数学の集合記号一覧とは?意味と読み方を完全マスター!【中学・高校数学】

数学

数学の授業で集合を習い始めたあなた、こんな悩みはありませんか?

「∈とか∪とか、記号が多すぎて覚えられない」
「記号の意味が分からなくて問題が解けない」
「どの記号をいつ使えばいいの?」

大丈夫です!集合の記号は見た目が難しそうに見えますが、実はルールさえ覚えてしまえば簡単です。この記事では、中学生・高校生が知っておくべき集合記号を、分かりやすく一覧にしてまとめました。

この記事を読めば5分で集合記号をマスターできます!


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そもそも「集合」って何?

記号の説明の前に、まず「集合」とは何かを確認しましょう。

集合とは「仲間の集まり」

集合(しゅうごう)とは、簡単に言うと「仲間同士の集まり」のことです。

例えば:

  • クラスの生徒全員
  • 1から10までの偶数
  • 動物園にいる動物たち
  • あなたが好きな食べ物

これらはすべて「集合」です。

要素とは「集合の中身」

集合を構成する1つ1つのものを要素(ようそ)といいます。

例:

  • 集合「1から5までの整数」の要素は、1、2、3、4、5

集合の書き方の基本

集合は、{ }(波括弧・中括弧)を使って表します。

例:

  • A = {1, 2, 3, 4, 5}
  • B = {リンゴ, バナナ, ミカン}

ルール:

  • 集合は大文字のアルファベット(A、B、Cなど)で表す
  • 要素は小文字のアルファベット(a、b、cなど)や数字で表す

【基本編】絶対に覚えるべき集合記号6選

まずは、高校数学で必ず使う基本の記号を覚えましょう。

1. ∈(属する)

読み方: 「エレメント」「イプシロン」「属する」

意味: 「〜に属する」「〜の要素である」

使い方:

a ∈ A

「aはAに属する」「aはAの要素である」

具体例:

A = {1, 2, 3, 4, 5}
2 ∈ A  (2はAに属する ← 正しい!)
7 ∈ A  (7はAに属する ← これは間違い)

覚え方:
この記号、お尻みたいな形していますよね。「集合から要素が1つプリっと出てきている」イメージで覚えましょう!

2. ∉(属さない)

読み方: 「ノットエレメント」「属さない」

意味: 「〜に属さない」「〜の要素ではない」

使い方:

a ∉ A

「aはAに属さない」

具体例:

A = {1, 2, 3, 4, 5}
7 ∉ A  (7はAに属さない ← 正しい!)

ポイント:
∈に斜線を入れたのが∉です。斜線は「否定」を意味します。

3. ⊂(部分集合)

読み方: 「サブセット」「部分集合」「含まれる」

意味: 「BはAの部分集合である」「BはAに含まれる」

使い方:

B ⊂ A

「BはAの部分集合である」
「Bのすべての要素がAにも含まれている」

具体例:

A = {1, 2, 3, 4, 5}
B = {2, 4}
B ⊂ A  (BはAの部分集合 ← 正しい!)

図で見ると:

┌──────────── A ─────────────┐
│                              │
│    ┌─── B ───┐             │
│    │  2, 4    │             │
│    └──────────┘             │
│  1, 3, 5                    │
└──────────────────────────────┘

覚え方:
⊂は、小さい方が大きい方に「すっぽり入っている」イメージです。

4. ⊆(部分集合または等しい)

読み方: 「サブセットイコール」「部分集合または等しい」

意味: 「BはAの部分集合であるか、またはAと等しい」

使い方:

B ⊆ A

⊂と⊆の違い:

  • ⊂(真部分集合):BはAに含まれるが、A = Bではない
  • ⊆(部分集合):BはAに含まれる、またはA = Bでもよい

具体例:

A = {1, 2, 3}
B = {1, 2, 3}

B ⊆ A  ← 正しい(AとBは等しい)
B ⊂ A  ← 間違い(AとBは等しいので真部分集合ではない)

注意:
教科書や参考書によって、⊂と⊆の使い方が異なる場合があります。必ず自分が使っている教科書の定義を確認してください!

