですね。
覚え方: 側面積 = 底面の円周(2πr) × 斜高(l) ÷ 2 = πrl
例題3: 底面の半径が3cm、斜高が5cmの円錐の表面積を求めなさい。
解答:
底面積 = π × 3² = 9π cm²
側面積 = π × 3 × 5 = 15π cm²
表面積 = 9π + 15π = 24π cm²
角錐の表面積
正四角錐の場合、表面積は底面積と4つの側面の三角形の面積を足したものです。
側面の三角形の面積を求めるとき、その高さとして斜高を使います。
例題4: 底面が一辺6cmの正方形で、斜高が5cmの正四角錐の表面積を求めなさい。
解答:
底面積 = 6 × 6 = 36 cm²
側面の三角形1つの面積 = (6 × 5) ÷ 2 = 15 cm²
側面積(4つ分) = 15 × 4 = 60 cm²
表面積 = 36 + 60 = 96 cm²
逆算: 斜高から高さを求める
時には、斜高が分かっていて高さを求めたい場合もあります。
公式を変形すればOKです。
円錐の場合: l = √(r² + h²) を変形すると
h = √(l² – r²)
例題5: 底面の半径が3cm、斜高が5cmの円錐の高さを求めなさい。
解答:
h = √(5² – 3²)
h = √(25 – 9)
h = √16
h = 4cm
よくある間違いとその対策
斜高に関する典型的なミスをチェックしましょう。
間違い1: 高さと斜高を混同
誤った例: 「高さが5cmの円錐」と言われたのに、斜高として5cmを使ってしまう。
対策: 問題文をよく読み、「高さ」なのか「斜高」なのかを確認しましょう。図が描いてあれば、どの部分を指しているか確認してください。
間違い2: 角錐で底面の一辺全体を使う
誤った例: 底面の一辺が6cmの正四角錐で、l = √(6² + h²) としてしまう。
正しくは: l = √((6/2)² + h²) = √(3² + h²)
対策: 角錐の斜高は辺の中点までなので、一辺の半分を使うことを忘れずに。
間違い3: 斜高が高さより短いという間違い
三平方の定理から、斜辺(斜高)は他の2辺より長い(または等しい)はずです。
もし計算結果が「斜高 < 高さ」となったら、計算ミスを疑いましょう。
発展: 円錐の展開図と斜高の関係
円錐を側面に沿って切り開くと、扇形になります。この扇形の性質を理解すると、斜高の意味がもっと深く分かります。
扇形の半径 = 斜高
切り開いた扇形の半径は、もとの円錐の斜高と等しくなります。つまり、斜高は展開図を描くときの基準となる長さなんです。
扇形の弧の長さ = 底面の円周
扇形の弧の長さは、もとの円錐の底面の円周(2πr)と等しくなります。
これを使うと、扇形の中心角を求めることもできます。
中心角 = (底面の円周 ÷ 扇形の半径) × (180/π)度
または、中心角 = (r/l) × 360度
例題6: 底面の半径が3cm、斜高が5cmの円錐を展開したとき、側面の扇形の中心角を求めなさい。
解答:
中心角 = (3/5) × 360度 = 0.6 × 360度 = 216度
実生活での斜高
斜高は、実際の建築物や物体でも使われる概念です。
ピラミッド
エジプトのピラミッドなど、実際の角錐型の建造物では、斜高が重要な設計要素になります。石材の長さを計算するときなどに必要ですね。
円錐形の屋根
教会の塔や、サイロなど、円錐形の構造物を作るとき、材料の量を計算するために斜高が必要になります。
アイスクリームのコーン
アイスクリームのコーンも円錐ですよね。コーンの紙やウエハースを作るとき、展開図を考えると斜高の概念が関わってきます。
練習問題で理解を深めよう
最後に、いくつか練習問題を用意しました。
問題1(基本)
底面の半径が6cm、高さが8cmの円錐の斜高を求めなさい。
ヒント: l = √(r² + h²) の公式を使います。
問題2(基本)
底面が一辺8cmの正方形で、斜高が5cmの正四角錐の高さを求めなさい。
ヒント: 底面の一辺の半分は4cmです。h = √(l² – (a/2)²) を使いましょう。
問題3(応用)
底面の半径が5cm、斜高が13cmの円錐の表面積を求めなさい。
ヒント: 表面積 = πr² + πrl です。
問題4(発展)
ある円錐を展開したとき、側面の扇形の中心角が120度になりました。この円錐の底面の半径と斜高の比(r:l)を求めなさい。
ヒント: 中心角 = (r/l) × 360度 という関係を使います。
まとめ: 斜高は側面に沿った長さ
斜高について、重要なポイントをまとめます。
斜高の定義:
- 円錐: 頂点から底面の円周上の点までの距離
- 角錐: 頂点から底面の辺の中点までの距離
計算方法:
- 円錐: l = √(r² + h²)
- 正四角錐: l = √((a/2)² + h²)
主な用途:
- 表面積の計算(特に側面積)
- 展開図を描くとき
覚えておくべきこと:
- 斜高は必ず高さ以上の長さになる
- 角錐では底面の一辺の「半分」を使う
- 三平方の定理で計算できる
斜高は、最初は少し分かりにくいかもしれませんが、「側面に沿った斜めの長さ」というイメージを持てば、だんだん慣れてきます。特に表面積の問題では必須の知識なので、しっかりマスターしてくださいね!


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