5. ∩(共通部分・積集合)

読み方: 「キャップ」「インターセクション」「共通部分」「積集合」

意味: 「AとBの両方に属する要素の集合」

使い方:

A ∩ B

「AとBの共通部分」

具体例:

A = {1, 2, 3, 4, 5}
B = {2, 4, 6, 8}
A ∩ B = {2, 4}  (両方に含まれるのは2と4だけ)

図で見ると:

     A           B
  ┌─────┐   ┌─────┐
  │1   ╱│╲  │╱   6│
  │3  ╱ │ ╲ │╱  8 │
  │  ╱2,│4 ╲│     │
  │ ╱   │   ╲     │
  │╱  5 │    ╲    │
  └─────┘     └─────┘
     ↑
  この重なった部分が A ∩ B

覚え方:
∩は「2つの集合が重なった部分」というイメージ。「キャップ」と読むのは、帽子(cap)みたいな形だからです。

6. ∪(和集合)

読み方: 「カップ」「ユニオン」「和集合」

意味: 「AまたはBに属する要素の集合」「AとBを合わせた集合」

使い方:

A ∪ B

「AとBの和集合」

具体例:

A = {1, 2, 3, 4, 5}
B = {2, 4, 6, 8}
A ∪ B = {1, 2, 3, 4, 5, 6, 8}  (すべてを合わせる)

注意:
2と4は両方の集合にありますが、和集合では1回だけ書きます。重複して書きません!

覚え方:
∪は「2つの集合を全部合わせる」イメージ。「カップ」と読むのは、コップ(cup)みたいな形だからです。


【応用編】知っておくと便利な集合記号

7. ∅(空集合)

読み方: 「ファイ」「エンプティセット」「空集合」

意味: 「要素が1つもない集合」

使い方:

A = ∅

「Aは空集合である」

具体例:

A = {偶数かつ奇数である整数}
A = ∅  (そんな数は存在しないので、空集合)

書き方の注意:

  • ∅と書く(正しい)
  • { }と書く(正しい)
  • φと書く(間違い!ギリシャ文字のファイとは別物)

覚え方:
空集合は「空っぽの箱」です。0(ゼロ)とは違います!

  • 0は「数字」
  • ∅は「何もない集合」

8. U(全体集合)

読み方: 「ユニバーサルセット」「全体集合」

意味: 「考えている範囲すべての要素を含む集合」

使い方:

U = {1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10}

具体例:
問題で「1から10までの整数について考える」と言われたら、それが全体集合Uです。

9. A’またはĀまたはA^c(補集合)

読み方: 「Aダッシュ」「Aバー」「Aコンプリメント」「Aの補集合」

意味: 「全体集合Uのうち、Aに属さない要素の集合」

使い方:

A'  または  Ā  または  A^c

具体例:

U = {1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10}
A = {2, 4, 6, 8, 10}
A' = {1, 3, 5, 7, 9}  (Uの中でAに含まれないもの)

図で見ると:

┌────────── U ──────────────┐
│  色付き部分がA'           │
│  ████████████████████████ │
│  ████┌─── A ───┐████████ │
│  ████│2,4,6,8,10│████████ │
│  ████└──────────┘████████ │
│  ████████████████████████ │
│  1,3,5,7,9                │
└───────────────────────────┘

10. \またはー(差集合)

読み方: 「バックスラッシュ」「マイナス」「差集合」

意味: 「Aに属するが、Bには属さない要素の集合」

使い方:

A \ B  または  A - B

「AからBを引いたもの」

具体例:

A = {1, 2, 3, 4, 5}
B = {2, 4, 6, 8}
A \ B = {1, 3, 5}  (Aにあって、Bにないもの)

11. A × B(直積集合)

読み方: 「Aクロス B」「A掛けるB」「直積集合」

意味: 「Aの要素とBの要素の順序対すべての集合」

使い方:

A × B

具体例:

A = {1, 2}
B = {a, b}
A × B = {(1, a), (1, b), (2, a), (2, b)}

注意:
(1, a)と(a, 1)は違います!順序が大事です。


【特殊な集合】数の集合を表す記号

数学でよく使われる「数の集合」にも専用の記号があります。

N(自然数)

読み方: 「エヌ」「ナチュラルナンバー」

意味: 自然数全体の集合

N = {1, 2, 3, 4, 5, ...}

注意:
0を含むかどうかは、教科書によって違います。

Z(整数)

読み方: 「ゼット」「ツェット」「インテジャー」

意味: 整数全体の集合

Z = {..., -3, -2, -1, 0, 1, 2, 3, ...}

由来:
ドイツ語の「Zahlen(数)」の頭文字です。

Q(有理数)

読み方: 「キュー」「ラショナルナンバー」

意味: 有理数全体の集合(分数で表せる数)

Q = {1/2, -3/4, 5, 0, ...}

由来:
「Quotient(商)」の頭文字です。

R(実数)

読み方: 「アール」「リアルナンバー」

意味: 実数全体の集合

R = {有理数と無理数すべて}

C(複素数)

読み方: 「シー」「コンプレックスナンバー」

意味: 複素数全体の集合

C = {a + bi | a, bは実数}

関係図

N ⊂ Z ⊂ Q ⊂ R ⊂ C

自然数 ⊂ 整数 ⊂ 有理数 ⊂ 実数 ⊂ 複素数

【比較記号】大小関係や包含関係

⊃(包む)

読み方: 「スーパーセット」「包む」

意味: 「AはBを含む」

A ⊃ B

⊂の逆:

  • B ⊂ A = A ⊃ B(意味は同じ)

⊇(包むまたは等しい)

読み方: 「スーパーセットイコール」

意味: 「AはBを含むか、またはAとBは等しい」

A ⊇ B

=(等しい)

読み方: 「イコール」「等しい」

意味: 「2つの集合が完全に同じ」

使い方:

A = B

条件:

  • Aのすべての要素がBにある
  • Bのすべての要素がAにある

具体例:

A = {1, 2, 3}
B = {3, 2, 1}
A = B  (順番は関係ない!)

≠(等しくない)

読み方: 「ノットイコール」「等しくない」

意味: 「2つの集合が異なる」

A ≠ B

【論理記号】集合と一緒に使うことも

∀(全称記号)

読み方: 「フォーオール」「すべての」

意味: 「すべての〜について」

使い方:

∀x ∈ A

「Aに属するすべてのxについて」

∃(存在記号)

読み方: 「ゼアイグジスト」「存在する」

意味: 「〜が存在する」

使い方:

∃x ∈ A

「Aに属するxが存在する」

|またはst.(条件)

読み方: 「サッチザット」「〜であるような」

意味: 条件を示す

使い方:

A = {x | x > 0}

「xが0より大きいようなxの集合」


集合記号の読み方一覧表

記号読み方意味
エレメント、属する要素である
ノットエレメント、属さない要素でない
サブセット、部分集合真部分集合
サブセットイコール部分集合または等しい
スーパーセット、包む真包含
スーパーセットイコール包含または等しい
キャップ、共通部分積集合
カップ、和集合合併集合
ファイ、空集合要素が0個の集合
\バックスラッシュ、差差集合
A’Aダッシュ、補集合Aの補集合
×クロス、掛ける直積
=イコール等しい
ノットイコール等しくない
フォーオールすべての
ゼアイグジスト存在する
|サッチザット〜であるような

よく使う集合の法則

集合の計算でよく使う法則も覚えておきましょう。

1. ド・モルガンの法則

これは超重要!

(A ∪ B)' = A' ∩ B'
(A ∩ B)' = A' ∪ B'

言葉で説明すると:

  • 「AまたはBの否定」=「Aの否定かつBの否定」
  • 「AかつBの否定」=「Aの否定またはBの否定」

覚え方:

  • 補集合の記号’が入ると、∪と∩が入れ替わる!

2. 和集合の要素数の公式

n(A ∪ B) = n(A) + n(B) - n(A ∩ B)

説明:

  • n(A):集合Aの要素数
  • AとBを足すと、共通部分が2回カウントされてしまうので、1回引く

具体例:

A = {1, 2, 3, 4, 5}  → n(A) = 5
B = {2, 4, 6, 8}     → n(B) = 4
A ∩ B = {2, 4}       → n(A ∩ B) = 2

n(A ∪ B) = 5 + 4 - 2 = 7
実際:A ∪ B = {1, 2, 3, 4, 5, 6, 8}  → 7個!

3. 補集合の法則

(A')' = A
A ∪ A' = U
A ∩ A' = ∅

よくある間違いと注意点

間違い1:0と∅を混同

間違い:

A = {0}
A = ∅

正しい:

  • {0}は「0という要素が1個入っている集合」
  • ∅は「要素が1個もない集合」
  • この2つは違います!

間違い2:順番が大事なのに無視

間違い:

{1, 2, 3} = {3, 2, 1}  ← これは正しい(集合は順序を無視)
(1, 2) = (2, 1)  ← これは間違い!(順序対は順序が大事)

間違い3:要素の重複

間違い:

A = {1, 2, 2, 3}

正しい:

A = {1, 2, 3}  (同じ要素は1回だけ書く)

間違い4:⊂と⊆を混同

教科書によって定義が違うので注意!

パターンA:

  • ⊂:真部分集合(A ≠ B)
  • ⊆:部分集合(A = Bでもよい)

パターンB:

  • ⊂:部分集合(A = Bでもよい)
  • ⊊:真部分集合(A ≠ B)

自分の教科書の定義を確認してください!


練習問題で理解度チェック!

問題1

A = {1, 2, 3, 4, 5}
B = {2, 4, 6, 8}

次の集合を求めよ。

  1. A ∩ B
  2. A ∪ B
  3. A \ B

解答:

  1. A ∩ B = {2, 4}
  2. A ∪ B = {1, 2, 3, 4, 5, 6, 8}
  3. A \ B = {1, 3, 5}

問題2

U = {1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10}
A = {2, 4, 6, 8, 10}

次の集合を求めよ。

  1. A’

解答:

  1. A’ = {1, 3, 5, 7, 9}

問題3

次の記号の意味を答えよ。

  1. 3 ∈ N
  2. {1, 2} ⊂ {1, 2, 3}
  3. ∅ ⊂ A(Aは任意の集合)

解答:

  1. 「3は自然数である」(正しい)
  2. 「{1, 2}は{1, 2, 3}の真部分集合である」(正しい)
  3. 「空集合はどんな集合の部分集合でもある」(正しい)

まとめ:集合記号を完全マスター!

お疲れさまでした!これで、集合記号の基本はバッチリです。

この記事のポイントをおさらい:

絶対覚えるべき6つの記号:

  • ∈(属する)
  • ∉(属さない)
  • ⊂(部分集合)
  • ∩(共通部分)
  • ∪(和集合)
  • ∅(空集合)

覚えておくと便利な記号:

  • U(全体集合)
  • A’(補集合)
  • \(差集合)
  • N、Z、Q、R、C(数の集合)

重要な法則:

  • ド・モルガンの法則
  • 和集合の要素数の公式

覚え方のコツ:

  • ∈は「お尻」みたいな形
  • ∩は「キャップ(帽子)」
  • ∪は「カップ(コップ)」
  • 図(ベン図)を描いて視覚的に理解する

練習あるのみ!

集合の記号は、最初は難しく感じるかもしれませんが、たくさん問題を解いていくうちに自然と使えるようになります。この記事を参考にしながら、どんどん練習してくださいね!

分からなくなったら、いつでもこの記事に戻ってきてください。あなたの数学の勉強を応援しています!

次のステップ:

  • ベン図を使った問題を解いてみる
  • ド・モルガンの法則を証明してみる
  • 論理と集合の関係を学ぶ

頑張ってください!

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